ヤンキースの2022年MLBドラフト1巡目指名候補:その1

今年のMLBドラフトまで残り2ヶ月を切りましたが(日本時間7月18日月曜日の午前中に開催予定)、全体25位指名を持つヤンキースの指名候補プロスペクトをチビチビと取り上げていこうかと思います。

ヤンキースは2020年オースティン・ウェルズ、2021年トレイ・スウィーニーと大学生野手を2年連続で1巡目指名しており、それ以前も2018年にアンソニー・シーグラー、2019年にアンソニー・ボルピを1巡目指名するなど野手指名が連続中。

また、アーロン・ジャッジやジョーイ・ギャロの退団が近づいているにもかかわらず、エステバン・フロリアルに続きジェイソン・ドミンゲスエバソーン・ペレイラらが伸び悩んだことで傘下組織の外野デプスが崩壊。

さらに、今年度のドラフトは大学生外野手が豊作ということもあり、ヤンキースは大学生外野手の指名が有力視されています。

上記の事情を踏まえて新企画「ヤンキースの2022年MLBドラフト1巡目指名候補」の第1弾となる今回は、まず始めとして大学生外野手を重点的に取り上げた次第です。



ディラン・ビーバーズ

Dylan Beavers:2001年8月:193㎝・93㎏
右投左打:センター/ライト:カリフォルニア大

メディア 順位
Baseball America 31位
MLB.com 28位
Prospect Live 16位
ESPN 14位
The Athletic 56位

高校時代はさほど評価されていないかったようですが、名門カリフォルニア大学2年目の昨シーズンに大ブレイク。早生まれであるため19歳だったにもかかわらず所属カンファレンス(パックー12)最多タイとなる18本塁打を放ち、シーズン終了後には大学野球アメリカ代表チームにも選出。

ただ、代表チームでは低調なパフォーマンスに終わり、同時期に参戦したケープコッド・リーグでも💩成績を記録しています。

まあ結局のところ今シーズンも引き続きトップクラスの成績を残し1巡目指名が有力視される存在となっていますが、ドラフトまで残り2ヶ月の間で評価が乱高下しそうな予感。

Register Batting
Year Age Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2020 18 California 12 33 7 1 0 4 9 .250 .333 .357 .690
2021 19 California 55 252 64 18 10 32 53 .303 .401 .630 1.031
2022 20 California 51 248 57 16 7 45 48 .292 .423 .651 1.075
Coll Coll Coll 118 533 128 35 17 81 110 .295 .407 .622 1.029

カイル・タッカーを彷彿とさせるクセの強い大振りなスイングは評価が低く、スイングスピードに裏付けされたパワーは一級品であるものの、打率や三振率などでは危なっかしい数字が並んでいます。

2019年ドラフト全体35位指名のキャメロン・マイスナーが同格として比較対象になるかと思いますが、思いのほかコンタクト率や選球眼指標が優秀とのこと。さらに今シーズンはK-BB%も大幅に改善されているだけに、世間的な評価ほどリスキーなバッターではないのかもしれません。

外野守備と走塁の評価は平均レベルであり、プロレベルでもセンターに留まることができるのか意見が分かれていますが、ドラフト上位指名候補屈指の強肩を持ち合わせているため最低でもライトにてプレー可能。


ドリュー・ギルバート

Drew Gilbert:2000年9月:175㎝・83㎏
左投左打:センター:テネシー大

メディア 順位
Baseball America 50位
MLB.com 27位
Prospect Live 29位
ESPN 26位
The Athletic 22位

高校時代は二刀流として活躍しミネソタ州No.1高校生との高い評価を受け、強豪テネシー大学進学後も二刀流を続けたものの、昨シーズンまでは投打の両方で成績が低迷。

しかし、今シーズから野手に専念すると下記成績表の通り大ブレイク。赤マル急上昇中のホットなプロスペクトです。

Register Batting
Year Age Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2020 19 Tennessee 15 51 14 1 2 7 6 .350 .490 .500 .990
2021 20 Tennessee 68 303 74 10 10 15 40 .274 .341 .437 .778
2022 21 Tennessee 48 200 59 8 4 31 26 .376 .480 .682 1.162
All All All 131 554 147 19 16 53 72 .315 .405 .525 .930

