バリー・ボンズ vs フランク・トーマス

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かねてから明確な答えを出せずに困っている疑問があります。

“Post Mike Schmidt Era”~”Pre Albert Pujols Era” の空白期間 (Drug Eraとでも呼ぶべきか?)における最高の純粋なバッターが誰か?についてです。

当然ながら上記期間における最高の純粋なバッターはみんな大好きBarry Bondsの一択。

その次点もみんな大好きMark McGwireで決まりでしょう。

しかしながら、私が知りたいのはドーピング💊💉の助けを借りたバッターの優劣ではありません。

私が知りたいのは💊💉の助けを排除した場合の優劣です。

そして、この前提を設けた上で同期間の最も優れたバッターを決めるとなると、候補は2人に絞られるでしょう。

1人はBarry Bonds、もう1人はFrank Thomasです。



Barry Bondsは1990年(25歳)シーズンにバッティングが覚醒し、球界最高のプレーヤーとして3度のMVPに輝いた後、1998年(33歳)シーズン終了後からドーピングに手を染めたと考えられています。

つまり、プライムかつクリーン(完全にクリーンだったかは別にして)だった期間は9シーズン・1332 試合となります。(より細かく見ると”1992~98年” > “1990~91年”の形で若干のバッティング成績差があるため、7シーズン・1028試合とも捉えられる。)

Frank Thomasはルーキーイヤーとなる1990年 (22歳) シーズンから早くも球界トップクラスのバッティング成績を残し、1998年 (30歳) シーズンに右足を痛め急速劣化するまで、8シーズン・1076試合に渡りAL最高のバッターとして君臨しています。

このように時代を代表するRHBとLHBの2人が同じような時期にバッティングの全盛期を迎えていたわけで、本記事ではこの期間に焦点を当てたいと思います。

バッティング成績比較

先ずは、連続したシーズンにおける成績= 「Best X Years」 の比較です。

指標はRbat+を採用しました。

Best X Years

Years Bonds Thomas δ
1 205 209 4
2 203 190 13
3 198 184 14
4 190 184 6
5 190 182 8
6 187 181 6
7 185 181 4
8 182 181 1

BondsはPIT→SFG移籍前後の1992~93年シーズンに連続して200超のRbat+を残し(1962年のMickey Mantle以来)、その後も5シーズンに渡って170 Rbat+をオーバー。

Thomasは1994年に113 G終了時点で209 Rbat+を叩き出すも、ストライキによってシーズンエンドを迎え、他のシーズンは170~185 Rbat+のレンジに収束。

この結果だけを見ると、やはりBonds Thomasの形で有意差があるように見受けられます。

とは言っても、シーズン単位で区切るだけは余りにも安直ですから、続いてStatheadのSpan Finderを用いて、連続した出場機会における成績=「Best Span of Y Games」の比較も行っておきしょう。

ただ、残念ながらSpan FinderではRbat+やOPS+を出力できません。OPS+なら自ら概算できますが、こんな安易な記事にそこまで手間を掛けるのも馬鹿らしいので、ストレートにOPSの値を示したいと思います。

Best Span of Y Games

Games Bonds Thomas δ
100 1.276 1.278 .002
200 1.178 1.196 .018
300 1.140 1.168 .028
400 1.110 1.126 .016
500 1.093 1.119 .026
600 1.093 1.113 .020
700 1.077 1.093 .016
800 1.075 1.080 .005
900 1.072 1.072 .000
1000 1.066 1.063 .003

このパターンではThomas Bondsに見えますが、面倒なことに1992年→1994年にかけてMLB平均OPSが一気に約.060もハネ上がっており、1992~93年シーズンがピークのBondsと1994年がピークのThomasを生データで比較するとなると、この打高投低シフトが悪さをしてしまいます。

(参考として本記事の最下部に集計期間を貼っておきます。)

ちなみに、上記期間中にBondsはPIT本拠地Three Rivers StadiumとSFG本拠地Candlestick ParkThomasはCWS本拠地Comiskey Park II(1stシーズンのみComiskey Park I)でプレーしていますが、Baseball SavantによるとwOBA及びwOBAconのPFはThree Rivers Stadium(LHB)>Candlestick Park(LHB)>Comiskey Park(RHB)となっており、ThomasBondsより不利な環境(投高打低)でプレーしていたことも留意点。

