Baseball Savantにデータが載っている2008年以降の先発投手のMLBシーズン平均球速(速球・マイル表示)をまとめました。速球としてフォーシーム、ツーシーム、シンカーを対象としています。
2008年~2016年はPitch F/X、2017年以降はStatcastの計測結果。また、Pitch F/Xの初速はBrooksBaseballのようにリリースポイントでの球速になるように補正されているようです。
2008年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ウバルド・ヒメネス | 96.1 | 118 | 7.8 | 198.2 |
ジャバ・チェンバレン | 95.8 | 170 | 10.6 | 100.1 |
フェリックス・ヘルナンデス | 95.5 | 123 | 7.8 | 200.2 |
1位は24歳、2位&3位は22歳と若手選手ばかりがランクイン。この中でヒメネスとヘルナンデスはリーグを代表する先発投手に成長しましたが、チェンバレンは翌年の平均球速が93.1マイルまで急下降するなどこのシーズンが自己ベストの成績でした。
2009年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ウバルド・ヒメネス | 96.8 | 136 | 8.2 | 218.0 |
ジャスティン・バーランダー | 96.3 | 131 | 10.1 | 240.0 |
フェリペ・ポーリーノ | 96.0 | 66 | 8.6 | 97.2 |
ツーシームボーラーであるヒメネスが2連覇。投球内容もエースと言えるようなモノでした。
2位にはこの年奪三振王に輝いたバーランダーがランクイン。この年35先発、240イニング、総投球数3937球とフル回転の1年だったことも印象的。
2010年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
スティーブン・ストラスバーグ | 97.9 | 139 | 12.2 | 68.0 |
ウバルド・ヒメネス | 96.7 | 161 | 8.7 | 221.2 |
フェリペ・ポーリーノ | 96.2 | 78 | 8.1 | 91.2 |
この年MLBデビューを果たしたストラスバーグが圧倒的な数字を残してトップに。とりわけ7回14奪三振を記録したデビュー戦の速球系平均球速は98.4マイル、チェンジアップは91マイルでした。
👇デビュー戦での14奪三振はMLBタイ記録
2011年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ルビー・デラロサ | 96.6 | 100 | 8.9 | 60.2 |
スティーブン・ストラスバーグ | 96.5 | 259 | 9.0 | 24.0 |
フェリペ・ポーリーノ | 95.7 | 93 | 8.6 | 139.1 |
アレクシー・オガンド | 95.7 | 126 | 6.7 | 169.0 |
1年目&22歳のデラロサが1位。トミージョン手術から復帰したストラスバーグは大きく球速を落としました。また、昨年まで3年連続トップ(70イニング以上)だったヒメネスは急激な劣化を見せ平均94.1マイルまで落ちています。
この年、MVP&サイヤング賞を受賞したバーランダーは平均95.5マイルで5位。MLB全体で先発投手は58回100マイル以上を計測しましたが、そのうち46回はバーランダーの記録です。さらに、レギュラーシーズンで251イニング&3941球も投げたにもかかわらず、PSでは20.1イニングで平均96.3マイルを記録しています。
2012年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
アンドリュー・キャッシュナー | 96.8 | 85 | 10.1 | 46.1 |
スティーブン・ストラスバーグ | 96.3 | 126 | 11.1 | 159.1 |
デビッド・プライス | 95.7 | 150 | 8.7 | 211.0 |
キャッシュナーは5回しか先発していないので、実質的にはストラスバーグがトップ。この年サイヤング賞を受賞したプライスが左腕として初めてTop3に入りました。
ちなみに、100マイル以上を計測したのは71回で、そのうち46回はバーランダーが計測したもの。
2013年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ヨーダノ・ベンチュラ | 97.8 | 120 | 6.5 | 15.1 |
ダニー・サラザー | 96.9 | 123 | 11.3 | 52.0 |
ネイサン・イバルディ | 96.9 | 114 | 6.6 | 106.1 |
ゲリット・コール | 96.7 | 111 | 7.7 | 117.1 |
ベンチュラは3試合しか投げていないので、実質的なトップはサラザーかイバルディ。この年にセンセーションを巻き起こしたマット・ハービーは平均96.5マイルで第5位でした。
2014年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ヨーダノ・ベンチュラ | 97.5 | 123 | 7.8 | 183.0 |
カルロス・マルティネス | 97.2 | 90 | 8.5 | 89.1 |
ギャレット・リチャーズ | 97.0 | 138 | 8.8 | 168.2 |
ウィリー・ペラルタ | 96.4 | 107 | 7.0 | 198.2 |
100マイル以上を115回(2位はマルティネスの22回)を計測するなど圧倒的な力を見せつけてベンチュラがトップに。規定投球回到達選手として史上初めて平均球速が97マイルを超えました。
