ブルックス・クリスキー
25歳/190cm・86㎏/右投リリーフ/カリフォルニア州出身/AA
2016年ドラフト6巡目(全体188位:契約金10万ドル)
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フォーシーム : 55/55 (平均94~96マイル、最速97マイル)
スライダー : 45/45 (平均84~86マイル)
スプリッター : 30/35 (平均86~88マイル)
コマンド : 35/40
総合 : 35/35
カリフォルニア州の弱小高校において2年~4年生時に防御率1.90→0.90→0.91の好成績を残し、Perfect Gameから全米高校生プロスペクトランキングで第210位の評価を受けたクリスキーは”かつての”強豪校・南カリフォルニア大学に進学。
2013年に南カリフォルニア大に進学した選手の中では最も高い評価を受けていたので恐らく大学進学後も高校時代と同様に先発投手として期待されていたはずですが、制球難からかリリーフに専念。
しかし、1年生~3年生の間は下の成績表を見ても分かるように防御率以外は酷い成績。2011年のMLBドラフトでも指名するチームは現れなかったため、そのまま大学に残り4年生に進級することに。
そして、4年生時に奪三振率を3近く上昇させるなど突如ブレイクを果たし、2016年ドラフト6巡目でヤンキースから指名を受けプロ入りを果たしたわけですね。
Year | Age | Tm | Lev | Aff | ERA | G | IP | BB | SO | WHIP | H9 | HR9 | BB9 | SO9 | SO/W |
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2013 | 19 | Southern California | NCAA | 4.71 | 13 | 21.0 | 10 | 14 | 1.143 | 6.0 | 0.9 | 4.3 | 6.0 | 1.40 | |
2014 | 20 | Southern California | NCAA | 3.51 | 12 | 33.1 | 16 | 23 | 1.530 | 9.5 | 0.8 | 4.3 | 6.2 | 1.44 | |
2015 | 21 | Southern California | NCAA | 2.90 | 20 | 31.0 | 14 | 27 | 1.419 | 8.7 | 0.0 | 4.1 | 7.8 | 1.93 | |
2016 | 22 | Southern California | NCAA | 2.55 | 26 | 35.1 | 15 | 42 | 1.132 | 6.4 | 0.3 | 3.8 | 10.7 | 2.80 | |
2016 | 22 | Staten Island | A- | NYY | 2.25 | 13 | 16.0 | 6 | 16 | 1.125 | 6.8 | 0.0 | 3.4 | 9.0 | 2.67 |
2018 | 24 | 2 Teams | A–A | NYY | 1.57 | 16 | 28.2 | 9 | 39 | 1.186 | 7.8 | 0.0 | 2.8 | 12.2 | 4.33 |
2019 | 25 | 2 Teams | AA-A+ | NYY | 2.08 | 43 | 60.2 | 28 | 80 | 1.022 | 5.0 | 0.4 | 4.2 | 11.9 | 2.86 |
Mino | Mino | Mino | Minors | 1.97 | 72 | 105.1 | 43 | 135 | 1.082 | 6.1 | 0.3 | 3.7 | 11.5 | 3.14 | |
NCAA | NCAA | NCAA | NCAA | 3.28 | 71 | 120.2 | 55 | 106 | 1.318 | 7.8 | 0.4 | 4.1 | 7.9 | 1.93 |
ヤンキースとの契約後すぐにA-クラスでプロデビュー。デビュー13試合で打たれた長打は二塁打たった1本だけと素晴らしいパフォーマンスを見せまいしたが、8月に肘を痛めトミー・ジョン手術に。8月という中途半端な時期での故障だったため2017年シーズンも全休することなりました。
しかし、クリスキーがトミー・ジョン手術によって劣化することはなく、2018年6月に改めてA-クラスで復帰した後は2019年のAA昇格まで全くもって順調に実績を残し、今オフにはルール5ドラフト保護のためにヤンキースの40人ロースターに追加されています。
フォーシーム:55/55(平均94~96マイル、最速97マイル)
スライダー :45/45(平均84~86マイル)
スプリッター:30/35(平均85~88マイル)
マット・ハービーに悪い意味でそっくり&故障リスクの高いショートアームから投じられる動きの少ないフォーシームは常時95マイル前後を計測。故障リスクが高いとはいえ、打者(とりわけ右打者)から見ると右腕がほとんどクリスキーの上半身と頭の後ろに隠れるのでタイミングを合わせるのは相当厄介なはず。
まともな変化球は今シーズン途中まで80マイル台中盤の横滑りするスライダーのみ。しかし、今シーズンの6月ごろから新たにそのスライダーよりも少し球速帯が速いスプリッターもレパートリーに加えました。スライダーはまだしもスプリッターは決め球として活用するにはまだまだ心もとないクオリティですが、まだ実戦では20試合程度でしか投げていないので真価が発揮されるのは来シーズン以降か。
コマンド:35/40
もちろん最大の弱点はコマンドの悪さ。フォーシームはアバウトながらも最低限ストライクゾーンに集めることができますが、スライダーはよりコマンドに苦しむ場面が多い印象。実際に今シーズンのストライク率は57.8%と低レベルで、ここらへんはトミー・ジョン手術前からのことなので将来的に大きく改善されることもないでしょうね。
Some video on Brooks Kriske, a new addition to the Yankees’ roster. He says that he added a splitter midseason to go along with his fastball and slider. pic.twitter.com/kWMYRt7aBF
— Lucas Apostoleris (@DBITLefty) 2019年11月21日
↑2回無失点・5奪三振を記録したクリスキーのベストゲームの動画ですね
加えてクリスキーの特徴を2点。
まず一つ目はフライ率と被本塁打数。2018年はフライ率がたった20%台だったものの今シーズンは50%まで大きく増加。大学時代から非常に被本塁打が少ないタイプの投手なだけに、(サンプル数が少ないとはいえ)2018年から2019年にかけてどのような変化があったのか気になるところですが、2018年の登板試合の映像が少ないために確かめようがない状況。
今シーズンを見る限りではストライクゾーン内の中途半端なコースに投げてしまったフォーシームを捉えられる場面が多かったわけですが、外野手の後方までフライが伸びることは少なくAAクラス以下ではクリスキーの球威が勝っていたよう。ただ、ボールがAA以下と比べて飛びやすくホームランの多いAAAとMLBで同じように低い被本塁打率をキープできるかは不安ですね。
もう一つは対左打者成績。2018年は対右打者OPSが.537⇔対左打者OPSが.699、2019年は対右打者OPSが.413⇔対左打者OPSが.619と”典型的なフォーシーム&スライダーの2ピッチ投手”らしく右打者を苦手としています。
(当ブログでも何度も述べているように)2020年シーズンからワンポイントリリーフが禁止されることによって右左関係なく抑えられる投手の需要&価値が高まることを考えると、クリスキーも新球スプリッターを生かして右打者へのピッチングに工夫を凝らす必要があるのでしょう。