レイズ相手に無様に敗れ今シーズンも終了したということで、今季ヤンキースでプレーしたルーキー全員をまとめておこうかと。ただ、好成績を残した選手は一人もおらずほとんどがMLBの大きな壁にぶち当たるなど最悪のシーズンとなってます。
これで今季MLBでプレーした選手を除けば「AA以上で実績のあるトッププロスペクト」がゼロとなり、残りのトッププロスペクトはAクラス以下の選手ばかり。今後1・2年間はマイナー組織からのロクな戦力供給が望めないでしょう。
端的に言って終わりですね。
デイビー・ガルシア
昨シーズンはAAAで結果を残せずMLB昇格を見送られましたが、9月に入り若干21歳でデビューを果たすと4戦連続(NYM→BAL→TOR→TOR)で強力打線を相手に好投。これでポストシーズンの秘密兵器になり得るとの期待を感じさせましたが、その後の2登板では平均球速が下落し炎上。終わってみれば好成績とは言い難い成績に落ち着き、ポストシーズンでも初回にHRを許し1イニング限りで交代させられるなど残念な結果に。
マイナー時代は高い奪三振能力と低レベルなコマンドが特徴的な選手でしたが、MLBでは奪三振こそ思うように奪えなかったもののコマンドは別人のように安定。ただ、何故か右打者との対戦時は投手有利のカウントでクオリティの低いスライダーを多投させられ、当然のごとくそのスライダーを痛打され失点。ここら辺の関してはガルシア本人というよりもチームの配球戦術に問題があったよね。
やっぱり個人的にはフルシーズンを通してローテを張れるようなピッチャーとは思えないので、さっさとリリーフに専念させてほしいです。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | ERA+ | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 21 | 4.98 | 6 | 6 | 34.1 | 35 | 6 | 6 | 33 | 86 | 4.15 | 1.194 | 1.6 | 8.7 | 5.50 |
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クラーク・シュミット
デイビー・ガルシアと並びヤンキース傘下No.1投手プロスペクトと評される2017年のドラ1ですが、AAAを経験することなくMLBデビュー。
ご自慢の決め球カーブ(スライダー)とチェンジアップは空振りを奪う球として機能したものの、平均95マイルの2シームとフォーシームは痛打された上に空振り率5.9%とイマイチ。
明らかに慣れないMLB球のコマンドに苦労していて、来シーズンはMLB球を使用しているAAAから出直しですね。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | ERA+ | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 24 | 7.11 | 3 | 1 | 6.1 | 7 | 0 | 5 | 7 | 63 | 4.30 | 1.895 | 7.1 | 9.9 | 1.40 |
マイケル・キング
2018年にマイナートップクラスの成績を残し将来のローテーション入りを期待されたものの2019年は肩の故障により大きく劣化していたわけですが、実質MLB1年目となった今季は2018年以前の姿を取り戻すことはなく散々な結果に。
先発(オープナー)兼ロングリリーフとして9登板中8登板で2イニング以上を投げましたが、成績を見ても分かるように毎イニングのように失点。また先発時には打順1巡目に対して被打率.194・被OPS.725と悪くない数字を残したものの2巡目相手には被打率.385・被OPS.984。
変化球のクオリティ&バリエーションにも欠けすでに25歳と伸びしろも無いだけに、もう先発投手として活躍するのは無理でしょう。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 24 | 0.00 | 1 | 0 | 2.0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2.21 | 1.000 | 0.0 | 4.5 | |
2020 | 25 | 7.76 | 9 | 4 | 26.2 | 30 | 5 | 11 | 26 | 5.14 | 1.538 | 3.7 | 8.8 | 2.36 |
ミゲル・ヤホレ
昨シーズンの活躍により評価を上げていた先発プロスペクトですが、AA2登板&AAA登板無しと上位クラスでほとんど経験が無いままMLBデビュー。
モップアップとして3登板&7イニングを投げ被安打3、失点はソロHRによる1点だけと表面上は好投したかのように見えますが、被xwOBA.357&ハードヒット率73.3%と内容は低レベル。
マイナー時代は制球力が武器の技巧派投手だったもののシュミットと同様にMLB球の制球に苦しみ四球を連発(春季キャンプでも制球は荒れていました)。変化球はコマンドこそ不安定だったもののMLB打者相手にある程度通用していましたが、昨シーズンに最速97マイルを計測していたフォーシームは最速94.5マイル・平均92.2マイルと球威に欠け空振り率はたったの4.2%。このように変化球だけでなくフォーシームでもストライクを稼げなかったことによりストライク率は58%とマイナー時代では考えられないような低水準でした。
