ジョージ・ロンバード Jr.(George Lombard Jr.):ヤンキース・プロスペクト


ニューヨーク・ヤンキースの2026年シーズン開幕時点におけるプロスペクト(有望株)ランキングTop50
2023年度MLBドラフトにてニューヨーク・ヤンキースが全体25位(1巡目)で指名した高校生内野手ジョージ・ロンバード Jr.(George Lombard Jr.)について

本投稿の次回の記事で「マイナーリーグとドラフトに対するMLBの目論見」と題し、MiLBの更なる縮小や高校生ドラフト廃止の噂、NCAAへのタレント放出によるNFL&NBAの猿真似、International市場の改革、FA制度との兼ね合い、野球競技人口減少のリスク等について書くつもりだったのが、最悪のタイミングで例のプロポーザルが表に出てしまいました。

あと1週間でもズレていれば「私は分かっていました(キリッ)」とイキることができたのに…、非常に残念です。

インプットとスループットは完了しているのに、面倒だからってアウトプットはチンタラ先延ばしにする。

こういうところが私がニワカ止まりの所以ではないでしょうか。


George Lombard Jr.

ジョージ・ロンバード Jr.:60 FV
2005年6月生(21歳0か月):6-2/190:SS
AAA:
2023年ドラフト1巡目(全体26位:契約金$3.3M)
選手ページ:SavantBaseball ReferenceFanGraphs
2026年開幕版版ランキング:第2位

Hit Power Run Arm Field
55 50 55 65 60

MLBで6シーズンプレーした後にLADの1B コーチを経て2021年からDETのベンチコーチを務めるGeorge Lombard Sr.、そしてESPNやWAFN、Fox Sports系列局などに務めるなどスポーツ業界に身を置いていたキューバ系の母親を両親に持ち、弟のJacob Lombardもアマチュア球界屈指のトッププロスペクト。

Jacobのように早くから頭角を現したわけではなく、ドラフト1年前の2022年ショーケースサーキットやフォールリーグで大活躍を見せたことで上位ラウンド指名候補に。

さらに、その時点ではヒッティングスキルについて懐疑的な声が強かったものの、所属校Gulliver Preparatory Schoolのスプリングリーグ(FHSAA 3A)において見事なパフォーマンスを残したことで懸念を払拭するとともに評価を引き上げ、ドラフト直前には2023年クラスのプロスペクトランキングで全体30位前後にランクインするトッププロスペクトに。

また、母親の影響によって野球のトッププロスペクトでは珍しくサッカーもプレーしており、ディフェンダーとしてFHSAA 2A-4Aクラスの2ndチームに選出されています。(アメリカの中でもフロリダ、特にマイアミエリアはサッカー人気が高いため、競技レベルも同様かと思いますが、実際のところはよく分かりません。)

そういった中、全体26位指名権を保有するNYYのドラフトモデルからも高く評価されていたようで、早い段階からNYYとのリンクが取り沙汰されており、結局のところ何のサプライズもないまま順当にNYYが1st ピック。

Vanderbiltにコミットしていましたが、スロットバリュー($3.065M)を少し上回る$3.3Mのボーナスでドラフト8日後に契約。

2023年クラスにおいてNYYは高校生のスカウティングに注力しており、Lombardの他に指名候補として噂されていたのはBryce EldridgeThomas WhiteDillon HeadSammy StafuraJosh Knoth
Bryce Eldridge(SF、全体16位)は1つ上位のティアに属すると見做されていたため端からアンライクリー。
Thomas White(MIA、全体35位)は要求額(実際に$4.1Mで契約)がネックに?
Dillon Head(SDP、全体25位)は直前でオフボード。
地元民のSammy Stafura(ドラフト前は最有力だと考えられていた)とJosh Knothは、単に優先順位が低くバックアッププランのような位置付けだったか?

ちなみに、Jacob LombardもGulliver Prepに所属していますが、今春成績がGeorge Jr.と非常に似通っています。(単純なシーズン成績だけでなくプレーオフでのパフォーマンス低迷など細部も。)

