ブライス・カニンハム(Bryce Cunningham):ヤンキース・2巡目指名(2024年MLBドラフト)


2024年MLBドラフトのヤンキース1巡目指名ベン・ヘス(Ben Hess)について。
2024年MLBドラフトのヤンキース3巡目指名サッチャー・ハード(Thatcher Hurd)について。

本日行われた2024年 MLBドラフト 1st Dayにおいて、2巡目・全体53位指名権を持つニューヨーク・ヤンキースはヴァンダービルト大学の先発右腕ブライス・カニンハム(Bryce Cunningham)を指名。

過去の2巡目指名選手

年度 順位 選手名 PO HS/CO
2023  ※2巡目指名権なし
2022 61 Drew Thorpe RHP CO
2021 55 Brendan Beck RHP CO
2020  ※2巡目指名権なし
2019 67 Josh Smith 2B CO
2018 61 Josh Breaux C CO
2017 54 Matt Sauer RHP HS
2016 62 Nick Solak 2B CO
2015 57 Jeff Degano LHP CO

近年は野手1巡目指名のカウンタームーブとして2~3巡目でピッチャーをピックするドラフト戦略を用いており、1・2巡目連続のピッチャー指名は異例のムーブ。

まともに活躍したNYYの2巡目指名プレーヤーは1984年のAl Leiterが最後ですが、Josh Smithが良くも悪くも長きに渡る連敗記録を止めるか。


Bryce Cunningham

ブライス・カニンハム:40 FV
21歳6ヶ月(2002年12月生):196cm/104kg
SP/RHP:ヴァンダービルト大学(3年生)

Draft Prospect Rankings
メディア 順位
Baseball America 39位
MLB.com 63位
Joe Doyle 55位
ESPN 37位
FanGraphs 47位
Baseball Prospectus
The Athletic 62位
Perfect Game 52位
Prep Baseball Report 76位
Azad Earl 61位
Luke Wortman 64位

アラバマ州の田舎町で生まれ育ち、これまでMLBプレーヤーを輩出したことがない無名のヘッドランドHSでプレー。

ショーケース・サーキットにて目立った活躍は見受けられませんが、Perfect Gameにてアラバマ州9位(投手4位)にランクインしており、最後の2021年シーズンにはAll-State 1st Teamに選ばれています。

アラバマ州のお隣テネシー州にあるヴァンダービルト大学へ進学。

Year Age Tm Lg ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2022 19 Vanderbilt SEC 4.59 12 6 33.1 31 4 14 27 1.350 3.8 7.3 1.93
2022 19 Bourne CCBL 4.56 6 5 25.2 18 1 12 25 1.169 4.2 8.8 2.08
2023 20 Vanderbilt SEC 6.43 18 4 42.0 35 10 23 45 1.381 4.9 9.6 1.96
2023 20 Bourne CCBL 2.38 5 5 22.2 24 1 7 25 1.368 2.8 9.9 3.57
2024 21 Vanderbilt SEC 4.36 16 16 84.2 69 14 34 96 1.217 3.6 10.2 2.82

フレッシュマン・シーズンは前半戦をロングリリーフ、後半戦をSPローテの一員としてプレー。シーズン終了後にはCape Cod Leagueにおいても好投。

翌2023年シーズンも開幕からロングリリーフ起用を受け、素晴らしいパフォーマンスを続けたことでシーズン中盤にSPローテへ復帰。

しかし、テネシー大学相手に初回9失点を喫するなど強豪校相手に打ち込まれ、たった1ヶ月弱でSPローテをクビに。さらに、復帰先のブルペンでも結果を残すことはできませんでした。

ただ、2年連続での参加となったCape Cod Leagueでは前年以上の活躍を披露。

その勢いのまま今シーズンは開幕からSPローテ入りを果たし、同じくATLから2巡目指名(全体62位)を受けたCarter Holtonを抑えチームのエースに。

上記の”Draft Prospect Rankings” Boardを見ても分かるように、今回のドラフトにおいては全体50~60位前後の評価を集めており、NYYの全体53位指名は一般的な評価通りのピックとなります。

