ハンター・ディーツ(Hunter Dietz):ヤンキース・1巡目指名(2026年MLBドラフト)


MLBドラフト2026年クラスの上位ラウンド指名候補プロスペクト

本日行われた2026年 MLBドラフト 1st Dayにおいて、1巡目(CBRdA)の全体35位指名権を持つニューヨーク・ヤンキースはUniversity of ArkansasのSP左腕 ハンター・ディーツ(Hunter Dietz)を指名。

過去の10年間の1巡目指名選手

年度 順位 選手名 PO HS/CO
2025 39 Dax Kilby SS HS
2024 26 Ben Hess RHP CO
2023 26 George Lombard Jr. SS HS
2022 25 Spencer Jones CF CO
2021 20 Trey Sweeney SS CO
2020 28 Austin Wells C CO
2019 30 Anthony Volpe SS HS
38 T.J. Sikkema LHP CO
2018 23 Anthony Seigler C HS
2017 16 Clarke Schmidt RHP CO
2016 18 Blake Rutherford CF HS

NYYはHSプロスペクトのピックが見込まれており、その中でも最有力と考えられていたCole Prosekがアベイラブルだったため「コレは決まりか?」と思ったのですが、Eric Milton以来30年ぶりとなるカレッジLHPの1stピックに。

また、NYYは2017年ドラフト全体98位(3巡目)にてTrevor StephanをArkansasからドラフトしています。


Hunter Dietz

ハンター・ディーツ:45 FV
21歳4ヶ月(2005年3月生):6-6/235 lb
University of Arkansas(SEC):SP/LHP

Draft Prospect Rankings
メディア 順 位
Baseball America 34位
MLB.com 17位
ESPN 15位
Over Slot 26位
The Athletic 12位
Prep Baseball Report 28位
Perfect Game 30位
FanGraphs 19位

タンパ/セントピーターズバーグ郊外に位置するフロリダ州パスコ郡トリニティの裕福な家庭に生まれ、強豪Calvary Christian HS(Jack Cebertの出身校)で頭角を現し、2023年ドラフトのTop 200プロスペクトに。

しかし、SECの強豪Arkansasへ進学するも秋に左肘尺骨の疲労骨折を受傷。

2024年シーズン中盤にブルペンで実戦復帰を果たすも、2度目の登板(4月頭)で再び左肘の痛みが再発しシャットダウン。

結果として2025年シーズン終盤(5月)まで1年以上の長期離脱を余儀なくされました。

Year Age Tm Lg ERA G GS IP R ER BB SO WHIP H9 HR9 BB9 SO9 SO/W
2024 19 Arkansas SEC 0.00 2 0 1.0 0 0 2 2 3.000 9.0 0.0 18.0 18.0 1.00
2025 20 Arkansas SEC 54.00 2 0 0.2 4 4 0 2 6.000 54.0 13.5 0.0 27.0  
2025 20 Hyannis CCBL 8.49 7 0 11.2 15 11 12 13 2.229 10.8 1.5 9.3 10.0 1.08
2026 21 Arkansas SEC 3.57 16 16 85.2 40 34 31 131 1.191 7.5 1.1 3.3 13.8 4.23

2度目の復帰後も万全の状態ではなく、シーズン終了後に参加したCCBLでも全く通用しなかったのですが、まるで何事もなかったかのように今シーズン復活。

カムバックライナーを左腕に喰らって緊急降板するアクシデントこそあったものの、シーズンを通して健康体をキープし、最終登板のKansas戦では116球を投球。

K%(36.2%)やWhiff%(37.8%)はNCAAの頂点SECにおいてトップに位置しています。(※RPは除く)

Draft Prospect Rankings Boradでも記しているように、Jackson Floraに次ぐカレッジNo.2ピッチャーの座を争う存在として全体20位前後の評価を受けていたものの、今回のドラフト本番では同様の評価を受けるカレッジピッチャー達と共に予想以上のスライドを見せ、全体35位指名権を持つNYYがピック。

契約に至らない可能性は限りなく低いでしょう。

FB CT SL CB CH Cmd
55 50 55 40 40 40
FB/be FB/vel CT/vel SL/vel CB/vel CH/vel
99 95 89 84 80 84

身長6-6・体重235 lbのフィジカルはサイズは近年のNYYのドラフトモデルにフィット。

高校時代から公称体重に変化がなく、Arkansasで大幅なビルドアップを行ったとの情報も見当たらないため、基本的にフィジカルの成熟度が高くプロジェクションの余地は小さいと捉えるべきでしょう。

高校時代は非常にシンプルなオーバースローでしたが、度重なる故障を経てアームスロットが若干3/4スロットサイドに傾いており、現在のCarlos Rodonの劣化したメカニクスを彷彿とさせる印象。

