今年もMLBドラフト(現地時間7月9日~11日開催)が近づいてきたので、全体26位指名権を持つヤンキースの指名候補をぼちぼちピックアップしていきます。
過去の1巡目指名選手
年度 | 順位 | 選手名 | PO | HS/CO |
2022 | 25 | スペンサー・ジョーンズ | OF | 大学 |
2021 | 20 | トレイ・スウィーニー | SS | 大学 |
2020 | 28 | オースティン・ウェルズ | C | 大学 |
2019 | 30 | アンソニー・ボルピ | SS | 高校 |
38 | T.J・シッケマ | LHP | 大学 | |
2018 | 23 | アンソニー・シーグラー | C | 高校 |
ファーム組織が潤沢だった2010年代後半は一貫性のない独自路線のドラフトを続け失敗を重ねましたが、コロナ過以降は大学生野手の1巡目指名が続いていて、特に過去2年間は一般的な評価が分かれるもインゲームでハードヒットを披露し身体能力テストで優れた成績を残すリスキーなタイプを指名。
さらに2巡目以降は一定以上の体格を持つ大学生投手をかき集める方針を徹底。ある程度完成されたピッチャーが多数を占めるためか大化けするような存在は現れず、どうせルール5ドラフト対象前のTDLで売り捌かれるのだろうなと。
ただ、上位プロスペクトのほとんどがAA~MLBに属しているためか、現時点の噂では高校生のスカウティングに注力しているようで、ボルピ以来の高校生1巡目指名が実現する可能性大。
そういうわけで今回も高校生を中心に取り上げます。
Full at bats for Bryce Eldridge (@AlabamaBSB commit), 4/18 and 4/19/23. Stay till the end for the best swing of the week. pic.twitter.com/tIGcBc4kqD
— Zack Silverman (@ZackSilverman18) April 21, 2023
ブライス・エルドリッジ
Bryce Eldridge:2004年10月生:201㎝・99㎏
右投左打:ファースト/投手:ヴァージニア州
ドラフト候補生ランキング | |
メディア | 順位 |
Baseball America | 23位 |
MLB.com | 21位 |
FanGraphs | ー |
ESPN | 13位 |
Prospect Live | 18位 |
Mason MacRae | 34位 |
Joe Doyle |
10位 |
The Athletic | 14位 |
昨年のU-18 ワールドカップにてアメリカ代表として3ホームランを放ちMVPに。
その後のショーケースや地元リーグでも好成績を残し、今クラス最高(一部では近年最高との評も)の二刀流プレーヤーとして1巡目指名が有力視されています。
二刀流と巨体から高校時代のスペンサー・ジョーンズと比較されているものの、どちらかと言えば打者>投手の評価。
ヤンキースのターゲットの1人となっているとの噂がありますが、全体26位はおろか1巡目前半で消えると予想されており、存在を気にするだけ無駄かもしれません。
アラバマ大学にコミット。
Hit | Power | Run | Arm | Field |
40 | 70 | 40 | 70 | 50 |
その体格から想像に容易いと思いますがパワーは高校最高級で、昨シーズン時点ですでに110マイル EVを計測。ここ2年間はスイングのコンパクト化が続いていて、フィールド全体にパワーを発揮しているとのこと。
高めの速球や外角の変化球に脆さを露呈しているとは言え、(高身長バッターが苦手なはずの)内角球の捌きは見事なもの。
スペンサー・ジョーンズのように60ヤード走タイムは優れておらず、ファーストを主に守っていますが、今シーズンはセンターで起用される場面もあった模様。
強肩と身体能力を考慮すると野手に専念すればコーナーOFへのコンバートも可能か。
FB | SL | CB | CH | Cmd |
60 | 45 | - | 40 | 40 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CB/vel | CH/vel |
97 | 92~93 | 82 | - | 85~86 |
13歳で身長6フィートに達し85マイル程度を計測していたとのことで、現在はエフォートレスな投球フォームから最速97マイルを叩き出しています。
変化球はスライダーとチェンジアップの2種類ですが共に特段優れているわけではなく、変化球のクオリティ&レパートリー向上は投手に専念してからが勝負かな。
まあ別に投手に専念しなくともビルドアップや投球フォーム改良によって球速やピッチクオリティはまだまだ伸びるでしょうね。
Been seeing an insane amount of love for Jac Caglianone on MSM (as should be), but every video that gets posted on him reminds of a superstar in the making in THIS YEARS draft.
