本日はドラフト2日目として2巡目~10巡目の指名が行われたわけですが、ドラフト無能球団ヤンキースが例年にも増して気に食わないピックを連発しやがったので、今回はMLBドラフトをスルーし皆大好きホームランダービーに対する雑感を記したいと思います。
ピート・アロンソの2連覇
10アウト制から時間制限へ変更したことで参加者の肉体的疲労が圧倒的に増え辞退者も増加した現行のホームランダービー。そこでMLBは辞退者の増加を食い止めるため2018年(ブライス・ハーパーが優勝)に優勝者12万5000ドル、出場者総額52万5000ドルだった賞金を2019年から優勝者100万ドル、総額250万ドルまで大幅に引き上げたわけですが、結果として2連覇を果たしたピート・アロンソが合計200万ドルを獲得。
ここでアロンソは年俸調停権取得前のため未だMLB最低年俸でプレーしているわけで、プロ野球選手としての(スポンサー収入とマイナーリーグ賃金を除く)生涯賃金の約45%をホームランダービーの賞金が占めるという事態に。
ドラフト契約金
2016年:90万9000ドル(2巡目指名)
MLB選手年俸
2019年:55万5000ドル
2020年:24万2000ドル
2021年:67万7000ドル
小計:147万4000ドル
ホームランダービー賞金
2019年:100万ドル
2021年:100万ドル
小計:200万ドル
合計:438万3000ドル
(今シーズンはまだ年俸67万7000ドルの半分程度しか受け取っていないはずですから、正確には50%近くをホームランダービーの賞金が占めます。)
クアーズ・フィールドと飛距離
標高約1マイル(1600m)の高地にあることで打球が異様に伸びることで知られるクアーズ・フィールド。通常の公式戦等ではヒュミドール(湿度調整器)の中でボールを保管し湿度を高めて(水分を与えて)飛距離を抑えているわけですが、今回のホームランダービーでは特別にヒュミドールを使用せずボールを乾燥させ飛びやすい状態のまま使用。
このように飛距離増大の要因が重なり例年以上にホームランの飛距離が注目されることとなり・・・。
選手名 | 総本塁打数 | 最長飛距離 |
ピート・アロンソ | 74本 | 156.7 m |
トレイ・マンシーニ | 59本 | 151.2 m |
フアン・ソト | 46本 | 158.5 m |
トレバー・ストーリー | 32本 | 157.4 m |
大谷 翔平 | 28本 | 156.4 m |
サルバドール・ペレス | 28本 | 149.7 m |
マット・オルソン | 23本 | 150.9 m |
ジョーイ・ギャロ | 19本 | 150.6 m |
Statcastによる計測が初めて行われた2015年以降のホームランダービーで飛距離149.7m(491フィート)以上のホームランを放った選手は2017年のアーロン・ジャッジ(最長飛距離156.4m:513フィート)、2016年と2017年のジャンカルロ・スタントン(最長飛距離151.5m:497フィート)、2017年のミゲル・サノー(最長飛距離149.7m:491フィート)のたった3人。
しかしながら、今回のダービーでは出場者全員が飛距離149.7m(491フィート)を超え、最年長31歳のサルバドール・ペレス以外は全員が150mをクリア。クアーズ・フィールドとヒュミドールがボールの飛距離へ多大な影響を与えていることが改めて証明される結果となりました。
ちなみに、フアン・ソトがStatcast計測史上最長となる158.5m(520フィート)のホームランを放ちましたが、Statcast導入以前のホームランダービーにおける最長記録は(測定精度は別として)2002年サミー・ソーサの飛距離159.7m(524フィート)。
ホームランの飛距離表示
ホームランの本数と並びダービーの大きな醍醐味である飛距離。
これまでのホームランダービーの中継ではStatcastやESPN Homerun Truckerによる計測飛距離を中継画面上に表示していましたが、前項で記したように例年以上に飛距離が注目要素となった今回はまさかの飛距離表示が無し。
MLBの公式サイトなどでホームランの飛距離を速報表示していたとはいえ、中継を担当しているEPSNの今回の改悪は許せません。
(ESPNのサブチャンネルであるESPN2では”Statcast Edition”と題して中継を行い飛距離を表示していたようですが、なぜ本チャンネルでも表示しないのか皆目見当つきませんよ。)
まあ、2016年プロ野球ホームランダービーで明らかにカメラの台数と人員配置をケチって糞みたいなアングルとカメラワークで打球を捉え続けたテレビ朝日と比べれば1億倍マシですけどね。
バッティング・ピッチャー
ホームランダービーでは通例としてバッティング・ピッチャーを自由に選択する権利が出場者に与えられており、チームのコーチやスタッフ、父親や兄弟などの親族、アマチュア時代の恩師など多種多様な人物がバッティング・ピッチャーを務めるわけで、そのバッティング・ピッチャーの制球力によって出場者の成績が大きく左右されることもしばしば。
その中で今年はピート・アロンソのバッティング・ピッチャーを務めたデイブ・ヤウス(メッツのベンチコーチ)の圧倒的なコマンドが話題に。
Dave Jauss delivered a performance for the ages throwing to Pete Alonso in the #HRDerby last night 😱 pic.twitter.com/4kg1XcC77L
— SI MLB (@si_mlb) July 13, 2021
反対にジョーイ・ギャロバッティング・ピッチャーを務めたトニー・ビーズリー(レンジャース三塁コーチ)はギャロが求めるコースよりも内角寄りに集めてしまい、ギャロがラウンド途中で立ち位置をファースト寄り(ホームベースから離すよう)に調整する必要が生じるなど、悪く言えばギャロの足を引っ張ってしまった形となりました。
制限時間の短縮
2018年までは打球が外野フィールドまたは観客席に着弾するまでバッティング・ピッチャーが次の投球を行うことは禁じられていましたが、2018年の決勝で時間に追われたブライス・ハーパーとこの時バッティング・ピッチャーを務めたハーパーの父親が本ルールを完全に無視(ボールの着弾を待たず)して優勝。
この事件を受けて2019年から投球制限ルールが緩和されより投球がアップテンポとなり、それに従ってバッターのスイング数なども格段に増えたことで2019年の出場者が皆ヘトヘトに疲れ果てる結果に。
その2019年までは各出場者の持ち時間が4分間+ボーナスタイムに設定されていましたが、流石に出場者の負担が大きすぎるということで制限時間が短縮の必要が生じ、今年からは1回戦と2回選(準決勝)が3分間+ボーナスタイム、決勝が2分間+ボーナスタイムに変更となったわけ。
ただ、2019年のような地獄絵図ではなかったとはいえ各出場選手の疲れっぷりを見る限り更なるルール改正が必要だと感じました。
流石に大谷は1ラウンドだけでバテ過ぎだとは思いますけどね。