ヤンキースの2024年MLBドラフト1巡目指名候補:その5

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの1巡目指名候補について

今回は「NYYの指名順位(全体26位)前後での指名が期待されるも、個人的に好みではない大学生野手」を早い段階で潰しておこうかと思います。



Tommy White

トミー・ホワイト:21歳5ヶ月(2003年2月生)
183cm:R/R:ルイジアナ州立大学:3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 21位 4/24
MLB.com 16位 4/24
Joe Doyle 29位 5/14
ESPN 13位 5/8
The Athletic 20位 4/18
Perfect Game 15位 4/4
Prep Baseball Report 32位 5/3
Azad Earl 49位 4/29

毎年のように上位指名を輩出するIMGアカデミーに所属し、2021年クラス最上級の高校生パワーヒッターとして2~3巡目での指名が期待されるも、ノースカロライナ大学へのコミットが強く指名漏れ。

1年目(2022年)からフレッシュマン離れした強打を発揮し、同年ドラフトにて1~2巡目指名を受けた同じカンファレンス所属のKevin ParadaGavin CrossTanner SchobelMax WagnerDalton Rushingらと変わらぬ打撃成績を記録。

シーズン27本塁打はNCAA Div1のフレッシュマン記録であり、Baseball America選出のFreshman of the Yearに輝きました。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 NC State ACC 55 266 85 27 1 23 50 .362 .425 .757 1.182
2023 20 Louisiana State SEC 66 310 102 24 0 23 41 .374 .432 .725 1.158
2024 21 Louisiana State SEC 56 262 79 23 2 24 34 .341 .412 .694 1.106

次年度からDylan CrewsPaul Skenesを擁するLSUへ転校。

右肩に故障を抱えながら、打者有利の本拠地をバックにカンファレンス上位の打撃成績を残すも、フレッシュマンイヤーのセンセーショナルな活躍と勢いを考えると少し物足りない数字。

さらに、健康体を取り戻しアップスイングが期待された今シーズンも大幅なパフォーマンス向上は見受けられず、現時点では1巡目後半での指名が見込まれています。

Hit Power Run Arm Field
50 60 35 50 40

サイズと身体能力には恵まれなかったものの、非常に特徴的なスタンスから繰り出されるインサイド・アウト・スイングはバットスピードに長け、フィールド全体へパワーを発揮。特に逆方向へのハードヒッティングはお見事。

Max EVが飛び抜けているわけではありませんが、昨シーズンの90th EVは108 mphを上回っており、ゲーム・パワーの完成度◎。

それほどのEVを生み出しているにもかかわらず、昨シーズンに80 contact%、今シーズンに78 contact%を記録するなどコンタクトスキルも優れ、FBとSLの両方に対し高いZ-Con%を残している模様。

また、選球眼と早打ちが大きな課題で、昨シーズンのChase%は危険水準の38%に達していましたが、今シーズンは何とか31%まで良化。その結果、ハードコンタクトをある程度犠牲にしている雰囲気もありますが…。

何にせよハイフロアーなバッターであることは確かでしょう。

反対に走塁は上位指名候補の中でも最低クラスのツールで、ホットコーナーを務められるほどのアームを持ち合わせているものの、将来的な1Bコンバートが有力的。

いくらバッティングにおいて確固たるトラックレコードを残しているとは言っても、守備走塁に限りがあるプロスペクトに対し、NYYの全体26位指名権を費やすべきだとは思いませんし、ドラフト本番でも予想以上にスライドするのでは?


Billy Amick

ビリー・アミック:21歳8ヶ月(2002年11月生)
185cm:R/R:テネシー大学:3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 20位 4/24
MLB.com 15位 4/24
Joe Doyle 43位 5/14
ESPN 39位 5/8
The Athletic 4/18
Perfect Game 31位 4/4
Prep Baseball Report 19位 5/3
Azad Earl 42位 5/18

高校時代はTommy Whiteに勝るとも劣らないEVとスイングスピードを叩き出すも、ドラフト・プロスペクトとしては評価されず、クレムソン大学へ進学。

しかし、1年目はほとんど出場機会を得られず、2年目のシーズン途中にレギュラーの座を獲得すると大ブレイク。

ウェイク・フォレスト大学のゴールデンコンビBrock Wilken&Nick Kurtzに次ぐ打撃成績を残しました。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 Clemson ACC 9 19 2 0 0 0 11 .105 .105 .105 .211
2023 20 Clemson ACC 46 192 69 13 2 13 32 .413 .464 .773 1.236
2024 21 Tennessee SEC 48 208 64 18 3 17 38 .346 .409 .714 1.122

