リチャード・フィッツ:ヤンキース・プロスペクト


 2017から当ブログで書いているヤンキースのプロスペクト紹介・レポートのまとめページになります。名前がその選手の記事へのリンクとなっていま...
2022年シーズン前半戦終了時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP100を作成

リチャード・フィッツ

Richard Fitts
1999年12月生(23歳0か月):190cm・97㎏:右投

A+所属:2021年ドラフト6巡目(契約金34万6800ドル)
選手ページ:MiLB公式Baseball ReferenceFanGraphs

フォーシーム : 55/60 (平均93マイル、最速98マイル)
カットボール : 35/40 (平均86~88マイル)
スライダー  : 40/45 (平均82~84マイル)

チェンジアップ: 35/35 (平均87マイル)
コマンド   : 45/50
総合     : 30/40


高校時代は評価が低かったため大学からスポーツ奨学金を獲得できず、地元から約100マイルの名門オーバーン大学(アラバマ州)へ非奨学生として進学。

1年目(2019年)は開幕をブルペンで迎えシーズン中盤に先発ローテ昇格を果たすも、ヴァンダービルド大学を始めとするサウスイースタン・カンファレンスの強豪校相手は通用せず。

2年目(2020年)は前年88~90マイル程度だった球速が91~93マイルまでアップするも、コロナによって途中でシーズン中止に。

だだ、同年の秋季プレーにて最速98マイル・常時90マイル中盤への急激な高速化を見せ、一躍2021年ドラフト1巡目指名候補となりました。

しかしながら、肝心の翌2021年は開幕から炎上を繰り返したうえに足を故障し、1ヶ月程度でブルペンに降格。シーズン終盤に先発ローテへ復帰し強豪校相手に好投を披露したものの、ドラフト候補生として評価は急落。

結果としてヤンキースが6巡目で指名を行ったわけですが、4年次進学を防ぐためスロットバリューの26万6000ドルを上回る契約金(34万6800ドル)を与えています。

Year Age Tm Lev ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2019 19 Auburn NCAA 5.31 21 5 62.2 78 9 17 47 1.516 2.4 6.8 2.76
2020 20 Auburn NCAA 2.77 6 1 13.0 9 1 5 16 1.077 3.5 11.1 3.20
2021 21 Auburn NCAA 5.88 13 8 41.1 38 10 15 41 1.282 3.3 8.9 2.73
2022 22 2 Teams A-A+ 3.70 22 22 112.0 90 14 20 131 0.982 1.6 10.5 6.55
2022 22 Hudson Valley A+ 0.55 5 5 33.0 17 1 3 38 0.606 0.8 10.4 12.67
2022 22 Tampa A 5.01 17 17 79.0 73 13 17 93 1.139 1.9 10.6 5.47

2022年シーズンはAクラスで開幕を迎え安定してイニングを稼ぎはしたものの、2年前のような球威を発揮することは出来ず大学時代と同様に一発病発症。

このまま期待外れの1年目に終わるのかなと思いきや、7月途中から唐突に球速が復活し8月には早々にA+クラスへ昇格。昇格3度目の先発において8回無死までパーフェクトピッチングを続けるなど、Aクラス時代とは対照的に対戦バッターを圧倒。

A+クラスでも球速は乱高下を続けており、一概に復活を果たしたとは言えないのですが、個人的には既にチーム内トップ30に入るプロスペクトだと考えています。


フォーシーム: 55/60(平均93マイル、最速98マイル)

大学時代はフォーシームとツーシームの両方を使い分けていましたが、プロ入り後はフォーシームへ一本化。

2020年秋に最速98マイル・常時90マイル中盤、2021年に最速97マイル・常時90マイル台前半、2022年前半戦に最速95マイル・常時92マイル、後半戦に最速97マイル・常時93~94マイルと球速推移は山あり谷あり。

シーズン途中から投球フォームに改良を加えリリースポイントを打者に近づけたことが球速アップと被本塁打減少に一役買った模様。

そもそもディセプション○のオーバースローから投げ込まれる彼のフォーシームは、スピンレイト2450rpm前後・回転方向12:35のハイVAA系ピッチで、横変化成分が抑えられゾーン高めにて球速以上の威力を発揮するボール。特に左打者相手には139度の対戦でホームランを1本しか許しておらず、ここら辺はフォームのディセプションが効いているのだろうなと。

来シーズン以降も2022年後半戦の球速を維持することが出来れば、プラスピッチとして光るはず。

カットボール : 35/40 (平均86~88マイル)
スライダー  : 40/45 (平均82~84マイル)
チェンジアップ: 35/35 (平均87マイル)

変化球の中でベストピッチはスライダーですが、スピン効率30%台程度のスタンダードなピッチで精々平均レベル。大学時代から幾度となく握りを変えるなど試行錯誤を重ねているものの、未だ現状には満足していない模様。

プロ入り後に習得したであろうカットボールをシーズン前半戦はアクセントとして投げていましたが、後半戦になると投球頻度は一気に減少。

左打者相手限定で投げるチェンジアップは変化量に欠け、チェンジアップと言うよりはシンカーに近い変化を見せています。大学時代2年次までは元々スプリットチェンジを投げていて、3年次から現在のサークルチェンジに切り替えたとのことなのですが、Baseball AmericaやMLB.comはスプリットチェンジの方を高く評価。こんなことなら元に戻した方が良いのでは?

コマンド : 45/50

フォーシームの項で述べた投球フォーム改良によってリリースポイントの安定度とディセプションが増し、6月17日シーズン10度目の先発試合から最終登板まで13戦連続で与四球を1個以下に抑え、同期間中はストライク率が70%に達しました。

このようにコントロールは間違いなく平均以上と言えますが、良くも悪くもフォーシームがゾーン上部に集まり一発病の発症原因に。そもそも大学時代にフォーシームの球威とコマンドが狂って落ちぶれたピッチャーですからね……一抹の不安は残ります。

総合 : 30/40

2022年は故障無くフルシーズンを戦い切り後半戦のパフォーマンスも◎でしたが、様々な理由により先発投手してのトラッキングデータが不足しており、リスキーな存在から脱却したとは未だ言えない印象。

まあ、何にせよ後半戦の状態を2023年もキープできれば、6巡目指名では当たりの部類。

個人的には40FV、50thパーセンタイルの将来形がブルペンのロウワーパート、90thパーセンタイルが先発5番手のプロスペクトだと考えています。

プロスペクト評価 Future Value(FV)の目安
FV 70:全体No.1プロスペクト
FV 65:全体2~5位程度
FV 60:全体6~20位程度
FV 55:全体21~50位程度
FV 50:全体51~125位程度
FV 45:全体126~275位
            球団別ランキング10位以内程度
FV 40:全体276~850位
            球団別ランキング30位以内程度