ヤンキース:プロスペクト・リポート:第4回(2023/7/3)


2023年「ヤンキース:プロスペクト・リポート」の第3弾

NYYのCがウィークポイントだと思っているような人間は、この文明社会に存在すべきではないので全員死んでください。



AAA

クレイトン・ビーター

AAにて5~6月にかけて26.2イニング連続無失点を記録するなど支配的なピッチングを続け、フューチャーズ・ゲームにも選出されるなど”先発”投手として期待以上の活躍を披露。

そして、とうとう6月下旬には約2年間を過ごしたAAを卒業しAAA昇級を果たしたわけですが、AAAでは一足早く昇級したウィル・ウォーレンと同様に壁にぶち当たっています。

春季キャンプでは個人的に残念なStatcastレコードを残していたのですが、AAAのStatcastでも目を見張る数字ではなし。

スピン、ムーブメントもさることながらAAでは92.94マイルを計測していたフォーシームが92マイル台に留まっており、これまでの球数・イニング制限や先発投手としての経験不足によりスタミナ面で課題を抱えている可能性もあります。

球種 球速 スピン IVB HB
FF 92.8 2189 16.6 -8.2
SL 83.9 2397 0.3 1.0
CB 79.8 2416 -2.8 -0.4
CH 84.2 1733 9.4 -13.0

制球力が向上したとは言っても、まだまだMLB先発投手平均を大きく下回るレベル。

ネクストレベルでも先発投手として活躍するにはピッチクオリティ、制球面の両方であと1段階の成長が必要でしょう。

オズワルド・ペラザ

ヤンキース内野手陣が衰えによりボロボロな事で惑星最悪のファンベースから”Call Up!”を連呼されているペラザ

しかしながら、実状はスランプとコンディション不調によって到底MLBで活躍を見込めるようなレベルではありません。

先月述べたようなフリースウィングはある程度改善されたものの、反対にコンタクトクオリティが下落し、持ち前のショート守備でもミスを連発。

7月は早速HRを放つなど幸先のいいスタートを切っていますが、昨シーズンや今年の春季キャンプ、そしてこの6月前後などチームに必要なタイミングでスランプやら故障に陥る運の悪さはクリント・フレイジャーを想起させます。

2023 Player Batting Splits
Split G PA H 2B HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
March 1 4 1 0 0 1 0 3 .250 .250 .250 .500
April 18 73 15 2 0 5 6 11 .238 .343 .270 .612
May 15 64 23 2 9 2 1 8 .383 .422 .867 1.289
June 14 68 9 1 2 5 7 12 .155 .265 .310 .575
July 1 5 2 0 1 0 0 1 .400 .400 1.000 1.400


AA

前後期制を導入しているイースタンリーグにて前期優勝。

昨シーズンもリーグ優勝を果たしているだけに、AAの層の厚さが窺い知れます。

まあ、結局AAAやらMLBに上がればどいつもこいつも活躍しないんですけど。

タイラー・ハードマン

昨日の試合で1試合3本塁打を記録し、AAイースタンリーグのHR数トップ(19本塁打)に。

取り敢えずバッティング面は順調だとして、過大評価気味のサード守備の方はどうにかならんか?

マット・サウアー

とりま実戦復帰。

(Somersetの球速表示を信じるべきかは疑問ですが)故障前以上の球速を計測。

ただ、依然としてコマンドは平均未満であり、アーリーカウントで安易にストライクを稼ぎに行ったところで被弾。

アーロン・パレンスキー

HIgh-Aにて.352/.434/.744、212 wRC+、23.8 K%、10.5 BB%を残しバズったパレンスキー

AAでは.229 BABIPに苦しみながらも.222/.420/..444、143 wRC+、15.9 K%、19.3 BB%とハイクオリティなバッティングを続けています。

この勢いなら今シーズン中にAAAへ到達するでしょうが、組織全体のOFデプスを鑑みるとTDLで売り払ってしまうのも一計。


High-A

ブレンダン・ベック

度重なる故障を経て2021年ドラ2がとうとうプロデビュー。

スライダーはソリッドでコマンドも見事なものでしたが、フォーシームは89~92マイルを計測。(Hudson Valleyの球速表示もアレですけど)残念ながら球速バンプは得られなかったようです。

現状としてはドリュー・ソープの劣化版と言ったところで、全体55位指名でコレはちと物足りないですね。

アグスティン・ラミレス

Low-Aにて平均EV 91.8マイル、MAX EV 113.9マイル、95th EV 108.9マイル、50.7 HH%を記録したうえにBB>Kを残すなどハードヒッティングとアプローチを両立。

たった3ヵ月弱でHigh-A昇級を果たし、早速ホームランも放っています。

また、ラミレスの昇級に合わせアントニオ・ゴメスと捕手併用を受けていたラファエル・フローレスは1Bメインの起用となる模様です。

クリストファー・ファミリア

開幕から2ヶ月弱出遅れるも、Low-Aにて平均EV 92.7 マイル、MAX EV 112.9マイル、95th EV 109.5マイル、54.1 HH%とラミレスに勝るとも劣らない強打を披露していたファミリア

