アンソニー・ボルピの現在地


「IKFをトレードして、アンソニー・ボルピを開幕から起用しろ!」についての雑考察

George Lombard Jr.のMLBデビューによってお役御免となったAnthony Volpe

この数年間のNYYファンベースで最もヘイトを集めたプレーヤーの1人であったわけですが、今となっては叩く必要もありませんし、これまでの怒りと憎しみは一旦忘れ、彼が現在どの程度のプレーヤーであるのか確認しておきたいと思います。



大半の野球ファンにとっては気に食わない事実かもしれませんが、プレーヤーを客観的に評価する最良の手段はプロジェクション・システムに頼ることです。

私は恥も外聞もないので、それに甘えたいと思います。

野手のプロジェクションにおいて最も高い精度を誇っているThe BAT XのROS(Rest of Season)予測を今回は採用し、Anthony Volpe各球団のレギュラーSSを現在務めている30プレーヤーのROS予測値のフルシーズン換算(650 PA換算)を行いました。

その結果と順位が下表の通り。

Kaelen Culpepperのコールアップは反映できていません。)

The BAT X

Rank Name Team WAR
(/650)
1 Bobby Witt Jr. KCR 8.3
2 Corey Seager TEX 5.9
3 Francisco Lindor NYM 4.9
4 Gunnar Henderson BAL 4.9
5 Mookie Betts LAD 4.8
6 Dansby Swanson CHC 4.6
7 Elly De La Cruz CIN 4.5
8 Jeremy Pena HOU 4.4
9 Colson Montgomery CHW 4.3
10 Xander Bogaerts SDP 4.0
11 Otto Lopez MIA 3.9
12 Geraldo Perdomo ARI 3.6
13 Trea Turner PHI 3.6
14 Zach Neto LAA 3.2
15 Anthony Volpe NYY 3.1
16 CJ Abrams WSN 3.1
17 Masyn Winn STL 2.9
18 Brayan Rocchio CLE 2.9
George Lombard Jr. NYY 2.8
19 Jacob Wilson ATH 2.7
20 Andres Gimenez TOR 2.7
21 Willy Adames SFG 2.5
22 Colt Emerson SEA 2.3
23 Cooper Pratt MIL 2.1
24 Ezequiel Tovar COL 2.0
25 Andruw Monasterio BOS 1.9
26 Ha-Seong Kim ATL 1.7
27 Jared Triolo PIT 1.7
28 Javier Baez DET 0.9
29 Taylor Walls TBR 0.9
30 Tristan Gray MIN 0.0

Volpeは肩が癒えたおかげか守備成績が揺り戻しを受け、故障復帰から56 G・194 PAで1.1 bWAR・1.1 fWAR(フルシーズン=3 WARペース)を稼ぎ出していますが、ROS予測でも同ペースを維持する見込みに。

そして、TDL市場を賑わせたZach NetoCJ Abramsに挟まれる形となりました。

この2人と同格というのは正直予想外でしたが、理由を推測するのは簡単。

Zach Netoは約105 wRC+を記録しているものの、xwOBAは平均を下回る約.305。

守備成績もDRSはデビュー以来毎年プラスですが、肝心のFRVは反対に毎年マイナス。

これではStatcastベースのThe BAT Xで評価されるはずがありません。

CJ Abramsも同様。

表向きは145 wRC+の強打を誇っていますが、wOBA(.387)とxwOBA(.346)は約.040も乖離。

FRVに至ってはMLBワーストの数字を残しています。

Abramsの守備力を知らないのかNYYファンベースは獲得を切望していましたが、実際のバリューとVolpeからの上がり目は…。

ちなみに、The BAT XにおけるFielding RunsのROS予測をフルシーズン換算するとZetoは-5、Abramsは-9.5、Volpeは+3.5。

Volpeの予測コンポーネント

wRC+ BsR FRAA WAR
97.2 1.0 3.5 3.1

ただ、それでもVolpeのプロジェクションは余りにも楽観的に感じます。

The BAT Xは他のプロジェクションと比べより多くの環境因子を予測に組み込んでいますが、恐らくプラトーン起用に関する設定が主に影響しているのではないかと。

RHBであるSSのvs. RHP/LHPの比率は2.15:1がMLB平均。

しかし、The BAT XはVolpeに対しvs. LHPの割合を高めに設定しているのではないでしょうか。

そうでもなければ、毎シーズンのように90 wRC+を下回り、Statcastスタッツもそれ相応にショボいVolpeが、97 wRC+もの打撃力を見込まれるのは不自然。

そして、その偏りあるスタッツをフルシーズンに引き延ばせばおかしくなるのは当然の話ですね。(これに関してはWittのようなフル出場が見込まれるトッププレーヤー以外全てに当てはまります。)

ちなみに、wRC+を90で再計算するとAndres Gimenez~Jacob Wilsonのレンジ、85で再計算するとColt EmersonWilly Adamesのレンジに。

(そもそも、この記事を書き始めてから気付きましたが、The BAT Xの出場機会の設定方法をよく知りませんでした。勉強不足ですね。これだからニワカは…。)

