上の「MLB年度別平均球速Top3」の記事と同じように、今回はBaseball Savantにデータが載っている2008年~2018年のMLB最速記録(マイル表示)の年度別Top5をまとめました。
目次
2008年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | ジョエル・ズマヤ | 102.0 | 164.2 |
3 | ジョナサン・ブロンクストン | 101.7 | 163.7 |
3 | マット・リンドストロム | 101.7 | 163.7 |
4 | アービン・サンタナ | 101.3 | 163.0 |
5 | ウバルド・ヒメネス | 101.1 | 162.7 |
かつての世界最速投手であるズマヤが唯一の102マイルを記録。シーズン全体で101.8マイル以上を4球記録しています。
4位には若かりし頃のサンタナがランクイン(先発ではトップ)。今では球速は平均より下~平均レべルとなっていますが、この頃は平均95マイルを超える剛速球投手でした。5位のヒメネスも今では剛速球投手だった面影は全くありませんね。
2009年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | ジョエル・ズマヤ | 103.4 | 166.4 |
2 | ジョナサン・ブロンクストン | 103.3 | 166.2 |
3 | ブライアン・ウィルソン | 102.9 | 165.6 |
4 | ダニエル・バード | 102.1 | 164.3 |
5 | ネフタリ・フェリス | 101.9 | 164.0 |
ズマヤがブロンクストンをわずかに抑えて2年連続のトップに。100マイル以上を215回記録していますが、これは2位のブロンクストン(111球)にダブルスコア近くを付けています。
表の5人は全員がリリーフ投手。先発では5年目&26歳のジャスティン・バーランダーが最速101.7マイルを計測しています。
2010年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | アロルディス・チャップマン | 105.8 | 170.3 |
2 | ネフタリ・フェリス | 104.1 | 167.5 |
3 | ヘンリー・ロドリゲス | 103.9 | 167.2 |
4 | ボビー・パーネル | 103.2 | 166.0 |
5 | ジョエル・ズマヤ | 102.9 | 165.6 |
お馴染みのチャップマンが1年目で早速1位に。ただ、最速105.8マイルとなっていますが補正前は105.1マイル(169.1㎞)となっており、実際に170㎞を超えていたかは微妙。何度も言いますけど参考記録ぐらいに思ってくださいね。
2位と3位の記録はどちらもカウフマン・スタジアムのロイヤルズ戦で計測されたもの。このカウフマン・スタジアムのPitch f/xは誤差が大きく球速が非常に出やすいと言われていたので、二人の記録の正確性には疑問符が付きます。(フェリスの補正前の記録は103.1マイル)
というかこの年のPitch f/xの記録は他の年と比べると全体的におかしいと思うんですよね。まあ実際のところは分かりようがないんですけど。
ちなみに、先発投手のトップはバーランダーの102.3マイル。
2011年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | アロルディス・チャップマン | 104.1 | 167.5 |
2 | ボビー・パーネル | 103.2 | 166.0 |
4 | ヘンリー・ロドリゲス | 102.1 | 164.3 |
4 | ジャスティン・バーランダー | 102.1 | 164.3 |
5 | マイケル・クレト | 101.9 | 164.0 |
チャップマンがダントツの記録を残し2年連続でトップに。同じく2年連続で103.2マイルを記録したパーネルも立派ですね。
この年、MVP&サイヤング賞に輝いたバーランダーが4位にランクイン。この年のバーランダーは100マイル以上を46球記録しましたが、そのうち36球が5回以降、25球が7回以降、19球が8回以降に計測したものです。無尽蔵のスタミナとはまさにこのこと。
2012年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | アロルディス・チャップマン | 103.4 | 166.4 |
2 | ケルビン・ヘレーラ | 102.9 | 165.6 |
3 | アンドリュー・キャッシュナー | 102.7 | 165.3 |
5 | ジャスティン・バーランダー | 102.2 | 164.5 |
5 | ボビー・パーネル | 102.2 | 164.5 |
チャップマンが3年連続のトップとなりましたが、2位&3位との差は過去2年間ほどではなくインパクトには欠ける数字。
あとはバーランダーが4年連続で先発投手トップとなっています。
2013年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | アロルディス・チャップマン | 104.7 | 168.5 |
3 | ブルース・ロンドン | 103.5 | 166.6 |
3 | ヘンリー・ロドリゲス | 103.0 | 165.8 |
4 | ヨーダノ・ベンチュラ | 102.6 | 165.1 |
5 | ケルビン・ヘレーラ | 102.2 | 164.5 |
