ヤンキースがツインズと大型トレードを締結!

私のブログを見に来るようなニワカの皆さんでもご存知でしょうが、ニューヨーク・ヤンキースがミネソタ・ツインズとの間に5人のMLBプレーヤーが動く大型トレードを締結。

今日14日の朝の時点ではヤンキースとツインズとの間でトレード交渉が進んでいるというニュースや噂などは全く耳にしておらず、個人的には数年に一度のサプライズ補強でした。

ヤンキース 🔁 ツインズ
 ジョシュ・ドナルドソン  ジオ・アーシェラ
 アイザイア・カイナー=ファレファ  ゲーリー・サンチェス
 ベン・ロートベット  

ヤンキースは2015年シーズンALMVPのジョシュ・ドナルドソンに加え、貧打好守の内野ユーティリティであるアイザイア・カイナー=ファレファと同じく貧打好守の新人捕手ベン・ロートベットの3人を獲得。

対価としてはFAまで2年を残しているジオ・アーシェラと今シーズン終了後FAとなるゲーリー・サンチェスの2人を放出しています。

下記の表にトレードに絡んだ5選手の年俸を記していますが、唯一のポストFA選手であるドナルドソンには今シーズンにベース年俸2100万ドル+移籍ボーナス200万ドル、来シーズンに2100万ドルが支払われる予定で、2024年の球団オプション1年1600万ドルが行使されなかった場合バイアウト600万ドルが追加で支払われるため、計5000万ドルが保証済みということになります。

今後3年間最低年俸と格安のロートベット以外の3人は年俸調停対象選手であり、その3人に関して表には予測年俸を記していますが、今回のトレードによってヤンキースの総年俸は今シーズンに約1500万ドル、来シーズンに約2300万ドルが増加。

取り敢えず選手成績は置いておいて、金銭面から見るとヤンキースはオールスター級の選手をFA契約にて獲得するのと同等の補強を行ったことになりますね。

選手年俸表(ドル)

選手名 2022年 2023年 2024年
ドナルドソン 2300万 2100万 1600万
(球団OP)
カイナー=ファレファ 490万 750万 FA
ロートベット 70万 72万 74万
NYY 合計 2870万 3120万
アーシェラ 655万 850万 FA
サンチェス 750万 FA
MIN 合計 1400万 850万  

選手年俸に続いて次は成績を見ていきましょう。

ここ数年故障に苦しんでいるドナルドソンは昨シーズン.247/.352/475、wRC+124、rWAR3.5、fWAR2.2を記録。全盛期から程遠いものの35歳のベテラン選手としては立派な成績。

ただ、右打者不利のツインズ本距離ターゲット・フィールドに苦しめられた感があり、ホームOPS.749と比べアウェイOPSは.903と非常に優秀。

更にStatcast指標のxwOBAでは.387を残しており、この数字はMLB全体で第16位、ファーストを除く内野手の中ではBOSのラファエル・デバース(.392)に次ぐ第2位。

35歳ながらも依然としてMLBトップクラスの打撃力を有していたことは否定できません。

もちろんGG賞級だったサード守備はMLB平均レベルまで落ち込んでいるものの、故障の再発や大幅な衰えを見せない限り、アーシェラからは大幅なアップグレードとなりますね。

カイナー=ファレファは2018年のレンジャーズでのMLBデビュー以降、キャッチャー/セカンド/サードの異質なユーティリティとして便利屋起用を受けていましたが、初めて本格的にサードへレギュラー固定された2020年シーズンにGG賞を受賞。

さらに昨シーズンはエルビス・アンドラスの放出によって新たにショートへ固定され初のフルシーズン出場を果たすと、つい先日ミッチ・ガーバーとのトレードでツインズに移籍。同球団での所属期間はたったの2日間でした。

打撃力に関してはタイラー・ウェイドに毛が生えたレベルなので彼のバリューを左右するのは内野守備力ですが、昨シーズンはDRS=+10、UZR=+1.2、OAA Runs=-5と守備得点指標ごとに値が大きくブレており、守備成績からショート守備力を推し測るのは困難ですが、どっちみちこれでトレースのショート守備を見なくてもよくなるので私は満足です。

とは言え、ヤンキースの内野陣はドナルドソン、カイナー=ファレファ、ラメイヒュー、トーレス、ボイトと再び右打者ばかりになったわけで、欲を言えば1人は左打者が欲しかったところ。

