4回に分けて記事にしたMLBネットワーク選出のMLB史上最高のシーズン成績Top40をまとめました。
(ランクインできるのは一人1シーズンまでみたいなので、バリー・ボンズ、サンディ・コーファックスでも1回しかランクインしていません。また、対象となったシーズン成績は1940年以降のものでベーブ・ルースやタイ・カッブなどは対象外となっているようです。さらに、「史上最高のシーズン成績」といってもただ単に勝利への貢献度を評価したのではなく、MVPのタイトルなどをどれだけ獲得したかや歴史的にどれほどの意義があるものなのかなどの要素も考量されているようです。)
MVPや他タイトルを受賞・獲得したかどうかが大きく評価されており実際の貢献度が過小評価されすぎで、さらに時代考慮もイマイチ。全体的に不満の残る結果だったので、また自分で同じようなランキングをつくってみようと思います。出来れば年内中に・・・。
40位:リッキー・ヘンダーソン:1985年(26歳)
NYY:センター:rWAR=9.9、fWAR=9.7
MVP投票3位/リーグ1位:rWAR、fWAR、盗塁、得点、TZR(センター)
rWARがMLB全体2位、fWARは全体1の数字で6年連続の盗塁王に輝きました。またTZRなどの守備成績でもMLB全体のセンターでトップの成績を残しており文句なしでMVPを受賞すべきでしたが、同じヤンキースのマッティングリーがMVPを受賞しています。
また、彼がキャリアベストの成績を残したのはこの年ではなく1990年シーズン(wRC+MLB全体1位&盗塁王でMVPを受賞)です。
39位:マイク・マーシャル:1974年(31歳)
LAD:リリーフ:rWAR=3.2、fWAR=4.1
サイヤング賞/MVP投票3位/リーグ1位:登板試合、セーブ
31歳ながらMLB記録となる106試合に登板。リリーフ史上唯一の200イニングにも到達しサイヤング賞を獲得しました。このシーズン106試合登板という記録は2度と抜かれることはないでしょう。(この20年間での最高記録は2010年ペドロ・フェリシアーノの92試合)また、PSでも7試合12イニングに登板しています。
ちなみに、登板過多のためか翌年からは故障に悩まされ続けますが、1979年に36歳で復活しMLBトップの90試合に登板しています。
38位:ケン・グリフィー JR.:1997年(27歳)
SEA:センター:rWAR=9.7、fWAR=9.0
MVP/リーグ1位:本塁打、打点、得点/GG賞
キャリア初の50本塁打に到達しキャリア唯一のMVPを受賞。(キャリア最高のシーズン成績としては1993年、1996年もいい勝負。)しかし、ALDSでは4試合でシングルヒット2本と活躍できず戦犯となってしまいました。
加えて、このシーズンのAL最高の成績を残したのはグリフィーではなくブルージェイズのロジャー・クレメンスでした。
37位:クレイトン・カーショウ:2014年(26歳)
LAD:先発:rWAR=8.2、fWAR=8.1
MVP/サイヤング賞/リーグ1位:rWAR、fWAR、ERA+、FIP、奪三振率、WHIP、K/BB
怪我により200ニングに到達しませんでしたが圧倒的な投球内容によりMVPを獲得。15奪三振でノーヒットノーランも達成しましたが、PSでは2試合連続で炎上。
また、200イニングに到達していませんし、2013年か2015年の方が上のような気も・・・。
36位:ハンク・グリーンバーグ:1940年(29歳)
DET:ファースト:rWAR=7.1、fWAR=7.7
MVP/リーグ1位:fWAR、wRC+、本塁打、打点、二塁打
球史に残る長距離打者ですがwRC+は自己ベストの成績。しかし、本塁打の自己ベストは1938年の58本塁打で、全体的に見て本当に1940年が自己ベストのシーズン成績だったのかは判断の難しいところ。
35位:ロッド・カルー:1977年(31歳)
MIN:ファースト:rWAR=7.1、fWAR=7.7
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、打率、出塁率、安打、三塁打、得点
首位打者のタイトルを7回獲得した歴史に残るバッティングコントロールの持ち主ですが。この年はキャリア最高の打率.388を記録。この時点ではテッド・ウィリアムズが1941年に打率.40.6を残して以来の高水準でした。また、出塁率と長打率も自己ベストの成績でキャリア唯一のOPS1.000越えを果たしています。
34位:ロビン・ヨーント:1982年(26歳)
MIL:ショート:rWAR=10.5、fWAR=9.8
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、安打、二塁打/GG賞
この100年間のMLBのショートが残した成績の中ではTop3に入るシーズン成績。また、この年はWSでも活躍しており、これを含めればショート史上最高のシーズン内容だったかもしれません。
33位:マイク・トラウト:2016年(25歳)
LAA:センター:rWAR=10.5、fWAR=9.6
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、四球
トラウトのベストシーズンはwRC+167、49盗塁、DRS+19を記録し新人王を獲得した2012年では?
