アーロン・ジャッジの5ツールを評価する 打撃編

20-80スケールでアーロン・ジャッジの5ツールを評価してみたいと思います。
(現在/将来)

Hit (コンタクト・選球眼)- 35/40
 シーズン序盤はフォーム改造と高いBABIPのおかげで高打率をマークしましたが、後半戦は新しいアプローチで責められ(肩を怪我していたという噂も)数々の三振記録を樹立してしまいました。
初めに新しい配球を仕掛けてきたのがAS後のBOSだったような気がします。それまで割合の低かった高めの速球を巧みに織り交ぜてジャッジが手も足も出なかったのが印象的でした。さすがアップルウォッチを活用する最先端チームなだけありますね。
 また選球眼は平均以上ですが、巨体のためか審判がしっかりとストライクゾーンを管理できていないことが多く、判定に苦しめられることも多々ありました。
↓ソース

 シーズン前半戦と後半戦の対右投手被投球コースを見てみると高めの割合が増え、さらに外角低めが徹底されるようになったことが分かります。ジャッジは右投手のスライダーを全く打てないことが最大の課題なので来年もこの傾向が続くのではないでしょうか。
 9月ぐらいからは立ち位置を少しだけベース寄りに変えていましたが、外角に対応するためだったかもしれません。

 対左も同じように高めが増え、クロスファイヤーの内角攻めも増えています。ジャッジは左投手のほうが対戦成績が悪く、特に速球派に弱いんですよね。チャンジアップとの対戦成績は抜群なんですけど・・・
 コンタクト率は規定打席到達選手内では全体ワースト4位、空振り率13.3%は22位と三振の数も納得の成績。
 まあ、体の大きな選手は低いコンタクト率をパワーで補うのが普通なので、空振りが多いのは常識の範囲内、9月の対応力を見ればさらなる向上も期待できますし、まだまだ配球の読みが悪い部分もあるので、選球眼の向上もありえるかと。

Power ー 80/80
 スタントンと一二を争うパワーの持ち主。ベンチプレスの自己最高記録は367ポンド(166㎏)、本人は準備期間があれば400ポンドいけると言っています。ライナー&フライボールを打つのに長けており、ヤンキースの狭いライトに叩き込むのが得意、ゴロ率は全体21位の低さです。
 速い打球が打てる=スウィングスピードが速いということになります。未だ現在のStatcastではスウィングスピードは計測されていませんが、打球の計測結果から導き出された推定平均スウィングスピードの記録を見てみましょう。
2017年MLB全体の平均:71.7マイル(115.4キロ)
↓MLB2017ランキング
1位:アーロン・ジャッジ:78.6マイル(126.5キロ)
2位:ヤズマニー・トーマス:77.9マイル(125.4キロ)
3位:マット・チャップマン:77.3マイル(124.4キロ)
以下、77マイル台他二人、76マイル台3人、75マイル台8人
 MLB平均を10キロ以上も上回っています。
 ただ所詮推定値ですから正しい数字なのかは分かりませんし、まあスウィングスピードの定義はまちまちなので、この数字も日本でいうところのバットスピードとは別物なのでご注意ください。
↓ソース
 というか素直にStatcastがスウィングスピードを計って公表してくれればいいんですけど・・・
 Statcastの打球計測結果から導き出されるwOBAであるxwOBA(足の速さと球場特性場が関係しないため、純粋な打撃力を評価するには有用なStats)は断トツの両リーグ1位、打撃だけなら今季最高の選手だったといえるでしょう。とはいってもStatcastのHit Probabilityは、まだ完成版ではないので大きな誤差はあるかも。


 他の懸念材料としては、他選手(リーグ平均)と比べてレベルの高い投手&本格派投手とその他との対戦成績の格差に著しい差があるといこと。このままでは雑魚専と言わざる負えません。来シーズンはクリス・セールや各チームの質の高い速球派のリリーフ投手も攻略してほしいものです。