2019年MLBドラフト注目選手:その8(カービー、デビッドソン、ウィルソン)


ここまでで取り上げたプロスペクト

2019年MLBドラフト注目選手:その1(ラッチマン、ヴォーン、ウィット Jr.)

2019年MLBドラフト注目選手:その2(エイブラムス、グリーン、キャロル)

2019年MLBドラフト注目選手:その3(ビショップ、ブレデイ、ロドロ)

2019年MLBドラフト注目選手:その4(ストット、マノア、マローン)

2019年MLBドラフト注目選手:その5(アラン、ユング、トンンプソン)

2019年MLBドラフト注目選手:その6(ラトリッジ、ラングリアーズ、マイズナー)

2019年MLBドラフト注目選手:その7(ベイティ、エスピーノ、プリースター)

その1
アドリー・ラッチマン
アンドリュー・ヴォーン
ボビー・ウィットJr.

その2
C.J・エイブラムス
ライリー・グリーン
コービン・キャロル

その3
ハンター・ビショップ
JJ・ブレデイ
ニック・ロドロ

その4
ブライソン・ストット
アレック・マノア
ブレナン・マローン

その5
マシュー・アラン
ジョシュ・ユング
ザック・トンプソン

その6
ジャクソン・ラトリッジ
シェイ・ラングリアーズ
カメロン・マイズナー

その7
ブレット・ベイティ
ダニエル・エスピーノ
クイン・プリースター


各サイトの2019年MLBドラフト・プロスペクトランキング


今回のその8では大学生の上位指名候補を紹介。




ジョージ・カービー

George Kirby
21歳:193㎝・91㎏:右投右打:RHP:イーロン大学
予想指名順位:18位~25位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 20
MLB.com 18
Fangraphs 17

NCAAの主要カンファレンスとは言えないコロニアル・アスレチック・アソシエーション(CAA)のイーロン大学に所属する速球派投手。

高校時代はパーフェクトゲームのランキングでニューヨーク州の投手第2位にランクイン。大学進学後は1年目から2年目にかけて成績を大きく向上させると、昨年夏のケープコッド・リーグでは13回・24奪三振・1四球・2自責点の快投を見せプロスペクトとして名を挙げました。

今シーズンは好不調の波こそ大きいものの12先発・77.2回で防御率2.20・96奪三振・6四球・被本塁打3と圧倒的なパフォーマンスを披露(NCAAにFIPがあれば相当な数字になるでしょうね。)。ドラフト全体20位前後の評価を受けるほどに。

最速98マイル・常時93~95マイルを計測するフォーシームは平均以上。球速だけでなくコマンドにも優れおりフォーシームでカウントを整えることができるようです。ただ、試合後半に球速が低下するというレポートが多く、試合日程・登板間隔がタイトになるMLBやマイナーリーグでは心配。

変化球は80マイル台前半のスライダー、70マイル台後半のカーブ、80マイル台中盤のチェンジアップの3種類。スライダーとカーブは共に平均以上の評価を受けていますが、球速帯や(動画を見た感じでは)変化にもそれほど大きな違いがありません。チェンジアップも第3の変化球としては十分なクオリティ。

ケープコッド・リーグや今シーズンでの成績でも分かるようにコマンド&コントロールの良さも大きな魅力で常に投手有利のカウントを作り打者をリードするとのこと。なぜ、昨年夏のケープコッド・リーグから一気に四球が減ったのか理由はよく分かりませんが・・・。

ESPN(キース・ロウ)のドラフト予想ではヤンキースの指名が予想されていましたが、ヤンキースの指名順位全体30位までカービーが残っている可能性は✖。




ローガン・デビッドソン

Logan Davidson
21歳:191㎝・88㎏:右投両打:SS:クレムソン大学
予想指名順位:18位~24位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 19
MLB.com 22
Fangraphs 25

父親は1986~1991年にプレーした元MLB選手のマーク・デビッドソン。大学テニスで活躍するした姉を持つなどアスリート一家の生まれ。ベースボールアメリカの2016年ドラフト・プロスペクトランキングでは131位にランクイン。