ベースランニング補正

また、根本的な話に立ち返りますけど、Rbat+やOPSはプレーヤーの能力やその貢献度を測る指標ではありません。

これらはバッティングと“バッターランナーとしてのベースランニングの一部分”を測る指標です。

本記事の趣旨、そしてBondsThomasのベースランニング能力差を鑑みると、その点を差し引いて比較する必要があるでしょうし、これが私の小さな脳みそを備えたスッカラカンの頭を悩ませています。

皆様ご存知の通りオクスリ前のBondsはMLBトップクラスのアスレティシズムを誇るスピーディーなランナーであり、反対にThomasは足を痛める以前から鈍足と評されていました。

私の勝手な想像ですが恐らくBondsは上記期間の前半 (20代後半) において29+ ft/s、後半 (30代序盤) においてSub-29 ft/sのSprint Speed を有しており、期間全体では29 ft/s程度が平均だったのではなかろうかと。端的に言うとMike Troutのようなイメージ。

Thomasは精々26~27 ft/sが期間平均といった感じで、小さく見積もっても2人の間に2ft/sのスピード差があったと推測しています。

とは言え、こんなモノは単なる感覚論に過ぎないため、もう少しロジカルなアプローチを行います。

Bondsは上記期間に+24 BSR (シーズン平均+3 BsR)、Thomasは-4 BSR (シーズン平均-1 BSR、意外と悪くないよね)を記録しており、このギャップをSprint Speed×BsRの相関に照らし合わせると、約2 ft/sに換算されます。

(つまり、私の勝手な推測はあながち間違っていないかもしれません。)

また、wOBA-xwOBAとSprint SpeedをMLB全体で比較すると、1 ft/s毎にwOBAとxwOBAの間で.055~0.065のギャップが生じる傾向にあり、2 ft/sであれば.011~0.013に相当します。

ただ、BondsThomasのようなHRとBBの割合が高くGBの割合が低いバッターが上記の傾向を示すとは考えにくく、ギャップを控えめに見積もるべきでしょう。

まあ、これ以上考えるのが面倒なのでキリがいい数字=.010 wOBAを設定します。

つまり、Thomasを基準としてBondsのバッティング成績は彼の優れたベースランニング能力によって.010 wOBA水増しされていると想定し、先述のテーブルからその分を差し引くわけですが、大体は.010 wOBA7 wRC+.025 OPSの関係性にあるため、ここでも細かなことは考えずこの値を用いて一律カットを行いました。

Best X Years(BR補正)

Years Bonds Thomas δ
1 198 209 11
2 196 190 6
3 191 184 7
4 183 184 1
5 183 182 1
6 180 181 1
7 178 181 3
8 175 181 6

Best Span of Y Games(BR補正)

Games Bonds Thomas δ
100 1.251 1.278 .027
200 1.153 1.196 .043
300 1.115 1.168 .053
400 1.085 1.126 .041
500 1.068 1.119 .051
600 1.068 1.113 .045
700 1.052 1.093 .041
800 1.050 1.080 .030
900 1.047 1.072 .025
1000 1.041 1.063 .022

さあ、BXYがイイ感じにBondsThomasとなりました。

BSOYGの方もこれなら打高投低シフトを考慮したとてBondsThomasと捉えて問題なさそう。

というか寧ろThomas Bondsに見えるぐらいです。

ただ、先ほど名前を挙げたMike Trout、LHBならChristian YelichOneil Cruzのように俊足にもかかわらずwOBA<xwOBAとなるバッターも存在するため、Bondsがそれに類するタイプだった可能性は否定できません。

そもそも線形相関を紡ぎ合わせること自体に無理があるわな。

最後に

まあ何にせよ、少なくとも私は2人のどちらが純粋なバッティング能力を有するプレーヤーだったか判断が付きません。

しかしながら、Bondsはオクスリに手を出さなくとも、1999年シーズン以降も緩やかな衰え曲線を描きながら通算120~130 WARを稼ぎ出し、今と同じくWillie MaysBabe RuthTed WilliamsとGOATの座を争っていたはず。

今回は飽くまでも全盛期におけるバッティング能力のみを争点としたため互角であった可能性が高いとの結論に至りましたが、ロンジェビティやポジションプレーヤーとしてのバリューには天と地ほどの差があります。

