ヤンキースの2024年MLBドラフト1~2巡目指名候補:その16

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの上位指名候補について

残念ながらNYYはピッチャーを1巡目指名(または2巡目でオーバースロット指名)する可能性が高そうな雰囲気。



Kavares Tears

カヴァレス・ティアーズ:21歳10ヶ月(2002年8月生)
183cm:L/L:テネシー大学:RF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 83位 7/1
MLB.com 66位 6/27
Joe Doyle 109位 6/18
ESPN 52位 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 53位 5/22
Perfect Game 53位 6/13
Prep Baseball Report 81位 5/3
Azad Earl 40位 7/2
Luke Wortman 95位 6/20

高校時代は早くから傑出したパワーを披露するも、ドラフト直前に伸び悩み大した評価は得られず。

勢いに乗っていた地元のテネシー大学に進学。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2023 20 Tennessee SEC 29 66 17 2 0 7 18 .304 .379 .518 .897
2024 21 Tennessee SEC 71 293 79 20 4 45 74 .324 .427 .643 1.070

故障によってフレッシュマン・シーズンを全休、そしてソフォモア・シーズンを半休したものの、今シーズンはトップクラスのパフォーマンスを残し一躍ドラフト上位指名候補に。

1巡目指名獲得こそ厳しいとは言え、Comp ラウンドならワンチャンあります。

Hit Power Run Arm Field
40 60 55 60 50

チームメイトのChristian MooreBlake Burkeほどではないにしても、プラス級のGame PowerとRaw Powerを持ち、表面的な数字を上回る優れたコンタクトクオリティを披露。

Hard Hit%やxwOBAは最上級の数字で、特にFBに対しパワーを発揮している模様。

Sweet Spot%は高くありませんが、32°>LAサイドに振れているので楽観視して構わないかも。

ただ、フラットかつハイエフォートなスイングはコンタクト面についてリスクを抱え、今シーズンの71.0 Contact%は危険水準。

LHP相手に脆さを露呈する場面こそあるものの、平均以上の選球眼が助けに。

サマーリーグ(木製バット)での実績に欠ける点も懸念材料。

平均超のスピードとプラス(もしかすればダブルプラスかも)の強肩を兼ね備え、出場機会の約1/4をCFにて消化。

流石にプロレベルではRFに落ち着くかと思いますが、CFと見做すチームもゼロではないはず。


Dylan Dreiling

ディラン・ドレイリング:21歳3ヶ月(2003年4月生)
180cm:L/L:テネシー大学:LF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 73位 7/1
MLB.com 72位 6/27
Joe Doyle 61位 6/18
ESPN 52位 5/8
Baseball Prospectus 88位 4/11
The Athletic 49位 5/22
Perfect Game 98位 6/13
Prep Baseball Report 31位 5/3
Azad Earl 50位 7/2
Luke Wortman 47位 6/20

高校時代はカンザス州最上級のトッププロスペクトと見做されるも、故障によってドラフト直前に評価が伸び悩み、Tearsと同じような流れでテネシー大学へ進学。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2023 20 Tennessee SEC 50 120 28 7 1 24 20 .295 .433 .621 1.054
2024 21 Tennessee SEC 71 303 84 23 4 53 62 .342 .459 .715 1.174

1年目の昨シーズンはvs LHPのプラトーン要員として流動的な起用を受けながらも、優れたPlate Disciplineスタッツを残し、今シーズンにレギュラーへ定着。

課題だったLHPを克服すると共にパワーナンバーを大きく伸ばし、シーズンエンドにはCWS MVPに輝きました。

Tearsと比較してどちらを上位と見做すか意見が大きく分かれていますが、個人的にはTearsDreiling

Hit Power Run Arm Field
45 55 50 40 45

クラウチング・スタンスによってゾーンを絞り、高いZ-Con%と20%を下回る優秀なChase%を活かしBBを慮産する待球型のヒッター。

Lower ZoneだけでなくUpper Zoneに対してもバットをスティープに送り出し、高いSweet Spot%を生み出すだけでなく、昨シーズンから今シーズンにかけて90th EVが102.7 mphから107.0 mphへ上昇するなど、Raw Powerが順調に成長。Max EVは115 mph。

サマーリーグへ参加していないため木製バットへの適応力に疑問が残りますが、SECとCWSにてハイレベルなピッチャーをクラッシュしているだけに、即戦力として期待したい存在です。

ただ、LF守備は一貫として評価が悪く、アームも平均未満。

守備走塁の期待値の差が、TearsDreilingと見做す理由です。


Kevin Bazzell

ケビン・バゼル:21歳4ヶ月(2003年3月生)
185cm:R/R:テキサス工科大学:C/3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 55位 7/1
MLB.com 66位 6/27
Joe Doyle 64位 6/18
ESPN 68位 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 33位 5/22
Perfect Game 84位 6/13
Prep Baseball Report 76位 5/3
Azad Earl 86位 7/2
Luke Wortman 73位 6/20

