本日行われた2020年度MLBドラフトにおいて全体28位指名権(1巡目)を持つニューヨーク・ヤンキースはアリゾナ大学の大学生捕手オースティン・ウェルズ(Austin Wells)を指名しました。
オースティン・ウェルズ
Austin Wells
20歳11か月:188㎝・82㎏:右投左打:C
アリゾナ大学:2年生
メディア | 順位 |
Baseball America | 21位 |
MLB.com | 27位 |
FanGraphs | 40位 |
元アリゾナ大学野球部でジョージ・アリアスともチームメイトだった父、同大学の体操部に所属した母というアスリート一家に生まれ、ラスベガスのビショップ・ゴーマン高校(2012年ドラフト全体39位指名のジョーイ・ギャロを輩出)において4年間(アメリカの高校は4年制が基本)で通算打率.428を記録。特に3年生以降の活躍は目を見張るものがあり、2017年シーズン(3年生時)には37試合で打率.500、8本塁打、OPS1.532を残しネバダ州の年間最優秀高校生に選出(同校では2012年のジョーイ・ギャロ以来の選出)。加えて、2018年シーズン(4年生時)は34試合で打率.527、6本塁打、OPS1.657とさらに数字を伸ばすなど活躍を続け、同年のベースボールアメリカのドラフト有望株ランキングでは206位に入るなど高い評価を取得。
同年のドラフトではアリゾナ大学を強く志望していたため評価通りに上位順位で指名されることはなく、35巡目(全体1057位)でヤンキースが手付として指名。
Year | Age | Tm | Lg | G | PA | AB | H | HR | SB | BB | SO | BA | OBP | SLG | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 19 | Arizona | P12 | 56 | 277 | 221 | 78 | 5 | 6 | 46 | 43 | .353 | .462 | .552 | 1.014 |
2019 | 19 | Yarmouth-Dennis | CCBL | 42 | 180 | 156 | 48 | 7 | 8 | 22 | 46 | .308 | .389 | .526 | .915 |
2020 | 20 | Arizona | P12 | 15 | 74 | 56 | 21 | 2 | 1 | 17 | 14 | .375 | .527 | .589 | 1.116 |
アリゾナ大学では1年目(2019年シーズン)の開幕からキャッチャーながらも新人離れしたパフォーマンスを見せ、アリゾナ大学初となる所属カンファレンス”Pac12″(NCAAにおいて3~4番手の強豪カンファレンス)のフレッシュマン最優秀選手に輝くと、ケープコッド・リーグ(木製バットを使用する最高の夏季リーグ)ではホームランを連発しリーグ4位となるOPS.915を記録。
今シーズンも開幕から好成績を残し(シーズン早期終了時点でOPSはカンファレンス5位)、キャッチャーとしての総合的能力はパトリック・ベイリーに軍配が上がるものの打撃力だけならば大学生キャッチャーNo.1との評価を固め、ドラフト予想では全体30位前後における指名が予想されていました。
(MLBドラフトは通常大学生だと3年生が対象となるわけですが、早生まれのウェルズは21歳未満ルールに適格であるため2年生となる今年度のドラフト対象に。)
高校時代からトップクラスのバットスピードと打球初速度を誇り、ケープコッド・リーグでは高レベルな投手相手にホームランを連発するなど木製バットも苦にしない稀有なパワーヒッター(アッパースイングのためか高めより低めの球を得意としているイメージ)。NCAAではホームラン数こそイマイチなものの、プロ入り後は25本塁打クラスの大砲として期待できるとの評価。
また、高校時代はヒッチの大きな大振り気味のスイングでしたが、アリゾナ大学でスイングを一気に簡素化。より体の近い位置でボールを捉えることが可能となり、広角なパワーの発揮と選球眼&四球数の向上に繋がったのではないでしょうか。
ただ、空振り&三振の多さと変化球の対応力には大きな懸念があり、とりわけケープコッド・リーグにおける180打席46三振は壊滅的な数字。四球も多い選手なだけにプロ入り後はMoneyballライクな打撃成績を残すことになるでしょうね。
Here’s Arizona catcher Austin Wells’ reaction to being selected 28th overall by the Yankees pic.twitter.com/fId6lgmuJ5
— Ryan Kelapire (@RKelapire) June 11, 2020
平均レベルのスピード&走塁を持ち合わせていますが、リトルリーグ時代から長らくキャッチャーをメインにプレー。攻撃型キャッチャーとの評価が大部分を占める選手でフレーミング、ブロッキング、送球など同ポジションの基礎的スキルは軒並み評価が低め。高校4年生時には右肘を痛めシーズンを通してキャッチャーとしてプレー出来ずPRP療法を受けた過去もあり、守備力と肘の爆弾を考えるとプロ入り後は早い段階でキャッチャーからコンバートされる可能性が大。
アリゾナ大学及びケープコッド・リーグではレフトとファーストで度々起用されていますが、個人的にはファーストに落ち着くことになると思います。
ヤンキースはゲリット・コールを獲得したことにより2巡目と5巡目指名が失われているので、5巡目までしか行われない今年度のドラフトでは残り3巡目と4巡目の指名権しか残っておらず、チーム全体のボーナス・プールは352万ドル。オースティン・ウェルズが指名された全体28位のボーナス・スロットは249万3900ドルですが、ヤンキースの1巡目指名はほぼ間違いなく外れるので3巡目と4巡目に賭けましょう。
コメント
ヘンドリックがヤンキースの指名順まで残ってないかなと思いましたが、12番目だったかなレッズが指名しちゃいましたね。ウェルズはカイルシュワバーみたいな選手になるかなと期待してますが、ヤンキースのドラ1でチームの主力になったのって、マンソン・ジーター・ジャッジの3人位ですかね?(フィルヒューズは微妙)ヤンキースのドラ1として久々に当たりになると、ヤンキースファンとしては嬉しい。
どうせハズレ。期待するだけ無駄。
ジャッジしか当たってないのが現実とは言え手厳しいですなあ(苦笑)
MLBは厳しいですよね
海洋生物の卵2千個産んで成体になれるのは3匹とかそんな感覚