また、1B/DHのThomasと比べBondsが守備走塁で多大な負担を強いられていたことも間違いありません。

そもそもBondsの純粋なバッティング能力のピークが1992~93年と仮定した上で議論を進めましたが、本当に同能力が1999年(34歳)シーズン以降にV字回復を見せ2001~04年(36~39歳)シーズンに1992~93年を上回っていた可能性だって無きにしも非ず。

(どちらが上位かアンケートを貼ってやろうと思いましたが、Bondsが圧勝するのは目に見えているので止めます。)

“Post Mike Schmidt Era”~”Pre Albert Pujols Era” の空白期間と記しましたが、評価基準によってはBondsThomasSchmidtPujolsだけでなく、さらに時代を進め/遡ってMike TroutHank AaronWillie McCoveyFrank Robinsonすら凌駕していたとも考えられます。

つまり、Ted Williamsが引退しMickey Mantleが衰え、Aaron Judgeというエンドボスが現れるまでの半世紀以上(約60年)もの期間において、この2人がバッティングの2トップだった可能性すらあるわけです。

わざわざBondsThomasの優劣を無理くり論じるより、そういった別世代のスラッガーと比較する方が有意義だったかもしれませんね。

P.S.

2007年シーズンの冷めた雰囲気を経験したファンとしては昨今のBarry Bonds人気に日々驚かされています。

SNSを開いた途端にBonds!動画サイトでもBonds!メディア記事でもBonds!です。

Bondsほど成績がコスられたプレーヤーも存在しないでしょう。

BondsのHR!BondsのOPS!BondsのWAR!BondsのBB&IBB!Bondsのvs. Randy Johnson成績!BondsからHRを控除したらうんたらかんたら!

メカニクスやヒッティングスキルも同様です。

Bondsのスイング!Bondsの体重移動!Bondsのヒッチ!Bondsのショルダーローテーション!Bondsのハンドムーブ!Bondsの打撃論!Bondsのアプローチ!Bondsのコーディネーション!

右を向いてもBonds!左を向いてもBonds!上を向いてもBonds!下を向いてもBonds!振り返ってもBonds

Bonds❗BondsBondsBondsBonds

皆さんはタニハラに疲弊しているかと思いますが、私からすればこの20年間のンズハラの蓄積も大概ですよ。

そういった現況の中で私が見たかった世界線が存在します。

それは、Bondsがクリーンにキャリアを終える一方で、ThomasMcGwire並みにオクスリ漬けとなった世界線です。

Bondsは前述したようにベースボールのマウントラシュモアに名を連ねていたことでしょう。

Thomasはどうだったでしょうか?

BondsMcGwireほどオクスリと相性が良くなかったとしても、プライムJudgeに勝るとも劣らないバッティング成績を残していた可能性は十分にあったかと思います。

そして、現実世界で事ある毎にBondsを持ち出し激賞している(自称)打撃有識者の方々は、その世界線でも同じように「Bondsの打撃技術は最高!芸術品!教科書!理想像!」と意気揚々にバッティングを語っているのでしょうか?

Bondsのオープンサイドからのスイング映像のコマ送りにして、その上にラインや円を描きながら動作解析を行っているのでしょうか?

さらに、ビデオゲームスタッツを残しているであろうThomasに関しては現実世界と同様に歯牙にもかけないのでしょうか?

本記事のテーマ並みに疑問なのですが、想像力が乏しい私には皆目見当がつきません。

(*´Д`)どっかのトウモロコシ畑でパラレルワールドへのポータルが見つからないかなぁ。


1941年シーズンにMVPを争ったジョー・ディマジオとテッド・ウィリアムズについて。

P.P.S.

本記事では「Bonds」が67回登場します。

そして、本記事の総文字数は6,329。

つまり、本記事の文章全体の5×66÷6329=5.2%を「Bonds」が占めていることになります。

5.2%…

この記事が一番のンズハラかもしれません。


Best Span of Y Gamesの集計期間

Games Bonds Thomas
Start End Start End
100 1992-8-30 1993-6-20 1993-9-26 1994-7-24
200 1992-8-28 1994-4-12 1993-6-5 1994-7-24
300 1992-8-30 1994-8-8 1993-6-5 1995-7-29
400 1992-8-29 1995-8-10 1993-7-3 1996-6-15
500 1992-8-15 1996-5-18 1993-8-11 1997-6-6
600 1992-8-28 1996-9-21 1993-4-26 1997-6-28
700 1992-9-04 1997-7-25 1992-7-21 1997-7-15
800 1992-8-26 1998-5-9 1992-6-9 1997-9-23
900 1992-8-24 1998-9-4 1991-7-30 1997-9-8
1000 1992-8-28 1998-9-27 1991-4-22 1997-9-21

