今シーズン、スイッチヒッターとして歴史に残る打撃成績を残しムーキー・ベッツやマイク・トラウトと熾烈なMVP争いを繰り広げているインディアンズのホセ・ラミレス。
今回はそのラミレスの打撃成績と歴代名スイッチヒッターの打撃成績をwRC+によりランキングして比較してみたいと思います。(1選手1シーズンのみ)
1位:wRC+217:ミッキー・マントル(1957年)
ヤンキース:右打席OPS1.214、左打席OPS1.161
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
144 | 173 | 34 | .365 | .512 | .665 | 1.177 | 146 |
もちろん第1位は史上最高のスイッチヒッターであるマントル。ただ、このwRC+217は歴代10位の数字ですが、同年のテッド・ウィリアムズがwRC+223の好成績を残しており打撃タイトルは一つも獲得できず。
マントルはこのシーズンを含めてシーズンwRC+190以上を4回記録しており、右打席・左打席でほぼ同じ打撃成績を残す理想的なスイッチヒッターでした。
ちなみに、スイッチヒッターを始めた理由は自分は右打者がやりたかったのに父親が左打者信者だったから。
2位:wRC+174:チッパー・ジョーンズ(2008年)
ブレーブス:右打席OPS1.040、左打席OPS1.047
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
128 | 160 | 22 | .364 | .470 | .574 | 1.044 | 90 |
現代を代表するスイッチヒッターのベストシーズン。前年にOPSでNLトップとなっていましたが、この年も開幕から好調で6月18日の時点で打率4割台をキープしており、最終的には打率.364で首位打者のタイトルを獲得。ただ、故障者リストに入るなど出場試合数は少なめでRAAなどはそこまで上の数字ではありません。
3位:wRC+171:ホセ・ラミレス(2018年)
インディアンズ:右打席OPS.845、左打席OPS1.102
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
123 | 134 | 37 | .296 | .409 | .623 | 1.032 | 84 |
残りシーズンの成績次第ではスイッチヒッター歴代2位の記録を狙える打撃成績。身長175㎝の小柄な体格からは想像できな程の強打を披露しており、もしHR王となれば身長175㎝以下の選手がHR王となるのは1942年のメル・オット以来の快挙となります。
また、盗塁数もすでに27個に達しており打率次第ではトリプルスリーも狙える状態。MLBのサード史上初めてとなるWAR+10到達も視野に入ってきました。
4位:wRC+169:ケン・カミニティ(1996年)
パドレス:右打席OPS1.133、左打席OPS.983
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
146 | 178 | 40 | .326 | .408 | .621 | 1.028 | 78 |
シーズンのほとんどを肩の回旋筋腱板を損傷したままプレー。前半戦はOPS.859、12本塁打とそこそこの成績でしたが、後半戦はOPS1.203、28本塁打と打ちまくり満票でMVPに選ばれました。ただ、このシーズン以外ではwRC+141がベストであり、ちょっとだけ確変の成績でした。
5位:wRC+168:レジー・スミス(1977年)
ドジャース:右打席OPS.812、左打席OPS1.065
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
148 | 150 | 32 | .307 | .427 | .576 | 1.003 | 104 |
1983年~1984年に巨人でプレーしたことで有名な選手ですが、MLBの歴史に残るスイッチヒッター。wRC+150以上を3度記録しましたがこのシーズンが自己ベスト。チームのリーグ優勝に貢献し、敗れはしたもののWSでも好成績を残しました。
6位:wRC+168:ビクター・マルティネス(2014年)
タイガース:右打席OPS1.123、左打席OPS.923
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
151 | 188 | 32 | .335 | .409 | .565 | .974 | 70 |
開幕時点ですでに35歳となっておりMLB最低クラスの鈍足だったにもかかわらずこの打撃成績。上の4人並みの走力さえあればジョーンズを超え2位となっていたのでは?
ほとんどDHとしての出場ながらMVP投票ではマイク・トラウトに次ぐ2位。このオフに完璧なタイミングでFAとなり大型契約(4年6800万ドル)をゲットしますが、大方の予想通り不良債権化しました。
7位:wRC+166:ハワード・ジョンソン(1989年)
メッツ:右打席OPS.847、左打席OPS.970
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
153 | 164 | 36 | .287 | .369 | .559 | .928 | 77 |
生まれつきは左利きでしたが父親が右利きに矯正。ドラフト時は投手として指名されますがすぐに内野にコンバートされ、身長178㎝ながらもMLBでは強打者として活躍しました。
この年は走塁でも41盗塁を記録し史上5人目の30本塁打40盗塁達成者に。当時メッツの本拠地シェア・スタジアムは打者不利だったので場合によっては40&40も達成出来ていたかもしれません。
8位:wRC+166:ケン・シングルトン(1977年)
オリオールズ:右打席OPS1.035、左打席OPS.908
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
152 | 176 | 24 | .328 | .438 | .507 | .945 | 107 |
25本塁打以上は一度だけですが高い四球率を誇り、6シーズンでwRC+148以上を記録した強打者。スイッチヒッターとして史上唯一3000本安打&500本塁打を記録しているエディー・マレーと共に史上最強のスイッチヒッター・コンビを組みました。
9位:wRC+164:ランス・バークマン(2001年)
アストロズ:右打席OPS1.099、左打席OPS.867
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
156 | 191 | 34 | .331 | .430 | .620 | 1.051 | 92 |
スイッチヒッターには珍しく左利きの選手。キャアリを通して右打席(通算OPS.777)と左打席(通算OPS.995)に大きな成績差のあった選手ですが、このシーズンも左打席ではイマイチな成績。
今で過小評価されてていますがこのシーズンを含めてwRC+156以上を5回記録しており、通算wRC+144はスイッチヒッターとしてマントル、ジョーンズに次ぐ歴代3位の数字です。
10位:wRC+161:リッパー・コリンズ(1934年)
カージナルス:右打席OPS.797、左打席OPS.962
試合数 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 四球 |
154 | 200 | 35 | .333 | .393 | .615 | 1.008 | 57 |
「ガスハウス・ギャング」の一員としてMLB史上初めてスイッチヒッターとして30本塁打以上を記録し本塁打王を獲得。35本塁打はミッキーマントルに抜かれるまでスイッチヒッター最多記録でした。
ちなみに、ティーンエイジャー時代に炭鉱で働いており、そこの草野球チームが使用していた野球場のライト側が狭かったことがスイッチヒッターを始めた理由。
こうして見てみるとどれだけラミレスが歴史に残るような打撃成績を残しているかが分かります。それにラミレスはシーズン48本ペースでホームランを量産していますが、スイッチヒッターで48本塁打以上を記録したのはミッキー・マントルのみ。
また、他にもピート・ローズやエディー・マレー、バーニー・ウィリアムズ、ティム・レインズ、テッド・シモンズ、カルロス・ベルトラン、マーク・テシェイラ、ボビー・ボニーヤなど多くの優れたスイッチヒッターがいましたがコリンズのwRC+161を超えた選手はなし。
ちなみに、かの有名なクール・パパ・ベルもスイッチヒッターです。