今回は2025年シーズンにブレイクを果たした先発右腕有望株カルロス・ラグレンジ(Carlos Lagrange)をについて。
カルロス・ラグレンジ
Carlos Lagrange:45 FV
2003年5月生(22歳6か月):6-7/248 lb:SP/RHP
AA:ドミニカ:2022年Int FA(契約金$10K)
選手ページ:MiLB.com・Baseball Reference・FanGraphs
2025年ミッドシーズン版ランキング:第4位
| FB | SW | SL | CH | Cmd |
| 70 | 55 | 50 | 40 | 35 |
| FB/be | FB/vel | SW/vel | SL/vel | CH/vel |
| 103.1 | 98 | 82 | 87 | 90 |
15歳の誕生日直前に野球のプレーを始めた遅咲き。
しかしながら、フィジカル的には早熟で、若干14歳で身長が6-6に達していたとのこと。
プレー開始時点では72 mphしか出なかったものの、数年後には97 mphを計測。
遅咲きのため16歳のタイミングでInt FA契約を手にすることはなく、同市場で売れ残るような形に。
初めに目を付けたのはHOUで、(どのフランチャイズかは不明ですが)NYYとの最終的なボーナスより高額な口頭契約を結んでいたものの履行されず。
そして、2022年のInt FA(当時19歳弱)にて、たった$10KのボーナスでNYY傘下に加入。
DSLでのルーキーシーズンでは99 mhpを計測し、.143 BABIPの幸運(とある程度の実力?)によって好成績を記録。
翌2023年シーズンには遂に100 mphの大台へ到達しました。
| Year | Age | Lev | Aff | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | WHIP | HR9 | BB9 | SO9 | SO/W |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 19 | FRk | NYY | 3.00 | 11 | 10 | 33.0 | 10 | 1 | 19 | 43 | 0.879 | 0.3 | 5.2 | 11.7 | 2.26 |
| 2023 | 20 | Rk | NYY | 4.97 | 12 | 11 | 41.2 | 34 | 4 | 24 | 63 | 1.392 | 0.9 | 5.2 | 13.6 | 2.63 |
| 2024 | 21 | A-Rk | NYY | 6.86 | 9 | 8 | 21.0 | 14 | 1 | 20 | 27 | 1.619 | 0.4 | 8.6 | 11.6 | 1.35 |
| 2024 | 21 | A | NYY | 6.91 | 5 | 5 | 14.1 | 10 | 0 | 13 | 19 | 1.605 | 0.0 | 8.2 | 11.9 | 1.46 |
| 2024 | 21 | Rk | NYY | 6.75 | 4 | 3 | 6.2 | 4 | 1 | 7 | 8 | 1.650 | 1.4 | 9.5 | 10.8 | 1.14 |
| 2024 | 21 | Fal | 2.08 | 5 | 4 | 8.2 | 4 | 1 | 15 | 10 | 2.192 | 1.0 | 15.6 | 10.4 | 0.67 | |
| 2025 | 22 | AA-A+ | NYY | 3.53 | 24 | 23 | 120.0 | 82 | 8 | 62 | 168 | 1.200 | 0.6 | 4.7 | 12.6 | 2.71 |
| 2025 | 22 | AA | NYY | 3.22 | 16 | 15 | 78.1 | 51 | 4 | 50 | 104 | 1.289 | 0.5 | 5.7 | 11.9 | 2.08 |
| 2025 | 22 | A+ | NYY | 4.10 | 8 | 8 | 41.2 | 31 | 4 | 12 | 64 | 1.032 | 0.9 | 2.6 | 13.8 | 5.33 |
| Mino | Mino | Minors | 4.05 | 56 | 52 | 215.2 | 140 | 14 | 125 | 301 | 1.229 | 0.6 | 5.2 | 12.6 | 2.41 | |
| All | All | 3.97 | 61 | 56 | 224.1 | 144 | 15 | 140 | 311 | 1.266 | 0.6 | 5.6 | 12.5 | 2.22 |
2024年シーズンは背中の故障によって出遅れ、FCLでリハビリ登板に近い起用を受けた後、シーズン終盤Low-Aへ昇級。
Zone%が41.3%、Strike%が56%にとどまるなどコントロール&コマンドの両方で未熟さを露呈し、シーズン終了後に参加したAFLでは改善するどころか寧ろ悪化。
しかし、2025年シーズンに入ると風向きが大きく変わり、Spring Breakoutでの好投を足掛かりにHigh-Aにて期待以上の制球力とパフォーマンスを見せ、開幕から2か月足らずでAAへ。
流石にAAでは不安定なピッチングを続けたものの、Cam SchlittlerやElmer Rodriguezを上回るK%やWhiff%を残し、8月にMLB PipelineにてTop 100入り。
私のようなルーキーシーズンから追っている人間だけでなく、(ヤンカスコミニティに蔓延っている)インパクトあるピッチングと成績向上を目にして急に騒ぎ出す後追いタイプの自称プロスペクト・ウォッチャーからも持ち上げられる存在となりました。
故障の影響か2024年シーズンのメカニクスは酷い有様でしたが、オフシーズンの修正によって着実に良化。
アームスロットを3/4スロットからオーバースロットへ鉛直化させたことで、アームアクションとリリースポイントのリピート性が向上。