NCAAでは1年目(2017年)から活躍するとショートとして各メディアのフレッシュマン・オールアメリカンチーム(NCAA1年生のベストナイン)に選出。2年目(2018年)には打撃だけでなくエラーを大きく減らすなどショート守備でも印象的なプレーを見せ、夏前の時点では全体10位以内クラスの評価を受け全体1指名と予想するメディア(メディアというよりはただのMLBサイトですが)さえありました。

しかし、今シーズンは昨シーズンよりも成績を向上させたものも、以下に述べるマイナスポイントにより評価が下落しています。今のところは全体20位前後での指名が有力的。

また体の線は細いものの高身長と生粋のパワーに恵まれたパワーヒッター。

クラウチング気味のフォームから体重移動のダウンフォースにより優れたバットスピードを発揮する右打席は、左打席よりもよりスイングがコンパクトであるもののパワーは上。まあ右利きですから当然のことですが。

右足をバッティングボックスの前端まで一気に踏み出しその右足のツッパリによって上体を大きく後ろ側に傾ける独特なフォームが特徴的な左打席は、右打席よりも大振りで右利きながらもパワーを発揮。本人は曰く左打席の方が得意だそうで大学HRダービーでも左打席メインで参加したようです。

しかし、高校時代からバットコントロールには疑問符が付けられており、実際に大学での通算三振率は20.3%と高め。これがデビッドソンの評価を挙げている最大の理由です。ただ、四球も多く選球眼は良いようで、三振率もわずかながら今シーズンは低下しました。

加えて、2017年~2018年のケープコッド・リーグで75試合・打率.202・OPS.570・OPS+58・3本塁打とあまりにも酷い成績を残しており木製バットでの実績は✖。プロ入り後木製バットに適応できない典型的なタイプだと考えられても仕方がないですね。ちなみに、2000年以降のドラフトにおいて3巡目以内で指名された大学生野手の中(100打席以上)でデビッドソンよりも低いOPS+を記録した選手は二人しかいないようです。

走力は平均以上。上でも述べたようにここ数年でショート守備は大きく向上しており、大柄なながらもとりあえずプロ入り後もショートでプレーできると予想されています。ただ、高身長、強肩、バッティングを活かすことを考えるとサードへのコンバートの可能性も十分。




ウィリー・ウィルソン

Will Wilson
21歳:183㎝・83㎏:右投右打:SS:ノースカロライナ大学
予想指名順位:20位~25位

各ランキング 順位
ベースボールアメリカ 22
MLB.com 21
Fangraphs 20

高校最終学年では26試合で打率.535・OPS1.972・14本塁打を記録。ノースカロライナ大学では1年目から全試合スタメン出場を果たし同じカンファレンスに所属するローガン・デビッドソンに並ぶ好成績を記録。セカンドとして一部メディアのフレッシュマン・オールアメリカンチームにも選ばれました。

2年目以降の成績推移もデビッドソンとそっくりで、20位台前半の評価を受けています。

 

好守でバランスのとれたプロスペクトですが、言い方を変えれば飛び抜けたツールがない選手。

上半身と下半身の連動性が悪い上に捻転差が小さく個人的にあまり好きではない打撃フォームですが、バットスピードは体格のわりに速く体の強靭さを感じさせます。打者不利のカウントではノーステップ打法を用いてコンタクトを意識するなどの工夫を見せる野球IQも印象的。

四球が少なめですがこれは積極的なアプローチが理由のよう。高校時代から安定して好成績を残し続けておりバッティングに関しては長いトラックレコードがあるのも魅力的。ちなみに、デビッドソンとは違ってケープコッド・リーグへの参加経験がなく木製バットでの記録は高校時代のものしかありません。

1年目はセカンド中心で起用されましたが、2年目からはショートでプレー。

ショートでプレーしているにもかかわらずスピードは平均以下。強肩でもないためプロレベルではセカンドでプレーすることになると予想されています。