来シーズンはシュミットと同様にAAAから出直しですね。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 22 | 1.29 | 3 | 0 | 7.0 | 3 | 1 | 5 | 8 | 5.33 | 1.143 | 6.4 | 10.3 | 1.60 |
ニック・ネルソン
高めに投げ込まれるフォーシーム主体の投手にもかかわらず被本塁打が少ないことがウリのプロスペクトですが、MLBでは通用せずHR級の当りを連発され成績も低迷。
とりわけ苦手な左打者に対しコンスタントに90マイル台を計測する高速チェンジアップこそハマってはいたもののフォーシームは簡単に強打を受けました。
まあ昨シーズンから引き続きチェンジアップが向上していたこととポストシーズンでレイズ相手に好投した点はポジ要素ですね。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 24 | 4.79 | 11 | 0 | 20.2 | 20 | 4 | 11 | 18 | 5.56 | 1.500 | 4.8 | 7.8 | 1.64 |
ブルックス・クリスキー
トミー・ジョン手術復帰後の2018年シーズンからA-~AAで功績を残し、今年の春季キャンプでは自己最速を2マイルも更新する99マイルを計測するなどチャド・グリーン2世として期待されていましたが、MLBデビュー後は全くストライクゾーンに投げられず壊滅的な成績に。
ただ、失点の大部分は四球連発による自滅的なものであり、強打されたのはロビンソン・カノーに許したHRだけで他のヒットも軽打のシングルヒット。たった3.2回&22人との対戦で8三振を奪うなど、球自体のクオリティはMLBの打者相手に通用するレベルだと感じました。
とりわけ昨シーズン途中に習得したばかりのスプリッターがビックリするほど向上していて◎。チャップマンに関しての記事でチャップマンのスプリッターがMLBで最も回転数が少ないと書きましたが、よくよく調べてみたらクリスキーが最小。10スイング中7スイングで空振りを奪い、上の動画で全空振りをまとめていますがワンバウンドするようなコースでも相手打者が手を出しています。たった1年しか投げていないのにこれですからね、もうポジポジですよ。
兎にも角にもフォーシーム、スライダー、スプリッターの全てにおいてコマンドがボロボロでまるでイップス状態だったわけですが、矯正できればMLBでも戦力になると思いますね。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 26 | 14.73 | 4 | 0 | 3.2 | 3 | 1 | 7 | 8 | 8.10 | 2.727 | 17.2 | 19.6 | 1.14 |
アルバート・アブレイユ
故障と制球難により高いポテンシャルを発揮できないままAAAを飛ばしてMLBデビューを果たしましたが、案の定MLBでは通用せず2試合目の登板ではメッツ相手にサヨナラHRを許しました。
そもそもA+クラス以上で好成績を残したことがないわけでそりゃMLBで活躍できるわけがないんですけど、得意なはずのリリーフ登板でコレだとなおさら厳しいですね。
Year | Age | ERA | G | GS | IP | H | HR | BB | SO | FIP | WHIP | BB9 | SO9 | SO/W |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 24 | 20.25 | 2 | 0 | 1.1 | 4 | 1 | 2 | 2 | 16.69 | 4.500 | 13.5 | 13.5 | 1.00 |
エステバン・フロリアル
これまでAAクラス以上で経験が無く春季キャンプでも22打席・OPS.591・8三振・0四球と結果を残せなかったにもかかわらず、アーロン・ジャッジの故障者リスト入りによりMLB昇格を果たし1試合だけ出場。3打席で三振→三振→シングルヒットといった結果でした。
マイナーリーグ最高クラスの強肩・ヤンキース傘下屈指のパワー&スピードを披露する場面は残念ながらありませんでしたが、とてもじゃないけどバットコントロールがMLBで通用するレベルまで向上するとは思えない。
OF Estevan Florial shows off his arm with a throw from RF to get the runner at 3rd in plenty of time: pic.twitter.com/8YYVHAh5bk
— NYYPlayerDev (@NYYPlayerDev) July 12, 2020
Here’s OF Estevan Florial showing off the power stroke with a couple of home run swings, the first of which was a 470-foot blast 💪 pic.twitter.com/sk0kr8fXL6
— NYYPlayerDev (@NYYPlayerDev) August 11, 2020
あと一応ベン・ヘラーも新人王資格保持者だったのでルーキー扱いするべきなのでしょうが、もうMLB4年目だったのでスルーします。
コメント
マイナーリーグの試合が中止になって、実戦の経験が不足しているので仕方ないかなと思いますが…
来シーズンも試合が縮小・中止になる可能性が大ですから、暗黒期に突入しそうですね。