Juan Sotoのバリュエーションのアップデート(オマケにJudgeとCole)

戦犯キャプテンのフォローお疲れ様でした!

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Sotoのバリュエーション更新

昨オフシーズン、FAを1年後に控えていたJuan Sotoの2025年以降における長期成績プロジェクションと金額換算を「MLB:2024-25年オフのFA選手ランキングTop10:野手編」にて行いました。

その中で、「2022~2023年シーズンの平均成績(約5.1 WAR・150 wRC+)」または「プロジェクション・システムの2024年シーズン予測成績(約6.2 WAR・165 wRC+)」の2パターンを2024年シーズン成績に想定した上で、2025年~キャリアエンドまでに稼ぐと見込まれるWARとその換算金額を示したところです。

しかしながら、スイング改造(修正?)によってバッティングをアップグレードしたSotoは上記の2パターンを軽々と上回り、キャリアハイとなる7.9 rWAR・8.1 fWAR(180 wRC+)を記録。

また、これほどの内容でもパフォーマンスが数字に反映されているとは一概に言えず、.475 xwOBAは2022年と2024年のAaron Judgeに次ぐStatcast歴代3位のナンバー。巡り合わせが良ければ、2015年Bryce Harperのようなスタッツを残してもおかしくありませんでした。

というわけで、想定と結果に大きな乖離が生まれてしまったことを踏まえ、今回はそのバリュエーションのリバイスを行いたいと思います。


用いるメソッドまで弄るのは面倒だったので、昨年のものを流用。

また、昨オフシーズンは不景気だったことから、過去1年間の大型契約を基にWAR単価の再計算を行ったのですが、意外にも単価に変化はありませんでした。

2025~2039年の15シーズン

Year Age $million/WAR WAR $million
2025 26 10.4 6.9 71.6
2026 27 10.8 6.7 72.4
2027 28 11.2 6.5 73.0
2028 29 11.7 6.1 71.2
2029 30 12.2 5.6 68.0
2030 31 12.7 4.9 61.9
2031 32 13.2 3.9 51.2
2032 33 13.7 3.0 41.0
2033 34 14.2 2.3 32.7
2034 35 14.8 1.7 25.1
2035 36 15.4 1.1 16.9
2036 37 16.0 0.7 11.2
2037 38 16.7 0.4 6.6
2038 39 17.3 0.0 0.0
2039 40 18.0 0.0 0.0
Total 49.8 603.0

その結果が上表となりますが、キャリアエンドまでに50 WAR弱が見込まれる、桁違いの途方もない内容に。

金額換算も$600Mの大台に達しました。

ちなみに、近年において26歳シーズン以降に50 WAR前後を記録した外野手(オクスリ除く)にはJim Edmonds(54.0 rWAR)、Carlos Beltran(53.4 rWAR)、 Gary Sheffield(50.4 rWAR)、Sammy Sosa(49.4 rWAR)、Brian Giles(49.4 rWAR)、Bobby Abreu(47.3 rWAR)らが。

PED使用者や悪質なサイン盗み常習犯などロクでもないチーターが数多く見受けられますが、特にクリーンかつバッティングスタイル、耐久性、キャリア中盤以降の守備力がSoto似通っているBobby Abreuは理想的な比較対象になり得るかと。

FA契約の予想

多くの有識者やフロント関係者が予想しているように私も12~15年・$550~650M(AAV$40~45M)程度の超大型契約が適正なイメージ。

契約総額の記録更新…つまり大谷$700Mを上回ることに強い拘りを見せると考えられますが、ストレートに$700M超の大型契約を手に入れるのは至難の業に思えます。

そうなると、やはり繰延払いを組み込むことによって記録更新を狙う流れになるはず。(実際にScott BorasStephen StrasburgのFA契約において、投手の契約記録を更新するために繰延払いを活用しています。)

ただ、毎年莫大なスポンサー収入を受け取る大谷と異なり、契約の大部分を繰延べる可能性は非常に低く、契約総額の3割程度を繰延べるような契約形態を選択するかと。

繰延額を現価換算するにあたり、今オフにおいて適用される利率は3.70%(大谷の場合は4.43%だった)

例えば、”契約期間を15年”と仮定し、無利子で(契約期間と同じく)15年間繰延払いを行うと、AAV計算上の現価換算額は繰延額の57.99%に。

さらに、大谷を僅かに上回る総額$705Mをターゲットとして、繰延額を$250Mに設定すると、その現価換算額は「通常払い:$705M – $250M = $455M」+「繰延払い:$250M × 58% = $145M」 = 「”ジャスト”$600M」と非常にキリが良い数字に。

よって、Juan SotoのFA契約は15年 × 年平均$47M = 総額$705Mうち$250Mは15年間の繰延払い、契約総額の現価換算額$600M、AAV $40M)と予想したいと思います。

Aaron Judgeの今後

折角なので、レギュラーシーズンだけでなくプレーオフでもNYYの躍進に貢献したSotoだけではなく、NYYの足を大いに引っ張った戦犯Judgeについても、同様のアプローチを行ってみたいと思います。

ーーーーーー

シーズン終盤戦のDan Szymborskiのチャットの中で、Judgeの引退までのZiPS長期プロジェクションにおいて、おおよそ30 WARが見込まれているとの話があったのですが、、年度別の内訳については記されていなかったので、逆算によって30 WARを2025年以降の各年度に割り付けを行いました。

