Jack Flahertyの興亡

将来のCYAが期待されたキャリア序盤から一転、度重なる故障によってトップティアから転がり落ちるも、2023年にコロナ禍後初めて大きな故障なく1年を終えたJack Flaherty

シーズン終了後にFAとなり、DETと1年$14Mの単年契約を結ぶことで、FA再チャレンジを目論んだ訳ですが、この判断が見事に大成功。

DETの非常に優れたピッチングスタッフのオフシーズン指導によって、チームメイトと同じく球速バンプ&変化球向上を経験。

その結果として開幕から快投を続けたことはご存知の通りで、LAD移籍を挟みながらIL入りを経験することなくWSまで突っ走り、理想的な流れでFA市場に。

29歳という若さとトレードによるQO対象外も相まって、今オフのFA投手市場ではBig 3(BurnesFriedSnell)と佐々木 朗希に次ぐ存在として$100M前後の大型契約が見込まれています。

各メディア(ライター)の契約予想
Writer Year Total AAV
Kiley McDaniel 5 115 23
Jon Heyman 4 80 20
Tim Britton 4 92 23
Ben Clemens 4 88 22
Trade Rumors 5 115 23
Matthew Pouliot 3 72 24
Jim Bowden 3 68 22.7

ただ、IL入りがなかったとは言え、完全な健康体を保っていた訳ではなく、腰の故障によって6月上旬と7月上旬に1度ずつ先発登板をスキップし、それぞれのタイミングでブロック注射を。

さらに、その影響はパフォーマンスにも大きな影響を見せており、故障が表面化すると成績が右肩下がりに。

実際にTDLでは、DETとNYYがFlahertyのトレードに合意寸前まで達したものの、医療記録にNYYが難色を示したことでトレード交渉は決裂に終わり、その結果としてLADが掻っ攫うというドタバタ劇も。

掻っ攫うと言っても、過剰気味の対価をLADは差し出していましたが…。

Month K% BB% FIP xFIP xwOBA
4月 34.0% 3.4% 2.86 2.27 .280
5月 33.9% 4.2% 2.76 1.97 .238
6月 29.8% 4.8% 3.82 3.09 .291
7月 27.3% 7.6% 3.45 3.78 .282
8月 27.9% 5.7% 4.37 3.48 .325
9月 24.1% 10.7% 3.94 4.07 .342

下表は登板毎の平均PLV(Pitch Level Value)をプロットしたものですが、これを見る限り2度目のスキップの直前である6月27日登板(5.2IPを投げ5失点・3 HRの炎上)からパフォーマンス劣化が顕著になった模様。

また、アームアングルが6月27日登板から急激に水平化していることから、故障(腰痛)が直接的にピッチング強度の低下をもたらした訳ではなく、故障を発端とするメカニクスの崩れがピッチクオリティの劣化に作用したと考えられます。

上記のようにわざわざStatcastデータを引っ張ってこずとも、シーズン序盤(5月)とシーズン終盤(9月)の投球映像を並べて見れば、メカニクスに異常が生じていたことは一目瞭然。

肝心のポストシーズンでもパフォーマンスは復活するどころか悪化の一途を辿り、5G・22 IPを投げ15 Kしか奪えず、ERAとFIPはPS全体において先発投手ワースト。

Statcastデータも含め褒められるようなスタッツはほとんど見受けられず、チームメイトの活躍によってLADがWSタイトルに届いていなければ、今頃ドジャカスから総叩きを受けていたことでしょう。

今思えば、Machadoとチームのお荷物同士やり合っていた姿は、Judgeの落球に次ぐ滑稽なモーメントでした。

というわけで、フロントスターターに相応しいパフォーマンスを披露した期間はシーズン開幕から3ヶ月間弱のみ。

29歳という若さと故障の治癒によるメカニクス復活に$100Mをベットするか、それともBlake Snellも顔負けの故障歴と今シーズンの浮き沈みを理由にフォールドするか…

喜んでColeを引き留めるようなチームを応援する人間が偉そうなことを言える立場にはないかもしれませんが、私なら後者を選びます。

プロジェクション・システムという名のSolverであれば、フォールドどころか3-betを推奨するでしょうけど。

コメント

  1. ハリケーン より:

    いつも楽しみに見ています。
    今年の各賞の予想を楽しみに待ってます!
    これからも応援しています!

  2. おのだ より:

    Deserverでもいいから投稿してほしいわ。
    文章面白いから好き