キャム・シュリットラー(Cam Schlittler):ヤンキース・プロスペクト


2025年シーズン開幕時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTop50
2025年「ヤンキース:プロスペクト・リポート」の第4弾

Clarke SchmidtのTommy John Surgeryに従い、MLBデビューが目前にまで迫っている傘下No.1ピッチング・プロスペクトのCam Schlittlerについて。


キャム・シュリットラー

Cam Schlittler:50 FV
2001年2月生(24歳4か月):6-6/225 lb:SP/RHP
AAA:2022年ドラフト7巡目(全体220位:契約金$205K
選手ページ:MiLB公式Baseball ReferenceFanGraphs

FF CT SW CB Cmd
60 60 55 45 40
FF/be FF/vel CT/vel SW/vel CB/vel
99.3 96.9 91.5 87.3 83.8

Fenway Parkから10マイル離れたニーダムで現在警察署長を務める父の元に生まれ、地元のWalpole HS在学時代は全くの無名。

2019年ドラフトでは歯牙にもかけられず、Fenway Parkの目と鼻の先に位置しながらもNYYとの繋がりが強いNortheastern Univ.へ進学。

2020年の短縮シーズンを経て、実質的なFreshman Yearとなった2021年シーズンは弱小カンファレンスCAA No.1の圧倒的なピッチングを見せ、Freshman Awardの常連に。

しかし、シーズン終了後に参加したCCBLでは全く通用せず、肝心の2022年シーズンもスランプを引きずりパフォーマンス低下。

結果として、体格に優れる大学生ピッチャー偏重ドラフトを行ったNYYから7巡目指名を獲得していますが、当時の実際の評価は10巡目以降レベルでした。


Year Age Lev ERA G GS IP H HR BB SO WHIP HR9 BB9 SO9 SO/W
2020 19 NCAA 1.32 3 2 13.2 7 1 2 10 0.659 0.7 1.3 6.6 5.00
2021 20 NCAA 1.88 13 13 76.2 58 5 20 85 1.017 0.6 2.3 10.0 4.25
2022 21 NCAA 3.44 15 15 91.2 77 5 32 85 1.189 0.5 3.1 8.3 2.66
2023 22 A+ 4.76 2 2 5.2 9 0 1 6 1.765 0.0 1.6 9.5 6.00
2023 22 A 5.21 5 5 19.0 23 3 7 20 1.579 1.4 3.3 9.5 2.86
2023 22 Rk 2.95 7 6 21.1 17 1 13 24 1.406 0.4 5.5 10.1 1.85
2024 23 AAA 21.60 1 1 1.2 1 0 4 3 3.000 0.0 21.6 16.2 0.75
2024 23 AA 4.45 7 5 32.1 37 3 13 43 1.546 0.8 3.6 12.0 3.31
2024 23 A+ 2.60 17 17 86.2 60 7 38 108 1.131 0.7 3.9 11.2 2.84
2025 24 AAA 3.80 5 5 23.2 20 3 9 35 1.225 1.1 3.4 13.3 3.89
2025 24 AA 2.38 10 9 53.0 47 1 17 64 1.208 0.2 2.9 10.9 3.76

FCLで開幕を迎えたプロ1年目・2023年シーズンは、体格に見合わぬ軟弱なピッチングを披露するも、ハイGB%を活かしたアーリーカウントで打たせて取るアプローチがハマり、シーズン最終盤にHigh-Aへ到達。

(ちなみに、当ブログは無能なので「ヤンキース:プロスペクト・ランキング:トップ100:2024年開幕版」でランク外にしています。)

打って変わって前年度から大幅な球威向上を見せた2024年シーズンはHigh-A~AAでプレー。

ロースター調整を理由にAAAでピボット登板も行いました。

そして、今シーズンはSTにてローテーション起用の厚遇を受けると、AA開幕から(ドミネイティングなピッチングを続け、6月上旬にAAAへ昇級。

その後も勢いは止まるところを知らず、Clarke SchmidtのTommy John Surgeryに伴いMLBへ昇格する運びとなりそう。

ただ、ボストン近郊出身ということもあり、本人は生まれながらのBOSファン。

PSが日々遠のくNYYの救世主となるか?

それとも厄介者のDeversを清算しチーム一丸となってWC枠獲得を目指すBOSの糧となるか?

