ヤンキースの2023年春季キャンプ1週目の雑感



捕手デプス崩壊

春季キャンプ序盤で第3の捕手を含む3人のキャッチャーが昇天。

もちろんホセ・トレビーノカイル・ヒガシオカには何の問題もありませんが、春季キャンプ招待組で残るキャッチャーはロドルフ・デュラン(AA)、カルロス。ナバレス(A+)、アンソニー・シーグラー(A+)とAAA未満の経験しかないプレーヤーばかり。

昨年の春季キャンプでロブ・ブラントリーデビッド・フレイタスを押さえていたように、AAA~AAAAクラスのバックアップが必要となりました。

ちなみに、市場に残るMLBクラスはゲーリー・サンチェスロビンソン・チリーノスのみ。

ベン・ルートベット

右肩の手術を受け全治1ヵ月以上。

そもそも昨年の春季キャンプで彼が脇腹を痛め開幕戦絶望となったことにより、トレビーノ獲得が実現したわけですが…

ジョシュ・ブロー

右肘の違和感により数週間シャットダウン。

もともと大学時代、二刀流としてプレーした際に肘を故障した経験があるプレーヤー。

MRI検査の結果は不明ですが決して楽観視できませんね。

オースティン・ウェルズ

昨シーズンはAAで好成績を残し、今シーズン終盤戦でのMLBデビューが期待される存在でしたが、肋骨骨折により全治2ヶ月。

私は兼ねてから守備力を理由とするコンバートは反対、スぺ体質対策のためのコンバートは容認の立場を取ってきましたが、残念ながら後者が現実となる可能性は高そう。


クラーク・シュミットのカッター

もともと球種が豊富にも拘わらずディセプションの欠片もない投球フォームのおかげか左打者を苦手とするシュミット

その左打者対策のため今オフは新たにカッターを習得し、春季キャンプの初回登板にて早速披露。

球種 球速 スピン VB HB
FF 94.7 2523 16.6 -4.9
SI 94.9 2407 23.4 -14.3
SL 86.4 2856 32.9 8.3
CB 83.5 2913 48.8 15.0
CH 89.6 2128 30.9 -7.9
CT 92.5 2652 24.0 2.0

※カットボールは春季キャンプ登板、それ以外の球種は昨年の数値

球速はMLB全体で約90パーセンタイル、スピンレイトは約95パーセンタイルに位置しており、MLB平均よりHBが大きなスライダーやカーブとは異なり、VBが大きな代わりにHBが抑えられたピッチ。

スピンレイト以外はルー・トリビーノのカッターに似通っていて、シンカーと左右対称的な変化を見せている点に注目。シンカーとのコンビネーションを意識しているのでしょう。

実際に昨シーズン投球割合の16%を占めたフォーシームを今登板では一球たりとも投げておらず、カッター習得に伴いフォーシームを捨てた可能性すらあります。

※今日の2登板目はフォーシーム2球


2022年ドラフト組のお披露目

2022年ドラフト2巡目指名のドリュー・ソープと6巡目指名のチェイス・ハンプトンがプロ入り後初となる実戦登板を果たしました。

ドリュー・ソープ

ブルージェイズ戦にてMiLBクラスのラインナップを相手に登板し、2回を無失点に抑えたもののハードヒットを5本許すなど苦い内容。

アマチュア時代はシンカーを投げていると考えられていましたが、蓋を開けてみればシンプルなフォーシームがメイン。大きな球速バンプもありませんでした。

また、決め球かつプラスピッチと目されていたチェンジアップの変化量はMLB平均を大きく下回る数字。

最大の武器はコマンドのピッチャーなのでピッチクオリティだけを語っても意味ありませんけど。

チェイス・ハンプトン

95マイル前後のフォーシームはMLBで97パーセンタイルに位置する平均2520rpmを計測。90マイル弱のカッターと85マイル前後のスライダーも上々のクオリティ。

ディセプションとコマンドがイマイチなためか容易にコンタクトされていたものの、6巡目指名としては上出来でしょう。


野手のプロスペクトたち

焼け野原状態だった昨年とは対照的に期待以上の活躍を見せる野手プロスペクトたち。

アンソニー・ボルピは非プロスペクトも含め走攻守で最も印象的なパフォーマンスを残しており、パイレーツ戦ではミッチ・ケラーからホームラン。

ジェイソン・ドミンゲスは109.7mph・420feetの特大弾を放っただけでなく、9打席で空振りがたった2度だけ。O-Zoneにほぼ手を出しておらず、アプローチ面は見事と言わざるを得ません。

打撃フォームを改造したアンドレス・チャパーロはグランドスラムを含み2本塁打

ただ、エバーソン・ペレイラは11打席で5三振を喫し、スペンサー・ジョーンズに至っては7打席5三振とボロボロ。

選手名 打席 OPS
アンソニー・ボルピ 12 1.144
オズワルド・ペラザ 9 .889
ジェイソン・ドミンゲス 9 1.158
エバーソン・ペレイラ 11 .830
アンドレス・チャパーロ 12 1.151
スペンサー・ジョーンズ 7 .572


アルバート・アブレイユのスライダー

昨シーズンはスライダーの改造に伴いリリースポイントが安定しコマンドが向上したアブレイユ

改造後のスライダーはカットボール気味の高速ピッチでしたが、今春季キャンプで投じたスライダーは2021年以前に逆戻り。

さらに昨年の春季キャンプと比較しても速球系の球速・スピンレイトが共に下落しており、全体的に前ヤンキース在籍時の匂いが…

年度 球速 スピン VB HB
2020 85.8 2140 35.2 3.9
2021 87.3 2209 32.5 2.8
2022 88.6 2265 29.3 2.5
2023 84.5 2186 34.0 4.0

ちなみに、MiLBオプションが残っていないため、今春季キャンプで低調なパフォーマンスを残せばおさらばです。


クレイトン・ビーター🙄

春季キャンプ登板で初めてビーターのStatcastデータがアベイラブルとなったものの個人的には期待外れ。

昨シーズンまでのレポートではフォーシームのスピンレイトが2300~2400rpm、スライダーが2700rpm、カーブが2800rpm程度とのことでしたが、3球種ともその数字を大きく下回りました。

投球フォームをチャックしたところ昨シーズンと比べアームアクションが水平化しているのですが、最大の弱点であったコマンドを改善するため投球フォームやピッチを意図的に改造したわけでなければ危険。

もちろんショートイニングのリリーバーとしてはまだまだ十分なクオリティで、2回を投げ無失点3奪三振を記録。ただ、300フィート以上の飛球を3本被弾し2与四球を許すなど褒められた内容ではありません。

球種 球速 スピン
FF 95.2 2190
SL 85.3 2486
CB 79.1 2432
CH 85.5 1652


アーロン・ジャッジのレフト起用

春季キャンプにてジャッジのレフト起用をテストする旨をブーンが明言。

ホームゲームにおいてライト本職のスタントンをショートポーチに置きたいがためのプランのようですが、長期的に見てもレフトを経験させる頃合いなのかもしれません。


マイク・フォード

これまで春季キャンプで好成績を残した経験がないスロースターターですが、今年は既にホームランを含む長打3本。

コメント

  1. 名無し より:

    またドミンゲスが打ちましたね。去年同時期の評価を考えるとよくここまで来たなと思ってしまいます