そして、ショーケースサーキットで露呈したバットコントロール等の懸念材料をスプリングリーグである程度払拭したのも同じ。

別にだからどうってわけでもありませんけど。

Season Level Age G PA HR AVG OBP SLG OPS wRC+ K% BB%
2023 CPX 18 4 17 0 .417 .588 .500 1.088 198 11.8% 29.4%
2023 A 18 9 41 0 .273 .415 .303 .718 114 24.4% 19.5%
2023 MiLB 18 13 58 0 .311 .466 .356 .821 139 20.7% 22.4%
2024 A 19 81 366 5 .232 .344 .348 .693 105 24.0% 12.8%
2024 A+ 19 29 131 0 .226 .321 .296 .616 87 19.8% 10.7%
2024 MiLB 19 110 497 5 .231 .338 .334 .672 100 22.9% 12.3%
2025 A+ 20 24 111 1 .329 .495 .488 .983 194 19.8% 20.7%
2025 AA 20 108 469 8 .215 .337 .358 .695 111 26.4% 13.6%
2025 MiLB 20 132 580 9 .235 .367 .381 .748 127 25.2% 15.0%
2026 AA 21 20 90 4 .312 .400 .571 .971 155 21.1% 13.3%
2026 AAA 21 41 195 4 .226 .374 .374 .749 106 21.5% 17.4%
2026 MiLB 21 61 285 8 .254 .382 .440 .822 121 21.4% 16.1%

ドラフト直後にFCLとLow-Aで好成績を残し、翌年のSpring TrainingではHRを記録。

さらに、Low-Aで開幕を迎えると、K<BBを記録するほどの年齢離れした選球眼を披露するとともに、Max 110.3 mph EVを計測し70th %ile前後のAvg EV・90th Ev・Barrel%を記録するなどパワーポテンシャルを輝かせ、シーズン前半戦中にはトップ100プロスペクトと見做される存在に。

ただ、TDLにてJared SernaBen Cowlesが放出されたことで8月頭にHigh-A昇格を果たしたものの、Low-Aで並みのwOBA&xwOBAに留まったバッターがすんなりと通用する訳もなく0 HRでフィニッシュ。

翌2025年シーズンはSpring Trainingで低調なパフォーマンスに終わった後にHigh-Aで開幕を迎えると、再びK<BBを記録するなど前シーズンのLow-Aプレー時と同様のパフォーマンスをを見せるとともに、幸運に恵まれた(.433 BABIP)おかげで面白いように凡打がヒットとなり、開幕からたった1ヶ月(20歳の誕生日まで約1ヶ月前のタイミング)でHigh-Aを卒業。

しかし、はたまた前シーズンと同じように昇級先(AA)では年齢差に苦しみ(2025年シーズンにおいて年下ピッチャーとの対戦は1試合のみ)、Anthony Volpe(20歳シーズン終了後にトップ10プロスペクト)やJasson Dominguez(20歳シーズンにMLBデビュー)の域には達せず。

ちなみに、TDLではSandy Alcantaraの対価のメインパッケージとしてMIAがLombard or Spencer Jonesを要求したとの噂で、2025-26オフにはTarik Skubalの対価としてCam SchlittlerBen RiceLombardのパッケージを吹っ掛けたとの話も。

そして、今シーズンはSpring Trainingで38.2 K%・65.3 Contact%・71.4 Z-Con%を残すなど雲行きが怪しかったものの、AA開幕戦で5 Hを放ち4月末にはAAAへ。

昇級後はソリッドなコンタクトがヒットへ繋がらず表面上の成績が低迷したものの、21歳の誕生日を迎えたばかりにもかかわらずxwOBAは80th %ileの高水準。

今では多くのエバリュエーターからトップ10プロスペクトと見做されています。

つい先日2B上での交錯時に左指を傷めIL入りしちゃいましたけど、よっぽどのことでもない限り今シーズン中のMLBデビューは確実的。


Hitting – 40/55

ヒッティングツールにおける最大のウリは選球眼。

2022年のショーケースサーキットにおいて32nd %ileのChase%を記録しており、ドラフト時点では選球眼やアプローチに独断優れたバッターと見做されていませんでしたが、ドラフト直後(2023年シーズン終盤戦)のLow-Aにおける限定的な出場の中で19.4 Chase%を記録。

続く2024年シーズンもリーグ6位の高水準(19.9%)を残し、昨年に至ってはシーズン全体で16%

今シーズンAAAでは21.8%(80th %ile程度)まで悪化しているものの、選球眼は間違いなくプラス以上と言えるでしょう。

ただ、優れたChase%を生み出しているのは、その卓越した選球眼だけではあらず、Swing%が40%を下回るほどの極端にパッシブなアプローチも大きな要因。

特に今年のSpring Trainingでは34.3 Swing%を記録するほど打席で消極的となったのですが、個人的に前述の低成績(38.2 K%・65.3 Contact%・71.4 Z-Con%)はアプローチ面が原因だったのではないかと。