平均球速はロンドン(平均100.0マイル)に大差をつけられたチャプマン(平均98.9マイル)ですが、最高球速記録ではチャップマンが4連覇。ロンドンに2km近い差を付けました。
4年連続先発投手トップだったバーランダーは衰えが進み100マイル以上はたった2球。代わりに1年目のベンチュラが先発投手トップとなりました。しかし、ベンチュラの102.6マイルはカウフマン・スタジアムで計測したもので、カウフマン・スタジアム以外での最速記録は101.0マイル。、実質は101.7マイルを計測したゲリット・コールが先発トップだったかもしれません。
2014年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | アロルディス・チャップマン | 104.5 | 168.2 |
2 | ケルビン・ヘレーラ | 102.1 | 164.3 |
5 | ヨーダノ・ベンチュラ | 101.7 | 163.7 |
5 | エリック・コーディエ | 101.7 | 163.7 |
5 | ケン・ジャイルズ | 101.7 | 163.7 |
これまでとは打って変わって102.2マイル以上を計測したのがチャップマンだけとなりました、2位かは大きな差がありません。
あと、5位タイのコーディエはこの2年後にオリックスに入団しましたが、日本での最速は157kmでしたね。
2015年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | Aroldis Chapman | 103.9 | 167.2 |
2 | ネイサン・イバルディ | 102.4 | 164.8 |
4 | ケン・ジャイルズ | 101.7 | 163.7 |
4 | ブルース・ロンドン | 101.7 | 163.7 |
5 | アルキメデス・カミネロ | 101.6 | 163.5 |
この年からPitch f/xではなくStatcastの計測記録となります。
2位にヤンキースの先発イバルディがランクイン。ヤンキースの選手がランクインするのは初です。
5位には現巨人のカミネロが!日本での最速は162kmなのでコーディエほどは日本来日後に球速が低下していませんね。
2016年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | Aroldis Chapman | 105.1 | 169.1 |
2 | マウリシオ・カブレラ | 103.8 | 167.0 |
3 | ネイサン・イバルディ | 102.3 | 164.6 |
5 | アルキメデス・カミネロ | 102.2 | 164.5 |
5 | エドウィン・ディアズ | 102.2 | 164.5 |
(この年だけはStatcastとPitch f/xのデータを合わせました。)
チャップマンがStatcast最高記録となる105.1マイルを計測。104・9マイル以上を4回記録するなど最高球速に関してはこの年がチャップマンのベストシーズンだったのではないでしょうか。
新星マウリシオ・カブレラが2位にランクイン。平均球速100.7マイルを記録するなどジョエル・ズマヤ2世となれる可能性もありましたが、制球難のためにMLBでプレーしたのはこの年のみ。今年(25歳)もマイナーでは四球率10.9を記録しており、もう2度とMLBでプレーすることはないでしょう。
2017年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | Aroldis Chapman | 104.2 | 1677 |
2 | フェリペ・バスケス | 102.6 | 165.1 |
3 | ジョー・ケリー | 102.2 | 164.5 |
4 | エドウィン・ディアズ | 101.8 | 163.8 |
5 | トレバー・ローゼンタール | 101.7 | 163.7 |
ここまで左投手でランクインした選手はチャップマンのみでしたが、新たに左投手のバスケスがランクインを果たしました。前年までの最速は101.6マイルだったバスケスですが、自己ベストを1マイル更新したことになりますね。
また、2012年~2014年にランクインしていたケルビン・ヘレーラは最速101.5マイルとギリギリランクインを逃しています。
ちなみに、先発投手のトップは101.3マイルを記録したルイス・セベリーノ。
2018年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | Jordan Hicks | 105.0 | 169.08 |
2 | Aroldis Chapman | 104.4 | 168.0 |
3 | タイロン・ゲレーロ | 104.0 | 167.4 |
4 | フェリペ・バスケス | 102.2 | 164.5 |
5 | ディエゴ・カスティーヨ | 101.9 | 164.0 |
デビュー以来8年連続でトップだったチャップマンがとうとう陥落。そのチャップマンのStatcast最速記録105.1マイルにはわずかに届かなかったものの史上2人目の105マイルを計測したルーキーのジョーダン・ヒックスがトップとなりました。しかも、フォーシームではなくシンカーで計測したんですから、ある意味ではチャップマンより上かも。
また、あまり注目されていませんがマーリンズのタイロン・ゲレーロも素晴らしい数字を残しています。(しかし、すでに27歳なのであまり上がり目は感じません)
ちなみに、先発投手のトップは大谷翔平とジョシュ・ジェームズ(HOU)の101.1マイル(162.7km)です。
2019年
順位 | 選手名 | 球速(マイル) | 球速(km) |
