チェイス・ハンプトン:ヤンキース・プロスペクト


2023年シーズン前半戦終了時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP50を作成

チェイス・ハンプトン

Chase Hampton
2001年8月生(22歳4か月):188cm・99㎏:RHP

AA:2022年ドラフト6巡目(全体190位:契約金497.5K)
選手ページ:MiLB公式Baseball ReferenceFanGraphs

フォーシーム : 50/55(平均94マイル、最速99マイル
カッター   : 50/50(平均89マイル)
スライダー  : 45/50(平均85マイル)
カーブ    : 45
/50(平均79マイル)
チェンジアップ: 35/35(平均87マイル)
コマンド   : 35/45
総合     : 30/50


テキサス州の田舎町にあるKilgore高校にて、Covid-19により短縮シーズンとなった最終年度(2020年)も含め高校通算で22-5、162 IP、1.94 ERA、284 Kを記録。

高校生投手大国のテキサス州でも上位の評価を受け、地元の強豪テキサス工科大学へ進学。

フレッシュマンイヤーの2021年はスイングマンとして起用され、褒められるような投球内容ではなかったものの、BABIPがダウンスイングしたおかげで表面上は好成績に。

2年目の2022年は、時折リリーフ起用を挟みながらカンファレンス上位のK/9を記録。若干20歳ながらもアーリーエントリーによりドラフト対象となりました。

当時の大半のドラフトプロスペクト・ランキングにてランク外になるなど評価は芳しくなかったものの、NYYが前評判を大きく超える6巡目(全体190位)で指名。

さらに、3年次進学を食い止めるためスロットバリューの2倍近い契約金を与えました。


Year Age Lev ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2021 19 NCAA 3.86 18 7 44.1 36 4 17 34 1.195 3.5 6.9 2.00
2022 20 NCAA 4.29 15 11 56.2 51 8 28 72 1.394 4.4 11.4 2.57
2023 21 AA-A+ 3.63 20 20 106.2 85 13 37 145 1.144 3.1 12.2 3.92
2023 21 A+ 2.68 9 9 47.0 31 5 16 77 1.000 3.1 14.7 4.81
2023 21 AA 4.37 11 11 59.2 54 8 21 68 1.257 3.2 10.3 3.24

ドラフト指名投手の実戦起用を翌年まで行わないチーム方針によって、2022年はそのままシーズンエンド。

2023年はMiLB開幕前にMLB春季キャンプにてプロ入り後初登板を果たし、印象的なピッチングを披露

その勢いのまま開幕後はA+にてK%が40%を超えるほどの支配的なピッチングを続け、シーズン前半戦最大級のブレイクアウト・プロスペクトに。6月中には早くもAAへ到達し、たった数ヵ月程度で傘下No.1投手プロスペクトと評される存在になりました。

ルーキーイヤーのためフルシーズン戦いに抜くスタミナがまだ備わっていなかったのか、AAでの登板(特にシーズン終盤戦)ではガス欠を感じさせるパフォーマンスに終わったものの、アーリーエントリーなら申し分なし。

肘手術で劣化する前のチャンス・アダムスもこんな感じでしたね。


ハイクオリティなフォーシーム、平均前後かそれ以上が見込まれる3種のブーレキングピッチ、ロークオリティなチェンジアップを投げ分ける本格派。

RHB相手にはアーリーカウントから積極的にカッターを外角へ投げ込みカウントを整え、ピッチャーカウントになるとスライダーをチラつかせながらフォーシームを高低に投げ込み三振を奪うレアなアプローチを披露。

対照的にLHB相手には高めのフォーシーム、内角へのカッター、レイトカウントにおけるカーブ重視の典型的な対LHBアプローチを行っており、RHPながらもLHBを苦にしていません。

フォーシーム:50/55(平均94マイル、最速99マイル)

テイクバックが大きくディセプションに欠けるシンプルなオーバースローから投げ込まれるフォーシームは最速99マイル・常時94マイル弱を計測。

球速だけでなく約2500rpmとスピン量にも優れ、さらに回転軸もフラットなためIVBは19インチに達するとのこと。

ただ、高いFB%は懸念材料か。

カッター :50/50(平均89マイル)
スライダー:45/50(平均85マイル)
カーブ  :45
/50(平均79マイル)

カッターとスライダーはフォーシームと同じく約2500rpmを計測。

カッターとスライダーを比べると5マイル弱・縦変化5インチ×横変化7.5インチ程度の乖離があり、上述したようにRHB相手にもカッターを多投するため、同球種の投球割合が高い状況。

チェンジアップ:35/35(平均87マイル)

5球種の中では抜けてクオリティが低いチェンジアップはLHB相手にすら投球割合が低く、もちろんチェンジアップの向上には取り組んでいるようですが、インタビューを聞く限りはそこまで注力するつもりはない模様。

コマンド:35/45

高校時代から長らく制球面が懸念材料と見做されており、コマンドが先発投手の平均レベルに達するかは楽観視できない状況。

現在は積極的にストライクを奪うアプローチと優れたピッチクオリティのおかげでコントロール面ではさほど苦しんでおらず、実際に今シーズンにおいて与四球数が3を超える登板はたった1試合のみでしたが、ウィル・ウォーレンのように上位クラスで少し停滞する予感。

また、個人的にはセットアップポジションでの投球時に肘が下がる点が気になるところ。別にランナーの有無でスプリット成績は変わりませんけど…

総合:30/50

典型的なテキサス出身の本格派として体格、パフォーマンス、球威、変化球、投球アプローチと数多くのチェックボックスをクリアしており、チームメイトのドリュー・ソープと共に50 FVと評価すべき素材。

高校時代のコロナ禍や大学時代のスイングマン起用によって先発投手としての実戦経験に乏しく、まだ若干22歳であることも考えると、あと1段階のステップアップすらワンチャンあり。

まあ、あと1週間もすればSDP傘下にいるかもしれないですけど。