1~28位まとめ 2017年MLBドラフト・有望株ランキング

1位:ハンター・グリーン  右投先発  高校生(カリフォルニア)

右投げ右打ち・190㎝・17.8歳
若干17歳でアメリカ最大のスポーツ誌・スポーツ・イラストレイテッドで表紙を飾り(10代の男性野球選手ではブライス・ハーパー以来)、誌面では野球界のレブロン・ジェームズor次世代のベーブ・ルースとも評された選手です。次世代のベーブ・ルースという肩書からも分かるように二刀流として注目されており投手なら全体3位以内、ショートとしてなら全体10位以内の評価を受けています。(それ以前に高校入学前から有名な選手で、わずか14歳で93マイル(149㎞)を計測しています)
投手としては、まだ17歳ながら最速102マイル(最速101マイルというスカウトも)、平均ですら95マイル~98マイルという年齢離れした速球を誇り変化も優れています。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップの3種類を持ち、スライダーは将来平均以上になるでしょうし、今年はチェンジアップの向上に努めました。。投球フォームはスムーズでコマンドも高校生としては間違いなく平均以上です。
野手としては、まだ線は細いもののパワーのポテンシャルは素晴らしく、軽いスイングで簡単に柵越を放ちます。
打者に専念していないので、バッティングフォームはまだ改善の余地がありますが、打者に専念し体も大きくなれば素晴らしい長距離打者になれるはずです。足の速さはトラウトの肩のように、唯一の弱点といわれていますが、守備範囲・グラブさばきは平均以上で最高級の強肩を含めて、守備でも高校生トップクラスの評価を受けています。
野手としてよりは投手として優れており、90%以上の確率で投手として指名&育成されるでしょうが、最近の剛速球高校生右腕といえば、14年全体2位のタイラー・コレックや16年全体4位のライリー・パイントなどシングルAですら通用していない選手が思い浮かぶだけにリスクが大きいように思えます。しかし、全米イ的なスター選手不足・黒人の選手減少が指摘される昨今のMLBには、グリフィー以来の黒人スターとして絶対に必要な逸材でしょう。

2位: カイル・ライト  先発  ヴァンダービルド大学

右投げ・193㎝・21.8歳
 
一部ではマッケイ、グリーン以上の評価を受ける、強豪ヴァンダービルド大のエースピッチャー。
速球は平均92~94マイル、最速97マイルを誇り、コマンドも優れておりコンスタントに低めに集めることが出来ます。また80マイル中盤のスライダー、80マイル前後のカーブ、80マイル後半のチェンジアップは全て平均以上であり容易に空振りを奪います。ただ変化球のコマンドは速球ほどではなく、まだ向上の余地があるようです。
スロースターターのようで、スタミナにも優れており8~9回でも球速・コマンドを維持することができます。
体格にはまだ成長の余地があり、投球フォームも体重をボールにしっかりと乗せられていないような感じがするので、プロ入り後もある程度は球速上昇が期待できるでしょう。順調に球速が上昇すればトミージョン手術復帰後のスティーヴン・ストラスバーグのような投手になるんではないでしょうか。ソニー・グレイやジョン・ラッキーと比較する声もあります。

3位:マッケンジー・ゴア  先発  高校生(ノースカロライナ)

左投げ・188㎝・18.3歳
現在では高校生No.1左投手として、高校生投手では完成度・ポテンシャルともにグリーンに次ぐ評価を受けていますが、今年のシーズン開始前は2巡目クラスの選手と目されていました。
今シーズンは88と1/3イニングを投げ防御率0.08、174奪三振という圧倒的な成績を記録しています。
去年は88マイル~92マイルだった速球が最速97マイル・平均91~94マイルまで急成長しており、年齢離れしたコマンドも高く評価さてています。変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップすべてで平均以上のポテンシャルを秘めており、とりわけカーブは高校生トップクラスの評価を受けています。
上の動画でも分かるように投球フォームは独特で、肩・肘への負担を心配しているスカウトもいるようです。まあこのフォームでコマンド良く投げられるのはある意味凄いんですけど。
188㎝ながら約82㎏と痩身でさらなる体の成長の余地は十分にあり、最速97マイルの速球は間違いなくさらに速くなるでしょう。順調に成長すればエース級になれる逸材です。(あまり関係ないかもしれませんが学業も優秀です)