Bryce Eldridge is a 2-way MONSTER. This is a wood bat BTW. Lets not forget! pic.twitter.com/NcSiH7Nq5U
— Anthony Aloisi (@AnthonyAloisi) March 13, 2023
トーマス・ホワイト
Thomas White:2004年9月生:193㎝・95㎏
左投右打:投手:マサチューセッツ州
ドラフト候補生ランキング | |
メディア | 順位 |
Baseball America | 14位 |
MLB.com | 17位 |
FanGraphs | 30位 |
ESPN | 38位 |
Prospect Live | 28位 |
Mason MacRae | 47位 |
Joe Doyle |
26位 |
The Athletic | 27位 |
何年も前から高い評価を受け続けてきた高校No.1左腕。
不安定かつ粗削りなタイプのためかプロスペクト評価はブレがあるものの、大学も含め左投手が不作の今クラスにおいては1巡目指名が有力視されていて、2013年以来高校生投手の1巡指名を行っていないヤンキースも熱心にスカウティングを行っている模様です。
ただ、先週の前回登板では8自責点・5被安打・5与四球の大炎上。
ヴァンダービルト大学にコミット。
FB | SL | CB | CH | Cmd |
60 | 50 | - | 45 | 40 |
FB/be | FB/vel | SL/vel | CB/vel | CH/vel |
98 | 93~94 | 78~79 | - | 83~84 |
ケン・ワルディチャクを彷彿させるストライドとアームアクションが大きなメカニクスから2年前に若干16歳で98マイルを計測。
現在は常時93~94マイル・2400rpm前後を計測していて、3/4スロットにより回転軸が傾いているのか割と縦方向へのシンクムーブメントを見せている模様。
よこへスライダー(カーブ)は2600rpmを超え、チェンジアップも第2の変化球として及第点をクリア。2球種を共にプラスピッチと評するエバリュエーターもいます。
フォームの再現性は低く兼ねてから制球力が懸念材料とされ、今シーズンは与四球を減らすなど一定の成長を見せていたようですが、上述の通り制球難を起因として大炎上。
ここ数年は下半身の故障が続いていて耐久性にも疑問符アリ。
George Lombard Jr. was a HUGE riser in our updated 2023 draft rankings … up to #32 📈
Check out him hitting for the cycle in a 6-5 playoff win on Tuesday ⬇️ pic.twitter.com/M10d8am2Tr
— Baseball America (@BaseballAmerica) May 5, 2023
ジョージ・ロンバード Jr.
George Lombard Jr.:2005年6月生:190㎝・86㎏
右投右打:ショート:フロリダ州
ドラフト候補生ランキング | |
メディア | 順位 |
Baseball America | 32位 |
MLB.com | 37位 |
FanGraphs | 28位 |
ESPN | 33位 |
Prospect Live | 27位 |
Mason MacRae | 36位 |
Joe Doyle |
22位 |
The Athletic | 33位 |
元メジャーリーガーを父に持つアスリート。
昨年のショーケースから今シーズンにかけて好成績を残し評価急上昇中。エルドリッジやホワイトと同様にヤンキースのレーダーにもかかっている模様。
現在の勢いなら1巡目指名の可能性は大ですが、コミットしているヴァンダービルド大学進学の意志が比較的に強く、スロットバリュー以上の契約金が必要になると予想されます。
そもそも高校生内野手はオプションが豊富ですからね。
Hit | Power | Run | Arm | Field |
40 | 55 | 60 | 50 | 45 |
恵まれた体格からハードヒットを繰り出すパワーヒッター。
左腕がルーズなメカニクスは改善の必要性がありそうですが、優れたEVはヤンキース好みか。
60ヤードダッシュにて6.5秒を計測するスピードは平均を上回るものの、守備に関しては肩力も含め評価が分かれていて、外野へのコンバートを予想する声も。アスレチックで体格の優れたプレーヤーはサードにフィットする場合が多い印象ですが…。
また、態度が悪いとの話もありアンソニー・ボルピやアンソニー・シーグラーなどハードワーカーかつメイクアップの優れた高校生野手をピックアップしてきたヤンキースがその点を良しとするか疑問。
Season | AB | H | 2B | HR | BB | K | BA | OBP | SLG | OPS |
2020 | 15 | 1 | 0 | 0 | 1 | 4 | .067 | .125 | .067 | .192 |
2021 | 60 | 22 | 7 | 2 | 5 | 12 | .367 | .415 | .583 | .998 |
2022 | 86 | 30 | 5 | 9 | 22 | 18 | .349 | .486 | .767 | 1.253 |
2023 | 90 | 43 | 14 | 6 | 21 | 12 | .478 | .571 | .856 | 1.427 |