2019年MLBドラフト注目選手:その7(ベイティ、エスピーノ、プリースター)


ここまでで取り上げたプロスペクト

2019年MLBドラフト注目選手:その1(ラッチマン、ヴォーン、ウィット Jr.)

2019年MLBドラフト注目選手:その2(エイブラムス、グリーン、キャロル)

2019年MLBドラフト注目選手:その3(ビショップ、ブレデイ、ロドロ)

2019年MLBドラフト注目選手:その4(ストット、マノア、マローン)

2019年MLBドラフト注目選手:その5(アラン、ユング、トンンプソン)

2019年MLBドラフト注目選手:その6(ラトリッジ、ラングリアーズ、マイズナー)

その1
アドリー・ラッチマン
アンドリュー・ヴォーン
ボビー・ウィットJr.

その2
C.J・エイブラムス
ライリー・グリーン
コービン・キャロル

その3
ハンター・ビショップ
JJ・ブレデイ
ニック・ロドロ

その4
ブライソン・ストット
アレック・マノア
ブレナン・マローン

その5
マシュー・アラン
ジョシュ・ユング
ザック・トンプソン

その6
ジャクソン・ラトリッジ
シェイ・ラングリアーズ
カメロン・マイズナー


各サイトの2019年MLBドラフト・プロスペクトランキング


今回のその7では高校生の上位指名候補を紹介。




ブレット・ベイティ

Brett Baty
19歳:191㎝・95㎏:右投左打:3B:レイクトラビス高
予想指名順位:11位、16位~23位 10~15位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 15
MLB.com 17
Fangraphs 10

今ドラフトクラスではテキサス州の選手が大豊作だと言われていますが、そのテキサス州の高校生ではボビー・ウィット Jr.に次ぐ評価を受けているプロスペクト。

通常の高校生よりも1歳年上ながらも、2018年に85打数で打率.435(37安打)・出塁率.622(38四球)・長打率.935・OPS1.557・12本塁打を記録。投手としても好成績を残しウィット Jr.を抑えてテキサス州の高校生最優秀選手に選ばれました。また、勉学においても非常に優秀でGPAは満点の4.0。

今シーズンは(対戦相手のほとんどが年下ですが)さらに成績を向上させ26試合&107打席で打率.639(46安打)・出塁率.738(31四球[6三振])・長打率.1.361・OPS2.099・15本塁打・8盗塁という驚異的な数字を記録中。今年もテキサス州の高校生最優秀選手に選ばれることでしょう。

体格と身体能力に恵まれ高校では野球だけでなくバスケットボールでも活躍。生粋のパワーだけなら今ドラフトクラス全体で見てもNo.2の評価を受けており、ここまでで紹介してきた高校生の中ならばバットスピードと打球初速度は間違いなくトップ。昨年のドラフトでカージナルスから全体19位指名を受けプロ入り後もホームランを連発しているノーラン・ゴーマンと比較されています。(まあ何度も述べるように通常の高校生よりも1歳年上なのでアレなんですけど。)

圧倒的なスイングスピードにもかかわらずスイングはコンパクト。典型的なアッパースイングで角度のある長打を引張方向に放つのに長けたバッターとの評価。木製バットも苦手にしていないようです。

豊富なトラックレコードも魅力の1つ。

60ヤード走のタイムは7.23。今シーズンは26試合で8盗塁を記録しているもののスピードは平均以下のようです。

サード守備においても肩の強さ(投手としては最速92マイルを計測)こそは平均以上の評価を受けているもののグラブ捌き、俊敏性、送球のコントロールの評価は悪く、プロレベルでもサードに留まることが出来るかは疑問。実際に今シーズンは26試合で7エラーを記録。ベイティが優れた打撃力を誇りながらもこの評価に甘んじているのはこの守備力のせい。

上の各メディアのプロスペクトランキングでも分かるように全体20位前後の評価を受けているプロスペクトですが、全体11位指名権を持つブルージェイズが熱心にスカウティングを行っているとのこと。また、大学進学もちらつかせており要求する契約金も高くなるはず。




ダニエル・エスピーノ

Daniel Espino
18歳:188㎝・97㎏:右投右打:RHP:プレミア・アカデミー
予想指名順位:25位~40位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 25
MLB.com 23
Fangraphs 35

