2024年MLBドラフトお気に入りプロスペクトたち

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの上位指名候補について
個人的に2024年MLBドラフト一番のお気に入りプロスペクトであるアイヴァン・ブレットアワー(Ivan Brethowr)について。

アイヴァン・ブレットアワー(Ivan Brethowr):2024年MLBドラフトお気に入りプロスペクト」に引き続き、今回も「ヤンキースの2024年MLBドラフト1巡目指名候補」の番外編として、個人的なフェイバリット・プロスペクトを取り上げます。



Nate George

ネイト・ジョージ:18歳1ヶ月(2003年6月生)
180cm:R/R:ミヌーカHS(イリノイ州):CF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 266位 5/30
MLB.com 5/30
Joe Doyle 229位 6/18
ESPN 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 405位 6/13
Prep Baseball Report 5/3
Azad Earl 6/18
Luke Wortman 202位 6/20

2010年のドラフト全体19位指名のMike Foltynewiczを輩出したイリノイ州シカゴ近郊のミヌーカ高校にて野球と陸上競技の二刀流で活躍する身体能力抜群のアスリート。

昨年の秋以降に評価を大きく伸ばしており、各媒体のプロスペクトランキングでも続々とラインイン。

コミット先のイースタン・イリノイ大学へ進学する可能性が高いと思われますが、ヘリウム抜群のレイトライザーとして個人的にも注目している素材です。

Hit Power Run Arm Field
30 50 65 55 50

早生まれで18歳の誕生日を迎えたばかりにもかかわらず、比較的小柄な体型にマッスルと身体能力が積み込まれており、純粋な運動能力において彼を上回る高校生指名候補はごく僅か。

上半身と下半身の連動性に欠ける粗削りなメカニクスについては今後の改良を期待するしかありませんが、現状として既に優秀なバットスピードを繰り出し、トレーニング時は一貫としてEV 100+ mphを計測しています。

ショーケースやイベントのトラックレコードに欠けるため、実戦的なスキルを測るのは難しいところですが、地元リーグでは後半戦に大きく数字を伸ばしていて、ドラフト前に大きな前進を見せた印象。

また、今年度からは陸上の短距離競技にも本格的に力を入れており、100m走と200m走の両方で地区王者に。特に100m走においてスクールレコードとなる10.81秒を記録。

60ヤード走ではダブルプラス級のタイムである6.39秒(機械計測)を叩き出し、右打席から1Bへ4.2秒、3Bへ11.4秒で到達。

この瞬発力とトップスピードはOF守備でも大きな武器となるはずで、外野送球96 mphを計測する強肩が組み合わされば、CFへスティックできる可能性も十分。

肉体が完成されているため、フィジカル面のプロジェクションに劣る点はマイナスポイント。


Kale Fountain

ケール・ファウンテン:18歳10ヶ月(2005年8月生)
195cm:R/R:ノリスHS(ネブラスカ州):3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 129位 5/30
MLB.com 121位 5/30
Joe Doyle 197位 6/18
ESPN 5/8
Baseball Prospectus 52位 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 115位 6/13
Prep Baseball Report 35位 5/3
Azad Earl 42位 6/18
Luke Wortman 96位 6/20

ネブラスカの糞田舎町の無名校で高校通算HR州記録を更新した2024年クラス最上級のプレップ・パワーヒッター。

バットコントロールに難を抱え、そのために三振過多の不安定なパフォーマンスが続いているようですが、優れたフィジカル、身体能力、パワー、高いアップサイドは非常に魅力的で、エバリュエーターの間でも評価はマチマチ。

それ相応のボーナスを確約するチームが現れない限り、コミット先のLSUへ進学してTommy White & Jared Jonesの後釜を狙うでしょうね。

Hit Power Run Arm Field
35 60 50 50 45

OAK時代のMark McGwireを彷彿されるスタンスとスイングから、悠々と100+ mphのハードヒットを放ち、打撃練習では木製バットで108.2 mphを計測。