MLBデビュー済みではあるものの新人王資格を有しているためプロスペクト扱いとなるキャッチャーのベン・ロートベットは、MLBでの限られた出場機会だけでなくマイナー時代も含めて長年ハイレベルな守備成績(特にフレーミング)を残し続けており、守備に関してはヒガシオカの水準を期待できそうかな。そもそも打撃力に関してもヒガシオカと同等のレベルだと考えられ、左打ちのヒガシオカがもう1人手に入ったようなものでしょう。

ただ、サンチェスとは異なり右投手が得意な左打者のロートベットは左投手が得意な右打者のヒガシオカと左右のプラトーン起用が可能。その相乗効果により実力以上の打撃成績を2人から引き出すことができるはず。

サンチェスの放出によりキャッチャー陣の弱体化を非難するファンもいますが、そもそもヒガシオカとサンチェスはキャッチャーとしての総合能力(貢献度)において同格だったわけで、サンチェスがロートベットに交代したところでダウングレードしたと端的には言えず、寧ろコストパフォーマンスの期待値は大幅にアップしたのではないでしょうか。

下記の表の成績予測システムの今後2シーズンの予測WAR値(一部私なりに補正)を記していますが、実際に来シーズンの予測値はロートベット>サンチェスとなっています。

(そもそもドニー・サンズを放出したのが間違いだったわ。)

予測fWAR

選手名 2022年 2023年
ドナルドソン 3.5 2.2
カイナー=ファレファ 2.1 2.6
ロートベット 1.5 1.0
獲得選手 合計 7.1 5.8
アーシェラ 2.3 2.0
サンチェス 1.3
放出選手 合計 3.6 2.0

予測fWAR表を見ても分かるように今回のトレードにより間違いなくヤンキースは戦力アップ。

ただ、選手の入れ替わりによってチーム全選手の出場機会が変化するため、「”獲得選手 合計”ー”放出選手 合計”=チームWAR増加値」というわけでは決してなく、トレードによる実質的なチームWARの増加値は2022&2023年シーズン共に2.0~3.0程度となります。

ドナルドソンのバイアウトも含めて年平均2170万ドルを支払い、その対価としてシーズンWAR2.0~3.0を得るような形になるわけですが、FA市場においてWAR 1.0=約800万ドルに値することを考えると、2022~2023の2年間に限れば適正なトレードと言えるでしょう。

しかし、ドナルドソンの2024年シーズンの球団オプションやロートベットの保有期間も考慮する必要があり、それらも含めたうえで今回のトレードを全体的に見ると、個人的にはやはりヤンキースが得をしたのかなと。

まあFA市場においてWAR 1.0=約800万とは言っても、FA契約で選手を獲得した場合は代わりにダブった選手をトレードの駒として使えたり、WARと年俸が非線形比例するなど状況が全く違うわけで、トレードの評価にFA補強の話を当てはめることは全くもってナンセンスですけどね。

ちなみに、最近流行のBaseball Trade Simulatorではヤンキースが1100万ドル以上も大損したと算出されます。客観的に見ればヤンキースの負けですかね。


今回の大型トレードはヤンキースにとって...

ンキースのロースターと今後の補強について追記するつもりですが、取り敢えずここまでで記事をアップしておきます。

トレードと同時にティム・ロカストロとMLB契約を結び、ザック・ブリットンを60日DLに追加したことでMLBロースターは40人ジャストに。

トレードによってヤンキースの贅沢税対象総年俸は年俸制限1次ラインの2億3000万ドルを約600万ドル超過していますが、内野陣はコンテンダーとして十分すぎる布陣となり、(欲を言えばやはりガードナーが欲しいところですが)外野陣のデプスも満たされました。

ここ何年かのヤンキースの総年俸等も踏まえると、今オフの補強はこれで一通り完了したと考えていいでしょう。

ただ、ラメイヒューとカイナー=ファレファが優秀なユーティリティとは言え内野4つのポジションに5人のレギュラークラスの選手がいるのは些か勿体ないかと。さらに、その5人全員がFAまで2年以上残しているものの、マイナーにはオズワルド・ペラザやオズワルド・カブレラなどMLB昇格直前の内野手プロスペクトも複数控えています。

個人的には、故障が多く守備力の衰えも見受けられるドナルドソンをファーストにコンバートしバッティングに専念させ、さらにトーレスをサードにコンバート。結果として浮いたルーク・ボイトをオズワルド・ペラザやオズワルド・カブレラと抱き合わせでトレードするのも1つの手だと思いますね。

また、ドナルドソンは性格面に問題があり、昨季には不正投球禁止に際しゲリット・コールをディスったことでアストロズ選手並みにヤンカスから嫌われているはずですが、優秀なベテランリーダーであるガードナーを失ったばかりのヤンキースのケミストリーにドナルドソンがどのような影響を及ぼすか見物。

