ヤンキースの2024年MLBドラフト1巡目指名候補:その8

2024年MLBドラフトにおけるヤンキースの1巡目指名候補について

その5」と同様に今回は大して魅力を感じないドラフト・プロスペクトを取り上げます。



Caleb Lomavita

ケイレブ・ロマヴィータ:21歳5ヶ月(2002年7月生)
180m:R/R:カリフォルニア大学バークレー校:C

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 17位 5/30
MLB.com 33位 5/30
Joe Doyle 33位 5/14
ESPN 29位 5/8
The Athletic 42位 5/22
Perfect Game 29位 4/4
Prep Baseball Report 18位 5/3
Azad Earl 31位 5/18

MLBドラフト1巡目指名候補では非常に珍しいハワイアン・ネイティブであり、フルネームは Caleb Kaimi Kaleipomaikai Lomavita

ハワイNo.1プレップとの地位を築くも、所詮は本土と比べ選手層が遥かに薄い環境での評価。

2021年ドラフトにて2日目以内に指名を得られるような状況ではなく、最近パッとしない元強豪UCLBへ進学する形に。

Year Age Tm Lg G PA H HR SB BB SO BA OBP SLG OPS
2022 19 California P12 55 262 63 7 15 22 52 .272 .345 .414 .759
2023 20 California P12 48 226 65 16 9 12 25 .316 .367 .612 .979
2024 21 California P12 55 258 73 15 12 12 43 .322 .395 .586 .981

フレッシュマンイヤーをレギュラーDH兼控え捕手としてフルシーズンプレーすると、2年目には正捕手のスポットを得ると同時にバッティングが開花。

打者有利の本拠地をバックにOPSを.200向上させ、シーズン終了後に参加したCape Cod Leagueにおいても攻守に渡り活躍。

一気に1巡目指名が期待される存在となりました。

今シーズンも引き続き同等の活躍を披露していることで、今クラスNo.1キャッチャーと評するエバリュエーターも多く、LAA(全体8位指名)とのリンクについて噂が…。

Hit Power Run Arm Field
40 55 55 50 40

スタンド式のシンプルかつルーズなメカニクスからハイエフォートなスイングを繰り出し、昨シーズンは106.5 mph 90th EVを記録。今シーズンに至ってはオープニング・ウィークエンドで113.9 mph EV・452 feetの高速特大HRを放ちました。

というわけで、パワー面は平均以上。

しかしながら、バットコントロール/選球眼には難を抱えており、昨シーズンから今シーズンにかけてContact%が81.1%→75.3%、Chase%が29.6%→35.3%と大幅に悪化。

スイングのVBAがLower Zoneに対してフラットになる点も問題で、HHLAは上位指名候補の中で下位の数字。

フィジカル的にもプロジェクションの余地は小さく、同じカンファレンス所属でライバルと見做されているMalcolm Mooreの方が上位と断言できます。

キャッチャーとしては珍しく身体能力に優れて、29+ ft/sのMax Sprint Speedを計測する走力は平均を上回り、SB数において毎シーズンのようにカンファレンス上位へランクイン。

ただし、キャッチャー守備成績は芳しくなく、将来的なコーナーOFや1Bへのコンバートが見込まれている現状。

キャッチャーを特段必要するチームならまだしも、NYYが1巡目で手を出すべきような存在だとは思いません。


Jurrangelo Cijntje

ジュランジェロ・センチェ:21歳2ヶ月(2003年5月生)
180m:ミシシッピ州立大学:SP/SHP

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 40位 5/30
MLB.com 31位 5/30
Joe Doyle 44位 5/14
ESPN 36位 5/8
The Athletic 15位 5/22
Perfect Game 126位 4/4
Prep Baseball Report 56位 5/3
Azad Earl 82位 5/18

世にも珍しいコンペティティブなスイッチピッチャーとして兼ねてから高い注目を集めいていたプロスペクト。

高校球界上位の投手プロスペクトとして2022年ドラフトにおいても上位指名を得られたはずですが、近年好調なミシシッピ州立大学進学を選択。

Year Age Tm Lg ERA G GS IP H HR BB SO WHIP BB9 SO9 SO/W
2023 20 Mississippi State SEC 8.10 14 13 50.0 44 12 34 63 1.560 6.1 11.3 1.85
2024 21 Mississippi State SEC 3.55 15 15 83.2 63 11 29 108 1.100 3.1 11.6 3.72

