NYMとJuan Sotoが合意した15年・$765M(うち$75Mが契約金、5年目終了時にOpt-Out可能)の超大型に対し、NYYが16年・$760Mのオファーを行っていたことが報じられ、AAVの差異も意に介さず、「たった$5Mの違いでNYMを選んだSotoは愚か者!」、「少額をケチったスタインブレナーはクタバレ!」とヤンカス界隈がギャオオオンしました。
結局のところ、最後の10年間に$40Mを追加することでOpt-Outを阻止できるチームオプションが付与されていることが判明し、敢え無く沈静化に向かったわけですが、契約金$75Mの方に触れるファンはあまり見かけなかった印象。
でもねぇ、契約金もこれほど高額になれば、軽視できるような話ではありません。
てなことで、今回は多額の契約金がSotoにもたらすプラスアルファを簡単に記したいと思います。
①州所得税の節税
アメリカの所得税は全米一律で課せられる連邦所得税と州によって異なる州所得税の2種類に分かれているわけですが、州を跨いでプレーするMLBやNBA、NFL、NHLのプレーヤーには「Jock Tax」と呼ばれる特殊な州所得税制度が適用されます。
試合の開催地と開催期間に従い、日割にて開催地の州に対し州所得税を支払わなければならない制度ですが、契約金は下記の通り「Jock Tax」の対象外。
LADやSDPが契約金を盛り込むことを好んでいるのも、カリフォルニア州の州所得税率が高いから。
“Signing Bonus”はJock Tax(所得税分割制度)の対象とはならず、プレーヤーの居住州の所得税が課せらせる。
Turnerは税率の高いカリフォルニア州で主にプレーすることになるが、恐らく居住州は税率の安いフロリダ州辺りにしているので、”Signing Bonus”を確保することは節税に繋がる。 https://t.co/vGlqNiaJ4F— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) February 14, 2021
NYMでフルシーズンプレーすると、Jock Tax税率の年間平均値は約5%強。
つまり、$75Mを契約金に回すことで、$75M × 5% ≒ $4Mの節税に繋がります。
②高金利社会アメリカ
契約金がジャスト$75Mということは、本来なら年俸$51M×15年契約=総額$765Mのはずだったところ、年俸$51Mのうち毎年$5Mを契約金に回し、年俸$46M×15年契約+契約金$75M=総額$765Mという契約形態を選択したと想定されます。
そして、年利を標準的な4%に設定し、2025年の$75Mを15年間(年$5M)に分割して将来価値を算出した上で、再び足し合わせると約$100Mに。
つまり、$765Mのうち$75Mを契約金という名の先払いで受け取ることによって、Sotoは約$25M相当の利益(差額)を得る形となります。
もちろん、①と異なりNYMにとっては不利なお話。
終わりに
というわけで、①と②で述べたように、Juan Sotoの総額$765Mにも上る超大型契約において、契約金$75Mの存在は$30M近い付加価値をもたらしています。
NYYがオファーしたとされる16年・総額$760M契約にOpt-Outや契約金が盛り込まれていた可能性も否定できませんが、何にせよNYMとNYYのオファーの間には、額面以上の乖離があったことは確かでしょう。
そもそも、実質無職の一族による家族経営がCohenに勝てるわけないだろ。ヤンカスは素直に負けを認めろ。