4位: オースティン・ベック  センター  高校生(ノースカロライナ)

右投右打・180㎝・18.6歳

今ドラフト最高クラスのポテンシャルを秘めますが、去年の5月に足を怪我し夏と秋のショーケースに参加できなかったため、レベルの高い相手や木製バットでのプレーが未知数であり、アメリカでの評価も全体4位~10位とバラツキがあります。個人的には気に入っている選手なのでこの順位としました。
(ショーケースについての説明はこちらのNHKのコラムをご覧ください⇒http://www1.nhk.or.jp/sports2/column/column_hasegawa_017134.html
バッティングスピードは高校時代のクリント・フレイジャーやブレンダン・ロジャースと匹敵するレベルで、パワーのポテンシャルは高校トップクラスと言われています。対照的に、ショーケースに参加しなかったこともありコンタクトには疑問符が投げかけられており、プロレベルで厳しいとみるスカウトもいるようです。しかし、バッティングフォームはコンパクトでハンドスピードも素晴らしく選球眼も優れているので、私はプロでも平均レベルのコンタクトを見せると思います。
去年の怪我前は60ヤードダッシュで6.5秒を切る俊足でしたが、今年は怪我の影響で少しスピードが落ちているといわれています。しかし、それでも平均よりかなり上のスピードは外野守備にも生かされるでしょうし、90マイル以上を計測する強肩も考えれば、プロでもセンターとして平均以上の守備力を持つでしょう。
5ツールのうち4つでトップクラスのポテンシャルを秘め、マイク・トラウトと比較する声もあり、個人的には去年のドラフトで上位にランク付けされたミッキー・モニアクやブレイク・ラザフォードよりも上だと思います。

5位:ブレンダン・マッケイ  左投先発/一塁手  ルイビル大学

左投げ左打ち・190㎝・21.5歳 (下は成績)
今ドラフトの最高の大学生・MLBドラフト史上最高の二刀流選手などの評価を受ける選手で、彼が投手・野手どちらとしてMLBデビューするかアメリカでは全く意見が分かれており、今ドラフト最大の謎とも言えます。
まずは投手として。アメリカ大学野球でも強豪リーグのACCに所属していますが、防御率2.22、奪三振率12.28の好成績を記録しています。アームスピードはイマイチで速球は90マイル~94マイルとそれほど速くはありませんが変化に富み、もし投手に専念すれば当然球速は上がるはずです。決め球のカーブは今ドラフト最高クラスとの評価もあり、右打者に投げるチェンジアップも平均レベルです。また、デリバリーはシンプルで無駄がなく、常に低めにコマンドされており球威の不足を補っています。ただ投手に専念していないせいか、試合後半の球速低下が見受けられるようです。
次は打者として。今ドラフト大学最高のピュアヒッターとの評価もあり、本塁打15本・OPS1.100台を記録しています。ハンドスピードが素晴らしく、フォームにもブレが少なく長距離打者というよりは選球眼を備えた3割20本を記録するような打者になると予想されています。しかし、強豪校とそれ以外の大学との成績を比較してみると成績に差があります(俗に言う雑魚専かも)
守備では強肩のものの、二刀流+鈍足のせいで一塁手オンリーの選手となってしまっており、プロ入り後打者に専念したとしても一塁以外は無理だろうと考えられます。ただグラブさばきなどの評価は高く一塁手としては平均以上の守備を有するようです。
投打ともにトップクラスの選手ですが、二刀流が足を引っ張ってる感もあり、大谷翔兵みたいにはいかないでしょう。かつてケーシー・ケリーがBOSに1巡目で指名された際、シーズンに前半後半を投手野手に分けて1年間二刀流としてプレーしたときは投手に専念することになりました。マッケイも同じように入団先でとりあえずは二刀流としてプレーすることになりそうです。(スカウトに投手を希望している旨を語ったという噂もあります)

6位: ロイス・ルイス  ショート/センター  高校生(カリフォルニア)