高身長の割にストライドが小さく、リリースポイントはショートExtension(6.0 ft)⇔ ハイRel-Zの形に。

バックネット裏からの投球映像を見る限りディセプションは厄介そうでしたが、Chase%は並みの数字に収まっています。

Four Seam – 50/55

高校時代はMax 95 mph程度だったものの、左肘を故障する直前にフォールリーグでMax 99 mphを計測。

昨シーズンは再びMax 96 mphへ落ち込んだものの、その後のフォールリーグで99 mphを再計測しており、今シーズンも引き続きプラス水準の球速(Max 98~99 mph、Avg 95 mph)を披露しています。

ハイスロットから投げ下ろすようなアームアクションのためHBが抑えられていて、アッパーゾーンへ投じられる頻度が高いにも拘わらずVAAはスティープ(-5.9°)。

また、時折高いIVBを計測しているものの、ムーブメントのバラツキが大きく、Avg IVBが特段優れているわけではありません。

フィジカル面では球速を伸ばす余地が限られているかもしれませんけど、アームスロットを再び弄るなどしてFFのピッチクオリティを向上させることは十分に可能かと。

Cutter – 40/50
Slider  – 50/55

High-80s mphのCTとMid-80s mphのGylo-SLを投げ分けており、LHBだけでなくRHB相手にも積極的に投げ込んでいるにも拘わらず、Whiff%はともに50%をオーバー。

SLの方がコマンドが安定している印象があり、私はSL>CTだと考えていますが、CTを上位と見做すエバリュエーターも。

恐らくGylo-SLは高校時代から投げているもので、CTはArkansasで新たに習得したピッチかと思います。

現状として2ピッチの間に大きな乖離がなく、NYYのピッチデザインが良い方向に機能すればいいのですが…。

Curveball – 40/40

Avg 2500 rpm前後のCT/SLよりスピンレイトが200 rpm程度高くVBが大きな11-5 CB。

SLと同様に高校時代から投げているピッチであり、そのSLと球速差は大してありませんが、コマンドが非常に不安定。

40グレードを上回るピッチクオリティを有しているものの、高めにすっぽ抜けることが多く、NCAAよりスリッピーなMLB/MiLBの公式球では幾分か苦労するかもしれません。

そのための40/40グレードです。

Changeup  – 30/40

投球頻度が非常に少なく、試合によっては投球数ゼロの場合すらある第4の変化球。

ただ、意外とムーブメントは悪くなく、捨て球のようには見えませんでした。

CBと同じように高めに浮いていましたけどね。

Command – 30/40

ハイレベルなSECのバッターすら圧倒するFF×CT/SL/CBのコンビネーションによって容易にWhiffを奪い、65.5 Strike%・8.6 BB%・58.1 CSW%を記録するなど現状としてコントロールに苦労していませんが、優れたクオリティを有する各種ピッチをアイデアルなコースに投げ込むコマンドは有しておらず、典型的なコントロール>コマンドのピッチャーといった印象。

こういうタイプのドラフトプロスペクトはプロのハイレベルなバッターと相対した途端にカウントコントロールが思い通りに行かず大コケする場合が多く(感覚的に言ってます。エビデンスはありません。)、Dietzの場合はそれが一発病へ直結することも懸念されます。

かと言って、リピータブルなメカニクスを身に付けることができるとも思えず、制球面の上振れを切望するより、現在のようなピッチクオリティでゴリ押すスタイルの研鑽を期待すべきかもしれません。

Overall – 30 PV/45 FV

このように現状としては、完成度が高く即戦力として期待できるようなハイフロアー型の存在ではなく、今クラスのピッチングプロスペクトの中でもトップクラスのアップサイドが魅力的なハイリスクハイリターン素材。

プロペクトとしては45 FVのミドルレンジに位置するイメージで、FanGraphsの換算では保有期間内に稼ぐWARの期待値が2.0程度、スタープレーヤー(保有期間内に4.0 WAR×2シーズン以上)に到達する可能性が2.0~2.5%程度となります。

(当ブログでは45 FVと45+ FVを区別していないため、当ブログにおける45 FVのミドルレンジはFanGraphsにおける45+ FVのフリンジクラスに該当。)

ただ、Dietzはハイリスクハイリターンのプロペクトであるため、上記よりもWARの期待値がは↓、スタープレーヤー確率は↑になるかと。

ヤンキース:プロスペクト・ランキング:トップ50」のミッドシーズンアップデートを行う際は、大体6位ぐらいにランクインさせるかな?

ちなみに、私が数年前に調べた限りでは45 FVのピッチングプロスペクトが1シーズンだけでもSPローテ6番手以内でプレーする可能性は約35%、5番手以内なら約20%、4番手以内なら10%程度でした。

そのため、Dietzの50th %ileのアウトカムはハイレバレッジRPと考えられます。


Hunter Dietzの1巡目(全体35位)指名は...