FF SL CB CH Cmd
55 40 60 40
FF/be FF/vel SL/vel CB/vel CH/vel
99 94.6 84.2 86.4

昨シーズンからストライドのエクステンションを伸ばし、よりスムーズかつクリーンにメカニクスに。

アームアクションは3/4スロットに近しく、Rel Zは5.9 ft前後。マウンドの1Bサイドにポジションを取るので、Rel Xは1.0 ftを下回ります。

リピート性も良さげに見えるのですが、コマンド/コントロールの安定には何故か繋がっていない現状。

また、セットアップポジションではクイックが素早くSBを許すことは稀ですが、球速やコマンドが悪化する傾向にあり、今後の改善が必要不可欠でしょう。というかコレが1番の弱点と言っても過言ではない。

Four Seam – 50/55

Avg 94.6 mph・2400 rpm・1:00 Spin AxisのフラットなFFはAvg 19.2″ IVBを計測しているものの、意外にもUpper Zoneに投げ込む頻度は低く、VAAのAvgは-5.1と至って普通。

Ben Hessほどの高水準ではないにしても)Whiff%やChase%は良好な数字ですが、コマンドミスによって被弾を受けることが多く、高いHR/FB%を単なる不運で片づけてしまってはいけいないのかも。

今でも平均を上回る球速を計測していますけど、NYY傘下にてSPとしての経験を積めば、将来的にはAvg 95+ mphを期待できそう。

Slider – 35/40

2300 rpmのタイトなSLは、85 mphを下回りFFとの球速差が10 mph以上もあるにも拘らず、CTのように変化量が小さな平均未満のピッチ。

ただ、投球割合は25%と高く、RHB相手ならアーリーカウントから積極的に投じています。

実際に本人も改良が必要と語っており、NYY指導陣のお手並み拝見。

Changeup  – 55/60

FFと同様に2400 rpmを計測するハイスピンタイプのCHは50%超のWhiff%を叩き出すプラスピッチ。Zone内でもLHBから空振りを奪う決め球です。

VBは大したことありませんが、Avg 20″ HBに達する非常に特殊なピッチで、全体的にMichael KingのCHに似通っているイメージ。

Command – 30/40

3ピッチを積極的にZone内に投げ込みストライクカウントを稼いでいるはずですが、これまで一貫としてBB%が高止まり。

純粋なコマンドのスキルというよりは、ピッチング・アプローチに問題があるのかもしれません。

何にせよMLBのSPとしての及第点をクリアするには、先述したようにセットアップポジションにおけるメカニクス改善が必要不可欠。

Overall  – 30 PV/40 FV

Ben Hessほど極端ではないにしても、大学生ピッチャーの中ではリスキーな部類に入るかと。

一般的な評価は互角となっていますが、個人的にはHessCunninghamと考えていて、Hessは45 FVのBottom Line付近、Cunninghamは45 FVのフリンジ(FanGraphsで謂う所の40+ FV)といった印象。


Bryce Cunninghamの2巡目指名は.....

1巡目で順当にハイバリューなプロスペクトをピックしていれば、2巡目のCunningham指名も許容できたのですが、Ben Hessとの組み合わせとなると話は別。

1巡目のボーナスを2巡目に回せば、全体53位以降に指名されたGriffin BurkholderTyler Bellなどハイボーナスが必要な高校生野手、投手であればRyan SloanChris LevonasDasan Hillなどスケールが大きなプロスペクトを手に入れることができたはずで、大学生ピッチャーを続ける必要性があったとは思えません。

流石に3巡目以降ではオーバースロットピックを狙うでしょうけど、当然ながら残っている指名候補はイマイチなメンツ。

(客観的に見ても)NYYが今ドラフト最大のLoserかと。


2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの上位指名候補について