右投右打・185㎝・18歳

ベックと並ぶ高校生最上位指名候補で、身体能力は今ドラフト最高との評価もあります。
バッティングの完成度が高く、レッグキックが大きいにもかかわらず上半身が突っ込むことがなく、内角にも腕をしっかりと畳み対応します。選球眼にも優れており、パワーのポテンシャルも本塁打20本級と評価されています。ただ現在は打球が上がらないことが多く、数少ない課題の一つと言えるでしょう。
80スケールで70の評価を受ける俊足で、今シーズンは30試合で26回中23回で盗塁に成功しています。肩の強さは平均~平均以上といわれていますが、当初はショートとして見られていたものの、ドラフトが近づくにつれてプロ入り後はセンターでプレーするのではないかとの予想が多くなりました。センターとしての経験は少ないものの、俊足のおかげで平均以上に守れるはずです。

7位:J・B・ブカウスカス  先発  ノースカロライナ大学

右投・183㎝・20.8歳
名門ノースカロライナのエースとして13先発・防御率1.87を記録しています。
高校時代から剛腕として名の知れた選手で、コンパクトなフォームから投げる最速100マイル・平均95~96マイルの速球は80スケールで70の評価を受けており、決め球のスライダーは80マイル後半で右打者からも容易に空振りを奪い、大学トップクラスの変化球と言えます。90マイル近いチャンジアップは平均レベルといわれていますが、将来的には平均レベルとなるでしょう。コマンドは悪いですがパワーピッチャーなので許容範囲内です。
体格の小ささが不安視されていますが、遅生まれのため3位にランクインしたライトよりも1歳近く若く、1歳の差で大きく価値の変わる現代のMLBで大きな利点となっています。体の小ささからソニー・グレイやティム・リンスカムと比較されていますが、プロでの活躍はチャンジアップの向上次第でしょう。

8位:シェーン・バズ  先発  高校生(テキサス)

右投・191㎝・17.9歳
テキサスといえば昔ではノーラン・ライアン、ロジャー・クレメンス、ケリー・ウッド、最近ではタイラー・コレックやマイケル・コペックなど剛腕が多いイメージがありますが、このバズも最速98マイルの剛速球を武器にするパワーピッチャーです。その速球は、最近はやりのスピンレイトで最高2810RPMを記録しており(トラックマン社が計測したんで真実味はあるかな)、ただ速いだけの速球ではないようです。遅生まれのため18歳になっておらず、さらなる球速上昇も期待できます。
変化球で評価が高いのはカットボールで84~88マイルを計測しています(最近ではカットボールは肘への負担が大きいといわれています)。またカーブもスピンレイトが良く、チェンジアップとともに平均以上のポテンシャルを秘めています。速球の球威のわりに変化球を投げることが多いようで、肘への負担蓄積を不安視するスカウトもいるようです。
多くの剛腕高校生と同じようにコマンドは不安視されており、歴史的にはこのようなタイプの高校右腕はハズレが多いので、高校生の中でもリスクの大きな選手でしょう。

9位:ペイヴィン・スミス  ファースト  ヴァージニア大学

左投左打・188cm・21.6歳
スミスが高い評価を受けている一番の理由は、261打席で9三振+36四球を記録した打撃成績でしょう。成績から分かるようにヒッティング、選球眼の完成度は高く、インサイドアウト・スウィングから広角に打ち分け、バッティングスピードの速さからパワーの高いポテンシャルも評価されています。木製バットでも好成績を残しているため、プロ入り後のリスクも小さいでしょう。
肩の強さは平均レベル以上で大学1年ではレフトでもプレーしたことがありましたが、鈍足のため今では守備位置はファーストに限定されてしまっています。ただファースト守備は平均以上と言われています。
選手のタイプとしてはエリック・ホズマーと比較されており、3割20本を記録する選手になると予想されています。

