Statcastのホームラン推定飛距離の信憑性

現在、MLBにおいて一大センセーションを巻き起こしているStascast、そのさまざまな計測の中でも1位2位を争うほど人気があるのがホームランの推定飛距離でしょう。

MLBでは2015年からStascastがホームランの推定飛距離を測定していますが、その他には2006年からESPNが
ESPN Home Run Trackerにおいて発表しています。
Stascastは確かレーダーで弾道を測定して推定飛距離を算出しており、ESPNは打球の落下地点(外野席やフェンスの当たった場所)とから打球角度、初速度、飛距離を算出しており、それぞれ算出方法が違うため大きく値が異なること少なくありません。(まあおそらくStascastのほうが正確でしょうが)
ここで今シーズン最長のホームランを見てみましょう。もちろん今月のアーロン・ジャッジのホームランです。

Stascastの計測結果は飛距離495フィート(151メートル)、初速度118.6マイル(191キロ)、角度28度で、ESPNは飛距離496フィート(151メートル)、初速度119.6マイル(193キロ)、角度27度と算出されており、ほぼ同じ結果が出ていますし、間違いなく150メートル級の特大ホームランと言えます。ちなみに下の画像はESPNのものですが青点が落下地点、緑点が観客席がなかった場合の最終推定落下地点です。
このホームランはESPNが2006年に計測を初めてから最長のホームラン、Stascastではクアーズフィールドを除けば1位タイの飛距離となっています。


次にStascastの今シーズン推定飛距離第2位のホームランを見てみましょう。
ジャッジの4日後にキオン・ブロクストンが放ったホームランです。
Stascastの計測結果は飛距離489フィート(149メートル)、初速度108.6マイル(175キロ)、角度29度で、ESPNは飛距離442フィート(135メートル)、初速度106マイル(171キロ)、角度29度と算出されており、飛距離以外はほぼ
同じ値ですが飛距離だけは14メートルもの違いが生まれていることが分かります。下のESPNの画像を見てわるることかもしれませんが、実際に気温・湿度・風などの気候や打球の回転を考慮しても、ジャッジよりも初速度が10マイルも遅いのこの打球が149メートルも飛んだとは到底思えません。


他にも例を出してみます。

ジャッジがロジャースセンターで放った素晴らしいホームランです。
Stascastの計測結果は飛距離403フィート(123メートル)、初速度112.1マイル(180キロ)、角度28度で、ESPNは飛距離448フィート(137メートル)、初速度111.9マイル(180キロ)、角度25度と算出されており、またもや飛距離に大きな違いが生まれています。ここで上の動画でセンターフェンスを見れば分かるようにロジャースセンターのセンター最深部までは400フィートとなっています。それならばジャッジの2階席に飛び込んだセンター寄りの打球がたった403フィートしか飛んでいないとは思えず、Stascastの推定飛距離はまたもや間違えていると言えます。
(ロジャースセンターは屋内球場なので風の影響もありません)

↑400フィートのラインがフェンスと被って見にくいですが、どう考えて403フィートは超えています。

次が最後の例になります。私がStascastのホームラン推定飛距離に大きな疑問を持つきっかけとなった、TEXの
ノマー・マザーラが2016年に放った1発です。

Stascastの計測結果は飛距離491フィート(150メートル)、初速度108.6マイル(175キロ)、角度27度で、ESPNは飛距離453フィート(138メートル)、初速度115.3マイル(186キロ)、角度27度と算出されており、飛距離だけでなく打球初速度にも大きな違いが出ています。当時このホームランを見たとき私は大きなホームランだなとは思いましたが、Stascastの推定飛距離が150メートルと知ったとき大きな驚きを感じたことを覚えています。テキサスは空気が乾燥してボールが飛びやすいかもしれませんが、このホームランがジャッジの1発と1メートルしか違わないとは思えません。
 
 


StascastやESPNが推定飛距離を第三者的に計測・算出してくれるようになったおかげで、かつてのように140メートル程度の打球が160メートルや170メートルなどと言われる馬鹿げた話がなくなったことは素晴らしいことです。しかしStascastの測定が決して正確であるわけではないことは頭に入れておかなければなりません。
(今回はStascastのことばかりになりましたが、ESPNもおかしなことはよくあります)

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