2019年MLBドラフト注目選手:その2(エイブラムス、グリーン、キャロル)


ここまでで取り上げたプロスペクト

2019年MLBドラフト注目選手:その1(ラッチマン、ヴォーン、ウィット Jr.)

その1
アドリー・ラッチマン
アンドリュー・ヴォーン
ボビー・ウィットJr.


各サイトの2019年MLBドラフト・プロスペクトランキング




C.J・エイブラムス

C.J. Abrams
18歳:188㎝・81㎏:右投左打:SS:ブレッセド・トリニティ・カトリック高校
予想指名順位:2位~7位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 4
MLB.com 4
Fangraphs 4

MLB.comの2019年MLBドラフト高校生プロスペクトTop10:2018年8月発表

上記の記事では6位にランクインしていますが最終学年になると(アメリカの学校は9月スタート)評価が上昇し、高校生の中ではボビー・ウィットJr.に次ぐトッププロスペクト。

今シーズンは高校のリーグにおいてここまで32試合・打率.429・OPS1.203・3本塁打・10四球・6三振・26盗塁(盗塁死1個)を記録。昨年はもちろんU-18のアメリカ代表にも選ばれましたが、成績は代表メンバーの中で下位に入る数字でした。

ウィット Jr.とは対照的にバットコントロール&アプローチを高く評価されているもののパワー面の評価は低め。ダウンスイングからライナーを量産するギャップヒッターと評されており、広角に打ち分けるスキルも持ち合わせているとのこと。

ただ、まだ体が細いことから体格面ではさらなる成長の余地があると言われており、体格の成長とスイングの改造によっては中距離打者に成長することが出来ると予想されています。

今ドラフトクラスの高校生トップクラスの身体能力の持ち主で60ヤード走では6.29秒、(上の動画のように)バント時には一塁到達タイム3.59秒を計測。盗塁&ベースランニングのスキルも含めて走力は70~80の評価を受けています。つまり走力が彼のベストツールというわけですね。

ショート守備に関しても肩の強さから送球の正確性、守備範囲、グラブ捌きまで広く高評価されておりウィット Jr.と比較される攻守の持ち主とのこと。ただ、トップクラスの俊足をより活かせるセンターでプレーすべきとの声も強く、実際にU-18の試合ではショートにウィット Jr.がいるためセンターを中心に起用されました。

上リンクの記事でも書きましたが俊足好打好守のショートでセンター向きとの声も強かった選手と言えば2017年全体1位指名のロイス・ルイス。ルイスは事前の評価(全体5位前後)を覆しツインズから全体1位指名を受けましたが、1巡目において5年連続で高校生を指名しているマーリンズが全体4位指名権を持っているので、そのマーリンズに指名される可能性が高いのではないかと勝手に想像しています。また、数ヶ月ほど前には全体2位指名権を持っているロイヤルズが狙っているとの噂も。



ライリー・グリーン

Riley Greene
18歳:188㎝・86㎏:左投左打:OF:ハガティ高校
予想指名順位:全体5位(タイガース)

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 5
MLB.com 6
Fangraphs 6

MLB.comの2019年MLBドラフト高校生プロスペクトTop10:2018年8月発表

上の記事でも述べたように高校生の中で打撃力を最も高く評価されているプロスペクト。2017年にU-16のチームMVPに選ばれ、2018年にもU-18で主力打者として活躍しました。

バットスピード、バットコントロール、選球眼、パワーの全てでプラスの評価を受けており、ノーステップ打法からアッパースイング気味でバットを出し角度のある打球を放ちます。U-16時から活躍しているため長いトラッキングレコードがあるのも魅力で、ウィット Jr.やエイブラムスよりもリスクの低い打者だとの評価。(そこそこ大振りが多いとも言われていますが。)

ただ、今年のNHSI(National High School Invitational)ではレベルの高い投手相手にたびたび脆さを見せており評価を少し落としている印象。昨年のPG(パーフェクト・ゲーム)では活躍していたんですけどね。

日本の甲子園のような全国大会がないアメリカ高校野球ですが、National High School Invitational(NHSI)というトーナメントがアメリカ野球代表機関により開催されています。このNHSIは毎年4月に全国から16のトップ高校チームが招待され、州大会などと違いレベルの高い相手と対戦する貴重な機会として高校生スカウトにおいて重要視されているイベント。また、打者が木製バットを使用するのも特徴的。

スピードはほとんどのメディアから平均未満の評価を受けており、外野守備の評価も同じく平均未満。肩の弱さからプロレベルではレフトを中心にプレーすることになると予想されます。最悪の場合にはファーストにコンバートさえも。

バッティングしか長所のない高校生野手が上位で指名されることは珍しいですが、全体5位指名権を持つタイガースが今シーズン中ずっと追っかけているらしく全体5位での指名が有力。



コービン・キャロル

Corbin Carroll
18歳:178㎝・73㎏:左投左打:OF:レイクサイド高校
予想指名順位:6位~10位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 12
MLB.com 15
Fangraphs 13

MLB.comの2019年MLBドラフト高校生プロスペクトTop10:2018年8月発表

昨年の8月に行われたPerfect Game All-American Classic(高校生選手のオールスターゲーム)においてダニエル・エスピーノ(現在の高校生最速投手)の97マイルの速球を打ち返しセンター越えの三塁打を記録。MVPを受賞しています。

Perfect Gameではコンスタントに好成績を残し、U-18のアメリカ代表としてもボビー・ウィット Jr.に次ぐ打撃成績を記録。今年に入っても評価が上昇し続けとうとう多くのメディアで全体Top10にランクイン。(MLB.comはランキングを発表したのが早めだったため順位が14位と低め)

バッティングフォームはクリスチャン・イエリッチと比較されており、小柄な体格かつコンパクトなスイングが特徴的でバットコントロールと選球眼は高評価。高校生No.1のヒッティングツールの持ち主だと評価するスカウトもいるようです。

また、小柄な体格とコンパクトなスイングにも関わらず優れた打球初速度を計測するなど意外とパワーもある模様。打撃フォームだけでなく広角に鋭いライナー性の長打を放つところもプロスペクト時代のクリスチャン・イエリッチにソックリですね。

60ヤード走で6.33秒を計測するなど俊足も大きな魅力で、ベースボールアメリカ・MLB.com・Fangraphsの全てでにおいて70評価を受けています。また、平均以上の肩とトップクラスの俊足を活かしたセンター守備もプラスツールであり、プロ入り後も長らく同ポジションでプレーできると考えられているようです。

走攻守のツールだけでなく野球IQも高く評価されているなど、当たり外れの大きな高校生の中でも低リスクの無難な選手。センターをプロ入り後も守れそうな選手が今年のドラフト上位指名候補生の中に(大学生も含めて)例年よりも異常に少ないことも大きな追い風になるはず。体格の小ささが唯一のマイナスポイントですが全体10位以内には指名されそうです。