2017年北米映画興行収入ランキングTop10

 
 
当然のことですがアメリカではNetflixなどのネット配信サービスに押され劇場版映画の興行成績は悪化、さらにFOXがディズニーに買収されるなどハリウッドに大きな変革が生まれた1年でした。また、2017年公開作品北米興行収入Top3の3本共が女キャラクターであり、ハリウッドにおける性差別が少なからずも改善されている印象も受けます。
 ぱっとTop10を見渡してみれば、ディズニーの5本柱である「マーベル・シネマティック・ユニバース」、「スター・ウォーズ」、「名作アニメ実写」、「ピクサー」、「ディズニー・アニメーション」のうち3つの圧倒的な集客力を見せつけられた様に感じます。


2017年北米興行収入Top10

1.スター・ウォーズ/最後のジェダイ(ディズニー)
 
最終北米興行収入予想:6億4000万ドル前後(現在は4億8300万ドル)
最終全世界興行収入予想:14億ドル弱(現在は9億5400万ドル)

 

 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の興行収入:1週目

2.美女と野獣(ディズニー)
 
北米興行収入:5億400万ドル
全世界興行収入:12億6300万ドル

 

 リメイク元のアニメ版作品(1991年)では年間3位の興行成績を残しましたが、26年後の実写版で見事にリメイク元を超えてきました。1980年以降の実写ミュージカル作品では最大のヒットだと言えるでしょう。

3.ワンダー・ウーマン(ワーナー)
 
北米興行収入:4億1200万ドル
全世界興行収入:8億2100万ドル

 

 2016年に「バットマンvsスーパーマン」と「スーサイド・スクワッド」で作品評価&興行において失敗を犯したDC作品ですが、今作では見事成功を収め、ライバルのマーベル作品を北米興行収入では上回りました。公開前は2億ドル台後半と予想されていたので、4億ドルに届いたのはなかなかの驚き。しかし、今作の成功にもかかわらず「ジャスティス・リーグ」では大失敗。再撮影で製作費も膨れ上がったこともあり、興行外収入(グッズやメディア)がどれほどになるかは分かりませんが、今のところは1億ドル近い赤字が生まれているようです。

 


4.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス(ディズニー)
 
北米興行収入:3億8900万ドル
全世界興行収入:8億6300万ドル

 

 大好評だった1作目に続き今作でも評価が良く、2010年代アメリカで最も愛される映画シリーズになった感も。興行収入(インフレ補正あり)も北米&全世界共に1作目から微増していますが、日本も含めて英語圏外でもっと客が入って良いと思うんですが・・・。まあ、「アイアンマン」も3作目で一気に興行収入が上がったので、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズも3作目で全世界興行収入10億ドル越えを期待したい。

 

5.スパイダーマン/ホームカミング(ソニー)
 
北米興行収入:3億3400万ドル
全世界興行収入:8億8000万ドル

 

 大成功置収めたサム・ライミのシリーズと失敗だったアメージング・シリーズのちょうど真ん中のような興行成績に。ちなみソニーは「スパイダーマン」シリーズの拡大を目指しており、2018年はスピンオフの「ヴェノム」(トム・ハーディー主演)とアニメ版作品の2作、2019年は「ホームカミング」の2作目が公開予定です。まあ、業績悪化が著しいソニー・ピクチャーズ唯一のドル箱ですからね。


6.IT/イット “それ”が見えたら、終わり(ワーナー)
 
北米興行収入:3億2700万ドル
全世界興行収入:6億9800万ドル

 

 Top10内で最大のサプライズ作品。ホラー映画としては21世紀最高の興行成績を残し、続編の2019年公開も決定しています。

 

7.マイティ・ソー/バトルロイヤル(ディズニー)
 
北米興行収入:3億1000万ドル
全世界興行収入:8億4700万ドル

 前2作から大幅に興行成績Up。余談ですが、邦題がクソ。

8.ジュマンジ2/ウェルカム・トゥ・ジャングル(ソニー)
 