ディセプションも悪くありません。
これまで長いイニングを投げる機会は少なかったはずですが、試合終盤でもその球威を維持しており、スタミナ面と耐久面の両方でも前進を見せたと言えるでしょう。
守備はご相談通りのクオリティ。
Fastball – 70/70
2023年シーズンにAvg 94.8 mphを計測したFFは2024年シーズンにAvg 97.1 mphへバンプ。
更に2025年シーズンはAvg 98 mphまで上昇し、シーズン終盤戦にはMax 103.1 mphを叩き出しています。
Spin Tiltが1:25と少し傾いており、Avg 17″ IVB・13″ HBを計測するなどラン成分が強めで、 純粋なFFというよりはFFとSIの中間といったイメージ。
そのためUpper ZoneでバシバシWhiffを奪うようなピッチではなく、MLBレベルでは球速ほどの威力は発揮できないかもしれません。
ただ、SWやCHとの相性(ディセプション)は良さげ。
Sweeper – 45/55
Slider – 45/50
ブーレキングボールとしてSWとSLの2種類を投げ分けています。
Low-80s mphのSWは2023~2024年に2年連続で50 Whiff%を上回ったマネーピッチ。(ただし現在とフォームは少し異なる。)
GB%低下の大きな要因の1つとなっていることも事実ですが、RHBからWaste ZoneでもWhiffを奪うクオリティはやはり魅力。
CTと見做されることも少なくないGyro SLは球速のバラツキが大きく、コンスタントに90+ mphを計測する試合も。
また、アーセナルの中で最もコマンドが安定している印象です。
BAのStuff+では126(MiLB全体16位)と評価されていますが、SWとSLのどちらを指しているかはよく分かりません。恐らく合算しているのではなかろうかと思いますが…。
Changeup – 30/40
90 mph前後を計測するハイスピン系のCircle CHはアーセナルの中でクオリティ、コマンド共にワーストのピッチ。
特にコマンドが劣っており、低めの理想的なゾーンに決まる頻度✖。
コマンドが様になれば機能するとは思います。
Command – 25/35
コマンドはSPの最低水準を下回っており、将来的にその及第点をクリアする可能性は希薄。
特にセットポジションで崩れる傾向に。
HRのほとんどが5 IP以降に許したもので、試合後半に手痛いコマンドミスを犯すようなタイプでもあります。
コントロールスタッツが向上しているとはいえ、優れたピッチクオリティによってWhiff/SwSrを稼いでいるだけで、今後もコントロール>>コマンドのスタイルから脱却することは難しいでしょう。
ただ、2024年シーズンまではFFやCHが3Bサイドへ抜ける機会が多かったのですが、アームアクションの修正によって明らかに機会が減少。
Overall – 35 PV/45 FV
BAのStuff+において121(MiLB全体2位)、Normalized Stuff+において122(MiLB全体3位)を叩き出していることからも分かるように、アーセナルのクオリティ自体は球界トップクラス。
健康面や経験不足に関する不安もこの1年間である程度払拭されており、今後は「コマンド向上」この1点が全て。
当然ながらブルペンでエンドアップする可能性が高いわけですけど、万が一にコマンドがSPの及第点に達する、つまりプロスペクトとして上振れすれば、Daniel Cabreraがベースラインになるかと。
また、2025年シーズンのパフォーマンスは2021年シーズンのLuis Medinaを彷彿させますが、その後に彼がどうなったかはヤンカス(とOAKファン)ならご存知の通り。
一般的にLagrangeと比較されているDellin Betancesも、彼と同様22歳シーズン(2010年)に大幅な制球力向上を見せトッププロスペクト入りを果たしましたが、AAAで壁にぶち当たりMLBのブルペンに定着するまで3年を要しました。
Int FA出身といってもプロ入り後が遅れたため、Rule 5 Draftの対象となるのは2026年シーズン終了後と先の話。
MLBのローテは長期大型契約で3スポットが埋まっていますし、Cam Schlittlerに続く弾(Elmer Rodriguez、Ben Hess)も残っています。
急いて中途半端な戦力を生み出すのではなく、焦らずじっくりと育て上げてほしいものです。
映像集
Carlos Lagrange(18歳)
98 mph → 99 mph pic.twitter.com/a5F8f0M1Fk
— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) June 4, 2022
Carlos Lagrange(18歳、$10,000)
100マイル弱を連発🔥
SLとCH(FS?)も👍https://t.co/mhDn2GCCfV https://t.co/1hocdndDYf pic.twitter.com/VcmcUcDiQL— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) June 9, 2022
Carlos Lagrange(○19歳、×18歳)
98.9 mph
98.5 mph
97.8 mph
98.3 mph https://t.co/8TBzV7reYt pic.twitter.com/15uCP4b7LM— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) June 14, 2022
Carlos Lagrange pic.twitter.com/JblOlOODRu
— Fordy Ballgame (@ironhorse0619) July 17, 2022