2026 FIDE Candidates Tournamentが7 Roundを終え前半戦を折り返したので、それについての雑感を記します。
目次
Javokhir Sindarov : 6/7 (+3)
史上最年少WC王者の勢いはとどまるところを知らず、3059 TPRの歴史的な快進撃によってタイトル挑戦権獲得はほぼ確実に。
白番では、1st RoundでEsipenko相手に逆転劇を見せると、ソリッドなプリペアによってCaruanaを圧倒。
黒番では、絶好調かに見えたPraggnanandhaa、そしてWei Yiのトリッキーな仕掛けを力技で粉砕し、準備不足のNakamuraに至っては赤子の手を捻るかのような圧勝。
現時点でのLive Ratingは、London Chess Classic→Tata Steel→Prague Int Festivalと3連続優勝中の同郷Nodirbek Abdusattorovに次ぐ第5位。
アメリカ・インド・中国のBig 3が中核を占めるであろうと思われた新世代をウズベキスタンが牽引するとは予想外でした。
Fabiano Caruana : 4.5/7 (+1.5)
言わずと知れた今トーナメントの大本命。
ただ、10年以上に渡りMagnus Carlsenの2番手を務めてきた実績こそ申し分ありませんが、プレーヤーとしてのピークは明らかに過ぎ去っており、Candidates Tournamentにおいては2018年に優勝を果たして以来4位→5位→4位と低迷。
33歳という年齢を考えると、残された時間はそう長くありません。
そのためか、苦手とするNf3から始まるリスキーなオープニングを採用し見事にWei YiとNakamuraに勝利。
他の6人全てと引き分けたBluebaum相手にはアグレッシブなオープニングから圧勝をもぎ取りました。
しかし、プリペアから外れた場面で長考するなどタイムコントロールに苦しむ場面が多々見受けられ、肝心のSindarov戦では15th Moveで1時間の持ち時間差を許し手痛い敗戦。
勝利を挙げたNakamura戦のエンドゲームもハッキリ言って泥試合でした。
Viktor Korchnoiと並ぶ無冠の帝王としてこのままキャリアを終えるのか?
Praggnanandhaa R : 3.5/7 (±0)
2024年のスランプ、2025年前半戦の快進撃、2025年後半戦~2026年序盤のダウンスイングを経て、若干20歳で2度目のCandidates出場。
初戦のAnish ”King of Draws” Giri戦を見事なプリペアによって勝利で飾り、Gukeshとのインド人対決が頭をよぎりましたが、3戦目のSindarov戦において持ち時間が少ない場面で読み切ることができず逆転負け。
やはり、Fast Chessを苦手としている点が仇となったか?
ポイントでは3番手につけていますが、SindarovとCaruanaを相手に黒番を残していることを踏まえると、逆転優勝は厳しい状況。
Anish Giri : 3.5/7 (±0)
大多数のファンとトッププレーヤーが想像した通りの堅実なプレイング。
唯一の白星となったEsipenko戦の勝利も唐突のブランダーによるもので、果敢にリスクをテイクしてるCaruanaと比べると…。
ちなみに、黒星を喫した初戦のPraggnanandhaa戦では、自らのトレーニングコースで推奨していた手を打たなかった結果、無様にも劣勢を許したらしい。
単なる名義貸しだったんだろうな。
Wei Yi : 3.0/7 (-0.5)
ソリッドなプリペアとストラテジーを見せているものの、らしくないカルキュレーションミスを頻発。
特に初戦のCaruana戦で見せた17. Ne5に至っては、今大会はおろかCandidatesの歴史に残るであろう大ブランダー。
2023年の本格復帰以来、スーパートーナメントで着実に実績を残してきましたが、清華大学で才能を無駄にした男にはこれが限界だったようです。
Matthias Bluebaum : 3.0/7 (-0.5)
SNSやReddit上ではミーム担当として開幕前から人気を博すも、始まってみればネタにもならないようなパフォーマンスを披露。
リスクを冒し意表を突くようなプレーに欠け、唯一の格下であるEsipenkoにすら白番でクイーントレードをオファーする有様。
これなら同じドイツ人でもVincent Keymerを見たかったわ。
トーナメント出場権の基準変えろよ
Hikaru Nakamura : 2.5/7 (-1.0)
間違いなく今大会で最も格を下げたプレーヤー。
2022年のDing Lirenや2024年のAlireza Firouzjaのように小~中規模のトーナメントで戦績を整え、今大会最高レーティング2810を引っ下げCandidates出場権を獲得。
さらに、(長男の誕生を理由に)直前のトーナメントを数多く欠場したこともあり、苦手としているプリペアへの期待値も高く、一般的にはCaruanaに次ぐ有力候補と見做されていました。
しかし、Ian NepomniachtchiやNodirbek Abdusattoroなど一部のトッププレーヤーからはその実力と現在のシェイプに疑問符を投げかけられ、蓋を開けてみれば彼らの評価通りの結果に。
これまでプリペアが苦手(嫌い?)なプレーヤーとして知られていましたが、今回も準備不足を露呈しただけでなく、エンドゲームでもミスを連発。
特に第5戦のSindarov戦の敗戦、つまり世界タイトル挑戦権獲得の可能性が事実上ゼロとなった直後のメディア対応(インタビュー)において、怒りに身を任せたまま自らの研究チームへ責任転嫁を行い炎上。
その中で述べた「Castles wasn’t in the file.」は今後もミームとして人気を博すことでしょう。
そもそも、38歳という年齢を考えると今回がラストチャンスだったはず。
恐らく今大会終了後にClassical Chessから引退する流れになろうかと思います。
Hikaru Nakamura after losing to Sindarov:
“This game at least I can’t be mad at myself! This is 100% on the people who are working for me. I had a file, didn’t have the move castles (12…0-0). I guess it’s technically a novelty, but it’s such a human move” 😱 #FIDECandidates pic.twitter.com/ZdB7eWhfUH
— Chess Topics (@ChessTopics) April 3, 2026
Andrey Esipenko : 2.0/7 (-1.5)
最下位の最有力候補が世界のトッププレーヤー達に実力差を見せつけられ順当な戦績に。
2024年のCandidatesでNijat Abasovが残したワースト記録3.5/14を上回ることができるか?
どうせSindarov優確で上眺めても意味ないのだから、こっちに注目したい。