フレッシュマンイヤーは倒壊するチーム投手陣の中で制球難に苦しむも、今シーズンに入ると制球面が大きな成長を遂げ、一躍カンファレンス上位の好成績を記録。

それに連れてプロスペクト評価も急上昇を見せており、アーリーエントリーでの傘下となる今回のドラフトでは1巡目指名が有力視されています。

as RHP

FB SL CB CH Cmd
60 50 40 45
FB/be FB/vel SL/vel CB/vel CH/vel
99 93~96 87~88 87~88

as LHP

FB SL CB CH Cmd
45 45 45
FB/be FB/vel SL/vel CB/vel CH/vel
96 91~93 80~82 87~89

まずは、RHPとしてのプロファイル。

非常にシンプルなメカニクスからMax 99 mph・Avg 95mph前後を叩き出し、2500~2700 rpmのSLはCTライクなPut-Away Pitch。

ただし、High-80s mphのCHはSPの2nd変化球としては物足りないクオリティで、将来的に現在のSLをLow-90s mphのCT、そしてMid-80s mphのより緩いSLへと分離・差別化する必要があるかもしれません。

課題であったコマンドもピッチクオリティと同様に今シーズン大きな成長を遂げ、特にシーズン後半戦に入ってから安定感が向上。

お次に、LHPとしてのプロファイル。

RHPよりRelSideが大きな3/4スロットからVAAがフラットなFFを投げ込み、Low-80s mphのSLはSweeping要素が強いHAA大のピッチ。

まともな変化球は他に持ち合わせておらず、全体的にツールはRHPから大きく劣っています。

スイッチピッチャーとは言え、現状としてRHP>LHPとなっていることから、LHB相手にRHPとして投げる機会も少なくなく、多くのエバリュエーターがRHPへ専念することになると予想。

当然ながらRHPへ専念することで更なる成長を見込むべきでしょうが、そもそもフィジカル的にプロジェクションの余地が小さく、SPとしての将来性には多くの疑問符が残ります。

何にせよ身長5-11の大学生ピッチャーをNYYが好むとは思えません。


Carter Johnson

カーター・ジョンソン:18歳4ヶ月(2006年2月生)
185m:L/R:オックスフォードHS(アラバマ州):SS

Draft Prospect Rankings
メディア 順位 更新日
Baseball America 38位 5/30
MLB.com 40位 5/30
Joe Doyle 37位 5/14
ESPN 34位 5/8
The Athletic 28位 5/22
Perfect Game 35位 4/4
Prep Baseball Report 14位 5/3
Azad Earl 33位 5/18

数年も前から全米クラスのイベントやショーケースに参加するトップティアの高校生SSであり、特に昨年の活躍によって評価が上昇。

高校生市場の不作も相まって1巡目のフリンジクラスと見做されており、Theo GillenWyatt Sanfordを上回る高校球界No.1 SSとランクするエバリュエーターも。

ただ、2023年U-18ワールドカップではチームワーストの💩成績を残し、今シーズンもパフォーマンスがイマイチとのことで、2巡目にスライドする可能性も十分あります。

NYYがLomavitaCijntjeを指名すればキレますけど、Johnsonならまだ許せるかと。

Hit Power Run Arm Field
45 45 45 50 45

美しい左のスイングから優れたバットコントロールを見せており、昨年の全体22位指名Colt Emersonと比較する声多数。

Upperr Zoneに対してフラットなスイング、そしてLower Zoneに対してスティープなスイングを使い分けることでハイクオリティなコンタクトを生み出すスキルは印象的。

HAAが大きなOut-to-Inの水平スイングパスのおかげで、決してバットスピードとRaw-Powerが優れているわけではありませんが、高いヒッティングスキルによって期待値以上のGame-Powerが見込まれるのではないでしょうか。

映像を見る限りある程度の身体能力を感じさせるものの、純粋なスピードはフリンジレベル。

SSにステイできる可能性が高とは言えず、Theo GillenWyatt Sanfordと比較して明確なストロングポイントが欠けています。