【小ネタ】ヤンキースのバッティングオーダー(FanGraphs Lab)


How does a lineup of all Aaron Judges fare against a team full of Shohei Ohtani? Now you can find out!

Baseball Savantや同タイプのサイトとの競争に晒されている FanGraphsが今年3月にローンチした新サービス「FanGraphs Lab」。

(最近、選手名等をググった際に検索結果上位へFanGraphsが表示されづらくなったのは私だけ?)

試験運用期間が終了したにもかかわらずほとんど誰も利用していない雰囲気ですが、約1ヶ月前に「Baseball Simulator(ベータ版)」が新規ツールとして追加されました。

対戦チームのバッティングオーダー、先発ピッチャー、ブルペンメンバーを設定することで、対戦成績をシュミレートできるツールとなっており、私のような馬鹿で低能なニワカのアホでもチャチャっと利用できるような簡易仕様。

私もリリースから約1ヶ月存在をすっかり忘れていたのですが、この週末にFanGraphsのLive Scoreboardを利用していたら存在を思い出したので、当ツールを利用して小ネタをやります。



導入

行うことは単純です。

NYYのオーダーを入れ替えた場合における予測勝率への影響のチェック。

NYYの対戦相手のメンバーをイチから設定するのは面倒だったので5月15日のNYM戦をピックしました。

当試合はCam SchlittlerClay Holmesが先発を務めており、NYYのバッティングオーダーを以下の通り。

  1. Trent Grisham
  2. Ben Rice
  3. Aaron Judge
  4. Cody Bellinger
  5. Jazz Chisholm Jr.
  6. Ryan McMahon
  7. Spencer Jones
  8. Anthony Volpe
  9. Austin Wells

オーダーの入れ替えパターンは後述する2パターンを採用し、それぞれ10万回のシュミレーションを実施。

簡易的なおかげか1万回を約5~6秒で完遂するので、10万回行っても1分程度しか掛かりません。

利用したプロジェクションシステムはSteamerのRest of Season版(以下、Steam ROS)

ワースト to ベスト

まず、1つ目は実際のオーダー9人をSteam ROSの予測wRC+が低い順(昇順)に並べる、つまり最弱バッターから最強バッターの順でオーダー(ワースト to ベスト オーダー)を組んだ場合。

そして、実試合でのラインナップとワースト to ベストのラインナップ、10万回のシュミレーションの結果が下表の通りです。

  実際のオーダー  ワースト to ベスト
1 Trent Grisham Ryan McMahon
2 Ben Rice Spencer Jones
3 Aaron Judge Anthony Volpe
4 Cody Bellinger Austin Wells
5 Jazz Chisholm Jr. Jazz Chisholm Jr.
6 Ryan McMahon Trent Grisham
7 Spencer Jones Cody Bellinger
8 Anthony Volpe Ben Rice
9 Austin Wells Aaron Judge
  .524 W-L%
(84.9勝)
.518 W-L%
(83.9勝)

実際のオーダーでは勝率.524(162試合換算で84.9勝)との結果が得られたのに対し、ワースト to ベストのオーダーでは.006下回る勝率.518(162試合換算で83.9勝)との結果に。

162試合換算では1勝分の差となりました。

バッティングオーダーに関するリサーチは半世紀以上前から行われており、セイバーメトリクス界ではオーダーを弄ったところで大した影響がないことは常識となっていますが、ここまで極端なパターンでも大した差が生まれないものなんですね。

ただ、もちろんこれは単なる一例(5月15日NYM戦)であって、バッター陣とピッチャー陣のメンバー(特に先発ピッチャー)が異なれば上記のギャップサイズが前後する可能性は十分。

実際に他のNYY戦でも何試合か試してみたのですが、例えばSFGとの開幕戦では今回より勝率差が小さく、直近のBAL戦(LHPのTrevor Rogersが先発)では差が大きくなりました。

加えて、上記に貼ったリリースノートでDavid Appelmanが自己申告しているようにリリーフピッチャーのシュミレーションにエラーが存在する模様で、そこら辺が影響した可能性もあります。

また、オーダーを並べるに当たってvs. R/LHPのプラトーン成績は考慮しておらず(シュミレーションシステム自体はプラトーン成績を使用)、厳密に言えばRHBのVolpeを先頭に置くべきだったかもしれませんね。

あとはRiceJudgeの間に誰か挟む方が弱いかも。

9番:Aaron Judge

2つ目はAaron Judgeをオーダーの最後に置くパターンです。

MLBトップの予測値170 wRC+(vs. RHPに限るとMLB4位の165 wRC+)を誇る疫病神を9番の追いやればどうなるでしょうか?

  実際のオーダー 9番:Aaron Judge
1 Trent Grisham Trent Grisham
2 Ben Rice Ben Rice
3 Aaron Judge Cody Bellinger
4 Cody Bellinger Jazz Chisholm Jr.
5 Jazz Chisholm Jr. Ryan McMahon
6 Ryan McMahon Spencer Jones
7 Spencer Jones Anthony Volpe
8 Anthony Volpe Austin Wells
9 Austin Wells Aaron Judge
  .524 W-L%
(84.9勝)
.521 W-L%
(84.4勝)

9番にJudgeを据えた場合、実際のオーダーを.003下回る勝率.521(162試合換算で84.4勝)に。

ちょうど実際のオーダーとワースト to ベストの中間といった感じ。

ちなみに、Judgeを7番や8番に置くパターンもチェックしましたが、9番に置いた場合より勝率は上昇。

最後に

ここまで極端な例を用いても予測される勝率ダウンは1%未満。

前述したセイバーメトリクス界の常識通り、やっぱりバッティングオーダーの影響なんて微々たるものですね。

素人がFAXで指示したって別に構わないのでは?

また、「FanGraphs Lab」もパッとしません。

Hot Streak」とか「Power Rankings Board」なんて誰が使うの?

今回の「Baseball Simulator」は1万回を約5~6秒で完遂するほど手軽ですし、選手補強やチームのプラトーン力などのチェック、あるいは野球賭博やFantasyに有用かもしれませんが、大半のFanGraphsのサービスやツールと同様に痒い所に手が届かない感じ。

シュミレーション結果をCSVファイルとして出力できるものの、CSVファイルに格納されるデータは非常に限られており、ハッキリ言って使い道はありません。そこら辺を手抜きせず、有料会員なら得られるデータが豊富になるとか差別化すりゃいいのにね。

これでは私のようなニワカ向けのツールが関の山ではないでしょうか。

実際にリリースノートのコメント欄を眺めてみると、全員Ohtani vs. 全体Judgeを対戦させてあーだこーだ言ってるような人間ばかり。

もしかすると1番の使い道は贔屓チームのオーダーについて文句を叫んでいるような考え無しのファンを論駁する際のエビデンスに用いることかも。

例えば、ベンチを無理くり叩きたいがために単なる3・4番バッターの順序如きに難癖付ける馬鹿で低能なニワカのアホへ突き付ければ一瞬で騙させることができるでしょう。

まあ、こういう奴は頭悪いくせにプライドだけは無駄に高いので、端から話が通じないパターンがほとんどですが…。