10位:ジェレン・ケンドール  センター  ヴァンダービルド大学

右投左打・178㎝・21.4歳
高校時代から高い身体能力を誇る名の知れた選手で、今シーズン開幕前までは全体1位指名最有力でしたが、今シーズンは三振率が25%付近まで悪化し現在のように評価を落としました。
体格のわりにパワーは平均以上のものの、すでに述べたようにバッティングコントロールは悪く、重心が高いため特に低めに対応できないことが多く、プロレベルでは平均以下になるかもしれません。また木製バットでの成績も良くなく{ケープコットリーグ(木製バットを使用するリーグ)での成績}、プロ入り以降はパワーも発揮できない確率もあります。
大きなリスクの残るバッティングとは対照的に、守備・走塁は大学トップクラスの評価を受けており、走塁は80スケールで70~80、俊足をいかしたセンター守備もゴールドグラブ級のポテンシャルを秘めています。
ジャコビー・エルズベリーと比較されており、プロレベルでも守備・走塁では間違いなくトップクラスの選手でしょう。ただ体格も小さく打撃の大きな問題点を考えれば、23位で指名されたことも納得がいきます。

11位:ジョーダン・アデル  センター  高校生(ケンタッキー州)

右投右打・191㎝・18.2歳
現在の身体能力だけならルイスと並んで高校トップクラスと言っても過言はないでしょう。
特筆すべきツールはスピードと肩。去年のショーケースでは60ヤード走で6.2秒を計測しており、このタイムは高校トップクラス。しかし将来の体格の成長につれてある程度は落ちるでしょう。肩の強さは高校生外野手でトップ、去年は投手として16歳11ヶ月で96マイルを計測するなど、センターでプレーするには申し分のないレベルです。(ちなみに現MLBプレーヤーでは、高校生時代にアーロン・ヒックスが98マイル、ジョーイ・ギャロが98マイル、ブライス・ハーパーが16歳で96マイルを計測していました)
またバットスピードも素晴らしく、パワーのポテンシャルも間違いなく平均以上でしょう。
ここまでだけなら全体5位指名前後レベルの選手ですが、アデルの評価を大きく落としているのがバッティングコントロールです。速い球・変化球への対応はどちらも評価が低く、相手が高校生なら良いですがプロレベルが相手になれば三振を量産すると予想されています。
明確な弱点がありますが、身体能力の高さからアンドリュー・マカッチェン、ジャスティン・アップトンと比較されており、この後13位で紹介する同じセンターのヘイズリーとは両極端の選手です。

12位:アレックス・ファイエド  先発  フロリダ大学

右投・195㎝・21.7歳
去年は大学全米代表として防御率0.56を記録し全体3位以内指名候補の一人でしたが、秋に両ひざの故障で手術をしたため評価を落としました。また成績も少し低下しています。
投球フォームが独特でスリークォーターから最速97マイル、平均91~94マイルを投げ込みますが、怪我の影響か今シーズンは少し球速が低下しています。決め球は平均以上のスライダーで80マイル中盤を計測しており、将来には絶対的な決め球に成長するポテンシャルもあります。また平均以下のチェンジアップが第2の変化球ですが、習得したのは最近でまだまだ伸びしろがあるでしょう。(速球のコマンドは良いようですが、変化球のコマンドは平均以下と言われています)
投球フォームも含めて怪我の心配な選手ですが、今年のスランプを克服すれば各球種の向上が期待でき、先発ローテ3番手レベルの投手になれそうです。

13位:アダム・ヘイズリー  センター  ヴァージニア大学

左投左打・185cm・21.1歳
8位のペイヴィン・スミスとチームメイトですが、打撃成績だけならスミス以上のOPSを記録、また投手としてもある程度の成績を残しています。
身体能力が高く、スピードと肩は平均以上でプロレベルでもセンターに留まれると予想されています。
クラウチング気味の打撃フォームからインサイドアウト・スウィングで広角に打ち分けます。選球眼も優れており変化球にも対応できますが、パワーのポテンシャルは低く将来は10~20本塁打程度しか期待できないようです。
「3割15本塁打20盗塁+高出塁率を記録できる守備は平均以上のセンター」が将来像、ポテンシャルはほかの上位候補ほどではありませんが、リスクは小さく即戦力候補として指名されるはずです。

14位:ニック・プラット  ファースト  高校生(カリフォルニア州)

