今回はタイ・カッブにまつわる100年以上前のチョットしたエピソードを紹介。
1916年、デトロイト・タイガースの監督ヒューイ・ジェニングス[1]のもとにミシガン州の田舎町から「俺はタイ・カッブ[2]をいつでも3球三振に仕留められる。」と書かれた手紙が届きます。
これを面白く思ったジェニングスはデトロイトまでの運賃1.8ドル[3]を肩代わりしてタイガースの練習に招待するとすると、表れた男は身長6フィート4インチ(191㎝)[4]の巨漢でした。
そして、いざタイ・カッブと対戦。しかし、1球目はライトフェンス直撃、2球目はライトフェンス越えのホームラン、3球目もセンターフェンス越えのホームランを打たれ、全くと言っていいほどカッブには歯が立たず。
ジェニングスが「それで何か言うことはあるかい?」と聞くと、その男はバッターボックスに目を凝らしこう答えました。
「タイ・カッブが対戦相手だとは知らなかったんだ。」
[1] タイガースの監督を14シーズン務め3回のリーグ優勝に導いた名将。熱血的かつユーモラスなキャラクターで人気を博しましたが、悪く言えばただの変人。
[2] このとき29歳。前年の1915年までに8回の首位打者に輝いていました。
[3] いまの貨幣価値で約40ドル。
[4] 当時のアメリカ人の平均身長は約173㎝で、現在の平均身長は約176㎝(正し白人だけなら178㎝)です。
参考:「The New Bill James Historical Baseball Abstract」Bill Jmaes著