コメント

  1. 匿名 より:

    史上最高クラスの記事ありがとうございます。
    大のイチ&ンズ信ですが、谷普通のトーマス信でもあるのでセーフということで。

  2. ブッカーT より:

    Best X Yearsの表のボンズは、デビュー〜1998年までの成績のなかでってことですよね?

    あと、最後の集計期間のボンズ欄は誤記?

  3. 匿名 より:

    この記事の書きぶり(「最後に」の項目)からすると、バッティングに限っても
    Schmidt,Pujols > Thomas,Bonds(~98)
    が一般的な認識なんですかね?

    私は「Mantle~Judge」間のバッティング2トップはThomasとBonds(~98)と考える人間なんですが
    これは私がOBPとBB/K信者なので出塁マシーンのこの2人を過大評価しているのかもしれませんね。

  4. あああ より:

    この記事の書きぶり(「最後に」の項目)からすると、バッティングに限っても
    Schmidt,Pujols > Thomas,Bonds(~98)
    が一般的な認識なんですかね?

    私は「Mantle~Judge」間のバッティング2トップはThomasとBonds(~98)と考える人間なんですが、
    これは私がOBPとBB/K信者なので出塁マシーンのこの2人を過大評価しているのかもしれませんね。

    • 管理人 より:

      そこの「~記しましたが」の部分の表現が下手で意図が分かりづらく申し訳ありませんが、Pujols/Schmidt>Thomas/Bondsと考えていたわけでありませんし、少なくともThomas/Bonds>Schmidtであることは確かです。
      また、Thomas/Bonds vs. Pujols、Trout、Aaronについては”評価基準によって”優劣が異なるはずなので、含みを持たせた書きぶりにしましたが、その中で2人を2トップを捉えるのは一理あると思います。
      そもそも一般の認識おいては、Thomas/Bonds Eraの前世代はSchmidt EraではなくGwynn Eraかもしれません。

      • あああ より:

        (同じコメントを連投してましたすみません)

        管理人さんは以前「どの選手がどの時代にどのような評価を受けていたのかについて詳しいのが自分の強みのひとつ」と仰っていましたが、Thomasは全盛期、そのバッティングの実力に見合った評価を受けていたのでしょうか?
        当時BondsがGriffeyの陰に隠れていたのは有名な話ですが、Griffeyと同じALだったThomasも93-94にMVPを獲ったとはいえ似たようなものだったのかなと。

        私はThomasとBondsは甲乙付け難いと考えていますが、これだけBonds!Bonds!の現状だと逆張り精神でついついThomasに肩入れしたくなってしまいます。約20年前に「イチローは世界(史上)最高の野球選手」と本気で言っていた人たちに一々反発していた時と何も変わってないですね。

        GwynnってMLBの象徴的存在だったのか~、月並みですがGwynn vs. Boggsについての管理人さんの記事も読んでみたいですね。

        • 管理人 より:

          バッティング単体は正当か若干過小気味の評価を受けていたと思いますが、MVPシーズン両方または一方においてWARやWSがALトップではありませんでしたから、プレーヤーバリューは逆に過大評価だったかもしれません。
          また、Gwynnがアイコンだったと書いたつもりはありません。

  5. 匿名 より:

    フレームのでかい腹ポチャおじさんこと、ポールスキーンズ選手が、おそらく下げマン彼女のおすすめであろうグリーンスムージーをダグアウトで呑気に飲んでいました。
    あの凛々しかった空軍候補生が今や朝から腹ポチャグリーンスムージーという体たらく。
    おれは悲しいよ。どう思いますか?

    • 管理人 より:

      メジャカス視点で馬鹿にしたくなる気持ちは分かりますが、私はエチエチパツキン美人のLivvyたんを嫌いではありません。
      私相手にそこら辺を弄っても貴殿が期待するようなリターンは得られませんよ。

  6. 匿名 より:

    あれが良い女に見えるなんてあなたは幸せものだ。