左投左打・185㎝・18.7歳
バッティングの完成度は高校No.1と言われる生粋のピュアヒッターです。優れたバッティング・スピードから速球・変化球関係なく広角に打ち分け、コンタクトは80スケールで60以上の評価を受け、選球眼も高校離れしています。将来のこの選手の成功の可否を分けるのがパワーで、バッティング・スピードを考えれば80スケールで60程度のポテンシャルを秘めますが、体格はファーストとしては大きくいため少し不安は残ります。
投手としても最速93マイルを計測するほどの強肩で、守備範囲やグラブさばきも高く評価されており、ファースト守備は平均以上の選手になるでしょう。ただ足は遅くファースト以外でのプレーは厳しいと見られています。
春先に少しスランプになっていましたが、好守好打のファーストとしてエリック・ホズマーと比較されており、高校生のわりにリスクの小さな選手です。

15位:D.L・ホール  左先発  高校生(ジョージア州)

左投・182㎝・18.7歳
去年のショーケースで96マイルを計測、今シーズン前までは高校No.1左腕と目されていた有望株です。
最速96マイル・平均90~93マイルの速球は間違いなくプラスピッチですが、彼のベストツールは高校生No.1の変化球といわれる70マイルのカーブでスピンレイトはすでにMLBクラスの値を計測しています。
この2球種だけならもっと上の選手のように思えますが、チェンジアップは去年の夏に投げ始めたばかりで平均以下と言われており、先発投手としてはバラエティが物足りない様に感じます。またコマンドの評価も悪く、投球フォームの安定感に欠けリリースポイントが不安定のようです。体格の小ささも弱点で線が細いわけでもなく将来の伸びしろに疑問符が残ります。実際に今年は去年から球速がほとんど上昇していません。
速球とカーブは間違いなく1級品でスコット・カズミアーと比較される素材だけに、チェンジアップとコマンドがプロ入り後に向上すれば先発2番手クラスも狙えるでしょう。

16位:グリフィン・カンニング  右投先発  UCLA

185㎝・78㎏・21.1歳
強豪校UCLAのエースとしてとりわけ4月から好成績を残しており、安定感・完成度を含めて即戦力として期待されています。
手投げであまり良いフォームには思えませんが、速球は最速95~96マイル、平均90~93マイルで腕の振りが早くスリークォーターから投げ込むため大きく変化します。また変化球も非常に優れており、80マイル前後で大きく曲がるカーブは間違いなくプラスピッチ、右打者に投げるスライダー、左打者に投げるチェンジアップもともに平均~平均レベル以上でコントロール&コマンドにも優れており、高い奪三振率&低い与四球率を記録しています。
弱点を上げるとなると、投球フォームになるでしょう。手投げでショートアームから投げる+変化球が良いので変化球に頼りすぎることから、故障のリスクが心配されます。(ただ大学では故障なくプレーしています)
間違いなく即戦力タイプの選手と言われていますが、細身の体系+投球フォームに改善の余地がある+今年成績を大きく上げていることを考えるとまだ成長の余地があるように思えます。選手タイプとしてはグレインキーと比較されており、2015年にヤンキースに1巡目指名を受けた同じUCLAのジェームズ・カプレリアンとも似ています。

17位:トレバー・ロジャース  左先発  高校生(ニューメキシコ州)

左投・198㎝・19.5歳
身長198㎝・細身・長い手足・速球とスライダーの組み合わせからアンドリュー・ミラーと比較されており、素質だけなら今ドラフトでトップクラスだと言われています。
去年の夏に最速95~97マイルを計測し全体Top10クラスの評価もありましたが、今年は最速98マイルを計測したという話もあるものの、平均89~92マイル程度にとどまり評価を下げてしまいました。投球フォームはスムーズで長身から大きく踏み込み長い腕を鞭のように使いスリークォーター気味から投げるため、角度があり体感速度・回転数も優れています。またコマンドも高校生としては平均レベル以上です。
スライダーも高く評価されておりスラーブ気味に大きく変化し、時にはカーブとも評されています。チェンジアップは平均以下ですが、試合でははあまり投げないようなので仕方がないかもしれません。
今年のスランプが評価を下げている1番の要因ですが、もう1つの理由は高校生ながらすでに19に達している年齢。ほかの高校生がほとんど18歳のことを考えれば、他高校生と単純に比べるのはフェアではないでしょう。
個人的には長身細身の選手は体格的な伸びしろがあって好みなので、2つの大きな不安要素を差し引いても20位内にランクインする選手だと思いました。ただアンドリュー・ミラーのように先発よりはリリーフ向きかもしれません。