テキサス州高校球界屈指のキャッチャーとの評価を得て、ダラス・バプティスト大学へ進学。

しかし、ベースボール・シーズン開幕前にテキサス工科大学へ転校し、フレッシュマンシーズンを棒に振りました。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2023 20 Texas Tech B12 63 306 87 10 2 45 32 .348 .453 .572 1.025
2024 21 Texas Tech B12 49 217 57 6 4 22 22 .307 .401 .473 .874

昨シーズンは打者有利の本拠地をバックにカンファレンス上位の打撃成績を記録するも、今シーズンは序盤にウイルス感染症に苦しみパフォーマンス低下。

また、チーム状況により昨シーズンは3Bを守りましたが、今シーズンからキャッチャーに復帰しています。

Hit Power Run Arm Field
45 40 50 55 40

全体的にスケールに欠けるプロスペクトですが、3Bでプレーしたことからも分かるように、キャッチャーにしてはアスレチックなプレーヤーで、平均レベルのスピードと平均超のアームは両ポジションだけでなくRF/LFでも活用可能。

89.5 Contact%・22.9 Chase%を記録したアプローチはNCAA上位の水準であり、90th EVも104.8 mphとそれほど悪くありません。

スイングがフラットなおかげで低弾道の傾向を示しているため、将来的に50グレード以上のGame Powerを期待できるとは思えませんが、ポジションの汎用性とアプローチの完成度の組み合わせは魅力的。

個人的には2巡目で消えると思いますよ。


Chase Harlan

チェイス・ハーラン:18歳0ヶ月(2006年7月生):R/R
190cm:セントラル・バックス・イーストHS(ペンシルバニア州):3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 117位 7/1
MLB.com 112位 6/27
Joe Doyle 66位 6/18
ESPN 78位 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 5/22
Perfect Game 91位 6/13
Prep Baseball Report 66位 5/3
Azad Earl 7/2
Luke Wortman 137位 6/20

恵まれたフィジカルから高校球界最高級のパワーを発揮するレイトライザー。

ショーケース・サーキットでは不安定なパフォーマンスが続いたようですが、地元リーグでは年を追うごとに順当に数字を伸ばしており、ドラフト直前に18歳の誕生日を迎える若いプレップだけに、トラックレコードの評価が難しいところ。

また、先月のMLB Draft Combineでは全体2位となる112.4 mph EVと全体トップの453.4 ftを叩き出し話題となりました。

クレムソン大学にコミット。

Hit Power Run Arm Field
35 60 50 55 45

スイングが柔軟性に欠け、コンタクトスキルに難を抱えると評されていますが、昨シーズンから今シーズンにかけてメカニクスが良化し、上半身と下半身の連動性が向上。

それが単なるパワーアップだけでなくアプローチの向上とK%-BB%の良化にも寄与したと考えるべきかと。

WWBAでそこそこの結果を残しており、木製バットへのバレルフィールもある程度持ち合わせている印象。

60ヤード等のダッシュタイムやインゲームでのベース到達タイムにて平均超の数字を残していますが、フィジカルサイズを踏まえると将来的にフリンジ~平均レベルへ落ち着くと考えるのが自然かと。

3B守備の評価は決して高くなく、1Bコンバートのリスクを抱えます。


Garrett Shull

ギャレット・シュル:19歳0ヶ月(2005年7月生)
185cm:S/R:エニッドHS(オクラホマ州):CF

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 53位 7/1
MLB.com 76位 6/27
Joe Doyle 85位 6/18
ESPN 120位 5/8
Baseball Prospectus 4/11
The Athletic 88位 5/22
Perfect Game 139位 6/13
Prep Baseball Report 80位 5/3
Azad Earl 68位 7/2
Luke Wortman 132位 6/20

昨年のショーケース・サーキットにて年下達を相手に好成績を記録。

Tyler Bellを抑え高校生No.1スイッチヒッターと見做す声もあります。

ただ、アーリーエントリーによって2026年ドラフトに参加可能ということもあり、コミット先であるオクラホマ州立大学への進学からプロ入りへ方向転換させるには、7ケタ級のボーナスが必要となりそうな雰囲気。

個人的にはNYYの2巡目(全体53位)に相応しい水準のプロスペクトだとは思いませんが、NYYが狙っているDante Noriとプロファイルが似通っているだけに、頭の片隅に入れておくべきかと。

Hit Power Run Arm Field
40 45 50 45 40

RHBとしては、コンパクトなスイングを用いるコンタクト志向のバッター。

LHBとしては、よりスケールが大きなスイングによって、RHBを大きく上回るパワーを発揮。昨年のArea Code Gamesでは、木製バットを用いてコンスタントにEV 100 mph前後(Max 104 mph)の打球を放ちました。

19.0歳とは言え体の線がまだまだ細く、今後のビルドアップ等によってはパワーが平均レベルに達する可能性アリ。

スピードは至って平均レベルで、アームもフリンジレベル。

そのため、将来的なCFからLFへのコンバートが有力的で、1Bにエンドアップすると考えるエバリュエーターも。

各ツールの20-80グレードとプロスペクトバリューがニアリーイコールになっていないので、NYYからピックされた場合はもう少し精査したい。