175㎝の小柄な体格から繰り出されるパワフルなスイングはアダム・ヘイズリーを彷彿とさせ、コンタクトやアプローチの評価は◎。打球初速度も優秀とのことでパワー不足の懸念は解消へ。

高校時代は野手よりも投手として期待されており肩の強さは一級品。外野守備と走塁も平均超とのことで、プロレベルでもセンターにステイできるだろうとの予測。

5ツールだけでなくメイクアップの評価も抜群であり、ハイフロアーな即戦力型プロスペクトとして1巡目後半(ヤンキースの指名順位前後)に指名を受けると予想されています。


ジョーダン・ベック

Jordan Beck:2001年4月:190㎝・102㎏
右投右打:ライト:テネシー大

メディア 順位
Baseball America 17位
MLB.com 21位
Prospect Live 21位
ESPN 11位
The Athletic 11位

高校時代の2019年にレッドソックスから14巡目指名を受けるもテネシー大に進学。

ただ、同大学ではチームメイトのドリュー・ギルバートより先に名を上げるも今シーズンも含めトップクラスの数字は残せず。

それでも高いポテンシャルを評価され今ドラフトクラス10~20位程度のプロスペクトと評価されていますが、リスキーなだけにヤンキースの指名順位まで残っている可能性は十分です。

Register Batting
Year Age Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2020 19 Tennessee 16 48 11 1 0 8 11 .275 .396 .475 .871
2021 20 Tennessee 67 289 70 15 8 24 60 .271 .336 .523 .859
2022 21 Tennessee 55 244 62 14 6 27 52 .293 .377 .557 .934
Coll Coll Coll 138 581 143 30 14 59 123 .280 .358 .533 .891

純粋なパワーは大学生上指名候補最高クラスと評されコンスタントに打球初速度110マイル以上を計測。しかし、変化球へのコンタクトとアプローチに大きな穴があるとのことで、今回の記事で取り上げる大学生野手他3人と比べるとNCAA成績は大きく劣っています。

また、昨年の夏に参加したケープコッド・リーグにおいても低成績に終わっており、1巡目指名候補の中では最もリスキーなバッターかと。

ドリュー・ギルバートにセンターの座を奪われていますがスピードと肩ともに平均超。プロレベルで再びセンターに復帰できる可能性も。

まあハイフロアーなドラフト候補生の指名を好むヤンキースにとって、いくら何でもベックはリスクが高すぎますかね。


ブロック・ジョーンズ

Brock Jones:2001年3月:185㎝・84㎏
左投左打:センター:スタンフォード大

メディア 順位
Baseball America 36位
MLB.com 40位
Prospect Live 58位
ESPN 50位
The Athletic 42位

高校時代は野球とアメフトの両方で活躍を見せ、スタンフォード大学1年目は野球部とアメフト部を掛け持ち。そして、2年目から野球に専念すると同カンファレスに所属する上記のディラン・ビーバーズと同等の打撃成績を残しました。

今シーズンは開幕からスランプに陥り、当初は1巡目と予想されていた指名順位も2巡目まで後退したわけですが、4月の下旬から復調し無事に成績も急上昇。

ドラフト本番までには再び1巡目位指名候補となる可能性は十分。

Register Batting
Year Tm G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2020 Stanford 16 66 13 1 3 6 21 .228 .323 .316 .639
2021 Stanford 56 268 64 18 14 49 59 .311 .453 .646 1.099
2022 Stanford 49 238 59 14 14 45 56 .316 .454 .642 1.096
All All 121 572 136 33 31 100 136 .302 .439 .602 1.041

柔軟性に欠けるスイングから繰り出されるパワーはプラスツール。ファストボールヒッターであり変化球への対応に難を見せているようです。

今シーズンだけでなく昨シーズンも一時期打撃スランプに陥っており、地雷臭がプンプンすることは否めませんね。

アメフトではセーフティを務めていたことからも分かるように俊足ですが、肩が弱いためセンターにステイできるか意見が分かれています。