18位:デヴィッド・ピーターソン  左先発  オレゴン大学

左投・198㎝・21.8歳
全米No.1の強豪オレゴン大学で高いK-BBを残し、4月のアリゾナ大学戦では1試合20奪三振を達成しました。
身長198㎝・体重109㎏の巨体にもかかわらず、スリークォーターで投げる投球フォームは安定しており、大学トップクラスのコマンド・コントロールを生み出しています。速球は90~94マイルで縦横に変化し、80マイル前半のスライダーは平均以上で空振りを奪えるボール、70マイル後半のカーブは平均レベルです。チャンジアップも平均以上ですがあまり投げることがなく、20奪三振の試合でもほとんど投げていません。
今ドラフト・トップクラスの完成度を誇り、MLBデビューにかかる時間も非常に短いだけに即戦力候補として指名されるでしょう。ただ完成度が高いということは伸びしろが少ないということでもあり、評価が大きく分かれている選手でもあります。

19位:ネイト・ピアソン  右投先発  セントラルフロリダ短期大学

198㎝・109㎏・20.9歳

高校時代は速球は90マイル程度で肘の故障もあり弱小短期大学に進学しましたが、進学後急成長を見せこの1~2か月間で全体20位前後まで評価を上げています。

短期大学2年生でありほかの大学生より約1歳近く若いですが、198㎝・109㎏の巨体を誇り踏み込みも良くリリースポイントも打者に近いため体感速度も良さそうです。去年は高校時代と一転90マイル後半を計測し、今年に入ると先月には投球練習で101マイルを計測しています。(一部のスカウトのスピードガンでは102マイルを計測したという話も)。平均でも90マイル中盤~後半を計測しており球速だけなら大学生投手トップです。
変化球も基本の3種類(スライダー・チェンジアップ・カーブ)を抑えており、アームスピードを考えればスライダーは平均以上のポテンシャルを秘め、チェンジアップとカーブの成長次第では先発として大いに期待が持てます。
コマンドが改善されなければリリーフ向きかもしれませんが、投球フォームも良くここ2年間での成長ぶりを考えれば先発ローテ上位クラスのポテンシャルを秘めているように思えます。ただ高校時代の肘の故障歴が大きな足かせになっていることは確かです。

20位:サム・カールソン  右先発  高校(ミネソタ州)

右投・193㎝・18.7歳
ミネソタの高校生ではマウアー以来の逸材と言われ、ドラフト1巡目指名を受ければミネソタの高校生投手では史上初の快挙となります。
この1年間で身長が1インチ・体重が11キロ増え、去年の夏は最速92マイルだった速球が、今年は最速96~97マイルまで急激に上昇しました。また球速だけでなく変化にも富み、コマンドも高く評価されています。スライダーとチェンジアップの2種類の変化球を投げますがどちらも平均以上のポテンシャルを秘め、とりわけチェンジアップが決め球として使われています。スムーズなフォームも魅力的で安定したコマンドの元となっています。ただ肘への負担が大きなフォームだとも思えますが。
3球種で平均以上の可能性を秘め、この1年間での急成長を考えればさらにもう1段階上のポテンシャルも秘めているといえます。ただフロリダ大学に進学する確率も高く、スロット以上の契約金が必要と予想されていて、実際に位1巡目されず2巡目全体55位まで指名順位は落ちました。またバッターとしても活躍しており、もし大学に進学すれば二刀流としてプレーするでしょう。

21位:エヴァン・ホワイト  ファースト  ケンタッキー大学

191㎝・91㎏・21.1歳
 
決して洗練されたフォームではないもののリストの強さを生かし理想的な角度の打球を放ちます。ただ細身のためかホームランバッターというよりは中距離打者に近いタイプのバッターです。実際にプロレベルでも力強い打球を放てるかは疑問があるかもしれません。ただ細身のことを考えると体重を増やせば、パワーのポテンシャルもファーストとして十分に秘めていると考えています。パワーのほかに選球眼も心配点で、ほかのトップクラスの大学生打者と比べると四球は少なめとなっています。
 
