MLBの全放映権契約まとめ



ナショナルリーグ

東地区

アトランタ・ブレーブス

年数 20年
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) ーーー
開始年度 2008年
最終年度 2027年
地方テレビ局名 Fox Sports South
チーム保有株率 (%) 0%
視聴家庭数 8万5000

20年間で年平均1000万ドル~2000万ドル程度というMLBワーストクラスの馬鹿げた放映権契約を結んでしまったブレーブスですが、2014年に再交渉によって約5億ドルが追加されたとのこと。

また、今年の6月にオーナーのリバティ・メディアのCEOであるグレッグ・マッフェイが放映権料について尋ねられ「年8300万ドル、2027年には1億1300万ドルまで増加する」とコメントしているので、今現在は十分な放映権料を受け取っている可能性もあります。

最近のブレーブスは収益&経営状況が良好ですからね。

ワシントン・ナショナルズ

年数 ーーー
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) ーーー
開始年度 2005年
最終年度 2028年
地方テレビ局名 Mid-Atlantic Sports Network
チーム保有株率 (%) 79%
視聴家庭数 7万

ボルティモア・オリオールズと共同で立ち上げた自前地方テレビ局のため詳細は不明。

ただ、オリオールズの項でも述べたように2012年~2016年の5年間は総額2億9750万ドル・年平均5950万ドル。(実際に支払われる金額は2億6000万~2億7000万程度ですが)

ニューヨーク・メッツ

年数 25
総額(ドル) 13億
年平均(ドル) 5200万
開始年度 2006年
最終年度 2030年
地方テレビ局名 SNY
チーム保有株率 (%) 65%
視聴家庭数 8万5000

SNY(SportsNet New York)は2006年にメッツが立ち上げた自前地方テレビ局。メッツが65%の株式を所有しており、2030年まで年5200万ドルの放映権料をメッツに支払うことになっているそう。(ソースはESPNの記事ですがメッツはその報道内容を否定していることに留意してください。)もちろん株式65%からの収益もあるので実際にメッツがゲットする金額は5200万ドルを超えます。

ちなみに、2011年のニューヨーク・タイムズの記事によるとメッツは放映権料+株式で2009年に6400万ドル、2010年に6600万ドル、2011年に6800万ドルを受け取り、2015年には8300万ドルまで増額する予定だったそう。

2019年現在なら年間1億ドルぐらいになってるかもしれませんね。

(一部ではメッツ自体の球団価値よりもSNYの企業価値の方が上との話もあるぐらいで、SNYはニューヨークの地方テレビ局として順調に成長していますが、メッツと同様に経営状況は悪いとの報道も・・・。)

フィラデルフィア・フィリーズ

年数 25
総額(ドル) 25億
年平均(ドル) 1億
開始年度 2016年
最終年度 2030年
地方テレビ局名 ComcastSportsnet Philadelphia
チーム保有株率 (%) 25%
視聴家庭数 10万3000

放映権バブルの真っ只中に25年・総額25億ドル(年平均1億ドル)+株式25%という大型契約を締結。放映権料は年平均こそ1億ドルですが、初年度の6000万~7000万ドルから年3~4%の割合で増加していくようです。2019年の放映権料は7000万~7500万ドル程度と推測されます。

ただし、放映権料だけなら総額25億ドルですが、Forbesによると株式25%も含めれば総額50億ドル程度の価値となるようですから、MLB全体で見ればヤンキースとドジャースに次ぐ規模誇る契約と言えるでしょう。

これならハーパー獲得なんて安いもんですね。

マイアミ・マーリンズ

新契約

年数 15年
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) 5250万
開始年度 2021年
最終年度 2025年~
地方テレビ局名 Bally Sports
チーム保有株率 (%) 0

地元の大手メディア”Miami Herald”が内部関係者から得た情報によると年放映権料は5000~5500万ドル、契約年数は最低でも5年とのこと。

前回の契約は年平均1800万、2020年の放映権料が2000万ドルだったので3倍近くの大幅アップとなったわけですが、同じフロリダ州のタンパベイ・レイズと比べると条件は下。とはいえ、個人的には年5000万ドルを超えないと予想していたので、これでも十分な好条件だと思います。

(他メディアでは4000万ドル台との報道もあるので続報に注視)

