ヤンキースの2024年MLBドラフト1~2巡目指名候補:その14

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの上位指名候補について

ドラフトまで3週間を切り、とうとう本格的なインサイダー情報が流れ始め、NYYは投手を狙っているとの話。

2022年クラスならまだしも、今クラスにおいて全体26位指名権を投手に費やすべきだとは全く思いませんが、乱雑なトレード放出と故障者の多発によって傘下の投手プロスペクト・デプスが完全崩壊している現状では、致し方ないのかもしれません。



Jacob Cozart

ジェイコブ・コザート:21歳6ヶ月(2003年1月生)
190cm:L/R:ノースカロライナ州立大学:C

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 44位 5/30
MLB.com 42位 6/27
Joe Doyle 57位 6/18
ESPN 44位 5/8
Baseball Prospectus 23位 4/11
The Athletic 59位 5/22
Perfect Game 34位 6/13
Prep Baseball Report 46位 5/3
Azad Earl 24位 6/25
Luke Wortman 25位 6/20

Wil Myers、そしてPatrick Baileyとアマチュア上位のキャッチャーを輩出したウェスズリアン・クリスチャン・アカデミー出身。

2020年ドラフト全体13位指名を受けたBaileyと入れ替わる形で名門ノースカロライナ大学の正捕手に。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 NC State ACC 52 170 35 4 2 17 25 .240 .337 .377 .714
2023 20 NC State ACC 52 228 59 10 0 24 38 .301 .392 .546 .938
2024 21 NC State ACC 61 279 68 19 0 52 48 .305 .437 .601 1.038

フレッシュマン・シーズンはカンファレンスワースト級の打撃成績に終わるも、そこから2シーズン連続で数字を大きく伸ばし、今ではMock Draftで1巡目指名候補としてメンションされる存在となりました。

一部ではNYYと大学生キャッチャーのリンクを示唆する報道もあるだけに、Cozartを頭の片隅に入れておいて損はないでしょう。

ただ、何度か述べたように、今クラスにおける最高のキャッチャーはMalcolm Mooreであって、その他のキャッチャーは全体26位に値するか疑問。

全体26位でMooreがアンアベイラブルならば、素直に他ポジションのトッププロスペクトを狙うのが得策かと。

もちろん、2巡目(全体53位)なら問題なし。

Hit Power Run Arm Field
40 45 30 50 55

フィジカルの成長に連れてメカニクスの完成度が高まり、今シーズンの90th EVはNCAA上位指名候補の平均を上回る106.0 mph。

ゾーン上に長く留まる少しフラットなスイングによって高いZ-Con%を残すファストボールヒッターであり、平均超の選球眼によって過去2シーズンに渡りChase%は25.9% → 23.5%とソリッドな水準を推移。

ただ、何故か今シーズンはContact%が昨シーズンの80.7%から70.3%へ大幅に悪化。

サマーリーグでの低パフォーマンスも気に掛かります。

フレーミングやレシービングは平均以上の評価を受け、素早いキャッチ&リリースによって平均未満のアーム · ストレングス をカバー。

プロ入り後も問題なくプレートの後ろに留まると考えれらています。

足は鈍足。今後のビルドアップによって、スピードが20~25グレードへダウンスイングする可能性も。


Blake Burke

ブレイク・バーク:21歳1ヶ月(2003年6月生)
190cm:L/L:テネシー大学:1B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 62位 5/30
MLB.com 65位 6/27
Joe Doyle 40位 6/18
ESPN 71位 5/8
Baseball Prospectus 64位 4/11
The Athletic 43位 5/22
Perfect Game 70位 6/13
Prep Baseball Report 79位 5/3
Azad Earl 46位 6/25
Luke Wortman 44位 6/20

高校時代から身体能力に欠ける鈍足1B専。

スリップストリームに乗っていたテネシー大学に進学すると、限られた出場機会の中で大学フレッシュマン・レコードとなる14 HRを記録。

しかしながら、2年目はアプローチ改造が上手くハマらず、シーズンを通しスランプに。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 Tennessee SEC 45 120 31 14 2 19 37 .326 .467 .821 1.288
2023 20 Tennessee SEC 65 282 68 16 4 26 49 .280 .369 .527 .896
2024 21 Tennessee SEC 71 319 106 20 11 35 48 .377 .448 .701 1.149

今シーズン無事に復調すると、主力打者としてチームのナショナル・タイトル獲得に貢献。

特にプレーオフでの活躍は顕著で、2巡目前半に指名を受けそうな雰囲気。

Hit Power Run Arm Field
50 65 30 40 40

素手でバットをぶん回し、Nolan Jonesを彷彿させるメカニクスからダブルプラスに近いRawPower&Game Powerを発揮。

さらに、見た目からは想像できないような優れたコンタクトスキルも兼ね備え。今シーズンから昨シーズンにかけてContact%が79.1% → 84.0%と向上。特にFB系を得意とするようで、プロレベルのハイヒーターにも問題なく対応できそう。

30.0%を超えるChase%が気に掛かるところですが、Contact%>83%・90th EV>110 mph(110.3 mph)を記録したバッターは彼1人。