恐らく後者でしょう。


ストライドとドラッグが小さく、コッキングが短縮されたエフォートレスなピッチング・メカニクスは、毎年のように段階的な改良が加えられており、まだ未完成のイメージ。

この1年間で体重を15 lb増やしていますが、フィジカル面にもまだプロジェクションの余地を残しているように感じます。

Four Seam – 60/60

かつては3/4スロットからSI気味のFFを投じGBを量産していましたが、グリップ位置をアームサイドにズラすことでライディングアクションが向上。

加えて、今シーズンはアームアクションが鉛直化するにも伴い、HBそのままにIVBがさらに上昇し、優れたWhiff%(AAAにて39%!)を記録するようなっていますが、6.5 Rel Zの高い位置から投げ下ろすことで、GB%やLAも依然として優秀。

また、NCAA時代~2023年にかけて90 mph前後と貧弱だった球速は、昨シーズンに入りAvg 93~95 mphまで大幅アップ。

今シーズンもSTや開幕序盤時点ではAvg 93~96 mphに留まっていたものの、シーズンが進むに連れ数字は伸び続け、現在はAvg 97 mphを叩き出しています。

Year/Class Velo SR IVB HB
2023/A 90.0 2368 8.5 -0.5
2024/AAA 95.0 2506 12.6 -1.5
2025/ST 93.8 2263 15.6 -2.0
2025/AAA 96.9 2434 15.9 -2.5

数多くのエバリュエーターと同じく私もプラスピッチと考えますが、-0.5 StuffPro・109 tjStuff+を記録するなどPQモデルにおいても評価はプラス級。

Cutter – 55/60

今シーズンから新たにアーセナルへ加えたニューピッチ。

Max 95 mphを叩き出すほどハードピッチにもかかわらず、ムーブメントは非常に大きく、RHB相手にはPut Awayピッチとして機能(40+ Whiff%)。

また、昨シーズンまではLHBを苦手としていたのですが、そのLHBにFFを上回る頻度でCTを投じており、空振りこそ奪えていない(12 Whiff%)ものの、81.5 mph EV・57.1 GB%を記録するなどウィークコンタクトを量産し、vs LHB成績向上の大きな要因となっています。

Clarke SchmidtのCTをイメージしてもらえれば分かりやすいかと。

-1.5 StuffProのプラスピッチ。

Sweeper – 45/55

昨シーズンに習得したAvg 87 mphの高速SWは、驚異の-2.9 StuffProを記録する将来のプラスピッチ候補。

CTと異なりAAA昇級後はRHBにのみ投じているピッチですが、コマンドとムーブメント共に一貫性に欠け、甘く入ったコースを痛打されることも少なくなく、MLBで投げるにはまだ危険を伴います。

とは言え、球速とムーブメントの特異なコンビネーションは非常に魅力的で、 “将来のプラスピッチ候補”と記したように今後の成長を期待。

Curve – 45/45

長らく投げ続けているフリンジレベルのCUはLHB専用のピッチであり、AAAにおいてはピッチャー&イーブン・カウントでのみ投じています。

45+ Whiff%を記録しているものの、BIP全てにおいて90+ mph EVを喰らっており、良くも悪くもCTと正反対の結果に。

-1.3 StuffProとPQモデルでは優秀。

ちなみに、昨シーズンまではCHも投じていましたが、今シーズンからダンプ。

STにてCHに代わるオフスピードピッチとしてFSを試していたものの、及第点には至らなかったようで、開幕を前にアーセナルへの追加を断念しています。

Command – 35/40

優れたピッチクオリティを活かしたコントロール>コマンドのピッチング・アプローチを行っており、特に変化球3種のコマンドが悪く、

RHBにはFF・CT(Savant上ではSL扱い)・SWをアッパーゾーンに集める強気のピッチング。

当然ながらMLBではCTやSWを外角のコーナーに集めることが求められます。

LHB相手においては、現在のコマンドでは内角を抉ることが出来ず、外角偏重のピッチング。

これほど内角高めにFFとCTを投じていないにもかかわらず、LHBを抑え込んでいるのですから、逆にポジった方がいいのかもしれません。

今後コマンドがSPの平均レベルに達するとは思えませんが、もちろんコントロールはその可能性十分。

Overall  – 40 PV/50 FV

AAAで好成績を残しているとはいえ、現時点での完成度が高いとは言えず、まだまだ素材型に近しいイメージ。

50th %ileのアウトカムは3rd SP(NYYのような万年コンテンダーであれば3rd~4th)となりますが、シーリング(90~99パーセンタイル)に達すれば4種のアーセナル全てがプラスピッチとなり得る稀有なピッチングプロスペクトなだけに、50th %ileで語るには勿体ない存在。

当ブログやXでこれまでに何度か書いてますけど、これやっぱりChase Hamptonの投影だろ。

映像集