前契約

年数 15年
総額(ドル) 2億7000万
年平均(ドル) 1800万
開始年度 2006年
最終年度 2020年
地方テレビ局名 Fox Sports Florida
チーム保有株率 (%) 0
視聴家庭数 1万8000

(チーム人気と視聴家庭数を考えればそこそこ妥当なような気もしますが)MLBワーストクラスの放映権契約を2020年まで結んでいるマーリンズ。契約期間中の年放映権料は1500万~2000万ドル程度と言われています。

2020年限りで契約が終わるだけに新契約が決まるのも近いはず。多くの地元のファンやメディアは同じフロリダのレイズが(株式も含めて)年8700万ドルの契約を結んだのでマーリンズも同等の契約を得られるのではないかと考えているようですが、チーム状況はサイアクで視聴家庭数もレイズの半分未満ですから楽観的に考えすぎでしょうね。

(表向きはジーターですが)ブルース・シャーマンが実質的な代表を務める現オーナーグループは放映権契約の更新&大幅な収益増を見越してチームを買収したわけですが、新放映権契約交渉までのチーム運営の運びが酷すぎます。新放映権契約交渉におけるアピールのためにロビンソン・カノーを獲得したと言われるマリナーズを見習ってほしい。



中地区

セントルイス・カージナルス

年数 15年
総額(ドル) 1億
年平均(ドル) 6700万
開始年度 2018年
最終年度 2032年
地方テレビ局名 Fox Sports Midwest
チーム保有株率 (%) 30%
視聴家庭数 9万6000

15年総額1億ドル以上+契約金+株式30%の契約。チーム人気のわりには微妙な内容に思えますが、セントルイスは結構市場規模が小さいのでこれぐらいが適正なんでしょうね。

細かなことを言うと初年度の放映権料が約5000万ドルでその後は年々増加、最終年度は約8600万ドルとなるそうです。

ちなみに、(視聴家庭数ではなく)視聴率で言えばカージナルスはMLBトップ。

ミルウォーキー・ブリュワーズ

年数 6年
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) ーーー
開始年度 2013年
最終年度 2019年
地方テレビ局名 Fox Sports Wisconsin
チーム保有株率 (%) 0%
視聴家庭数 5万2000

2009年に既存の契約に2013年から始まる6年間の契約延長を加え現在に至ります。

ミルウォーキーは市場規模がMLB最小のため契約内容も格安。2012年の放映権料は1200万ドル、2013年の放映権料は2100万ドルだったそうなので契約延長により確実に放映権料は増加したようですがそれでも安い。

今シーズン限りで契約が切れますが未だに新契約に関する報道は無し、オフシーズンの動向に注目ですね。

シカゴ・カブス

年数 5年
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) ーーー
開始年度 2015年
最終年度 2019年
地方テレビ局名 NBC Sports Chicago
WGN-TV
WLS-TV
チーム保有株率 (%) ーーー
視聴家庭数 16万6000

(このチームの放映権契約もメンドクサイ)

1948年以来カブスの試合中継はWGN-TVで行われてきましたが、2004年に地元テレビ局NBC Sports Chicago(当時はComcast SportsNet Chicago)が設立され当時のカブスのオーナーであったトリビューン・カンパニーは20%の株式を保有。それぞれのテレビ局で半分づつ試合中継が行われました。

しかし、2014年オフにカブス(2009年にオーナーがトーマス・リケッツに交代)は2022年まで残っていた。WGN-TVとの契約に対してオプトアウト権を行使。その後、WGN-TVと5年間の再契約、そしてWLS-TVと新たに5年契約を結び年間45試合をWGN-TV、25試合をWLS-TV、残り試合をNBC Sports Chicagoが放映するというややこしいことになりましたが、これで全放映権契約が2019年に終了することに。この放映体系の変化後は年6000万~7000万ドル程度の放映権料をカブスは受け取っていると言われています。

なぜ、カブスがこのような契約を結んだかというと、2019年シーズン終了後に新たな自前地方テレビ局Marquee Sports Networkの立ち上げを計画していたため。そのMarquee Sports Networkの設立はシンクレア・ブロードキャスト・グループと提携して行う予定で、2020年2月設立&月額視聴料は4ドルになるとのこと。

シカゴというビッグマーケットとカブスのチーム人気を考えれば現在の放映権料は安すぎるので、Marquee Sports Networkによって大幅な収益増加が見込めます。ただ、WGN-TVとWLS-TVは無料放送だったということもあり、有料化に対して地元ファンからの反発もあるようですね。