その結果が下表となります。

Year Age $million/WAR WAR $million
2025 33 10.4 7.5 77.9
2026 34 10.8 6.3 68.0
2027 35 11.2 4.8 53.9
2028 36 11.7 3.9 45.6
2029 37 12.2 2.7 32.8
2030 38 12.7 2.0 25.3
2031 39 13.2 1.5 19.7
2032 40 13.7 0.8 10.9
2033 41 14.2 0.3 4.3
Total(2025~2031) 28.7 323.1

残り7年・総額$280M(年平均$40M)の契約を残しているJudgeですが、同期間中に28.7 WARが見込まれ、金額に換算すると$323.1M。

よって、現時点でのトレードバリュー(余剰価値)は”単純計算”で$323.1M – $280M ≒ $40~45Mと推測され、その他付加価値も考量すると、実質のバリューは$50M超といったところでしょうか。

ちなみに、個人的にあまり信用していないBaseball Trade Valuesにおいても、彼のトレードバリューは$77.6Mと見積もられています。

Year WAR
Soto Judge Total
2025 6.9 7.5 14.4
2026 6.7 6.3 13.0
2027 6.5 4.8 11.3
2028 6.1 3.9 10.0
2029 5.6 2.7 8.3
2030 4.9 2.0 6.9
2031 3.9 1.5 5.4
Total 69.3

Soto残留に成功すれば、今後4シーズンは2人だけで二桁WARが見込まれることに。

地区優勝を狙うには野手陣だけで30 WAR前後を確保する必要がある訳で、2020年代中はそ1/3前後を2人のプレーヤーだけで稼ぐことができる形。

そもそも、個人的な感覚では、”Judgeが50/50の確率で30 WARを稼ぐとは思えない”というのが正直なところですが…

Gerrit Coleのオプトアウト

本記事の準備している途中、Gerrit Coleが4年・総額$144M(年平均$36M)の残契約からオプトアウトするという衝撃な展開が迎えました。

NYYは2029年シーズンのチームオプション単年$36Mを行使(言い換えると5年・$180Mで再契約)することでオプトアウトを阻止することができますが、Cashmanがその選択肢を選ぶ可能性はゼロ。このままFAとなることは間違いありません。

ということで、更なるオマケとしてColeの長期成績プロジェクションと金額換算を急遽行いました。その結果が下表。

Year Age $million/WAR WAR $million
2025 34 10.4 2.6 27.5
2026 35 10.8 2.1 22.8
2027 36 11.2 1.6 17.8
2028 37 11.7 1.0 11.6
2029 38 12.2 0.5 6.0
2030 39 12.7 0.2 3.0
2031 40 13.2 0.0 0.0
Total 8.0 88.7

来シーズンには先発2番手、2~3年後には先発3番手、4年後以降には先発4番手以下へと緩やかに衰えていく見込みで、キャリアエンドまでに稼ぐであろうWARはたったの8.0。

もう1度言います…たったの8.0!!!

昨オフに、3年間で7.1 WAR(2.9→2.4→1.8)を見込まれる”33歳”のSonny Grayが3年・$75M、4年間で7.8 WAR(2.5→2.1→1.8→1.4)を見込まれるEduardo Rodriguezが4年・$80Mのミドルクラス契約を手に入れたことを踏まえると、Coleの多大なるアップサイドを考慮しても3年・$70M(+1年目終了後のアプトアウト権)程度が適正価格に思えます。

4年・$144Mや5年・$180Mは疎か、総額$100Mですら過剰といった印象で、今回のオプトアウトは愚の骨頂以外の何物でもなし。

何を勘違いした…と言うよりはBorasがどうやって勘違いさせたか分かりませんが、やはりプレーオフのパフォーマンスが影響したのか?

ただ、プレーオフで好投したと言っても、29 IPで10 BBを与える一方22 Kしか奪えず、Barrelを10本も喰らっているので(うち2本だけがヒットに)、ハッキリ言って運が良かっただけ。

今回のFA市場においてColeBurnesFriedSnellのBig 3に食い込めるような存在ではなく、その1つ下のティアに属する…つまり、Jack Flaherty菊池 雄星と同格と捉えるべきでしょう。

ちなみに、Sean Smithが来シーズンのWARを2.2と予測した上で、4年・総額$70Mと見積もっていることも本議論のバックアップとして提示しておきます。

何がともあれ、NYYにとってはWS敗戦も吹き飛ばすほどの追い風。この勢いに乗って浮いたAAV $36Mの有効活用を期待。


NYYにとってのベストディールは?

追記

現在のColeに5年・$180Mもの価値がないことは誰の目にも明らかだと思いきや、予想以上にチームオプション行使へ肯定的なファンが多く心底ビックリしました。

Zack Wheelerのエクステンションの内容を知らないのかな?

「not」の書き忘れだよな?

コメント

  1. アホ より:

    コールはマジで何がしたかったんだろ
    ウィーラーですら3年$126Mやぞ、、、

  2. 99 より:

    AAV$36Mは何に使うべきなのでしょうか
    とりあえずはソト引き留めに全力ってかんじですかね

    • 管理人 より:

      補強戦線が本格的に動くのはSotoの去就が決まってからのはずですから、否応にも必然的にそうなるでしょうね。

  3. パモ より:

    結局cole残留w
    コリャsotoともオサラバだな