ただ、今シーズンは現ペースをキープすることが出来れば歴代Top10に間違いなく入るでしょう。
32位:マーク・フィドリッチ:1976年(22歳)
DET:先発:rWAR=9.6、fWAR=4.7
新人王/サイヤング賞2位/リーグ1位:rWAR、ERA+、完投
これがMLB1年目ながら最優秀防御率のタイトルを獲得。その新人離れした成績と変人キャラクターにより人気を博し、一気にスターダムにのし上がることになります。しかし、翌年以降は膝や肩の故障のより活躍できずたった5シーズンで引退。日本でいうところの木田勇みたいなものです。
31位:トニー・グウィン:1987年(27歳)
SDP:ライト:rWAR=8.6、fWAR=7.4
MVP8位/リーグ1位:rWAR、wRC+、打率、安打/GG賞
グウィンのベストシーズンには打率.394を残した1994年シーズンが挙げられることが多いんですが、このシーズンはストライキにより115試合しか行われなかったのでこのシーズンが選ばれたんですね。
この頃はまだ痩せており走塁&守備成績でも一流の数字を残しており、安打数・四球・盗塁は自己ベストの数字でした。また、前半戦も後半戦も同じ打率.370を記録しておりシーズンを通して満遍なく活躍しました。
30位:ミゲル・カブレラ:2012年(29歳)
DET:ファースト:rWAR=7.1、fWAR=7.2
MVP/リーグ1位:打率、本塁打、打点、長打率
1967年のカール・ヤストレムスキー以来の三冠王になった歴史的なシーズン成績。しかし、wRC+は新人のマイク・トラウトに次ぐリーグ2位の数字であり守備・走塁はもちろんボロ負けで、MVPはトラウトが受賞しべきでした。PSでの成績は普通。
また、カブレラのベストシーズンは間違いなくこの翌年の2013年シーズンで、この年にもMVPを受賞しています。しかし、2012年と同じようにトラウトの方が全体的な成績は上でありMVPはトラウトが受賞すべきだった・・・。
29位:ハンク・アーロン:1957年(23歳)
MLN:ライト:rWAR=8.0、fWAR=7.6
MVP/リーグ1位:本塁打、打点、得点
弱冠23歳で初の本塁打王に輝き最初で最後のMVPを受賞。しかも本拠地のカウンティ・スタジアムは非常に打者不利な球場。WSでもヤンキース相手に7試合で11安打3本塁打の活躍を見せWS優勝に貢献しました。
また、盗塁の数は少ないですが、これは1950年代はMLB全体で非常に盗塁数が少ない時代であり、決してアーロンが鈍足だったというわけではありません。実際にこの年のブレーブスのチーム盗塁数はたった35個でした。さらに、アーロンは1963年に3割40本塁打30盗塁をクリアしています。
というかMVPを受賞したとはいえこの1957年シーズンが彼のベストとは考えにくく、実際の彼のベストシーズンは上で述べた1963年でしょう。
☝驚異的なリストの強さですね
28位:ノーラン・ライアン:1973年(23歳)
CAL:先発:rWAR=7.8、fWAR=8.7
サイヤング賞2位/リーグ1位:奪三振、四球、奪三振率
MLBシーズン記録となる383奪三振を記録し奪三振率は驚異の10.6。(今の時代ではそこまで凄さを感じない数字かもしれませんが、1973年ALの平均奪三振率はたった5.1しかありませんでした。)また。二ケタ奪三振23試合もランディ・ジョンソンと並ぶMLBシーズン記録です。それに加えて、ライアンの代名詞であるノーヒットノーランも5月と7月に合計2回達成しています。とりわけ2回目のノーヒットノーランでは17奪三振を記録しており、これもノーヒッター試合でのMLB記録です。
ただ、奪三振が多いといっても四球も多いので失点阻止能力はイマイチであり、FIP-は69ですがERA+はたった123試合しかないので、はっきり言ってこの順位にランクインするような成績ではありません。
27位:サミー・ソーサ:2001年(32歳)
CHC:ライト:rWAR=10.3、fWAR=9.9
MVP投票2位/リーグ1位:打点、得点
キャリア3度目の60本塁打を記録し、全体的な打撃成績は自己ベストの数字でした。ただ、リーグNo.1の成績を残した野手はボンズ(この年73本塁打のMLBシーズン記録を樹立)。
26位:ロジャー・マリス:1961年(26歳)
NYY:ライト:rWAR=6.9、fWAR=7.1
MVP/リーグ1位:本塁打、打点、得点
チームメイトのミッキー・マントルとMM砲と歴史的なホームラン王争いを繰り広げ、最終的にはベーブ・ルースのシーズン本塁打記録を更新することとなりました。ルースの記録に迫った際には心無いファンやメディアから多くの脅迫や嫌がらせを受け、髪の毛が抜け始めるほどのストレスを受けていました。
ちなみに前年(1960年)にもMVPを受賞しており、1960年の方が守備成績が良かったり1961年のBABIPが異常に低かったこともあって、結果的にWARの数字は1960年の方が上でした。
25位:ヴァイダ・ブルー:1971年(22歳)
OAK:先発:rWAR=8.6、fWAR=8.4
MVP、サイヤング賞/、リーグ1位:fWAR、FIP、WHIP、奪三振率、完封
1970年代最速先発投手がノーラン・ライアン or J.R・リチャードならば1970年代最速先発左腕はこのブルー。剛速球を武器にフルシーズン1年目ながら史上最年少でMVPを受賞しました。