数々の映像を見る限り、スティープなスイングによってLower Zoneのピッチをプロサイドへ掬い上げるのが得意なようで、反対にUpper Zoneでは少し窮屈なスイングとなってしまう印象。

先述したようにコンタクトスキルは褒められるような代物ではありませんが、選球眼は良好な模様。

60ヤード走6.65秒を計測するスピードは平均を上回り、実戦において積極的にSBを企画。加齢に従って平均レベルに落ち着くかと思いますが、サイズを考えれば十分過ぎる水準です。

3B守備については評価が分かれていて、将来的に1B/LFへのコンバートを見込む声もチラホラ。

ただ、身体能力はホットコーナーの必要水準を間違いなく上回っています。


John Spikerman

ジョン・スパイカーマン:21歳3ヶ月(2003年4月生)
183cm:S/R:オクラホマ大学:CF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 160位 5/30
MLB.com 128位 5/30
Joe Doyle 163位 6/18
ESPN 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 220位 6/13
Prep Baseball Report 5/3
Azad Earl 6/18
Luke Wortman 197位 6/20

高校時代はSSを守り、ソフォモア・イヤー終了後に強豪オクラホマ大学へコミット。

シニア・シーズン開幕前に右肩を脱臼すると、シーズン終盤にはキャッチャーとの衝突によって左腕を骨折。

地区リーグの首位打者となっていたようですが、後味が悪いラストシーズンとなりました。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 Oklahoma B12 35 147 38 2 12 22 38 .317 .435 .450 .885
2023 20 Oklahoma B12 60 284 60 3 27 49 53 .270 .413 .383 .796
2023 20 Falmouth CCBL 27 123 24 2 12 19 27 .238 .350 .347 .696
2024 21 Oklahoma B12 42 190 61 3 11 19 25 .368 .429 .542 .971

前年の骨折の影響によってオクラホマ大学フレッシュマン・イヤーは出遅れ、SSからOFへコンバートされるも、復帰直後からリードオフ起用を受け、CWS準優勝に貢献。

しかし、翌年は健康体を維持したにもかかわらず大きくパフォーマンスを落とし、Cape Cod Leagueでもパワーレスな成績。

さらに、今シーズンは3月に右手有鉤骨を骨折し約1ヶ月欠場。復帰後は固め打ちを見せたものの、最終的には終盤戦で再びパフォーマンスが悪化し、スランプに陥ったままシーズンエンドとなりました。

とは言え、キャリアハイを残しているだけに1桁ラウンドでの指名は確実的で、私の目には守備走塁から生み出されるフロアーが魅力的に移ります。

全体的なプロファイルはブレイク前のBrett Gardnerの劣化版といった印象。

Hit Power Run Arm Field
40 35 70 50 65

守備走塁がバリューの大半を占める守備型プロスペクト。

バント時の1B到達タイム3.80秒未満、2B到達タイム7.50秒未満、3B到達タイム11.00秒未満を計測するスピードはダブルプラス(70グレード)。

瞬発力とトップスピードの両方を兼ね備え、外野フィールドとベースランニングの場面に応じて大小のストライドを使い分ける優等生。

毎年のようにSB%が低い点は気に掛かるところですけど…。

CF守備は大学球界上位に位置するプラスツールであり、GG賞カリバーのアップサイドを持つXファクター。

もう少しリアクションに一貫性が欲しいところですが、70グレードのスピードを活かして驚異的なレンジを発揮し、時にはRF/LFのテリトリーすらカバー。

肩の強さこそ平均レベルとは言え、送球の強度より素早いキャッチ&スローを優先する野球IQを持ち合わせています。

バッティングにおいてはパワーレスなスプレーヒッターで、大半のスイッチヒッターと同様にRHBが苦手。

バットスピードが特別劣っているわけではなく、時折プルサイドにポップを見せているものの、低弾道によってGB%が高く、ISOなどパワーナンバーは伸びません。

ただ、K%の大幅なカットに成功した上に、良好なChase%を残していることから、ある程度の出塁能力が見込まれ、CF守備だけでなくバッティングにおいても俊足が強烈な追い風となるはず。