結果としてラミレスと同時にHigh-A昇級を果たしているわけですが、すでに23歳と同クラス平均年齢を超えているうえに、守備走塁は平均を大きく下回る代物。


Low-A

野手の2022年ドラフト組

2022年ドラフトにて入団した野手は5人で、スペンサー・ジョーンズを除く4人はLow-A所属。

その中でも4巡目指名のアンソニー・ホールは下表の通り4月のスロースタート後、OPS.900&150 wRC+を超える活躍。(ただし、Statcastスタッツはそこまでの数字ではない)

2023 Player Batting Splits
Split G PA H HR RBI SB BB SO BA OBP SLG OPS
April 8 38 4 1 3 1 5 10 .121 .237 .242 .479
May 20 86 23 1 9 1 17 12 .338 .477 .471 .947
June 21 102 25 6 19 1 12 26 .284 .373 .546 .918
July 1 4 1 0 2 0 0 3 .250 .250 .250 .500

そして、残る3人の8巡目指名ブレット・バレラ、15巡名指名タイラー・アギラー、19巡目指名ボー・ブリュワーはいずれも✖

バレラは故障により出場機会が限られているだけでなくフリースウィングが改善されず。

アギラーはローパワーを発揮するも36.2 K%とコンタクトスキルに難あり。

ブリュワーはK%-BB%=-13.3%とアプローチ面は優秀な模様ですが、100マイルを超える打球はたったの1本のみとパワー不足。

MLBで活躍したヤンキースの下位指名野手は2010年のベン・ギャメルが最後なので、別に例年通りの結果。これ以上にネガる必要はありません。

Team Batting
Name Age G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
Brett Barrera 22 16 54 6 0 1 2 9 .120 .185 .140 .325
Beau Brewer 21 21 83 12 0 1 16 5 .182 .337 .182 .519
Tayler Aguilar* 22 46 188 28 5 6 23 68 .173 .282 .333 .615

アダム・ストーン

昨年にハーバード大学からドラフト外で入団した巨躯ピッチャー。

低レベルなアイビーリーグにて低成績に終わるもサマーリーグでの活躍によりプロ入りを果たしたプレーヤーですが、Low-Aでもファンキーな投球内容。

ハイスピンがウリ…というかそれが唯一の長所なものの、回転軸やムーブメントは安定せずスピンを活かしきれない印象。

球種 球速 スピン IVB HB
FF 93.9 2592 12.1 -3.3
CT 90.6 2624 7.3 1.4
SL 83.0 2578 2.0 11.2


FCL

野手のティーンエイジャー

若手野手の活躍が目立つFCL Yankees。

特に過去2シーズンDSLにてOPS.600前後に終わっていたハンス・モンテロはCPXクラス全体でもNo.1の打撃成績を残し、昨シーズンDSLで活躍したカイナー・デルガドエマニュエル・テハダも引き続き好調。

ロデリック・アリアスも守備では相変わらずエラーを連発しているものの、打撃成績は18歳として上々の数字。

ただ、反対に彼らの先輩野手たちは目も当てられないような惨状です。

Team Batting
Name Age G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
Keiner Delgado# 19 19 97 25 2 13 16 9 .313 .433 .488 .921
Willy Montero 18 17 79 19 0 1 7 16 .275 .342 .362 .704
Hans Montero 19 20 93 24 4 7 22 14 .353 .527 .647 1.174
Roderick Arias# 18 17 84 17 3 8 15 18 .250 .393 .427 .819
John Cruz* 17 18 79 14 4 4 11 19 .212 .329 .455 .784
Enmanuel Tejeda 18 19 87 19 3 13 23 18 .312 .506 .525 1.030

アレン・ファクンド

昨年は故障によりシーズン全休に終わるも、FCLダントツの奪三振率を記録するチームで上位の38.1 K%を記録。

デセプションに長けたショートアームからナスティなスライダーを投じています。

ただ、再現性が良さげなこのフォームで制球に苦しむようでは期待薄。

パブロ・ムヒカ

前回のルール5ドラフトAAAフェーズにてロイヤルズ傘下から獲得したリリーフピッチャーですが、4試合・7.1回を投げ16失点💩💩💩

昨シーズンすでにCPXクラスでは好成績を残していて、本来ならLow-Aで起用されるべき存在のはずなのに、彼に一体何が起きた?

ルイス・セルナ

開幕をIL上で迎え、6月末にやっと復帰したと思ったら1.1回・4失点…


DSL

チャルニエール・アリアス

4試合・21.1回を投げ35奪三振・3与四球と年下のプレーヤーを圧倒。

軽々しく昇級を唱えると馬鹿っぽいので言いたくはありませんが、年齢も考えると流石にFCLでプレーさせるべきでしょう。