本来なら全体35位は45 FVのプロスペクトを抑えられれば御の字といった指名順位。

その中で45 FVのミドルレンジに位置するピッチングプロスペクトを獲得する権利を得られたのは(昨年と同様に)ラッキーだったかもしれません。

ただ、個人的に残念な点が2つあります。

1つ目は「ヤンキースの2026年MLBドラフト指名候補」で取り上げていないプロスペクトだったことです。

Dietzを取り上げなかったのは好みではないからではありません。NYYの指名順位までスライドすると思っていなかったから触れませんでした。

(そう意味ではネガるような話ではないかも。)

また、2巡目(全体63位)は最後の最後に簡易版で取り上げたSean Duncan、3巡目(全体99位)はスルーしたBrendan Brock、そして4巡目(全体127位)に至ってはそもそも知らなかったPaul Gutierrez-Contreras IIでした。

だから15回(総勢64名)分も記事を書く意味なかったわけですよ。

時間を無駄にしました。

2点目はドラフト戦略についてです。

正直なところ1巡目でアスレティシズムに優れるダイナミックな野手プロスペクトを抑え、2巡目以降でフィジカルが大きなカレッジ出身のピッチングプロスペクトを青田買いする近年のNYYのドラフトアプローチを気に入っていました。

だから2024年のドラフトをボロクソ書いたわけ。

まあ、Ben Hessはオーバーピックだったのに対し、Dietzの場合はアンダーピックとなりますから、不満は然程ありません。

ただそれでも、やっぱりAiden RuizとかCole ProsekDaniel JacksonTy Head辺りを欲しかったよね。

(一番欲しかったのはTaj Marchandですけど、全体33位のTBRで消えました。)

また、1巡目指名についての大きな不満点は上記の2つだけですが、ドラフト Day 1 全体では幾つもあります。

前述のドラフトアプローチを気に入っていただけに、ピッチャーのピックを続けたのは当然気に食いません。

もちろんSean Duncanのオーバースロットを確保するため3~4巡目でアンダーピックをかます必要があったことは重々承知していますが、そもそもDuncanを最後に取り上げたのもKiley McDaniel(ESPN)がNYYとの強いリンクを報じたからであって、個人的な好みに合致するプロスペクトではありません。

Brendan Brockを取り上げなかったのも個人的に魅力を感じなかったからです。

NYYが上位ラウンドで独自路線に走った場合は尽く失敗に終わります。

それを改善できないところがこのポンコツ球団の可愛らしいところかもしれませんけど。

ただ、NYYはCam SchlittlerBen RiceWill Warrenなど5巡目以降で顕著な成功を収めているチームですから、明日のDay 2は逆に期待したいと思いますね、

どうせダメだろうけど。


こういう時に自称有識者は贔屓のピック全てにポジっておいて、その中から成功者が現われた途端、水を得た魚のように得意顔で「私は評価していました(キリッ)」と自画自賛を行いますが、私は馬鹿なニワカですから気に食わないものには素直に”Fuck”と言いたいと思います。

ということで…

Fuck you, Stanton.


映像集

コメント

  1. 匿名 より:

    典型的なコントロール>コマンドのピッチャーといった印象。
    こういうタイプのドラフトプロスペクトはプロのハイレベルなバッターと相対した途端にカウントコントロールが思い通りに行かず大コケする場合が多く(感覚的に言ってます。エビデンスはありません。)

    長年このコントロールとコマンドの違いに曖昧さを感じていました。
    従来はコントロール=ストライクがとれる能力
    コマンド=狙ったところに投げる能力だったと思います。これだとなんかぼやけている。

    そこで新たな提言があります。
    それは、コントロール、コマンドではなく「ストライクバリエーション」として評価するというものです。
    シンプルにストライクを取れる球種とその使い方のバリエーションが多いか少ないかの評価をする。

    わかりやすい例が今井達也。コントロールも良くはないが、それよりもストライクを取れるバリエーションが少なすぎて打者のレベルが上がると完全に詰むパターン。(打者がしょぼいとコントロールが良く見える)

    コントロール>コマンドの評価のピッチャーって総じてバリエーションが少ないじゃん!と思ったところから考えました。

    これいかがでしょうか?評価お願いします。
    ニワカだったら普通にボコボコにして下さい。

    • 管理人 より:

      それってコマンドとコントロールのリクラスファイというよりは、コントロールを細分化するような形になりませんか?

