21世紀以降に10代でMLBデビューした選手たち

 現代のMLBは日本プロ野球と比べて下部組織(マイナーリーグ)やFA、ドラフトの仕組みが全く違うため、10代のうちにMLBデビューを果たす選手が稀になっており、21世紀以降ではたった10人しか10代でデビューしていません。いわゆるトップクラスのプロスペクトしか10代でデビューできないのがMLBです。今回はその快挙を果たした10人を取りあげてみました。

 
 

 
(記した年齢はデビュー時の年齢、日にちはデビュー日時)
 
 
ウィルソン・ベテミー
19歳320日/2001年9月18日/ブレーブス/SS/通算rWAR:3.0
 元々トッププロスペクトとみなされており、AAで好成績を残し飛び級デビュー。そのまま2001年シーズンは8試合プレーしましたが、翌年はAAAで低成績に終わりMLBでプレーしていません。後にヤンキースに所属しましたがほとんど活躍しなかったので個人的には印象の悪い選手。実際に通算成績も平凡です。

ホセ・レイエス
19歳364日/2003年6月10日/メッツ/SS/通算rWAR:36.7
 シーズン前にベースボールアメリカ・プロスペクトランキング(以後BAPRと表記)で全体3位にランクイン、20歳の誕生日直前にデビューしました。デビュー後の成績も良く新人王投票では8位となり、その後の活躍は言わずもがな。
 
 
メルビン・アップトン.Jr
19歳347日/2004年8月2日/レイズ/SS/通算rWAR:16.2
 2002年ドラフト全体2位で指名されたった2年でデビュー。ちなみに翌年のMLBでの出場は無しく、MLBに定着したのは2007年。20代前半時は良い選手だったんですが・・・。
 
 
フェリックス・ヘルナンデス
19歳118日/2005年8月4日/マリナーズ/SP/通算rWAR:52.4
 16歳で契約した当時から怪童と言われており、プロ入り後マイナーでも好成績を残し続けあっさりとデビュー(21世紀以降では最年少)。19歳ながら先発として84回でERA+158という驚異的な成績を残しました。通算成績も21世紀以降に10代でデビューした投手の中ではNo.1。ただ、若いころから投げまくったせいか劣化も早かったですね。ちなみに2005年のフォーシームの平均球速は98.6マイル(158.6キロ)、2017年は90.8マイル(146.1キロ)でした。
 
 
ジャスティン・アップトン
19歳342日/2007年8月2日/ダイヤモンドバックス/RF/通算rWAR:32.4
 先程のメルビン・アップトン.Jrの弟であり2005年のドラフト全体1指名選手。兄に続き10代でのデビューを果たしました。いまやMLBトップクラスのLFですが、2007年は43試合でrWARが-0.6と全く通用しませんでした。

マイク・トラウト
19歳335日/2011年7月8日/エンゼルス/CF/通算rWAR:55.2
 プロ入り後から圧倒的な成績を残しまし19歳11か月でデビュー、MLBデビュー後は40試合でwRC+87、rWAR+0.7とそこそこの成績を残しました。その後は説明不要。

ブライス・ハーパー
19歳195日/2012年4月28日/ナショナルズ/RF/通算rWAR:26.1
 ドラフト前から史上有数の才能を秘めた天才打者と目されていましたが、期待通りに19歳でMLBデビュー。現代野球において19歳としては空前絶後の成績(139試合でrWAR=+5.1、fWAR=+4.6、ただ守備成績に関しては運が良かった部分もありますが)を残し新人王に輝きました。19歳でこれほどの成績を残す選手が次に現れるのは数十年後でしょうね。ただ残念ながらケガに弱く、才能を発揮しきれていないことは・・・。
 
 
ジェリクソン・プロファー
19歳195日/2012年9月2日/レンジャース/SS/通算rWAR:0.0
 19歳でデビューといってもこの年MLBでは9試合しかプレーしておらず顔見世みたいな感じでした。2013年シーズン前の各媒体によるプロスペクトランキングで全体1位となりましたが、当時から過大評価の声も多く、その後の成績はまさしくリプレイスメントレベル。

ディラン・バンディ
19歳313日/2012年9月23日/オリオールズ/SP/通算rWAR:4.4
 2011年ドラフトでは高校生No.1投手として全体4位指名されると、1年目の2012年シーズン最終盤でMLBデビューして2試合登板(顔見世レベルですね)。ただ翌年の春季キャンプで肘を痛めトミージョン手術、MLBに再昇格したのは2016年。今は先発3~4番手クラスに収まってしまっています。
 
 
フアン・ウリアス
19歳289日/2016年5月27日/ドジャース/SP/通算rWAR:0.7
 この5年間に19代でMLBデビューした唯一の選手。2017年6月に肩の手術を受け長期離脱中ですが、復帰は早くても今シーズン後半戦のようです。
 


 
 
 二人に一人がその後も期待通りの活躍をしています。逆に言えば二人に一人はあまり活躍できていないということになりますね。ちなみに、最後に18歳でデビューした選手は1994年のアレックス・ロドリゲス(7月8日に19歳346日でデビュー)です。
 
 今年に10代でデビューできる選手がいるならば、もっともその確率が高い選手はウラジミール・ゲレーロ.Jrと言われています。そのほかの選手ならフェルナンド・タティース.Jrでしょうね。というか、この二人以外に可能性がある選手はいないのでは。