MLB.comの2019年MLBドラフト高校生プロスペクトTop10:2018年8月発表

その6で紹介したジャクソン・ラトリッジが今ドラフトクラスの大学生最速投手ならば、高校生最速投手は間違いなくこのエスピーノ。

15歳の時にパナマから移住し現在所属するアカデミーへ入学。アメリカ移住後はその剛速球で名をはせ昨年のパーフェクト・ゲーム・オール・アメリカン・クラシック(Perfect Game All American Classic:高校生の全米オールスターゲーム)で先発。同イベント歴代最高記録となる99マイルを計測し大きな話題となりました。

夏の時点ではブレナン・マローンと並ぶ高校生No.1投手との評。しかし、後に示す懸念材料により評価が下落しドラフト1巡目(全体32位以内)で指名されない可能性すらあります。

高校生ながら非常にしっかりとした太めの下半身の持ち主。ノーワインドアップモーションから両肩の高さまで左ひざを上げ、その左足を一気に落すことで前方への勢いをつけ大きなストライドを確保。そして右腕のテイクバックも非常に大きく、上半身を大胆にしならせながら左肩を一塁側に突っ込ませる一連の投球フォームは多くのスカウト・メディア・野球ファンから大不評。近い将来、肩の故障やトミー・ジョン手術に悩まされると心配されている現状です。ただ、身体能力と柔軟性が高いことや下半身が強靭なことから楽観視している人もしばしば。

同アカデミー入学時(15歳)の最速はたった84マイルだったものの、それ以降体重を約50ポンド(約23㎏)増やし昨年の夏には最速100マイルを計測。今シーズンはさらに体重を10~15ポンド(約4.5~6.8kg)増やすと毎試合のように最速98~99マイル・常時95~96マイルを計測中。上でも述べましたがこれほどの剛速球を投げられる高校生は今ドラフトクラスにおいてエスピーノしかいません。

変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップの3種類。80マイル台中盤のスライダー、70マイル台後半のカーブはどちらもプラスピッチで、とりわけスライダーは高校生トップクラス。tチェンジアップは評価が低く試合で投げる割合も低いのですが、プラスピッチの変化球が2種類もあれば高校生投手としては申し分ないでしょう。

先程も述べたように故障のリスクが最大の弱点ですが、加えてコマンドの将来性も不安要素。現時点でのコマンドは高校生投手として悪くはないものの豪快な投球フォームの安定性・再現性に疑問符が付けられており、将来的なコマンド&コントロールの大きな向上は見込めないかもしれません。スタミナも不足しているようで試合後半になるとコマンドが乱れるとのこと。実際に圧倒的な球質のわりに昨年のショーケースでは結構打たれていたようですね。

投げる球自体のクオリティ・質・ポテンシャルだけならば今ドラフトクラスの投手の中でベストであることは疑問の余地なし。

ただ、今シーズンは思っていたほどの成長を見せておらず投球フォームのリスクとコマンドへの不安から評価は下落中。大学進学(ルイジアナ州立大学)という可能性もあり契約金も高くなりそうなだけに予想外の低順位指名を受けるかもしれません。




クイン・プリースター

Quinn Priester
18歳:191㎝・86㎏:右投右打:RHP:キャリー=グローブ高
予想指名順位:16位~25位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 23
MLB.com 19
Fangraphs 14

昨年のパーフェクト・ゲーム・オール・アメリカン・クラシックでは2回表に登板し無失点の好投。

今シーズン開幕前後の2月ごろは2~3巡目程度の評価を受けていた高校生右腕ですが、この3か月間で評価が上昇し続けとうとう全体20位前後の指名が予想されるほどになりました。

昨年は最速95マイルを計測したツーシームは今年に入ると最速97マイルを計測。平均では90マイル台前半とこれまで紹介した高校生投手ブレナン・マローン、マシュー・アランほど球速はありませんが、水平&鉛直両方向に理想的な変化を見せる平均以上~プラスの球。昨年から最高球速が2マイルアップしているこからも分かるようにまだ成長の余地を残しており、プロ入り後は高速ヘビーシンカーを投げるパワーピッチャーに大化けする可能性も。

変化球はカーブとチェンジアップの2種類。特に70マイル台後半を計測し高いスピンレイトを誇るカーブが高評価。チェンジアップも昨シーズンから向上を見せているようです。

今現在のコマンドがどれほどのレベルかは動画が少なく判断しづらいのですが、シンプルかつ故障のリスクの少ないスムーズな投球フォームを見る限りは制球難の心配は不必要かと。