2015年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ノア・シンダーガード | 97.7 | 117 | 10.0 | 150.0 |
ネイサン・イバルディ | 97.4 | 97 | 7.1 | 154.1 |
ヨーダノ・ベンチュラ | 96.9 | 103 | 8.6 | 163.1 |
新人のシンダーガードがトップに入り、2013年に2位だったイバルディはまたもや2位。
2016年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ノア・シンダーガード | 98.6 | 155 | 10.7 | 183.2 |
ネイサン・イバルディ | 97.7 | 90 | 7.0 | 124.2 |
ジェームズ・パクストン | 97.4 | 107 | 8.7 | 121.0 |
昨年トップだったシンダーガードの球速がさらに向上して平均98.6マイル(158.キロ)という先発史上最速の数字をマーク。
また、パクストンの平均97.4マイルも先発左腕では歴代No.1の数字です。
2017年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ノア・シンダーガード | 98.2 | 141 | 10.1 | 30.1 |
ルイス・セベリーノ | 97.5 | 153 | 10.7 | 193.1 |
ルイス・カスティーヨ | 97.3 | 144 | 9.9 | 89.1 |
シンダーガードはたった30.1イニングしか投げていないので、実質的なトップはセベリーノ。この年はリリーフでもチャップマンがトップになっているので、ヤンキースの選手が先発&リリーフの両方でトップになったということなります。
2018年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ルイス・セベリーノ | 97.6 | 131 | 10.3 | 186.1 |
ノア・シンダーガード | 97.5 | 111 | 9.3 | 139.1 |
ネイサン・イバルディ | 97.2 | 106 | 7.5 | 104.0 |
上位陣はお馴染みのメンバーであまり面白くない結果に。ただ、アストロズの新人ジョシュ・ジェームズが平均97.1マイル、最速101.1マイルを記録しており来年以降が楽しみです。
また、トミージョン手術を受けたマイケル・コペックの平均球速は95.4マイルで期待外れの数字。
2019年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ノア・シンダーガード | 97.6 | 95 | 9.1 | 190.2 |
ネイサン・イバルディ | 97.5 | 81 | 8.1 | 67.2 |
ゲリット・コール | 97.1 | 184 | 13.7 | 207.1 |
ジェイコブ・デグロム | 96.9 | 2.43 | 11.3 | 204.0 |
シンダーガードが2年ぶり4度目のトップに。
コールとデグロムの2人は30歳前後ながらも昨シーズンから大きく球速を上昇さえランクイン。(コールは96.5→97.1、デグロムは96.0→96.9)
リリーフ投手と比べて若く勢いのある剛速球投手が出てきていないのは残念ですね。
2020年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ジェイコブ・デグロム | 98.6 | 178 | 13.8 | 68.0 |
ダスティン・メイ | 97.9 | 165 | 7.1 | 56.0 |
シクスト・サンチェス | 97.6 | 129 | 7.6 | 39.0 |
2020年
選手名 | 球速 | ERA+ | 奪三振率 | イニング |
ジェイコブ・デグロム | 99.2 | 373 | 14.3 | 92.0 |
ダスティン・メイ | 98.0 | 151 | 13.7 | 23.0 |
サンディ・アルカンタラ | 97.8 | 131 | 8.8 | 205.2 |
ゲリット・コール | 97.7 | 133 | 12.1 | 181.1 |
多くの選手が20代前半で上位にランクインしており、やはり先発投手の球速のピークは20代前半までみたいですね。その中で28歳になっても上位にランクインしているイバルディは結構レアな存在。
コメント
少々速いだけではたいした価値もない。投手の価値は昔から同じ。1にメンタル、2に制球、3に球威(回転軸とスピンレート)、5に球速。もっと速い大谷やでグロームよりも、球威で圧倒手に勝るバーランダーのほうが防御率が優れている。
打者は球を上から観察して到達位置を予測して振りだす。標準的な球の軌跡とくらべ、上向きの変化量が多い球は特別な位置にある。球までの距離の変化(球速)は、軌跡の変化と近寄ったら左右の視差から判断するのだが、上向きの変化量が多い場合は、軌跡の変化量が少なく球までの距離を測りづらい。近寄ると視差が効いて正確にわかる。これが手元で増速すると感じられる理由である。さて、打者がいったん振り出したら、ミートを遅くすることはできても早くすることはできない。
さて、バーランダーは多くの年てホップ量が最高の投手。これがバーランダーの4シームが剛腕投手の中では比較的遅いにもかかわらず、高め直球連投でそれでもなかなかとらえられない理由である。
”常識”と”間違い”だけで長文書けるってスゴいですね🤩
偏見だけど、コンタクトツールを「ミート」呼びしてる奴はパワプロ君で野球知識を磨いてそう
パワプロやればああなるのか...。
ワイはファミスタ派で良かった😏