ファースト守備は今ドラフト最高の評価を受けており、将来のゴールドグラブ賞候補とも言われています(上の2つ目の動画に守備でのプレーが収録されています)。肩の強さも足の速さも平均以上と言われており、外野守備でも平均以上のポテンシャルを秘めていますから、タイプ的にはLADのコディー・ベリンジャーに近いと言われているようです。

22位:ジェイク・バーガー  サード  ミズーリ州立大学

右投右打・188㎝・100㎏・21.2歳
去年から注目されている選手で、パワーだけなら大学トップクラスの大砲候補、2年連続で20本塁打以上を記録しています。体格が良く純粋なパワーに恵まれているだけでなく平均以上にフライを打つことができ、選球眼・読みにも優れています。トラックマンが計測している打球初速度でも、大学トップクラスの数字を残しているようです。高打率を記録していますが、バッティングコントロールのおかげというよりも選球の良さによるものだと言われていて、スウィングの際に腕が伸びてしまう傾向があり、プロレベルでは三振が増えると予想されます。
足の速さは体格の割に80スケールで40~45程度、肩の強さは平均レベル。サード守備はグラブさばき、左右への守備範囲も平均レベル~平均以下で将来的にはファーストにコンバートされると予想されています。
多くの媒体では大体20位前後にランクされていますが、この1ヶ月少し成績を落としていることが気になります。

23位:ケストン・ヒウラ  DH  カリフォルニア大学アーバイン校

右投右打・183cm・84㎏・20.8歳
大学1部リーグ(ただし所属リーグのレベルは決して高くない)で打率と出塁率で1位・アメリカ大学代表チームでOPSで1位の成績を残している大学屈指の好打者です。スウィングはコンパクトでバッティングスピードは素晴らしく選球眼も備えています。今年は大学トップクラスのコンタクトだけでなくパワーも成長を見せており、クリーンナップを打てるような打者になれると予想されています。
足の速さも平均レベルでオフェンス力だけならもっと上位の選手かもしれませんが、彼の評価を大きく落としている理由が肘の状態です。去年の4月にセンターでのプレー中送球の際に肘を痛めそれ以来DHとして出場し、秋にセカンドでプレーしましたがダブルプレーの際に再び肘を痛めました。当然トミージョン手術が必要とも噂されましたが、結局はPRP療法(田中将大と同じパターン)を受け、やはり今シーズンはDHのみでのプレーしており、守備練習ではセカンド守備を行っているようですが、キャッチングをするだけでスローイングは行わないという奇妙な練習方法を取っています。上位で指名するには肘の状態が悪すぎるのか、それともこの状態であれだけ打つのが凄いのかなんとも言えない選手です。
多くの媒体で20位以内の評価を受けている好打者ですが、個人的には肘の状態はリスクが大きすぎるように思いこの順位としました。

24位:タナー・ハウク  右投先発  ミズーリ大学

195㎝・98㎏・21.0歳
 
195㎝の長身から独特なスリークォーターのフォームでマックス・シャーザーとも比較される素材先行型の大学生投手です。
 
長身と独特なフォームのおかげでリリースポイントがプレートから大きく離れておりただでさえ打ちにくいですが、今ドラフト最高クラスの速球を持ち、最速98マイル、平均で92~93マイルを計測するだけでなく、トップクラスの変化量も評価されています。この速球のおかげでゴロが多く球数も抑えられています。変化球は2球種、スライダーの変化量は平均以上、チェンジアップの変化量は平均レベルですが投球フォームのおかげで変化量以上の効果があります。このようなフォームのピッチャーはコントロールが悪いことが多いですが、ハウクはそのようなことはなく球数も四球も少なく与四球率は大学通算で1点台を記録しています。
 
マイナス点としては故障のリスクが大きな投球フォームであるということ、ここ2ヶ月近くで防御率が悪化していること、そして与死球があまりにも多すぎること(ここ10試合で16回ぶつけています)です。
 