しかし、だからと言ってアンリーズナブルなスイング/テイクを行っているわけではなく、今シーズンの25.0 SEAGERはAAA全体トップの数字。

2024年シーズン(Low-A)は21.0 SEAGERでしたから、Chase%の悪化がアプローチの劣化を意味しているわけでは決してなく、寧ろアプローチは成長していると捉えて構わないかもしれません。(SEAGERって別に再現性が高い指標ではありませんが…。)

6-2(嘗ての公称身長は6-3)と長身の部類に入るものの、スイングはシンプルかつコンパクト。

高校時代からアッパーゾーンのFB(特にハイスピードピッチ)を苦手としており、とりわけRHPに対してその傾向が顕著で、珍しいことにContact%はFFよりSLやCBの方が上。

ただ、2024年シーズン(Low-A)では95+ mphのピッチに対し40.6 Whiff%を喫したものの、今シーズン(AAA)は21.6%まで大幅に良化するなど、成長するにつれて改善が見受けられます。

また、vs. LHPに関してはFBに対するWhiff%こそ高止まりしているものの、コンタクトさえすればソリッドなダメージを与えており(Garrett Crochetの97 mphをフェンスオーバーしたのは記憶に新しいかと)、どちらかと言えばオフスピードピッチへの対応に苦労。

FBを苦手としてきたことが他球団にも知れ渡っているのか、FB(CTも含む)を投じられる割合は97th %ileと最上位のティアに位置。

このような状況下でFBへの対応に改善が見受けられるとなると、MLBでは逆に控えめだったブレーキングボールやオフスピードピッチの割合が増えることになるわけで、その際に新たなウィークポイントが露呈する可能性も。

加えて、キャリア序盤はアウトサイドも苦手としていたのですが、ボックス内でのスタンスの位置をインサイドに構えたこと、そしてリードショルダーのローテーションの改善によりスイングのインサイドアウト成分が抑えられたことによって、ボロボロだったContact%は大幅に良化しており、このアウトサイド対応の改善が副次的にプルサイドへの打球増加にも繋がっている印象。

このように今シーズンは長所を大きく伸ばしているわけではなく、ウィークポイントの改善について前進を見せている形となっており、ヒッティングツールのシーリングが上昇したというよりはフロアーが底上げされたイメージ。

私は昨年ヒッティングツールに対し55グレードを与えたものの、Spring Trainingでの不甲斐ない姿を見て「ヤンキース:プロスペクト・ランキング:トップ50:2026年開幕版」で50グレードに引き下げたのですが、今シーズンの成長を目にして手のひら返しました。

とは言っても、基本的に選球眼>>コンタクトとバランスが偏ったバッターであり、MLBでは25%前後のK%を覚悟する必要があるかと。

Power – 40/50

恵まれたフィジカルとアスレティシズムによって高校時代からパワーポテンシャルを評価されており、フルシーズン1年目から3シーズン連続で110+ mphのMax EVを計測。

特に今シーズン(AAA)に至っては97th %ileのAvg EV、90th %ileの50th EV、75th %ileの90th EVを残しており、Raw Powerが着実に向上している模様。

また、個人的にはドラフト時からVBAがフラットなスイングプレーンを懸念しており、実際にプロ入り直後からHigh-GB%に苦しんできましたが、昨シーズン途中のスイングパスの改造によって順調に良化。

さらに前述のアウトサイドの克服も相まって、プルサイドへのフライが大幅に増加しており、Pull Air%は18%をオーバー。

昨シーズン途中まで全くと言っていいほどプルサイドへ打球を打ち上げることができず、Raw PowerからGame Powerへのトランスレートに苦労していたことを踏まえると、Game Powerの向上は今シーズン最大のポジ要素と言えるでしょう。

ここまでヒッティングツールとパワーツールの両方でポジ成分が強めになってしまったため釘を刺しておきますが、スラッガーへの成長が期待されるようなプロスペクトはありません。

優れた選球眼とアプローチによって平均を少し上回るOBPを稼ぎながら.125~.150程度のISOを残す105 wRC+クラスのバッターが期待値かと。

NYYのSSプロスペクトということでGleyber TorresAnthony Volpeを比較対象に挙げたくなるところですけど、TorresというよりはVolpeに近しいタイプであり、ゲームチェンジャーを期待したいならSpencer Jonesでワーキャーした方がいいでしょう。

父親と弟はローフロアー&ハイシーリングの正反対なタイプですけど。

Run – 55/55

2022年のショーケースで6.53秒を計測した俊足の持ち主であり、プロ入り後にビルドアップ等によって体重を大きく増やしていないため、今でもスピードをある程度維持しており、28.0 ft/sec程度のSprint Speedを記録できるのではないかと。

