トレバー・ステファン:ヤンキース・プロスペクト

トレバー・ステファン
21歳/193㎝・95㎏/右投先発/A-
2017年3巡目(全体92位・契約金79万7500万ドル)
MLB.comプロスペクトランキングチーム内・29位

速球      :  50/50 (91~94マイル・最速97マイル)
スライダー   :  40/45 (79~82マイル)
チェンジアップ :  25/35 (80マイル台中盤)
コマンド    :  55/60
総合      :  30/40




 非常に面白い経歴を持つ選手で、高校時代はファーストとしてプレーしておりテキサスの短大ヒル・カレッジに進学すると、何故かはわかりませんが突然投手に転向しました。ヒル・カレッジではリリーフとしてプレーしており、1年目は制球に苦しんだものの2年目に克服し、2016年ドラフトで18巡目でレッドソックスに指名されて(短期大学のため2年生でドラフト対象)契約寸前まで行ったそうですが、アーカンソー大学(大学1部リーグ所属のトップクラスの強豪校)が奨学金の提示額をアップしたためにアーカンソー大学への転校を決意し、プロ入りを先送りにしました。
 そのアーカンソー大学では、これも何故かはわかりませんが先発投手に転向、投手経験はたった2年・先発経験は無しの状態で、この強豪校の中で投手では1番の成績を残し評価が急上昇。(本人のインタビューによると、同じアーカンソー大学出身のクリフ・リーやダラス・カイケルといった制球の鬼も受けたアーカンソー大学野球部のプログラムも大きかったよう。)その結果として3巡目でヤンキースに指名され、契約金がボーナスプールを20万ドル以上も上回る好条件で契約しました。
 プロ入り後は主にA-で先発としてプレーして好投。

 長身・ショートアームのスリークォーターからクロスファイヤーで投げ込まれる速球は最速97マイル、平均91~94マイルを計測。変化・球威には乏しいですが、角度をつけて投げ込まれるために左打者にも有効的。試合を見た感じではフライ系投手だと思います。
 
 ベストの変化球であるスライダーは変化量はありますが球速がないためにカーブと間違われることもあり、平均レベルを下回る印象。第2の変化球チェンジアップもまだまだで向上に努めているようですが、あまり試合では投げていません。ヒル・カレッジ時代はカーブも投げていたようですが、質が低かったのか今はもう投げていないようです。





 器用な選手で野球IQが高く投球術に長け、アーカンソー大学時代から評判の良いコマンドの良さは1番の魅力。特に速球のコマンドに長け、積極的にストライクを獲りに行くために低い与四球率を記録しており、実際にA-ではストライク率70・5%という非常に素晴らしい数字を残しています。

 同じファーストネームのトレバー・バウアーのように独特な考え・トレーニング法・調整法を持っている選手(もちろんバウアーほどではありませんが。)。上の動画で言っていることですが、トム・ハウス(野球界におけるウェイトトレーニングの第一人者の一人でありノーラン・ライアンを指導、ランディ・ジョンソンを開花させた伝説的な投手コーチ)の指導を受けたそうで、登板終了後から次の登板直前までほとんどボールを投げず、血流促進など体のケアにも余念がないようです。私はノーラン・ライアンの大ファンなのでこういう独特の考えを持った選手は大好きなんで、個人的にはこれをすごく良い意味でとらえています。

 
 コマンドの良さは先発としては十分ですが、変化球のバリエーションとショートアームの投球フォームに関する懸念からリリーフ向きという意見も多く見受けられます。見た感じではそれほど伸びしろは感じませんが、野球選手としての意識の高さ、そして投手転校3年・先発転向たった1年だけでこれほどの成績をアーカンソー大学とA-で残してることを考えれば、まだ伸びしろはあるかもしれませんね。