ジェイコブ・シーマン(Jacob Seamon):2027年MLBドラフトお気に入りプロスペクト

ここ最近、2026年MLBドラフトの上位ラウンド指名候補を取り上げてきましたが、今回は1年先取りして2027年クラスの個人的なフェイバリット・プロスペクトについて記したいと思います。


Jacob Seamon

ジェイコブ・シーマン:現16歳9ヶ月(2009年8月15日生)
6-5/200:L/R:Metrolina Christian Academy (NC):CF/SS

High School Draft Prospect Rankings
メディア 順位
Baseball America 2位
Prep Baseball Report 5位
Perfect Game 12位
Over-Slot 7位

かの有名なPat Gelsingerが取締役会長を務めるGloo HoldingsのCFOを父に持ち、NCISAA(=ノースカロライナ州のインデペンデントスクール協会)の4Aクラスに属する大規模校Metrolina Christian Academy在学。

(元々は両親の地元であるイリノイ州出身ですが、父親の転勤によって2021年頃にノースカロライナ州へ移住。あと恐らくGOP支持。)

兼ねてから2027年クラスのトップティアに属するプロスペクトと見做されており、U-12 Team USA・U-13/14 ADP・U-15 Team USA・U-16/17 NTDPの全てに選出。

今年は偶数年のためU-18 World Cupが開催されませんが、もし開催されていればTeam USAの一員として出場を果たしていたことでしょう。

昨年秋にLSUへのコミットメントを獲得。

Metrolina Christian AcademyでのStats

Year GP PA H 2B 3B HR BB K Avg OBP SLG OPS
2024 31 80 16 4 0 2 20 12 .296 .494 .481 .975
2025 26 99 26 7 1 10 22 21 .361 .505 .903 1.408
2026 34 131 56 12 5 13 19 19 .528 .595 1.104 1.699

NCHSAA(=ノースカロライナ州のパブリックスクール協会)の6~8Aクラスと比べれば若干見劣りするかもしれませんが、NCISAAの4Aクラスはハイレベルな環境であり、その中でもMetrolina Christian Academyは今年の4Aクラス選手権で準優勝を果たしたエリートスクール。

例えばチームのエースピッチャーである1学年先輩のChase KikerはMax 100 mphを計測する今年の上位ラウンド指名候補。

多くの場合において地元リーグでの成績は大して参考にならないのがアメリカ高校スポーツ界の特徴ですけど、そういった環境下だけに上表に示す成績向上はプラスに捉えて構わないかと思います。

また、対戦相手のレベルが高まる4Aクラス選手権においてサイクルヒットを達成するなど、準優勝といえども個人としては最高の形でシーズンを締めくくり、最終週にPRBのNational Player of the Week Newsを受賞

ただ、肝心のショーケースサーキットではパフォーマンスが低迷しており、昨年は48 PAで.744 OPS(.188/.364/.388のスラッシュライン)

特にコンタクトスタッツは酷い有様で、Contact%は4 %ile、Z-Con%とO-Con%は共に5 %ileの最低水準に位置しており、その結果としてK%は2%。

Chase%が36 %ileに留まっている点はせめてもの救いですが、ここら辺の数字は現在物議をかもしているJacob Lombardさえ下回っています。

(補足情報として、夏頃=ショーケースの時期に足首を痛めていたとの話。)

恐らく2027年クラス最大のギャンブル案件と言えるでしょう。

Hit Power Run Arm Field
35 60 60 50 50

初めに引用した3年前のポストに記した通り、彼の最大の魅力は高校球界最大級のフィジカルサイズとトップクラスのアスレティシズムのコンビネーション。

6’5″を上回る2027年クラス上位ラウンド指名候補のHS野手はGraham Keen唯1人しかおらず、昨オフのオフシーズンワークを見る限りフィジカルには未だ相当なプロジェクションの余地が。

また、2025年の春に所属校で受けたアスレチックテストの結果やショーケース等での計測記録(注記参照)を下表にまとめましたが、文字通りトップクラスの数字が並びます。

特にBoard Jump(立ち幅跳び)は学校記録とのことですが、11フィート3インチってNFLコンバインでも最上位にランクインするような数字なので、もしかすれば通常とは異なるテストかも。

ただ、Baseball Americaによると、2026年クラスも参加するEast Coast Pro Showcaseで行われたアスレチックテストでは、60 Yard Dashで91 %ile(8/90、6.46秒)、Board Jumpで97 %ile(4/136)、Peak Power Measurement(恐らくフォースプレート上でのカウンタームーブメントジャンプにおけるピーク反力)で96 %ile以上(Top 5/1364)を記録しており、高校球界最上級のアスリートであることは間違いありません。

