私がこれまで見た中で最も選球眼が優れたバッターはRickey Hendersonです。
当然ながら、よりハイレベルなピッチャーや配球と相対している現代のバッターの方が絶対的能力は上でしょう。
ただ、同時代のプレーヤーに対し相対的に最も傑出したプレーヤーは、主観的に見てRickey Hendersonだったと考えています。
しかしながら、現代式のピッチトラッキング・システムが存在しない時代のプレーヤーであるため、それを証明する手段に限りが。
ピッチャーにとって塁に出したくない存在にも拘わらず16.4 BB%(当時のMLB平均の約1.9倍)という数字を残しているとはいえ、そもそもHRやSLGでリーグ上位に入ったりシーズン195 Rbat+を残すような勝負を避けるべき強打者。
加えて、極端なクラウンチングスタンスのおかげで、審判がルール通りの正当なストライクゾーンを設定できていたとは思えません。
そういった中、通算25シーズンを積み重ね44歳までプレーしたおかげで、キャリア晩年に何とか引っ掛かったスタッツがあります。
それは、Baseball Info Solutions(現在のSports Info Solutions)が2002年から導入したPlate Disciplineスタッツ(O-Swing%、Z-Swing%等)です。
下表がHendersonの成績となりますが、括弧内は各シーズンに50 PA以上を記録した540名(2002年)と551名(2003年)の中での順位で、O-Swing%は昇順、残り2つは降順。
これを見てもらえば、43~44歳のHendersonのO-Swing%がMLBトップクラスであったことが分かるかと思います。
ただ、当時はまともなトラッキング・システムが存在しないため、BISはビデオ解析によって同スタッツを算出しており、現代のものとは精度に差が。
加えて、Pitch f/x~Statcast時代のMLB平均O-Swing%と比べると、2002年シーズンは約10%、2003年シーズンは約5%低い値となっており、当時のSISの解析はストライクゾーンのサイズをかなり過大評価している模様。
そのため、2シーズン共にO-Swing%の真値は20%弱であったと想定されます。
それでも20%未満なら見事な数字。
| Season | O-Swing% | Z-Swing% | Z-O Swing% |
| 2002 (222 PA) |
9.2 (5位) |
57.5 (526位) |
48.3 (399位) |
| 2003 (84 PA) |
13.7 (6位) |
61.9 (483位) |
48.2 (212位) |
しかし、反対にZ-Swing%はMLB最低クラスの数字で、Z-O Swing%はその2つが相殺されたおかげで並みの数字に。
つまり、Hendersonは極端にパッシブなアプローチを行うバッターでした。
また、これはキャリア晩年に限られたものではなく、下記表のAS/Pit%(BR版のSwing%、1988年以降のみアベイラブル)に示すように、少なくともキャリア中期から一貫としたスタイル。
| Year | Age | Tm | AS/Pit |
|---|---|---|---|
| 1988 | 29 | NYY | 37.1% |
| 1989 | 30 | TOT | 31.1% |
| 1990 | 31 | OAK | 34.7% |
| 1991 | 32 | OAK | 32.5% |
| 1992 | 33 | OAK | 30.8% |
| 1993 | 34 | TOT | 30.1% |
| 1994 | 35 | OAK | 29.0% |
| 1995 | 36 | OAK | 36.2% |
| 1996 | 37 | SDP | 30.8% |
| 1997 | 38 | TOT | 32.2% |
| 1998 | 39 | OAK | 32.3% |
| 1999 | 40 | NYM | 35.1% |
| 2000 | 41 | TOT | 35.1% |
| 2001 | 42 | SDP | 33.9% |
| 2002 | 43 | BOS | 32.6% |
| 2003 | 44 | LAD | 37.9% |
| 16 Y | 16 Y | 16 Y | 33.0% |
| MLB | MLB | MLB | 46.1% |
という訳で、結論として恐らく私の主観は間違っています。
Hendersonが最もボール球に手を出さないバッターの1人であったことは確かでしょう。
また、カウントコントロール能力も驚異的なレベルで、3-0 Count%や2-0 Count%、3-1 Count%はBarry BondsやFrank Thomas級の水準。
これらは選球眼と相関関係にあるスタッツであり、私の主観の根拠となり得るかもしれません。
ただ、その代わりとして過剰にストライクピッチを見逃していたことも事実。その中にはロークオリティなピッチも数多く含まれていたことでしょう。
そのため、当時にSEAGERやSwing Decisionメトリクスが存在していれば、成績の割に大したことない水準に収まっていた可能性も。
走塁能力を考えれば合理的なアプローチかもしれませんけど、そういったバッターを”選球眼が優れている”と評するのは少しズレていますよね。
有名処ならChipper Jonesの選球眼が普通に上か?
ツマラナイ話ですけど、限定的な視力テストの結果だけならBarry BondsがNo.1だそうです。