1 | Jordan Hicks | 104.3 | 167.9 |
2 | タイロン・ゲレーロ | 102.9 | 165.6 |
3 | Andres Munoz | 102.8 | 165.4 |
4 | Aroldis Chapman | 102.7 | 165.3 |
5 | フェリペ・バスケス | 102.4 | 164.8 |
ジョーダン・ヒックスがダントツの数字を残し2連覇。
マイナーで104マイルを計測したムニョスは最速102.8マイルを計測。来シーズンは103マイル以上を期待したいところ。
2020年
順位 | 選手名 | 球速 (マイル) |
球速 (km) |
1 | Jacob deGrom | 102.2 | 164.5 |
1 | Josh Staumont | 102.2 | 164.5 |
3 | Brusdar Graterol | 102.1 | 164.3 |
4 | Javy Guerra | 101.7 | 163.7 |
5 | Aroldis Chapman | 101.5 | 163.5 |
5 | Garrett Crochet | 101.5 | 163.5 |
7 | Nate Pearson | 101.5 | 163.5 |
8 | Sam Coonrod | 101.4 | 163.2 |
8 | Tyler Glasnow | 101.4 | 163.2 |
10 | Dustin May | 101.3 | 163.0 |
(緑字はポストシーズンにおいて計測された記録)
短縮シーズンだったとはいえ101マイル台で上位に入る2008年以来の低水準に。とはいえトップ10のうちデグロムとチャップマン以外は全員2年目以下の選手なだけに来シーズンに期待。
2021年
順位 | 選手名 | 球速 (マイル) |
球速 (km) |
1 | Aroldis Chapman | 103.4 | 166.4 |
2 | Jordan Hicks | 103.2 | 166.1 |
3 | Julian Fernandez | 102.8 | 165.4 |
4 | Emmanuel Clase | 102.6 | 165.1 |
5 | Jose Alvarado | 102.5 | 165.0 |
5 | Camilo Doval | 102.5 | 165.0 |
5 | Brusdar Graterol | 102.5 | 165.0 |
8 | Jacob deGrom | 102.0 | 164.2 |
9 | Edwin Diaz | 102.0 | 164.2 |
10 | Josh Staumont | 101.8 | 163.8 |
(緑字はポストシーズンにおいて計測された記録)
2022年
順位 | 選手名 | 球速 (マイル) |
球速 (km) |
1 | Ryan Helsley | 104.2 | 167.7 |
2 | Camilo Doval | 104.0 | 167.4 |
3 | Jordan Hicks | 103.8 | 167.0 |
3 | Jhoan Duran | 103.8 | 167.0 |
5 | Andres Munoz | 103.2 | 166.1 |
6 | Felix Bautista | 103.1 | 165.9 |
7 | Edwin Diaz |
102.8 | 165.4 |
8 | Hunter Greene | 102.6 | 165.1 |
9 | Brusdar Graterol | 102.5 | 165.0 |
9 | Emmanuel Clase | 102.5 | 165.0 |
9 | Jose Alvarado | 102.5 | 165.0 |
2023年
順位 | 選手名 | 球速 (mph) |
球速 (km) |
1 | Jhoan Duran | 104.8 | 168.7 |
2 | Jordan Hicks | 104.6 | 168.3 |
3 | Aroldis Chapman | 103.8 | 167.0 |
4 | Felix Bautista | 103.4 | 166.4 |
5 | Abner Uribe | 103.3 | 166.2 |
6 | Camilo Doval | 103.2 | 166.1 |
6 | Ben Joyce | 103.2 | 166.1 |
8 | Ryan Helsley | 103.1 | 165.9 |
9 | Gregory Santos | 103.1 | 165.9 |
10 | Emmanuel Clase | 102.8 | 165.4 |
(春季キャンプ含む)
2023年(AAA & FSL of Low-A)
順位 | 選手名 | 球速 (mph) |
球速 (km) |
1 | Luis Mey | 103.2 | 166.1 |
2 | Justin Martinez | 102.9 | 165.6 |
3 | Melvin Adon | 102.7 | 165.3 |
4 | Luis Medina | 102.1 | 164.3 |
5 | Abner Uribe | 102.0 | 164.2 |
6 | Mason Miller | 101.8 | 163.8 |
7 | Alex Speas | 101.7 | 163.4 |
8 | Aneurys Zabala | 101.5 | 163.3 |
9 | Thyago Vieira | 101.4 | 163.2 |
