ジョーイ・ウェンドル:新人王レース大谷翔平最大のライバル

ハリソン・ベイダー:2018年MLB・NL新人王最有力選手

2週間ほど前に上の記事でMLBのナショナルリーグNo.1の成績を残している新人選手のハリソン・ベイダーをNL新人王最有力選手として紹介しましたが、今回はベイダーと同じようにほぼ無名ながらも新人の中でトップクラスの成績を残しているジョーイ・ウェンドルについて書こうと思います。

(贔屓のベイダーと比べてそんなに詳しく知らないんだけどね)


ジョーイ・ウェンドル

1990年4月26日生(28歳)/185㎝・86㎏/右投左打/2012年ドラフト6巡目(全体203位)/タンバベイ・レイズ所属
MLB.com
Baseball Reference
Fangraphs
Baseball Savant


2016年にOAKでデビューを果たすと、今シーズン前にJonah HeimとのトレードでTBに移籍。春季キャンプで好成績を残すと開幕からダニエル・ロバートソンとのプラトーンとしてセカンドで起用されました。

  打率 出塁率 長打率 OPS wRC+
3月&4月 .329 .390 .493 .883 144
5月 .263 .296 .342 .638 75
6月 .192 .224 .205 .429 17
7月 .360 .435 .573 1.009 178
8月 .330 .373 .495 .867 136

4月に月間最優秀MVP候補に挙がるほどの活躍を見せましたがxwOBA(たった.284、それに対しwOBAは.378)は大したことない数字。そのxwOBAの数字通りに5月~6月は大きく打撃成績を落とし6月中の成績は投手レベルで、一時はAL新人王レースから脱落したと思われました。

しかし、7月に入り突如成績が向上(たぶんボックス内での立ち位置をホームプレート寄りにしたから)、7月1日から今日までのwRC+156はMLB全体14位、xwOBA.374はMLB全体41位の数字となっています。7月は月間最優秀新人賞をルルデス・グリエルJr.(グリエルの弟、ブルージェイズ所属)に譲りましたが、試合数や守備力を考慮すればウェンドルが受賞すべきだったでしょう。

また、マイナーリーグ時代からセカンド守備が優秀で、今シーズンのセカンドでのDRSは+4、UZRは3.6となっています。


さあ、最後にALの他のルーキープレーヤーとの比較です。

2018年AL新人rWARトップ5
1位:3.0:大谷翔平(LAA)
2位:3.0:ジョーイ・ウェンドル
3位:2.8:グレイバー・トーレス(NYY)
4位:2.5:ブラッド・ケラー(KC)
5位:2.3:ルー・トリビーノ(OAK)
2018年AL新人fWARトップ5
1位:3.0:大谷翔平(LAA)
2位:2.5:ジョーイ・ウェンドル
3位:2.3:ミゲル・アンドゥハー(NYY)
4位:2.2:グレイバー・トーレス(NYY)
5位:1.8:シェーン・ビーバー(CLE)
現状として大谷翔平が新人王レースのトップと言えますし、明日から二刀流に復帰することも大きなプラスになるでしょう。ただ、故障で1ヶ月ほど離脱したことは大きなマイナスとして扱われるかもしれませんし、先発に復帰して炎上でもしてしまえばあっさりとトップの座から転がり落ちてしまう可能性も。とりわけ明日の対戦相手はアストロズ打線ですし。

そして、成績上での大谷最大の対抗馬が今回紹介したウェンドル。この2ヶ月間の好調を9月もキープできればまだまだ新人王の可能性は十分にありえます。(ちなみに、今日も2安打を記録しておりこの7試合では12安打を放っています。)

3番手はグレイバー・トーレス。デビュー28試合で9本塁打を放ち現97試合21本塁打は162試合換算なら35本塁打ペース。若干21歳でヤンキースという人気チームでプレッシャーを受けながらプレーしていることもプラスとして考えるべきかも。しかしながら、デビューが開幕20試合目であること+故障による約3週間の欠場が影響してまだ383打席しか立っておらず、平均より下の守備力も足を引っ張っているために同じセカンドのウェンドルよりは下の成績となっています。ただ、この15試合は打率.407、OPS1.076と絶好調。

ちなみに、一部のメディアやファンがアンドゥハーを新人王に推していますが、アンドゥハーは守備が醜くDRSがー24、UZRがー13.2とどちらもMLB全体ワースト2位の数字。後半戦はOPS.968と絶好調をキープしていますが、現状としては上の3人に水をあけられると言えるでしょう。ただ、開幕直後からほとんど怪我することなくプレーしており、試合数や打席数が多いことはプラスとして扱われる可能性も。


(本音)

ハリソン・ベイダーの記事でも同じようなことを書きましたが、もちろん二刀流で23歳の大谷、21歳のトーレスの方がもちろん希少価値は上。でも、新人王において新人である限りはネームバリューや年齢、マイナー時代の評価、立場など関係なく平等に扱われるべき。

まあ、Twitter上やアメリカメディアの新人王関連のニュースなどではウェンドルの名前はほぼ挙がっておらず、実際の新人王投票でも成績関係なしに無視されそうです。というか野球記者ですらウェンドルの活躍自体を知らない人は山ほどいるでしょう。

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