追記(2020年3月1日)
年数 ーーー
総額(ドル) ーーー
年平均(ドル) 1億3200万
開始年度 2020年
最終年度 ーーー
地方テレビ局名 Marquee Sports Network
チーム保有株率 (%) 不明
視聴家庭数 16万6000

ブルームバーグの報道によるとカブスとシンクレア・ブロードキャスト・グループが設立したMarquee Sports Networkからカブスへ年平均1億3200万ドルが支払われるとのことですが契約期間は不明。そもそもカブス(のオーナー陣)のテレビ局保有率も不明なんで何とも言えません。

ちなみにMarquee Sports Networkは月額5ドルの有料チャンネルですが、大手プロバイダのコムキャストなどとプロバイダ契約が結べておらず、シカゴの家庭の半分が視聴不可能な状況に陥っています。

シンシナティ・レッズ

年数 15年
総額(ドル) 8億7000万*
年平均(ドル) 5800万*
開始年度 2018年
最終年度 2032年
地方テレビ局名 Fox Sports Ohio
チーム保有株率 (%) ーーー
視聴家庭数 3万7000

2007年に結ばれた前契約は年3000万ドルでしたが、新契約は年5500万~6000万ドルの15年契約。(株式などを獲得したかは不明のため実質的なバリューは・・・。)

シンシナティの市場規模がミルウォーキーに次ぐMLBワースト2位であることを考えると、好条件な契約だったのではないでしょうか。

ピッツバーグ・パイレーツ

年数 10年
総額(ドル) 2億2500万*
年平均(ドル) 2250万*
開始年度 2010年
最終年度 2019年
地方テレビ局名 Root Sports
チーム保有株率 (%) 0%
視聴家庭数 5万4000

2010年~2019年の10年契約。詳細な契約内容は不明ですが年平均2000万~2500万ドル程度と推測されます。

ブリュワーズと同様に今シーズン限りで契約が切れるわけですが、新契約は恐らく年平均6000万ドル程度となるでしょうね。

ちなみに、前契約では2007年の放映権料が1640万ドル、2008年が1870万ドルでした。

【追記:2019年12月】
2019年10月に新たな複数年契約を結んだとの報道がありましたが、現時点では契約内容等の詳細は不明。



西地区

ロサンゼルス・ドジャース

年数 25年
総額(ドル) (83億5000万*)
年平均(ドル) (3億3400万*)
開始年度 2014年
最終年度 2038年
地方テレビ局名 Spectrum SportsNet LA
チーム保有株率 (%) 50%
視聴家庭数 10万3000

(このチームの放映権契約も複雑)

単独チームにおいてMLBのみならず世界全体で見ても史上最大のスポーツ放映権契約。

2011年にチームを21億5000万ドルで買収したグッゲンハイム・パートナーズは2012年に終了するFoxとの放映権契約の交渉を買収直後から行い、タイムワーナー・ケーブルとFOXの争いに。結果としてタイムワーナーがFoxの入札額を20億ドル以上も上回る25年総額83億5000万ドルという記録的な放映権契約をドジャースと結びました。

ここでややこしいのは総額83億5000万・年平均3億3400万ドルという金額の全てが普通の放映権料としてドジャースに支払われるわけではないということ。(正直なところメディアの情報も錯綜していて自分もよく分かってない。)

この契約によってグッゲンハイム・パートナーズとタイムワーナーはSpectrum SportsNet LAを設立しそれぞれが50/50で所有。この株式による利益やバリューも総額83億5000万・年平均3億3400万ドルに含まれるというわけ。また、この他にも契約金やブランディング料(詳細は不明)も含まれるとのこと。

そして、通常の放映権料ですが初年度が8400万ドルで年4%の割合で増加、最終的に25年間の総額は35億ドル・年平均1億4000万ドルとなるそうです。この情報が正しいなら通常の放映権料だけなら2019年で1億200万ドルとなりますね。

さらに、契約時に問題となったのが総額83億5000万のうちどこまでがMLBの収入分配制度の対象になるかということ。放映権契約の締結完了にはMLBの承認を得る必要があるのですが、これだけの規模の契約と言うこともありMLBから待ったが掛けられました。普通ならば通常の放映権料総額35億ドルだけが収入分配制度の対象になるわけですが、流石に残りの40億ドル以上を収入分配制度の対象外とするのは認めれなかったようで、私の記憶が正しければ契約総額から放映権料を差し引いた残りの金額のうち半分を収入分配制度の対象とすることでMLBからの承認を得られたはず。

