野球の競技体系が整備される以前から、良くも悪くも球界に多大な影響を与えてきたベースボールライター。
大半は物書きが上手なだけで野球への知識も理解度も低い人間ですが、その傍らで数多くの有能ライターが誕生し、プレスボックスやフィールドサイド、クラブハウスでその手腕を発揮してきました。
そういった中、20世紀終盤にひと際異彩を放っていたのがPeter Gammons。
Boston GlobeとSports Illustratedでライターとしてキャリアを築き、1990年代にはEPSN全盛期の名物プログラム”Baseball Tonight”のアナリストとしても活躍した、MLBファンなら誰もが知る超有名人。
かくいう私もPeter Gammonsを野球史上最も優れたベースボールライター(ジャーナリスト)と考えている数多くのMLBファンの1人。
そして、彼を偉大な存在たらしめている最大の所以がBoston Globe時代の伝説的な日曜コラム(Sunday Notes Column)です。
1週間の試合結果のリキャップや補強市場の動向リポートといった標準的なコンテンツ(標準的と言っても超ハイクオリティ)は勿論のこと、その裏側での珍事やハプニングといったディープな三面記事ネタを皮肉とユーモアたっぷりに取り上げ、”This Week in Baseball”の紙面版と呼べるような内容。
特にコラムのフォーマットが完成し紙面のほぼ1ページを占めるようになった全盛期(1983~1985年頃)のクオリティは驚異的でした。
デイリー記事も執筆しているライターが毎週毎週どうやってこれほどの膨大なネタを仕入れたうえで纏め上げていたのか、私の脳みそでは全く理解が追いつきませんが、Gammonsほどの大天才であればそれを実現に導くネットワーク構築が可能だったということなのでしょう。
まあ、流石に今世紀のウェブメディア時代に入ってから大活躍しているイメージはありませんけど、J. G. Taylor SpinksやDick Young、Jerome HoltzmanといったGammonsと肩を並べる偉大なライター/ジャーナリストが様々な経緯によって晩節を汚したことを踏まえると、Gammonsの終活はまともな部類に入るのではないでしょうか。
ちなみに、1970年代前後のBoston GlobeはGammonsに加えRay FitzgeraldやLarry Whitesideといった各種スポーツの有能ライターを数多く擁するオールスターチームでした。
つまり、かつてポストンのスポーツファンは世界最高峰のスポーツジャーナリズムに触れていたわけ。
現在のボストンはBoston Globeを始めとするメディアの水準が低下したおかげか、残念ながらバカとレイシストしか残っていないため、私たちのような現代人からすればにわかに信じがたい話かもしれませんけど...。

※P.S.※
導入で「私もPeter Gammonsを野球史上最も優れたベースボールライター(ジャーナリスト)と考えている数多くのMLBファンの1人」と記しましたが、その際にGammons以外で他にBOAT候補として頭を過ったジャーナリストが1人だけいます。
Hugh Fullertonです。
Chicago Tribune等に勤めていたFullertonはBlack Soxスキャンダルをすっぱ抜いたことで有名ですが、それ以前からシカゴ球界のエースライターとして活躍し、全盛期には全米最高のスポーツジャーナリストと考えられていた人物。
Gammonsを彷彿とさせるユーモアと独自視点を兼ね備え、彼の野球賭博に対する異常なまでの愛情(執着?)は、Black Soxスキャンダルだけでなく現代セイバーメトリクスに通じうる斬新かつ奇抜なアナリティクスも生み出しました。
ただ、ベースボールに詳しい人間なら誰もがFullertonを球史に残る偉大なライターと認識しているでしょうが、その他大勢の間ではBlack Soxスキャンダルが独り歩きして、彼の類い稀なキャリアが正当に評価されていないような気がします。