シーズン前半戦は開幕戦から無傷の10連勝、166イニングで防御率1.19。スポーツ・イラストレイテッドとタイム誌の表紙を飾り一気に大スターとなりましたが、シーズンオフに年俸闘争を行い一気にイメージを下げてしまっています。(1972年シーズンが始まっても契約合意に至らずMLB復帰は5月でした。)
24位:ジョー・モーガン:1976年(32歳)
CIN:セカンド:rWAR=9.6、fWAR=9.5
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、出塁率、長打率/GG賞
打撃部門の多くで自己ベストの成績を残し、wRC+184は1930年以降のセカンドでNo.1の数字。盗塁数はリーグ2位+GG賞を受賞と走攻守にわたり文句なしの活躍を見せ、WSでもMVP級の成績を残しました。
23位:ウィリー・メイズ:1955年(24歳)
NYG:センター:rWAR=9.1、fWAR=9.0
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、本塁打、長打率、三塁打、TZR(センター)
自身初の本塁打王となったシーズン。このシーズンが本当にメイズのベストシーズンかは疑問符が付きますが、メイズはキャリアの中で飛び抜けた成績のシーズンがなくいつが全盛期かよく分からない選手なのでしょうがないですね。
ちなみにGG賞はまだ制定されていません。
22位:フェルナンド・バレンズエラ:1981年(20歳)
LAD:先発:rWAR=8.6、fWAR=8.4
サイヤング賞/、リーグ1位:奪三振、完投、完封、イニング
かの有名な「バレンズエラ旋風」を巻き起こしたシーズン。とりわけ開幕戦からの8連勝中のの投球内容が有名です(下表)。またイニングが少ないですが、これはこのシーズンが110試合しか行われなかったため。
Rk | Gtm | Date | Tm | Opp | Rslt | Inngs | Dec | DR | IP | H | R | ER | BB | SO | HR | HBP | ERA | BF | |
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1 | 1 | Apr 9 | LAD | HOU | W,2-0 | SHO | W(1-0) | 99 | 9.0 | 5 | 0 | 0 | 2 | 5 | 0 | 0 | 0.00 | 33 | |
2 | 5 | Apr 14 | LAD | @ | SFG | W,7-1 | CG | W(2-0) | 4 | 9.0 | 4 | 1 | 1 | 2 | 10 | 0 | 0 | 0.50 | 33 |
3 | 8 | Apr 18 | LAD | @ | SDP | W,2-0 | SHO | W(3-0) | 3 | 9.0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 0.33 | 33 |
4 | 12 | Apr 22 | LAD | @ | HOU | W,1-0 | SHO | W(4-0) | 3 | 9.0 | 7 | 0 | 0 | 3 | 11 | 0 | 0 | 0.25 | 35 |
5 | 17 | Apr 27 | LAD | SFG | W,5-0 | SHO | W(5-0) | 4 | 9.0 | 7 | 0 | 0 | 4 | 7 | 0 | 0 | 0.20 | 35 | |
May | May | May | Tm | Opp | Rslt | Inngs | Dec | DR | IP | H | R | ER | BB | SO | HR | HBP | ERA | BF | |
6 | 22 | May 3 | LAD | @ | MON | W,6-1 | GS-9 | W(6-0) | 5 | 9.0 | 5 | 1 | 1 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0.33 | 32 |
7 | 27 | May 8 | LAD | @ | NYM | W,1-0 | SHO | W(7-0) | 4 | 9.0 | 7 | 0 | 0 | 5 | 11 | 0 | 0 | 0.29 | 37 |
8 | 32 | May 14 | LAD | MON | W,3-2 | CG | W(8-0) | 5 | 9.0 | 3 | 2 | 2 | 1 | 7 | 2 | 0 | 0.50 | 31 | |
16-9 | W-L:13-7 | 4.0 | 192.1 | 140 | 55 | 53 | 61 | 180 | 11 | 1 | 2.48 | 758 |
21位:ブライス・ハーパー:2015年(22歳)
WSH:ライト:rWAR=10.0、fWAR=9.3
MVP/リーグ1位:rWAR、fWAR、wRC+、本塁打、出塁率、長打率、得点
これに関して詳しい説明は不要でしょう。
ちなみに、xwOBAは.409(MLB全体5位)、Sprint Speedは27.8 ft/s(全584人中184人)でした。