最終北米興行収入予想:2億9000万ドル前後(現在は1億3700万ドル)
最終全世界興行収入予想:6億5000万ドル前後(現在は1億8600万ドル)

 

 アメリカでは年末に公開したばかりで日本では2018年公開なのですが、私の予想では上の通りになると思います。ちなみに1995年に公開された前作は1995年の興行収入で7位だったので、前作と興行成績に大きな変化は無いということになります。

 

9.怪盗グルーのミニオン大脱走(ユニバーサル)

北米興行収入:2億6400万ドル
全世界興行収入:10億3300万ドル

 

 「怪盗グルー」シリーズ・4作品の中で北米興行は最低の成績になりました。しかし、北米外での人気はすさまじく全世界では10億ドル越え、世界的に見れば4番目に集客力のある映画シリーズとなっています。


10.ローガン(FOX)
 
北米興行収入:2億2600万ドル
全世界興行収入:6億1600万ドル

 

 デッドプールに続くR指定アメコミ実写作品であり、作品の評価も素晴らしく興行収入も上々の出来。ちなみにX-MENシリーズは2018年に3本公開予定で、そのうちの1本「ニュー・ミュータンツ」はホラー作品になります。

 

2017年全世界興行収入Top10

 

1.スター・ウォーズ/最後のジェダイ
2.美女と野獣
3.ワイルドスピード/ ICE BREAK(12億3500万ドル:ユニバーサル)
4.怪盗グルーのミニオン大脱走
5.スパイダーマン/ホームカミング
6.戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(8億7000万ドル・中国作品)
7.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス
8.マイティ・ソー/バトルロイヤル
9.ワンダー・ウーマン
10.パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊(7億9400万ドル・ディズニー)

 

 「ワイルドスピード」の世界的な人気(とりわけ中国)は凄まじく、北米興行収入Top10 には入らなかったものの、全世界では軽々と10億ドルを超えてきました。また、「戦狼」は中国の作品であり、中国国内だけで8億6700万ドルという世界映画史を塗り替える興行成績を残しています。「パイレーツ・オブ・カリビアン」の5作目は出来が酷くアメリカでもコケ気味でしたが、残念ながら北米外では興行成績が伸びてしまいました・・・。

番外編:興行失敗大作

 

トランスフォーマー/最後の騎士王(パラマウント)
北米興行収入:1億3000万ドル
全世界興行収入:6億500万ドル

 

 全盛期は北米4億ドル、全世界10億ドルを記録した人気シリーズも駄作続きで落ち目に。作品の出来はあまりにも酷く、私はレンタルで途中までしか見ませんでした。北米興行収入1億3000万ドルは作品の出来を考えれば納得のコケっぷりですが、北米外でこんな映画に5億ドル近くも興行収入が入るのは問題です。馬鹿らしいことに2018年にスピンオフの「バンブルビー」、2019年に7作目が公開予定。

 

ブレードランナー2049(ワーナー)
北米興行収入:9100万ドル
全世界興行収入:2億5800万ドル

 

 映画史に残る傑作SFの続編として1億5000万ドルの製作費がかけられた大作であり、内容も高い評価を受けましたが、残念ながら興行は大失敗。まあ、こんな上映時間の長いスローでダークな作品に客が入らないのは当然のことですし、前作も赤字だったからね。でもやっぱり、このような良作がコケてパイレーツ・オブ・カリビアンやトランスフォーマーのような駄作に客が入るのはイラッとします。

ジャスティス・リーグ(ワーナー)
北米興行収入:2億2400万ドル
全世界興行収入:6億5100万ドル

 

 ワンダー・ウーマンの章でも書きましたが、再撮影で製作費が2億5000万ドル前後に膨れ上がり、作品の出来も評判が悪く大コケとなっています。推定赤字は1億ドル弱ともいわれており、ベン・アフレックのバットマン降板騒動などゴタゴタ続きで、これ以降の作品にも暗雲が立ち込めてきました。
 
 
 他にも山ほど興行失敗作品(カーズ3やキング・アーサー、エイリアン、ベイウォッチなど)があるのですが、これ以上書くと長くなるのでまたの機会に。