昨年11月に「歴代野球選手ランキング Top 100」の2024年シーズンエンド版を投稿したところですが、今回は現役のスタープレーヤーが引退までにどの程度のランクまで昇り詰めるか予想したいと思います。
予想するに当たり、2025~2027年シーズンは「ZiPS 3 Year Projections」の予測値を残すと仮定。そして、その値と複数のAging Curveを組み合わせ、2028年シーズン以降の予測も自分なりに弾き出しました。
ただ、複数のAging CurveをやWARバージョンを組み合わせているので、便宜上、レンジ形式で示しています。
また、Bobby Witt Jr.やGunnar Henderson、Julio Rodriguezのように若いプレーヤー、Justin VerlanderやClayton Kershaw、Paul Goldschmidtのように今後の上積みがほとんど期待できないベテランは対象としていません。
目次
Mike Trout
歴代ランキング :現在 15位 → 引退時 5位
33歳:通算86.2 rWAR/85.7 fWAR/87.1 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 3.0 |
2026 | 2.4 |
2027 | 2.1 |
2025→引退 | 12.5~20.0 |
引退時通算 | 100.0~105.0 |
Willie MaysルートからMickey Mantleルートへ。
コロナ禍前の段階では、引退までに約130 WARを稼ぎ、GOATの座を確立するものだとてっきり思い込んでいましたが、度重なる故障によってWillie MaysルートからMickey Mantleルートへ舵を切り、すでにGOATへの道は立たれたと言っても過言ではありません。
ここ数年の下振れを考えると、100 WARの大台をクリアするのがやっとといったところで、11~13位のMike Schmidt、Albert Pujols、Rickey Hendersonと通算値は互角になる見込み。
ただ、全盛期の傑出度や時代背景も考量して、上記3人だけでなくHank AaronやMickey Mantleより上位に置きたい。
Mookie Betts
歴代ランキング :現在 53位 → 引退時 16~20位
32歳:通算69.6 rWAR/59.7 fWAR/73.4 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 5.1 |
2026 | 4.2 |
2027 | 3.4 |
2025→引退 | 20.0~25.0 |
引退時通算 | 87.5~92.5 |
守備指標毎のブレが非常に大きく、守備バリュー及び貢献度の真価が判断しずらいプレーヤーですが、昨シーズンの死球骨折が悪影響さえ及ぼさなければ、ライバルのTroutと比べ1~2つ下のティアに収まりそうなイメージ。
ただ、私ほどの高評価を世間一般のファンやメディアから得られるとは思えません。
恐らくCarl Yastrzemski(41位)と同格みたいな扱いになるんじゃないですか?
大谷 翔平
歴代ランキング :現在 64位 → 引退時 6~12位
30歳:通算43.8 rWAR/40.4 fWAR/44.6 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 7.7 |
2026 | 7.0 |
2027 | 6.4 |
2025→引退 | 37.5~42.5 |
引退時通算 | 80.0~85.0 |
50パーセンタイルのキャリアを歩めば、Troutから1つ下のティアに収まるかと。
まあ、このプレーヤーに関しては、プロジェクションなんてほぼ当てにならないかもしれませんけど。
Aaron Judge
歴代ランキング :現在 86位 → 引退時 16~25位
33歳:通算52.2 rWAR/51.4 fWAR/50.8 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 7.7 |
2026 | 6.7 |
2027 | 5.6 |
2025→引退 | 27.5~32.5 |
引退時通算 | 80.0~85.0 |
TroutやBettsと比べ、今後のプロジェクションはかなりワイドなはず。
とは言え、上表の通算成績に到達すれば、少なくともLou GehrigやJoe DiMaggioよりは上位に置きたい。
ただ、歴代のトップティアのプレーヤー達と比べると、(大谷と同様に)本格化のタイミングが遅く、安打数やHR数などオールドスタッツの期待値が✖。
そのため、Bettsとは別のベクトルで評価を得られない可能性があります。
Freddie Freeman
歴代ランキング :現在 99位 → 引退時 60~70位
35歳:通算60.7 rWAR/61.2 fWAR/69.6 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 4.3 |
2026 | 3.3 |
2027 | 2.1 |
2025→引退 | 10.0~15.0 |
引退時通算 | 72.5~77.5 |
まだまだAS級の力を維持しているにもかかわらず、既にHOFは確実的であり、残りキャリアはJeff Bagwell(55位)が目標になるのかなと。
ただ、家族との時間を作るため、(2027年の現契約終了時など)早い段階であっさりと引退する可能性も高いプレーヤー。
Chris Sale
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 80~90位
36歳:通算53.5 rWAR/53.9 fWAR/53.6 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 3.7 |
2026 | 2.8 |
2027 | 2.2 |
2025→引退 | 10.0~17.5 |
引退時通算 | 65.0~70.0 |
Aaron Hicksに小指をへし折られ、Johan Santanaのようなフェードアウトを見せるかと思いきや、見事に復活を果たし、HOFコースへ再び。
キャリアの歩み方を踏まえると、現時点ではJohn Smoltz(84位)が比較対象として最適かなと。
また、近年のピッチャーの積上げ指標の水準低下を鑑みれば、60 WARや70 WARをクリアする最後のピッチャーになる可能性も考えられます。
