ヤンキースの2024年MLBドラフト1巡目指名候補:その6

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの1巡目指名候補について

個人的なフェイバリット達を取り上げるのは6月以降のつもりなので、今回もニュートラルなプロスペクトをリストアップ。



PJ Morlando

PJ・モアランド:19歳2ヶ月(2005年5月生)
190cm:L/R:サマービルHS(サウスカロライナ州):1B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 21位 4/24
MLB.com 50位 4/24
Joe Doyle 36位 5/14
ESPN 28位 5/8
The Athletic 33位 5/22
Perfect Game 23位 4/4
Prep Baseball Report 33位 5/3
Azad Earl 32位 4/29

元MLBプレーヤーを祖父に持ち、空軍で働く父親の転勤によってアメリカ各地を転々として、現在はサウスカロライナに在住。地元のサウスカロライナ大学にコミットしています。

ベースボールプレーヤーとしては早くから傑出した存在で、長らく2024年クラス最高級のピュアヒッターと目されており、数々の大規模なイベントやショーケースにて好成績を記録。

2023年U-18ワールドカップでは、メダル圏外の4位と不甲斐ない結果に終わった近年最弱のチームUSAの中で最高のスラッシュラインを残し、順当にベストナインに選出。

その時点では高校生No.1プロスペクトと評されていましたが、今シーズンのパフォーマンスが伸び悩んでいるようで、それに連れて評価も下落。

アーリーエントリーによって2026年ドラフトに参加することができるので、高いボーナスを確約するチームが無いままにドラフト2日目へスライドするようなことがあれば、あっさりと進学を選ぶのではないでしょうか。コミット先が弱いけど。

Hit Power Run Arm Field
50 60 45 40 50

バットコントロール、選球眼、パワーの全てを高く評価され、木製バットでのトラックレコードも◎。

両足を大きく広げる独特なスタンスは今シーズン途中から標準化が加えられ、褒められるような軌道ではなかったスイングパスもある程度良化。

特にプルサイドへパワーを発揮しているようで、球速が速いFBに対して好成績を残すファストボールヒッターでもあります。

完成度とアップサイドを兼ね備えるバッティングとは対照的に守備走塁の期待値は低く、プロレベルでも1Bを続けることになるか、それともコーナーOFへ移ることができるかは意見が分かれており、恐らく前者となる可能性が高いのではないでしょうか。

また、ドラフト前に19歳の誕生日を迎える高齢プレップであることも大きな減点材料で、昨年の1stピックGeorge Lombard Jr.の方が若年ですからね。

NYYの御眼鏡に適う可能性は低そうです。


Cam Smith

キャム・スミス:21歳4ヶ月(2003年2月生)
190cm:R/R:フロリダ州立大学:3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 16位 4/24
MLB.com 21位 4/24
Joe Doyle 13位 5/14
ESPN 23位 5/8
The Athletic 19位 5/22
Perfect Game 18位 4/4
Prep Baseball Report 39位 5/3
Azad Earl 10位 4/29

同級生と比べて非常に年齢が高く、2022年ドラフトでは3巡目クラスの評価を受けるも、アーリーエントリーによる2024年ドラフト参加を目指して超名門フロリダ州立大学へ進学。

昨シーズンは低迷するチームの中で、低BABIPに苦しみながらも主力バッターとして活躍。

さらに、シーズン終了後に参加したCape Cod Leagueにおいてリーグ上位の好成績を残し、チームメイトのJames Tibbsに先駆けてドラフト1巡目候補に。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2023 20 Florida State ACC 51 230 54 12 3 21 66 .258 .326 .517 .843
2023 20 Hyannis CCBL 44 187 58 6 0 13 24 .347 .406 .575 .981
2024 21 Florida State ACC 53 256 88 13 3 30 44 .400 .484 .668 1.153

2年目の今シーズンは順当に成績が向上。

2024年クラスにおいて数少ない強打の大学生IFとして、1巡目中盤での指名が見込まれています。

NYYの指名順位までアベイラブルならば、考え無しに飛びつくべきでしょうけど、まず残っていないでしょうね。

そんな奴を取り上げること自体が間違いかもしれませんけど。

Hit Power Run Arm Field
50 65 45 55 45

Stantonを彷彿させる肉体とフラットなスイングからトレメンデスなパワーを発揮し、Max EVは116 mphに到達。

この1年間でアプローチ面が急成長を遂げており、昨シーズンから今シーズンにかけてContact%が70.6%→81%、Chase%が33.5%→21%と大幅に向上。

当然ながら、それに連れてコンタクト・クオリティも良化の一途を辿り、90th EVは106.5 mph→111 mphと大ジャンプを見せました。

先述したようにスイングパスがフラットなため、高いGB%を残してしまっていますが、10~20° LAの打球を量産することでSweetSpot%は優秀。

3B守備はフリンジ~平均レベルの評価を受けており、強肩のおかげで同ポジションに留まることができるだろうと。


William Schmidt

ウィリアム・シュミット:18歳9ヶ月(2005年10月生)
193cm:カトリック高校(ルイジアナ州):SP/RHP

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 18位 4/24
MLB.com 12位 4/24
Joe Doyle 23位 5/14
ESPN 43位 5/8
The Athletic 30位 5/22
Perfect Game 16位 4/4
Prep Baseball Report 20位 5/3
Azad Earl 21位 4/29

Aaron Nolaを輩出したルイジアナ州バトンルージュの高校に通っており、同校から2マイル離れたLSUへコミット。

数年前は投手/野手で何方付かずの状態でしたが、2022年にピッチャーとしてブレイク。

さらに、2023年の全国規模のショーケース等で活躍と素質を見せドラフト1巡目候補に躍り出ると、今シーズンもローカルリーグで更なる成長を披露し、今では高校生No.1ピッチャーとの評価も少なくありません。

高校生ピッチャーの指名は読めないところがありますが、ショボいボーナスならLSUへ進学するでしょうね。

FB SL CB CH Cmd
60 65 40 45
FB/be FB/vel SL/vel CB/vel CH/vel
99 94~95 80~82 83~84

リピート性とディセプションに欠けるハイエフォートなオーバースロット・メカニクスから2種類のプラスピッチを投げ込む素材型。

2500 rpm弱のライディングアクションに長けるFFは、昨シーズンから今シーズンにかけて2 mph程度スピードアップ。常時95 mph前後を計測しており、春先には99 mphを叩き出しています。

まだまだ体の線も細く、将来的に100 mphの壁を突破する可能性が高いでしょう。

3000 rpmを超えるCBは今クラス最高級と評されるプラス超のピッチ。ムーブメントが大き過ぎて、コマンドに苦労している印象。

CHは投球頻度が低いため。あまり期待できなさそう。

また、球種(FF or CB)によってワインドアップのフェーズにおけるグローブ(左腕)の動きに乖離があり、プロレベルでは容易にティッピング受けることになるでしょうから、改善が必要不可欠。

プロジェクションに優れた長身痩躯な体型、ディセプションに欠けるオーバースロー、100 mph弱のFFとドラフトイヤーの球速バンプ、最高級のハイスピンCBの組み合わせは、正しくプロ入り前のCarter Stewart(現NPB)と言ったところ。