ブレンダン・ベック:ヤンキース・プロスペクト


2023年シーズン前半戦終了時点におけるニューヨーク・ヤンキースのプロスペクト(有望株)ランキングTOP50を作成

ブレンダン・ベック

Brendan Beck
1998年10月生(25歳2か月):188cm・92㎏:RHP

AA:2021年ドラフト2巡目(全体55位:契約金$1.05M)
選手ページ:MiLB公式Baseball ReferenceFanGraphs

フォーシーム : 35/40(平均90~91マイル、最速96マイル)
スライダー  : 50/50(平均83~84マイル)
カーブ    : 45/45(平均77~78マイル)

チェンジアップ: 40/45(平均82~83マイル)
コマンド   : 55/60
総合     : 35/35


今年MLBデビューを果たした兄トリスタン・ベックに加え、母と姉もスタンフォード卒のエリート一家に生まれ、必然的に本人も同大学へ進学。

1年目(2018年)から3年生の兄、同じく3年生のクリス・ブビック(2018年ドラフト1巡目・全体40位指名)、2年生のエリック・ミラー(2019年ドラフト4巡目指名)らが名を連ねるハイレベルなローテーションの一員に。

その後も着実に数字を伸ばしていったものの、ドラフトイヤーの2020年シーズンが序盤で中止となり、思う存分に力を発揮できないままドラフト指名漏れ。

ただし、ドラフト外入団ではなく進学を選択すると、後輩たち相手に支配的なピッチングを続け、パック12・カンファレンスの最優秀投手賞を受賞。

同然ながらプロスペクトとしての評価も急上昇し、2021年ドラフトでは3巡目クラスの評価を受けていましたが、予想に反しNYYが2巡目指名にてオーバーピック。

これは次の3巡目にてスロットバリュー以上の契約金が必要なブロック・セルヴィッジを指名するための布石であり、実際にベックとはスロットバリューを下回るボーナスにて契約を結んでいます。


Year Age Lev ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2018 19 NCAA 2.43 17 12 66.2 56 6 12 38 1.020 1.6 5.1 3.17
2019 20 NCAA 3.63 17 16 91.2 102 6 25 83 1.385 2.5 8.1 3.32
2020 21 NCAA 2.82 4 3 22.1 18 1 6 25 1.075 2.4 10.1 4.17
2021 22 NCAA 3.15 17 15 108.2 81 11 26 143 0.985 2.2 11.8 5.50
2023 24 A+-Rk 1.59 10 10 34.0 24 2 7 40 0.912 1.9 10.6 5.71
2023 24 Rk 0.00 1 1 3.0 0 0 0 5 0.000 0.0 15.0  
2023 24 A+ 1.74 9 9 31.0 24 2 7 35 1.000 2.0 10.2 5.00

本来であればハイフロアーな即戦力型としてプロ入り後はスピーディーな昇級が期待されていたはずですが、ドラフト直後にトミー・ジョン手術を受け長期離脱。

その後もリハビリ過程にて幾度となくケガに見舞われ、プロ初登板は今年の6月までズレ込むことに。

実戦復帰後は60球制限を受け、5.0イニングに到達することはありませんでしたが、持ち前の完成度が高いピッチングによってA+の年下プレーヤーを圧倒。(ただし、8月末に再びIL入りを喫し、そのままシーズンエンド。)

来オフにルール5ドラフト対象となりますが、NYYの最近の投手プロスペクトの扱いを考えると、来シーズン開幕から好成績を残したとて、大幅な球威の向上が見られない限り、TDLで整理される可能性が高いのでは?


フォーシーム:35/40(平均90~91マイル、最速96マイル)

ストライドが小さくリピート性が高いオーバースローから投じられるフォーシームは球威とムーブメントに欠け、平均未満の常時90マイル強を計測。

トミー・ジョン手術から2年間も期間が空いたということで、ある程度の球速バンプを期待していたのですが、アマチュア時代から球速は変わらず。

現在は優れたコマンドによりアッパーゾーンにて空振りを奪っていますが、打高環境に身を置けば大学時代の一発病が再発する可能性も。

スライダー  :50/50(平均83~84マイル)
カーブ    :45/45(平均77~78マイル)

チェンジアップ:40/45(平均82~83マイル)

3種の変化球は何れも先発投手の及第点をクリア。

80マイル台前半の決め球ジャイロスライダーは高いK%の源に。

70マイル台後半のカーブも変化量が大きく、対LHBのアーリーカウントにて多投するカウントピッチ。

チェンジアップは反対に対LHBのレイトカウントにて多投しており、球速はありませんがフェード・ムーブメントによりゴロを誘発しています。

コマンド:55/60

先述したように投球フォームのリピート性が高く、球種を問わずハイレベルなコマンドを披露。

プロ入り後は球数制限によって65球以上を投げたことがありませんが、大学時代の確固たる実績を考えると、リミットを解錠したところでピッチングが崩れるとは思えません。

総合:35/35

実戦復帰を果たし好成績を残したと言え、25歳弱のA+成績を高く評価する気にはなれず。

期待されていた球速バンプが見受けられなかったこともあり、ドリュー・ソープの下位互換といった印象で、現状としてはシーリングが×。

やはり、2巡目・全体55位指名としてはバストの部類に入ると言わざるを得ません。

50パーセンタイルのアウトカムは現阪神ブライアン・ケラーのようなAAA止まりの先発投手かと思いますが、投球フォームに改善の余地を感じるのも事実です。