9 | Johan Quezada | 101.4 | 163.2 |
9 | Bobby Miller | 101.4 | 163.2 |
2024年
順位 | 選手名 | 球速 (mph) |
球速 (km) |
1 | Ben Joyce | 105.5 | 169.8 |
2 | Aroldis Chapman | 105.1 | 169.1 |
3 | Jhoan Duran | 103.9 | 167.2 |
4 | Mason Miller | 103.7 | 166.9 |
5 | Ryan Helsley | 103.5 | 166.6 |
6 | Emmanuel Clase |
102.8 | 165.4 |
6 | Justin Martinez | 102.8 | 165.4 |
8 | Michael Kopech | 102.6 | 165.1 |
9 | Camilo Doval | 102.5 | 165.0 |
10 | Jarlin Susana | 102.4 | 164.8 |
11 | Nate Pearson | 102.3 | 164.6 |
12 | Daniel Palencia | 102.1 | 164.3 |
13 | Paul Skenes | 101.9 | 164.0 |
13 | Robert Suarez | 101.9 | 164.0 |
15 | Jackson Jobe | 101.8 | 163.8 |
16 | Tarik Skubal | 101.7 | 163.4 |
17 | Seth Halvorsen | 101.5 | 163.3 |
18 | Trevor Megill | 101.4 | 163.2 |
19 | Jason Foley | 101.3 | 163.0 |
19 | Jose Soriano | 101.3 | 163.0 |
21 | Jared Jones | 101.1 | 162.7 |
21 | Josh Staumont | 101.1 | 162.7 |
23 | Jose Alvarado | 101.0 | 162.5 |
23 | Nate Pearson | 101.0 | 162.5 |
23 | Joe Boyle | 101.0 | 162.5 |
(春季キャンプ含む)
2024年(AAA & FSL of Low-A)
順位 | 選手名 | 球速 (mph) |
球速 (km) |
1 | Jhoan Duran | 102.9 | 165.6 |
2 | Daniel Palencia | 102.5 | 165.0 |
2 | Zach Maxwell | 102.5 | 165.0 |
4 | Michel Otanez | 102.4 | 164.8 |
5 | Seth Halvorsen | 102.3 | 164.6 |
6 | Paul Skenes | 102.1 | 164.3 |
7 | Justin Martinez | 102.0 | 164.2 |
7 | Joe Boyle | 102.0 | 164.2 |
8 | Camilo Doval | 101.7 | 163.4 |
9 | Abner Uribe | 101.6 | 163.5 |
9 | Edgardo Henriquez | 101.6 | 163.5 |
11 | Tayron Guerrero | 101.5 | 163.3 |
12 | Elvis Alvarado | 101.4 | 163.2 |
13 | David Festa | 101.1 | 162.7 |
14 | Melvin Adon |
101.0 | 162.5 |
14 | Chen-Wei Lin | 101.0 | 162.5 |
チャップマンは既に30歳を超えており来年以降も首位に返り咲くことは厳しいでしょう。反対にヒックスはまだ22歳なので来年以降の記録更新も期待したいところ。ただ、そのヒックスも去年のアリゾナ秋季リーグまではほぼ無名の選手だったので(加えてタイロン・ゲレーロも)、また新たに名の知れぬ剛速球投手が突然デビューするかもしれませんね。
次は「年度別先発投手平均球速top5」についての記事を書こうと思います。
コメント
2010年のチャップマン、blooks baseballだと105.39マイルなので169.6km/hでは…🤔
Pitch F/X以前のスピードガン(レーダーガン)はホームから大体50フィート地点の球速を計測していて、それに合わせるためMLBもPitch F/Xにおいてわざわざ50フィート地点の球速を公表していました。
ただ、実際のリリースポイントは通常54フィート地点前後となるので、Brooks Baseballは55フィート地点をリリースポイントと仮定し、50フィート地点球速を5フィート分補正して仮想の55フィート地点球速を表記しています。
私が本記事のソースに用いているのはSavantの表記値で、同サイトも50フィート地点球速を実際のリリースポイントへ補正した数値を扱っていて(Brooksと異なり補正方法の詳細は不明)、補正方法の違いにより両サイトで乖離が生じているのが現状。
恐らくBrooksよりも後出しである上にMLBのソースデータへ直接アクセスできるSavantの方がより正確な補正を行っているのでしょうが、結局のところどちらも正解であり、どちらも不正解であると言えます。
また、Brooksで取り扱っていても、Savantでは誤計測として却下している計測値もあったりして、注意が必要です。