というわけでロサンゼルス・タイムズやForbesの報道によると、ドジャースは契約初年度から数年間において年間2億ドル強を受け取ったようです。

ちなみに、Spectrum SportsNet LAは月額視聴料を4.9ドルに設定したわけですがこの金額が高すぎたため他の大手ケーブルテレビ業者(DirecTVなど)と契約することができず、最終的に地元エリアの32%しかカバーしていないタイムワーナー・ケーブルでしかドジャースの試合が放映されないという事態に。その後、月額視聴料を1ドル以上下げて再度オファーを行いましたがそれでも契約してもらうことができず、現在も地元の2/3がドジャースの試合中継を視聴できない状況となっています。

これによって本来なら20万前後を見込めるはずの視聴家庭数は10万前後で推移。代わりに同じロサンゼルスに本拠地を置くエンゼルスの視聴家庭数が増加するなどチームにとって大きな問題に。最近では、シーズンの一部試合をSpectrum SportsNet LAではなく他の地方テレビ局でも特別に放映するなど試行錯誤しているようですね。

アリゾナ・ダイヤモンドバックス

年数 20年
総額(ドル) 15億
年平均(ドル) 7500万
開始年度 2016年
最終年度 2035年
地方テレビ局名 Fox Sports Arizona
チーム保有株率 (%) ーーー
視聴家庭数 5万9000

2015年の放映権料は約3000万ドルでしたが、新放映権契約は年平均7500万ドルの大規模なものに。加えてFox Sports Arizonaの株式も取得したようですが割合は不明。

ダイヤモンドバックスの総年俸は契約の恩恵を受け増加してはいるんですが、ドジャースが強すぎため地区優勝は遠いですね。

サンフランシスコ・ジャイアンツ

年数 25年
総額(ドル) 17億5000万
年平均(ドル) 7000万
開始年度 2008年
最終年度 2032年
地方テレビ局名 Comcast SportsNet Bay Area
チーム保有株率 (%) 30~35%
視聴家庭数 8万7000

サンフランシスコのベイエリアというビッグマーケットに本拠地を置く人気球団のジャイアンツですが、(まだMLBの放映権バブルが始まっていない)2007年という早い段階で長期契約を結んでしまったため(Comcast SportsNet Bay Areaを株式1/3を取得しているものの)年平均額は残念ながら安め。

同じサンフランシスコのオークランド・アスレチックスも2009年からスタートする21年契約を結んでいますし、ここら辺の地方テレビ局は得してますね。

ちなみに、そのアスレチックスは2023年オフにオプトアウト権がありますがジャイアンツには無いようです。

サンディエゴ・パドレス

年数 20年
総額(ドル) 10億
年平均(ドル) 5000万
開始年度 2012年
最終年度 2031年
地方テレビ局名 Fox Sports San Diego
チーム保有株率 (%) 20%
契約金(ドル) 2億
視聴家庭数 2万3000

20年・年平均5000万ドルの放映権料に加えてFox Sports San Diegoの株式20%と契約金2億ドルもゲット。

全体的な価値は総額13憶~15億ドル程度となるようですね。

コロラド・ロッキーズ

年数 20年
総額(ドル) 2億
年平均(ドル) 2000万
開始年度 2011年
最終年度 2020年
地方テレビ局名 AT&T SportsNet Rocky Mountain
チーム保有株率 (%) 0%
視聴家庭数 6万4000

放映権バブルの直前に結んでしまった格安契約。2021年以降の契約更新のニュースなどはまだ流れていません。

ちなみに、ロッキーズのチーム総年俸は2010年ごろで15位~20位程度でしたが、ここ数年かも同じような順位なので格安放映権契約のわりには頑張ってますね。

【追記:2020年10月】
2019年9月にAT&T SportsNetと新たな複数年契約を結んだとの報道がありましたが契約内容等の詳細は不明。報道によると契約期間は短く金額も大してアップしていないとのこと。

コメント

  1. 竜也 より:

    コメント失礼します、。
    MLB全体での放映権契約のソースが欲しいです。
    3年前の投稿ですので残っているかわかりませんがもしあればよろしくお願いします。
    tatsuya1234567@icloud.com