ベースランニング時の走塁判断が兼ねてから宜しくなく、今シーズンはSB%も悪化していまけど、プラス級のスピードによってプラスのベースランニングバリューを生み出すポテンシャルは秘めている印象です。

ヘッドスライディングが下手糞で危なっかしさを感じるのですが、個人的にはヘッドスライディングはそこから生み出される価値とケガのリスクが釣り合っていないと考えているため、あの技術力ならフットスライディングにウェイトを置くべきだと思いますね。フットスライディング技術はまともなだけにね。

また、ランニング時の歩幅が広いためか、各ベース前後でタイミングやステップが乱れる機会をコンスタントに目にします。ここまで来たら難癖かもしれませんけど。

インサイドにステップする打撃フォームのためボックスから飛び出すスピードは悪くありません。

Field – 50/60

高校時代はバッティングファーストのプロスペクトと考えられており、将来的に3BやLF/RFへのコンバートを見込む声も少なくなかったものの、その評価を大きく覆し今ではプラスフィールーダーと見做されています。

そのエビデンスとして守備成績はプロ入りから常にプラス

プラス超の強肩を兼ね備えていることから深めにポジションニングする傾向にあり、スプリットステップから必要十分なリアクションを見せ、基本的に2Bサイドより3Bサイドへレンジを発揮。

配球に合わせてスイングの直前にポジショニングを大胆に変更することも。(ポジショニングの変更が本当に功を奏しているかは知らん。)

中途半端なバウンドの打球に対して躊躇する頻度も少ないように感じます。

ただ、ベースランニング時と同様に歩幅が広く、もう少しアクセラレーションを意識したステップを行う必要があるように思いましす、打球へタイブする際のタイミングなどもイマイチ。

また、グラブ捌きに難を抱えており、グラウンドボールを弾くような通常のエラーだけでなく、2Bでのタグプレーやピボットプレーでボールを取りこぼす場面もかなり目にします。

根本的にグローブの重量やサイズが合ってないのでは?

本当に酷いので念のためにもう1回言っておきます。

タグプレーやピボットプレーのスキルはクソです。

この前のケガだってタグプレー時だったろ?

Arm  – 60/65

三遊間の深い位置からランナーを刺す強肩は現時点でもプラスの水準。

これまでは高強度のスローイングを行うことができるアームアングルが限られており、特にサイドスローが不安定だったものの、今シーズンはその点が改善を見せており、アームアクションのフレキシビリティーは全体的に向上したように感じます。

ただ、キャッチからリリースまでのエクスチェンジが緩慢で、フロントへの弱い打球へチャージした際にリリースまでもたつきを見せることが多く、只でさえポジショニングが深いだけに今後の改善が必要でしょう。

また、1Bフィールダーの頭を超えるようなオーバースローよりスクープが必要になるような引く弾道のスローイングを好んでおり、Ben Riceの技術力が試されるはず。

勝手な意見ですけど、パッシブなアプローチのおかげでバッティングボックスで目立つ機会が少ないためか、その分を取り返すかのように守備の際は大袈裟にプレーしているように感じます。(余分なステップや不必要なグローブワークなど無駄な動きが多い。)

派手なハイライトプレーをや生み出そうとするマインドは必然的に強引なプレーへと繋がるわけで、Lombardの場合も強引にスローイングまで持っていって余分な進塁を許すよう場面が少なくないような気が…。

まあ、まだ21歳になったばかりですから、改善の余地はあって当然ですし、守備に関してはオプティミスティックに考えています。

Overall  – 40/60

ヤンキース:プロスペクト・ランキング:トップ50:2026年開幕版」でKhalil Greeneが50th %ileのアウトカム”と記しましたが、当時はヒッティングに50グレードを与えていたため55 FV評価でした。

しかし、今回はヒッティングを55グレードに引き上げたため、僅かに60 FVへ達したと考えます。

(というか「ヤンキース:プロスペクト・ランキング:トップ50:2025年ミッドシーズン版」のグレードに戻っただけですけど。)

というわけで、今ならKhalil Greeneは30th~40th %ileに位置する存在かと。

50th %ileはStephen Drew辺りかな?

そして、75th %ile前後がケガで使い物にならなくなる前のBobby Crosbyではないでしょうか。

コメント

  1. 匿名 より:

    ソリッドでインプレッシブな文章。
    次回投稿予定だった記事もあまりにファッシネイティング。