加えて陸上部でも活躍していて、今年のNCISAA選手権(インドア)では55 Meter Dashで入賞。


テスト 計測記録
5-into-10 Fly 1.19 sec
10 Yard Split 1.54 sec*
20 Yard Split 2.63 sec*
30 Yard Dash 3.63 sec*
40 Yard Dash
(Top Speed)
21.9 mph
60 Yard Dash 6.46 sec*
55 Meter Dash
(= 60.1 Yard)
6.58 sec*
Vertical Jump 35.1″
(89.2 cm)
Board Jump 11’3″
(3.43 m)

*10 Yard Split、20 Yard Split、30 Yard Dashは2024年8月(15歳の誕生日の直後)のPDP Testでのタイム
*60 Yard Dashは2025年8月(16歳の誕生日直前)のECPでのタイム
*55 Meter Dashは2025年12月(すでに16歳)の陸上競技大会でのタイム


長身痩躯のロングレバーから大きなヒッチを持たせてバットを振り下ろすスイングは若かりし頃のChristian Yelichを彷彿とさせ、誕生日が非常に遅いにもかかわらずバットスピードは既に2027年クラスでも屈指。

2024年夏のPDP Test(15歳の誕生日の直後)ではMax 106.4 mph EVを計測しており、この夏のショーケース辺りで110 mphの大台に到達する予感。

バレルパスやVBAがアイディールではないものの、打球を打ち上げることには然程苦労しておらず、逆方向にもGame Powerを発揮。

ただ、スイングがプレーンに乗らずバレルがヒッティングゾーンが外れる場面が多く、その欠陥にアグレッシブなアプローチと稚拙な選球眼が相まって、コンタクトスタッツが前述したような最低水準に。

特にアッパーゾーンに対するアプローチが酷く、肩付近の高さのクソみたいな釣り球をWhiffすることも屡々。

かと言ってIn-Zoneに対するWhiffを抑えらているわけでもなく、当然ながらLHPも苦手としており、バットコントロールやコンタクトスキルについてポジティブなファクターは限られています。

NCISAAの成績を見てK=BBをまともな数字だと勘違いする人がいるかもしれませんが、Metrolina Christian Academyのレギュラーの半数以上はK≒BBまたはK<BBの成績を残しており、Seamonの19 Kはチーム3位(ただしK%は4位)にランクイン。

SophomoreからJuniorにかけてK%が約7%も良化していますが、それでもまだまだ不十分と言えますし、この夏のショーケースサーキットで成長を披露することができなければ、ドラフトプロスペクト評価急落の憂き目に遭うことでしょう。

前述したようにプラス~ダブルプラス級のスプリントタイムを残しており、これはフィジカルサイズと早生まれを考えれば表面上の数字以上にインプレッシブ。

走り出しが素早いため1B到達タイム(Max 4.09秒)なども上々の数字で、この2年間NCISAAでは51回のSBAを全て成功させています。

ただ、走塁判断に難を抱えており、スライディングも下手糞なため、純粋なスピードほどのランバリューは見込めないかもしれません。

CF守備では、リアクションタイムこそイマイチなものの(集中力に欠けリアクションが大きく遅れる場面も目にした)、Jumpの段階での打球判断やその後のルート取りは優秀で、ベースランニングでのスライディングは下手なクセにスライディングキャッチやダイビングキャッチは何故か上手。

また、今シーズンはSSでの起用も増えているのですが、私が見た数試合だけでもかなりの技術的なミスが見受けられ、IFとしてのセンスは感じらせません。

無難にOFとして育成するのが正解だと思いますけど、取り敢えずLF/RFではなくCFでプロキャリアをスタートさせることができるはずです。

(先に何度か触れましたが、)フィジカルサイズとアスレティシズムに加えて年齢も大きな魅力。

2009年8月生まれのため来年のドラフト時点でまだ17歳。

つまり、ドラフトプロスペクトとして約1年も年上のプレーヤー達と競い合っているわけです。

そう考えれば低成績と未熟なスキルについても一考の余地がありますね。

このように極端なほど一長一短のツールを兼ね備えたプロスペクトであり、基本的に2027年クラス版のJacob Lombardと考えて差し支えありません。

今後の歩み次第ではElijah Greenと比較されるチャンスもあるでしょうし、反対にドラフト1巡目指名どころか上位ラウンド指名候補から転がり落ちる可能性も。

例えば、2026年クラスのHS勢では数年前までGrady Emersonと並ぶプレーヤーが2人いました。

Rookie ShepardKevin Roberts Jr.です。

しかし、前者は実戦で結果を残せずドラフト上位ラウンド指名候補から姿を消し、後者もヒッティングスキルへの懸念を払拭できず2巡目クラス以下に。

Grady Emersonも2年前のショーケースサーキットでは成績が低迷したものの、昨年にパフォーマンスを伸ばした結果、今があります。

Jacob Lombardだって今春にスカウトをある程度納得させるような成長を見せていなければ、今頃はTop 10ピックに名前が挙がることはなかったはず。

他にもBrady HarrisJames Tronsteinなど1巡目指名を期待されながらも結果を残せず姿を消したHSバッターは多数。

悪い意味で彼ら以上にヤバいコンタクトスタッツを残しているSeamonがダウンサイドに振れる可能性はかなり高いはず。

でもそれが彼の魅力なんですよね。

プロスペクトなんて万馬券を狙ってナンボです。

つまり、Spencer Jonesみたいな奴は、プロ入りしたらどうせ応援するだろうから、高校生の時点で早いうちに抑えておこうという魂胆ですわ。

(先に勢い余って”2027年クラス版のJacob Lombard”と書いてしまいましたが、よくよく考えれば”2027年クラス版のKevin Roberts Jr.”と評するほうが的を得ているかもしれません。)