(正直なところ、試合映像を見る限りCF守備は70~80グレード級に思えたのですが、試合映像を見たといっても所詮はスモールサンプルなので65グレードに留めました。)


Lyle Miller Green

ライル・ミラー=グリーン:23歳10ヶ月(2000年9月生)
195cm:R/R:オースティン・ピー州立大学:RF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 441位 5/30
MLB.com 5/30
Joe Doyle 336位 6/18
ESPN 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 6/13
Prep Baseball Report 384位 5/3
Azad Earl 6/18
Luke Wortman 296位 6/20

ロシア州トムスクに生まれ、本名は「Oleg Sergevich Kornev」

1歳の時にロシアの孤児院に居たところをヴァージニア州に住むMiller-Green夫妻が養子として迎え入れました。

高校時代は投手として頭角を現し、地元の弱小校ジョージ・メイソン大学へ進学。

二刀流プレーヤーとして開幕から投打で好成績を残しましたが、コロナ禍によって早々とシーズン中止に。

Cape Cod Leagueでの極端な”All-or-nothing”成績を経て、強豪オクラホマ州立大学へ転校するも、出場機会を得られないまま現在のオースティン・ピー州立大学へ再転校。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2020 19 George Mason A10 15 65 19 2 0 7 16 .333 .415 .597 1.012
2021 20 Chatham CCBL 36 141 31 8 0 16 49 .248 .333 .464 .797
2022 21 Oklahoma State B12 7 21 1 0 0 4 7 .059 .238 .059 .297
2022 21 Chatham CCBL 20 60 9 3 1 13 22 .196 .367 .391 .758
2023 22 Austin Peay ASun 58 274 84 16 5 26 55 .354 .438 .633 1.071
2023 22 Chatham CCBL 23 73 18 3 1 12 18 .310 .438 .483 .921
2024 23 Austin Peay ASun 56 291 86 30 13 54 38 .393 .533 .900 1.432

弱小カンファレンスなだけに、上位の打撃成績を残しても2023年ドラフトでは全く引っ掛からず、3度目の正直となるCape Cod Leagueでの活躍を経て、シニア・イヤーに突入。

打者有利の本拠地の恩恵を追い風に受けながらHRを量産し、カンファレンスNo.1の打撃成績を記録すると共に、大台のシーズン30HRへ到達。

ドラフトから2ヶ月後に24歳の誕生日を迎えるといえ、これだけのパフォーマンスを残せば、少なくともドラフト3日目、良ければ2日目終盤で指名されることでしょう。

ちなみに、オースティン・ピー州立大学転校後、ブルペンからSPローテへ復帰していますが、投球成績は壊滅的。

Hit Power Run Arm Field
30 70 35 55 40

スラヴ人特有の巨体によってバットを軽々とぶん回し、ダブルプラス級の強烈なパワーを発揮。

118 mph EV・496 ftや117 mph EV・485 ftの特大高速HRを放ち、パワーについてだけならば木製バットの実績も十分。

単にプルサイドへ引っ張るだけでなく、外角へのピッチを逆方向へ押し込むスキルを持ち合わせています。

バットコントロールの評価は言わずもがなですが、2023年Cape Cod Leagueの好成績がフロントオフィスの判断を狂わせる可能性も。

これまで取り上げてきたフェイバリット・プロスペクトたちと異なり、身体能力と守備走塁のバリューは共に平均未満。

DH起用を受けることも少なくなく、プロ入り後は1Bに落ち着く可能性も。

ただ、マウンドでMax 95 mphを計測する強肩はRFで機能するはず。

ちなみに、一番好きなプレーヤーがAaron JudgeのNYYファン。