チーム年俸表

  人数 総額(ドル)
来季年俸確定
(贅沢税対象分)
11 1億6000万
(1億5000万)
年俸調停(予想) 13 6450万
最低年俸 ? 300万
マイナーリーガー ? 225万
年俸合計 2億3000万
その他(福利厚生費) 1600万
贅沢税対象 2億3600万
年俸制限 2億3000万
超過額 600万

アクティブ・ロースター

野手

C  :カイル・ヒガシオカ
1B:ルーク・ボイト
2B:DJ・ラメイヒュー
3B:ジョシュ・ドナルドソン
SS:アイザイア・カイナー=ファレファ
LF:ジョーイ・ギャロ
CF:アーロン・ヒックス
RF:アーロン・ジャッジ
DH:ジャンカルロ・スタントン

ベンチ
C  :ベン・ロートベット
UT:グレイバー・トーレス
UT:ミゲル・アンドゥハー
OF:ティム・ロカストロ

投手

先発

1:ゲリット・コール
2:ジョーダン・モンゴメリー
3:ジェイムソン・タイロン
4:ドミンゴ・ハーマン
5:ネスター・コルテス Jr.

リリーフ

1:アロルディス・チャップマン
2:ジョナサン・ロアイシガ
3:チャド・グリーン
4:クレイ・ホームズ
5:ルーカス・リットキー
6:ルイス・セベリーノ
7:マイケル・キング
8:ジョエリー・ロドリゲス

40人ロースター

※青字は年保調停対象選手の予想年俸

投手(24人)

選手名 今季年俸
(万ドル)
FA予定
ゲリット・コール 3600 2028
アロルディス・チャップマン 1600 2022
ザック・ブリットン
(60日DL入り)
1400 2022
ルイス・セベリーノ 1150 2022
ジョーダン・モンゴメリー 480 2023
ジェイムソン・タイロン 470 2022
チャド・グリーン 410 2022
ジョエリー・ロドリゲス 200 2022
ドミンゴ・ハーマン 175 2024
ジョナサン・ロアイシガ 170 2024
ワンディ・ペラルタ 170 2023
クレイ・ホームズ 100 2024
ルーカス・リットキー 90 2024
ネスター・コルテス Jr. Min 2025
マイケル・キング Min 2025
アルバート・アブレイユ Min 2026
クレーク・シュミット Min 2026
デイビー・ガルシア Min 2026
ルイス・ヒル Min
スティーブン・ライディングス
ロン・マリナチオ
JP・シアーズ
ルイス・メディーナ
ヨエンドリス・ゴメス

捕手(2人)

選手名 今季年俸
(万ドル)
FA予定
カイル・ヒガシオカ 125 2024
ベン・ロートベット Min 2027

内野手(8人)

選手名 今季年俸
(万ドル)
FA予定
ジョシュ・ドナルドソン 2300 2023
DJ・ラメイヒュー 1500 2026
グレイバー・トーレス 590 2024
ルーク・ボイト 540 2025
アイザイア・カイナー=ファレファ 490 2023
ミゲル・アンドゥハー 170 2024
オズワルド・カブレラ
オズワルド・ペラザ

外野手(7人)

選手名 今季年俸
(万ドル)
FA予定
ジャンカルロ・スタントン 2900 2026
アーロン・ジャッジ 1710 2023
アーロン・ヒックス 1080 2024
ジョーイ・ギャロ 1020 2022
ティム・ロカストロ Min 2024
エステバン・フロリアル Min 2026
エバーソン・ペレイラ

コメント

  1. 愛妻家 より:

    ボイト&ペラザを出すとしたら誰を狙うのが良いでしょうか?

    • 管理人 より:

      DH制度導入にDH補強が追いついていないNLのコンテンダーが現実的でしょうね。
      MILの外野のプロスペクトを狙うのはどうでしょうか。

  2. ホルヘ・マテオ より:

    どちらにしても今オフFAになるサンチェスに契約延長は行わなかったでしょうし、まだ24歳で打撃力向上の余地のある左の捕手に交換できた時点で合格点な気がします。捕手デプスも心許ないものだったので。
    ブログ主さんも触れてるように、ドニー・サンズのPHI放出がそもそも間違いだったといえばその通りですよね。

    ロカストロ、カイナーファレファ、ヒガシオカ・ロートベットと、打撃力の低い選手が3人も下位に並びそうな点は気になるので、やっぱりガードナーを取って欲しいですね。