映像集

コメント

  1. 匿名 より:

    14歳で身長が止まる人も、17歳で身長が伸びている人も山ほどいると思いますが、早生まれの1年とかってそんなに考慮するものなのですか?

    • 管理人 より:

      だって、学年制度におけるRAEって世界的な社会問題ですよね?
      別にMLBドラフトに限らず勉学やスポーツの全てにおいて考慮すべき話ではないでしょうか。

      自分はその点を重要視しているため、ドラフトプロスペクトに限らずNYYのプロスペクトも月単位で年齢表記しています。

      MLBチームが如何に考量するかは各自のスカウト戦略によりけりですが、例えばATLは高齢のHSプレーヤーを数多くピックしています。
      反対にMILは誕生日が遅いHSプレーヤーばかりをピックしていて、そういった戦略を採用していることは明らかです。

  2. 匿名 より:

    もちろん第二次成長期の特に10歳未満の子どもにとっての半年とか、もし360日なんていったらかなり大きな差ですしそれはわかりますよ。

    その頃の差から来る劣等感とか経験値の違い(スポーツなら出場機会など)を大人になるまで引きずることも時にはあるでしょうし。

    けどほぼ全ての人が第二次成長期を終えている17歳以降で400日差とかならまだしも、産まれた月が4ヶ月違うとか、8ヶ月違うとかで大きな差が出るとはどうしても思えません。
    そんなの成長速度の個人差で余裕でひっくり返るでしょと思ってしまいます。

    RAEは10代後半までに考慮する差(中学、高校のスカウトとか)10代後半からの伸び代は個人差と思っていますが間違っているのでしょうか。

    それこそ例に出して頂いたATLも、なぜか他がやたらRAE気にするから相対的に評価の下がったプレーヤーを狙う方が得だと思って指名しているでしょうし。
    好みといったらそれまでですが。

    • 管理人 より:

      野球に限らず様々なスポーツのRAEに関するリサーチが存在するので確認してみてください。

      また、HSプロスペクトの年齢を気にかけないエバリュエーターなど見たことありませんが、別に彼らが好き好んでやっているわけではありません。彼らが接するスカウトやクロスチェッカーがそうだからです。
      MLBのスカウティングはデータドリブン化していますから、トラッキングデータやアスレチックスコアを年齢で補正するようなアナリティクスも行われているはずです。

  3. 匿名 より:

    訂正、第二次成長期前の10歳未満の子ども

  4. 匿名 より:

    色々教えて頂きありがとうございます。

    でも例えば12歳で身長がグッと伸びる人もいれば、14歳でグッと伸びる人もいるのは確実ですよね。それが特に少数派とかではなくて。

    そこで1年2年ぐらいの差は個人差として普通に出ると思うんですけど、そこについてはどう考えられていますか?
    早熟なだけのスーパー小学生が無双するとかよくある話じゃないですか。
    どうしてもそこだけは納得したいです。

    • 管理人 より:

      身長って16~17歳ぐらいでほぼ確定しますから、当年や翌年のドラフトプロスペクトを評価するうえで身長の伸びとそれに伴うツールの成長を見込んだりはしません。
      U-15や契約前のInt FAなら話は別ですけど。
      実際にRoderick Ariasとか契約までの1~2年間に3~4インチも身長が伸びて体格面の懸念を払拭しましたし、2年前にSeamon推しを始めたときは6’7″ぐらいまで行くかもと期待してました。

      なんじゃそりゃ

  5. 匿名 より:

    質問しておいてあれですが自分なりに納得しました。フィジカルの成長具合というよりはシンプルに経験値の差をメインとして考えたら完全納得です。
    すっきり

  6. 匿名 より:

    新たに質問が出ました。
    実力が拮抗していて差をつけるのが難しいプレーヤーが2人いるとします。

    違いとして
    1人はフィジカルの伸び代が少なそうな18歳2ヶ月のプレーヤー
    もう1人はフィジカルの伸び代が大きくみえる18歳10ヶ月プレーヤー

    ざっくりすぎるとは思いますが基本前者を指名しますか?

    • 管理人 より:

      前提がホントざっくりすぎるけど自分は後者ですね。
      各球団のドラフトモデルが如何に評価するかは知らん。