リリーフ向きかもしれませんが、簡単に言えばマックス・シャーザーをショボくしたようなピッチャーなんで、プロレベルで投げてみるまでは分からないですね。
 
 
 

25位:セス・ロメロ  左投先発  元ヒューストン大学

188㎝・109㎏・21.2歳
毎年MLBのドラフトでは、上位候補の中に問題児や精神的に未熟な選手がいますが、今年最大の問題児がこのロメロです。事件が起きたのは先月の第1週、所属していたヒューストン大学野球部から強制退部させられニュースとなりました。話によるとロメロはドラッグやファンの子供への暴力行為などで何度かチームから出場停止を課せられた経歴がありましたが、今回はチームメイトを殴り、さすがに堪忍袋の緒もおれたのか強制退部となったようです。当然ドラフトでの評価にも大きく影響しており、事件前には全体10~15位程度の高い評価を受けていました。
 
左のスリークォーターから最速97マイル、平均92~94マイルの速球と平均以上の80マイル後半のスライダーのコンビネーションは抜群で大学でトップの奪三振率を記録しています。今年はチェンジアップもレパートリーに加えており、まだ平均以下ですがさらなる向上も期待できます。コントロールも平均以上と言われていますが、今年は与四球率が悪化しているため、少し疑問符は残ります。
 
非常太りやすい体質の選手で、今シーズンはスリムな体形でシーズン開幕を迎えていましたが、シーズン中にもかかわらず簡単にリバウンドしてしまったようで、先発よりはリリーフ向きの選手に思われます。
 
 
 

26位:ローガン・ウォーマス  ショート  ノースカロライナ大学

右投右打・183㎝・86㎏・21.7歳
今年のドラフトは大学生でファースト以外の内野手が非常に不足していますが、その不作の中でもNo.1の評価を受けている選手です。
スウィングはコンパクトで体の開きが遅く外角の球にもしっかりと対応することができますが、左足の使い方に若干の不安が残ります。ただコンタクトだけでなく毎年着実にパワーも付けてきており、プロレベルでもISO・1.50前後を期待できます。
守備範囲・肩の強さ・走力はすべて80スケールで50~60クラス、プロレベルでもショートに留まれると予想されています。
完成度が高く伸びしろは少ない典型的な即戦力タイプですが、ショートの不作のおかげで多くの媒体のドラフト予想で20位前後での指名を予想されています。個人的にはあんまり好きな選手じゃないです。
今ドラフト生の中では、彼女は間違いなく一番かわいいんですけどね↓

27位:ババ・トンプソン  センター  高校生(アラバマ州)

右投右打・185㎝・84㎏・19.0歳
野球だけでなくアメフトのクォーターバックとしても活躍した身体能力抜群の高校生外野手。
クォーターバックとして活躍したことから分かるように武器は俊足と強肩でセンター守備において大きな武器となっており、プロレベルでも長い間センターをプレーできるでしょう。特に脚力は60ヤード走で6.35秒を計測しており80スケールで70の評価を受けています。
今年はパワーの成長も見せておりバッティングスピードも良いので個人的にはさらなる成長を期待していますが、多くのスカウトは将来15本塁打程度のポテンシャルだと見ているようです。ただコンタクト力には疑問符が投げかけられており、選球眼も良くないようでプロレベルでは三振が増えると予想されます。
すでに19歳になっており高校生の中では早生まれであることもマイナスポイントです。

28位:アレックス・ラング  右投先発  ルイジアナ州立大学

193㎝・90kg・21.8歳

最速96~98マイル、平均93マイルの速球と大学トップクラスの80マイル前後のナックルカーブを武器に高い奪三振率を誇ります。ただチェンジアップは平均以下で先発としてプレーするならさらなる向上が必要でしょう。
最大の欠点はコマンドの悪さで、上の動画を見て分かるようにオーバースローで投げますがリリースポイントが安定せずストライクが入らないことが多いようです(ヤンキースのタイラー・クリッパードみたいな感じかな)。また性格が負けず嫌いで気が強いようで、場合によってはムキになって投げる傾向があるようです。
最高級のカーブ、コマンド、性格と長所短所がはっきり分かれていますが、先発というよりはリリーフ向きの選手に思えます。