ということで、他のプロジェクション・システムの予測も確認しておきましょう。

Projection Systems

System Rank WAR/650
The BAT X 15 3.1
ZiPS 19 3.0
Steamer 19 2.7
ATC 17 2.9

WAR/650の予測に大きな乖離はないものの、30球団レギュラーSS内のランクではThe BAT Xより1つ下のティアが並びます。

加えて、当然の話ですがGeorge Lombard Jr.は全てのシステムにおいてVolpeを下回っています。

なお、SteamerではRHP/LHPの比率が2.02:1となっており、前述のMLB平均に沿ったプラトーン起用が設定されている模様。(ZiPSはDepth Chart版ではなく通常版を採用。ATCはDepth Chart版のみアベイラブル。)

とにかく結論として、Volpeは現在のMLBにおいて中の下に位置するSSといった感じ。

また、SSは他ポジションと比べ優れたプレーヤーが集まるため、全ポジションの平均的なレギュラーと比べれば平均ないし中央値より上位の存在に。(全野手の中では120位前後。)

ただ、プロジェクション・システムの”予測値”として示されているスタッツは飽くまでも”50 %ileの予測結果”。

良くも悪くもデビューからフラットなパフォーマンスを残してきたVolpeは、他のダイナミックなプレーヤーと比べアップサイド(51st~99th %ile)への振り幅が小さいと考えられます。

だから、”予測値”ほどのバリューがあるわけでもありませんし、優勝争いやPSに向けてLombardのアップサイドに賭けるNYYの判断は間違っていないでしょう。

途中でディスったAbramsだって更なる飛躍の可能性を考えれば、WSHが安売りする必要性は見当たりません。

最後に

Volpeは決して酷いプレーヤーではありません。

60~65 FVのプロスペクトと見做されていたからバスト扱いを受けているだけで、50~55 FVクラスの期待値には十分達しています。

そして、単にNYYのようなコンテンダーのプレミアム・ポジションでレギュラーを務めるに物足りないレベルだっただけで、AAAへ送り込まれているのはCashmanのロースター管理上の失策と言えます。

かと言って、非コンテンダーに安価な駒として特段必要とされる存在でもありません。

成績が低迷しているチームのロースターやファームシステムを確認してみてください。

どのチームもSSの優れた若手プレーヤーやトッププロスペクトを抱えていて、他ポジションでの実績がないうえに2nd Arbへ差し掛かるVolpeをわざわざ受け入れるメリットなど見出せないでしょう。

とにかく中途半端なんですよね。

中途半端すぎるから需要がないんです。

MLBのデプスの狭間。

それが彼の現在地です。

コメント

  1. 匿名 より:

    1番上のひと言みたいなのってどこへ向けての攻撃ですか?
    アホな谷ファンオンリーですか、PCAとのダブルですか

  2. 匿名 より:

    そんなに大谷翔平を愛してMVP獲得を願っているんだね。

  3. 匿名 より:

    George Lombard Jr.について、たったの数試合の成績やスタッツ、あとなんかベン・バーランダーがポッドキャストで褒めちぎっていたからという理由のみでホルホルしまくっている者です。

    管理人さんもさすがに少しはホルってますか?それともたったの数試合でバカ共がはしゃぎおってと思っていますか?

    • 管理人 より:

      どちらかと言えば後者に当たりますけど、頭空っぽにして大騒ぎできる陽キャ気質の方が人生幸せですからね。
      MLBのような程度が低い娯楽産業に熱を上げているクセに中途半端にスカそうとする私のような陰キャの方が圧倒的にバカです。

  4. ブギーマン より:

    シーガー、ターナー、スワンソン、ボガーツ、マチャドをスルーしたうえで、IKFとほぼ変わらんような旧指標しか残せなかったので過剰に叩かれてる印象はありますね

    来年はセカンドのプラトーン要員兼内野のユーティリティでの起用な気がしますが、将来的にセンターと二遊間を平均以上に守れるユーティリティになったら重宝しそうな気がしませんか?

    • 管理人 より:

      キャリア中盤に差し掛かったIFにまともなCF守備を期待する感覚はないです。IKFが特殊だっただけだと思います。
      そもそも別にOFを守れたとしてもCaballeroのクローンを抱えるメリットは薄いですよね。

  5. ブギーマン より:

    そうすると、SSのレギュラーとしてもう少しアップグレードしてくれないとポルピに価値は感じないですが?

    仮定の話ですが、2Bで今と同じwar3.0くらいの成績だと微妙ですか?(SSと2Bの守備補正の違いは置いといて)

    • 管理人 より:

      そちらが仰っていたようなVolpe起用で安価に2Bの穴を埋め、ブルペンなど他にリソースを割くのは別に構いません。(ファンベースは発狂するでしょうけど。)
      ただ、JudgeとBelliが帰ってくるうえにJones/Ramosのプラトーン体制も整っている来シーズンにおいて、Caballeroに加えVolpeまでもがOFへのフレキシビリティを持つ必要はないよねと。