      低能な馬鹿なので建設的な意見なのか単なる謬見なのかハッキリ分かりませんけど、少なくともコントロールとコマンドの違いについてチンプンカンプンの大半のメジャカスよりは100倍マシじゃないですか。たぶん。

      私はコマンドとコントロールの違いを説明するに当たって、以前から90年代ATLのSPローテがベストサンプルだと考えています。
      コマンド〇・コントロール△がTom Glavine。
      コマンド△・コントロール〇がJohn Smoltz。
      コマンド〇・コントロール〇がGreg Maddux。
      といった感じです。
      これでぼんやりとしたものが少しでも晴れてもらえれば。

  2. 匿名 より:

    最も早い指名が全体35位である以上はBPA的な指名に徹するべきだと思うので、これほどのスティールができたことを
    喜んでいました
    と同時にここまで落ちたということは状態やオフフィールドへの懸念があるのではと少し心配です

    • 管理人 より:

      部外者がアクセスできないファクターを心配しても仕方が無いですし、Mason EdwardsやCole Carlonもスライドしていましたから、そういったトレンドのドラフトだっと捉える方がいいかもしれませんね。
      南東部の宗教系高校出身ですから確かに思想などがアレな可能性もありますけど。

  3. 匿名 より:

    具体的な例ありがとうございます
    ニワカ&ピチピチの若者なので90年代を生で見たことがなくマダックスぐらいしかイメージがわきません

    ニワカに合わせてもらうのは申し訳ないですが、現役でコマンド⚪︎コントロール△×の先発投手って誰かいますか?

  4. 匿名 より:

    ここ最近はTWPのドラフトが数人いますが三年未満で片方に専念が殆どです。やはり外部からある程度両方の実績がないと早期で見切りをつける感じですか?そろそろアメカス産のTWPが出てきて欲しいです。
    それこそNYYから出てくるとより一層MLBが盛り上がりそうな気がします。

    • 管理人 より:

      そこら辺って現ファームシステムの欠陥と捉えられがちですけど、両方で育成するのはチームだけでなくプレーヤー本人からしてもマイナスだったりしますからね。
      MiLBで時間を掛けて投打を鍛えさせられるより、片方に専念することでさっさとMiLBを卒業しFA時の年齢を引き下げてもらう方が、恐らくプレーヤーの生涯賃金の期待値は向上するかと思います。
      言うなれば現況は互いにWin-Winの状態ですよ。
      谷だって初めからOFに専念していれば、キャリアWAR等が今より上だった可能性十分ですし。

  5. 匿名 より:

    菅野がコマンド>コントロール評価なんですね

    球がしょぼくて打たれるからすみっこ狙わざるおえないピッチャーもコマンド>コントロールになるのか。
    ただストライク投げるだけならいつでもできるイメージだったんだけどな

    • 管理人 より:

      コントロール=カウントコントロールのニュアンスですからね。
      PQがショボい菅野にはカウントをコントロールする力なんてありません。

  6. 匿名 より:

    なるほどなるほどなるほど

    メカニクスや調子を保てれば評価は変わらないコマンド
    メカニクスや調子が保てても対戦打者のレベルに応じて評価が変わるのがコントロール

    コントロールの評価は生き物

    合ってるでしょうかズレてるでしょうか

    • 管理人 より:

      評価するに当たってどうしてもCSW%のような指標に頼ることになるため、現状として否応にも外的要因が作用しちゃってますが、本来ならコントロールもコマンドと同様にRaw Toolとして取り扱うべきです。
      だから、エバリュエイション界隈が現に行っているコントロールの評価を生き物と捉えるのは半分正解で半分間違いではないでしょうか。

  7. 匿名 より:

    返信ありがとうございます。
    FA時の年齢は頭に無かったです。
    確かに生涯賃金考えればwin-winだと感じますね。
    谷がOF専にした場合キャリアwarが今より上の可能性ありますかね?
    投手warの良さで24以外はTOP級になってるので仮に守備がレギュラークラスちょい下だと考えると通算warは二刀流した方がいい気がします。

    • 管理人 より:

      谷が守備力並みのRFとして2021~25年の打撃走塁成績を残していれば約8 WAR/150 Gとなります。18~19年も約5 WAR/150 Gです。つまり、ピッチング由来のUCLのケガなく健康体を維持していれば、通算WARは現状と同等だったはずです。
      彼の運動能力と80グレードの強肩ならRFの経験を重ねていればStantonやGalloのように優れたRF守備成績を期待できていたかもしれませんし、バッティングのピークが伸びるだけでなく本格化のタイミングも早まっていたのではないでしょうか。
      そういったことを根拠に通算WAR云々を述べました。
      まあ、話題性とそこから生み出されるスポンサー収入を考えれば、経済性は現状が最適解だったと思いますけど。

  8. ブライアン・ダニエルソン より:

    2人の話のレベルが高すぎてついていけない、、、