さらに、Cape Cod Leagueでの活躍を経て強豪テネシー大学に転向すると、虫垂炎に苦しみながらもハイレベルなSECで存在感を示し、1巡目後半~補完ラウンドでの指名が有力な存在に。

ただ、最近はチームメイトのChristian MooreBlake BurkeDylan DreilingKavares TearsDrew Beamも評価を伸ばしており、その存在感が薄まっている印象も。

プロファイルが似通っているTommy Whiteと同じく、個人的にはそこまで魅力を感じません。

Hit Power Run Arm Field
40 60 45 55 50

小細工無しのシンプルなノーステップ打法から強烈なバットスピードを繰り出し、昨シーズンにMax EV 115 mph、90th EV 109 mphを計測したロー・パワーはプラス超。

ただし、アッパーゾーンに対してのプルヒッティングを苦手としているため、ロー・パワーがゲーム・パワーへ直結せず、HR数は思うほど伸びていません。

また、ロウワー・ゾーンでVBAが小さくスティープなスイングのおかげでSL/CBに強く、FBに対してもハードコンタクトを行っていますが、選球眼に大きな課題を抱えており、Chase%は2シーズン連続で30%をオーバー。

さらに、今シーズンはハイレベルなSECへ移ったことでZ-Con%が大幅に悪化しているようで、全体のcontact%は70%を切ってしまっています。

60ヤード走のタイムは平均を上回っていますが、よりショートレンジでのダッシュやシャトルランでは並みの数字に終わっており、俊敏性はフリンジレベルの印象。

高校時代にIF送球95 mphを計測した平均超の強肩は3Bとして十分に通用するはずですけど、レンジやハンドリングは評価が分かれており、将来的な1BやRFへのコンバートを予想する声も多数。


Kaelen Culpepper

ケイレン・コールペッパー:21歳7ヶ月(2002年12月生)
183cm:R/R:カンザス州立大学:SS/3B

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 15位 4/24
MLB.com 31位 4/24
Joe Doyle 27位 5/14
ESPN 18位 5/8
The Athletic 15位 4/18
Perfect Game 19位 4/4
Prep Baseball Report 24位 5/3
Azad Earl 65位 5/18

野球とバスケットボールの両方をプレーした高校時代は高い評価を得られず、Big-12の弱小校カンザス州立大へ進学。

1~2年目(2022~23年)は本職であるはずのSSポジションをNick Goodwin(2023年7巡目指名)に譲るも、2年目に大きく打撃成績を伸ばし、シーズン終了後にはUSA大学代表チームへ加入すると、チーム最高の成績を記録。

一気に1巡目指名を期待されるプロスペクトとなりました。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 Kansas State B12 51 191 47 5 1 12 27 .283 .356 .428 .784
2023 20 Kansas State B12 40 182 49 10 9 16 27 .325 .423 .576 .999
2024 21 Kansas State B12 53 254 66 9 15 31 36 .310 .406 .540 .945

Cape Cod Leagueでの低パフォーマンスを経て、今シーズンは開幕からスランプに陥り、気温の上昇と共にエンジンが掛かるも、昨シーズンの水準に追い付くのがやっと。

依然として1巡目指名が有力視されており、一部では1巡目中盤での指名を予想する声も見受けられますが、個人的には1巡目クラスのプロスペクトとは思えませんし、NYYのレーダーにもかかっていないことでしょうね。

Hit Power Run Arm Field
45 40 50 55 50

過去2シーズンのChase%(25.8%→28.3%)とSwing%を見る限り、選球眼は平均レベルだと考えられますが、(VBAとAAがフラットなスイングのおかげか、)同期間においてZ-Con%は89%→90%と高水準で推移しているので、バットコントロールについて平均超と考えるのが自然。

また、2022年シーズンに472 feetの特大HRを放っていますが、今シーズンのMax EVは107.6 mphに留まっており、90th EVも過去2シーズンで102.7 mph→102.4 mphと微妙。

さらに、AAがフラットなおかげでLAも伸びておらず、プロ入り後はハイGB%とパワーレスに苦しむことでしょう。

昨年まで守っていた3Bの守備については一貫として高い評価を受けているものの、SS守備に関しては意見が分かれている状況。

そもそも特段アスレティシズムとクイックネスが優れているわけではなく、1巡目指名の許容水準に達していないバッティング補うほどのバリューを守備走塁に期待するのは酷か。

人種差別的な表現かもしれませんが、アフリカ系黒人だから身体能力とアップサイドが高く見えてるだけなんじゃないですか。