最もハイレベルなSECで研鑽を積んでいるだけに、プロ入り後も即戦力として期待されます。

チーム最多の11 SBを記録しているものの、走塁スピードは✖。

俊敏性に欠ける1B守備も評判が悪く(反対に一部では好守との評価)、DH専リスクを指摘する声も。

何にせよ、他のアスレチックな1Bのように、LFや3Bへのコンバートは期待できません。

21歳1ヶ月という年齢はポジ要素。


Cole Mathis

コール・マシス:20歳11ヶ月(2003年7月生)
185cm:R/R:チャールストン大学:1B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 60位 5/30
MLB.com 84位 6/27
Joe Doyle 83位 6/18
ESPN 108位 5/8
Baseball Prospectus 40位 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 72位 6/13
Prep Baseball Report 5/3
Azad Earl 73位 6/25
Luke Wortman 82位 6/20

ジョージア州の片田舎の無名校から、偉大なるBrett GardnerをNYYへ送り込んだ同州のチャールストン大学へ進学。

フレッシュマンシーズンはブルペンで並の成績を残すも、バッティングは散々な結果に。

ただ、2年目はSPローテでエース級の活躍を見せると共に、バッティング面が大きく開花。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 18 College of Charleston CAA 25 19 3 1 0 3 5 .188 .316 .438 .753
2023 19 College of Charleston CAA 56 246 66 9 8 41 37 .330 .439 .575 1.014
2023 19 Cotuit CCBL 38 147 41 11 0 12 25 .318 .381 .667 1.048
2024 20 College of Charleston CAA 52 254 67 14 14 46 32 .335 .472 .650 1.122

さらに、シーズン終了後に参加したCape Cod Leagueにて最上級の成績を残しており、今シーズンのパフォーマンスも申し分ありません。

Burkeと同じく)同級生と比べ若いにもかかわらず、これだけのパフォーマンスを残している点は大きなポジ要素で、個人的には2巡目での指名を期待。

ちなみに、今シーズンは肘の故障によって二刀流でのプレーを断念。

Hit Power Run Arm Field
45 55 45 60 50

上半身のストレングスを感じるシンプルなメカニクスから優れたアプローチを発揮し、過去2シーズンにおけるContact%(83.0% → 84.1%)とChase%(17.4% → 16.0%)のコンビネーションは非常にハイレベル。

90th EV(108.4 mph → 107.5 mph)も高水準で、Max EVは114 mphに到達。

Out-to-InかつフラットなスイングによってAttack Angleを上げることに苦労していますが、CCBLでの成績を見る限り、木製バットでも優れたバレルフィールと高いGame Powerを期待できそうな雰囲気。

二刀流起用や肘のケガによって1B/DHとして出場することがほんとんどではあるものの、スピードやクイックネスはBurkeほど劣っておらず、マウンドでMax 96 mphを計測する強肩も考慮すると、プロ入り後に3Bを試すべきではないかと。

Draft Prospect Rankingsボードが示すように世間的には3巡目クラスの評価に落ち着いていますが、バッティングにおける優れたトラッキングスタッツ、CCBLでの好成績、コンバートによるポジショナル・バリュー向上の可能性、若い年齢とポジ要素が多く、個人的には全体53位指名に十分値すると思います。


Rodney Green Jr.

ロドニー・グリーン Jr.:21歳3ヶ月(2003年4月生)
190cm:L/R:カリフォルニア大学:CF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 95位 5/30
MLB.com 132位 6/27
Joe Doyle 214位 6/18
ESPN 108位 5/8
Baseball Prospectus 63位 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 104位 6/13
Prep Baseball Report 5/3
Azad Earl 6/25
Luke Wortman 79位 6/20

高校時代は無名だったものの、カリフォルニア大学にてフレッシュマン・シーズンから早速好成績を記録。

ソフォモア・シーズンには14 HR & 29 SBとエレクトリックな数字の残し、ハイシーリング型のスリーパー・プロスペクトとして一部界隈で高く評価される存在に。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 California P12 44 165 41 6 1 21 51 .293 .394 .536 .930
2023 20 California P12 52 242 61 14 29 32 77 .293 .388 .558 .946
2023 20 Cotuit CCBL 11 38 5 1 5 6 15 .161 .316 .290 .606
2024 21 California P12 55 257 55 14 15 43 72 .267 .409 .549 .957

ただ、今シーズンは数字を伸ばすことができず、一部の期待を裏切る形に。

プロスペクト評価も伸び悩み、3~5巡目クラスのエバリュエイトが多数を占めていますが、2巡目にスネークインする可能性もある程度見込めるかと。

Hit Power Run Arm Field
30 55 60 45 55

ルーズかつスティープなスイングは美しさすら感じる代物ですが、コンタクトスキルを抽出するには適しておらず、長らくバットコントロールに難を示しているバッター。

NCAA通算K%は30%を上回り、2シーズン連続で65%台のContact%を記録。CCBLでも全く通用しておらず、昨シーズンから今シーズンにかけてのChase%向上(24.7% → 19.9%)が唯一の救いか。

ただ、高いBarrel%を残すなどコンタクト・クオリティは優れており、Max EX 113 mph・90th EV 107.2 mphを計測するパワーはまだまだ伸び代を残しています。

高校時代に60ヤード走6.52秒を計測したスピードはプラスツール。

そのスピードを活かしたCFも評価が高く、フリンジレベルの送球を守備レンジでカバー。

彼のシーリング付近(90~99パーセンタイルのアウトカム)はJazz Chisholm Jr.かと。