Bryce Harper
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 90~100位
32歳:通算51.1 rWAR/52.5 fWAR/52.8 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 4.0 |
2026 | 3.1 |
2027 | 2.3 |
2025→引退 | 12.5~17.5 |
引退時通算 | 65.0~70.0 |
若い頃に見せたPete Roseばりのハッスルプレーのツケが回り、思いのほか早い段階で1B/DHに定着。
通算成績に加え10年前のモンスターシーズンも評価し、個人的にはトップ100にランクしたいところですが、史上最高級のトッププロスペクトとして申し分ない成績を残したか否かは微妙。
Francisco Lindor
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 50~60位
31歳:通算49.6 rWAR/54.2 fWAR/45.4 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 6.0 |
2026 | 5.0 |
2027 | 4.2 |
2025→引退 | 25.0~30.0 |
引退時通算 | 75.0~80.0 |
一時期は同世代SSのCarlos CorreaやCorey Seager、Trea Turner、Xander Bogaertsに追い抜かされそうになるも、コロナ過を挟み2度目のピークが到来し、彼らに対し大きなリードを獲得。
順調に行けばDerek Jeterを退け、21世紀No.1 SSの玉座に座ることでしょう。
ちなみに、Jeterは30歳シーズン終了時点において通算44.7 rWARを残していました。
Jose Ramirez
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 60~70位
32歳:通算52.4 rWAR/51.5 fWAR/51.7 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 5.6 |
2026 | 5.0 |
2027 | 3.9 |
2025→引退 | 20.0~27.5 |
引退時通算 | 72.5~77.5 |
スイッチヒッターの強打の3Bとして、正しくChipper Jones(57位)の下位互換といったところですが、 Jonesのように30代中盤に2度目のピークを迎えるなどの上振れを経験すれば、Mike Schmidtに次ぐ3B歴代No.2の地位も夢ではありません。
Juan Soto
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 10~20位
26歳:通算36.4 rWAR/36.3 fWAR/39.2 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 6.5 |
2026 | 6.3 |
2027 | 6.3 |
2025→引退 | 50.0~70.0 |
引退時通算 | 90.0~100.0 |
(他選手のようなメソッドは用いていません。)
昨年12月のZiPSの長期プロジェクションでは、15年契約の期間中に66.8 WARを残し、通算103.2 WARに到達する見込み。
個人的には約50 WARを見込んでいました。
Manny Machado
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 ランク外(101~125位)
32歳:通算57.8 rWAR/53.6 fWAR/54.9 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 4.0 |
2026 | 2.7 |
2027 | 1.8 |
2025→引退 | 10.0~15.0 |
引退時通算 | 65.0~70.0 |
球界のヒールであるが故に正当な評価を与えられていませんが、32歳として立派な通戦成績を残しており、順調にHOFへの道を進んでいます。
傑出したシーズンに欠けるため、50パーセンタイル成績ではトップ100にランクすべきと思いませんけど、少しでも上振れすれば…。
Jose Altuve
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 ランク外(126~150位)
35歳:通算52.8 rWAR/58.0 fWAR/57.0 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 3.3 |
2026 | 2.3 |
2027 | 1.3 |
2025→引退 | 7.5~12.5 |
引退時通算 | 62.0~67.5 |
HOFへ届く可能性は十分ですが、トップ100は厳しいのが現状。
そもそも、彼に関しては、WARや貢献度を幾ら積上げるかではなく、3000本安打チャレンジが残りキャリアの焦点となりますね。
Carlos Correa
歴代ランキング :現在 ランク外 → 引退時 ランク外(151位以下)
30歳:通算44.4 rWAR/38.1 fWAR/39.6 WAR2.0
年度他 | WAR |
2025 | 4.1 |
2026 | 3.1 |
2027 | 2.7 |
2025→引退 | 15.0~25.0 |
引退時通算 | 57.5~62.5 |
MLBの酸いも甘いも経験してきたプレーヤーですが、まだキャリアの折り返し地点を迎えたばかり。
ここからMelvin Moraのようなキャリアを歩むことができれば、HOFへ届きます。
Juan Sotoの項でも触れていますが、昨年12月にDan SzymborskiがFanGraphsの記事において、ZiPSによる現役野手の通算WAR予測値を公表しています。
ZiPSによるプロジェクションであるため、当然ながら大半のプレーヤーは本記事の見込値と大差ない数字となっていますが、Mike TroutとJose Ramirezはかなり厳しめのプロジェクションとなっています。
Mookie Bettsも大きな乖離がありますが、これはfWARをベースにしているためかと。